院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

漁業者の世襲と保護

2013-04-16 01:46:12 | 生活
 国家免許には業務独占というのと名称独占というのがある。業務独占の免許には、その免許保持者しか行ってはいけない業務がある。例えば採血は、医師と看護師と臨床検査技師にしか許されていない。レントゲン技師にも理学療法士にも採血を行う権限はない。

 一方、名称独占で有名な資格に保育士がある。保育士は子どもを集めて世話をする仕事である。でも、近所のおばあさんが勝手に子どもを集めて、有料で保育をすることは許されている。ただし、おばあさんは保育士を名乗って仕事をしてはならない。これが名称独占ということである。

 その海域で漁業をしてよいのは漁協の組合員に限られる。それ以外の者が同海域で漁業をすると密漁になる。だから、漁協は組合員の業務独占を保証している。漁業は農業ほど高齢化していない。漁師の若い子弟が次々と漁業に参入してくる。

 新しい漁協のメンバーは既存のメンバーによって投票で選ばれる。でも、選ばれるのは漁協メンバーの子弟だけで、よそ者が選ばれることはない。要するに、漁業は業務独占の世襲である。農業のほうには、こうした特典はない。

 これは、おいしい話ではないか?なんの国家試験を受けなくても、漁業の業務独占が世襲によって決まるのである。

 「就農」を考える人がいる。今後、「就漁」の希望者が出てきたら、既存の漁業者がどんな反応をするか、いまから興味を寄せているところである。