院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

アフリカはまだ飢餓状態なのだろうか?(ユニセフ批判)

2013-04-08 05:02:30 | 文化
 30年前、ヨーロッパに初めて行ったとき、イギリスのヒースロー空港から多数のアフリカ行きの便があることに驚いた。

 日本からのアフリカ行き直行便は今でもない。日本人はアフリカのことを知らなさすぎると思う。「暗黒大陸」なぞと呼んで一言で片づけていた。

 最近、テレビでユニセフのCMが放送されていた。痩せ細ったアフリカの子どもの映像が流され、暗にアフリカの子どもに援助をと訴えていた。(いや実はアフリカの映像ではないかもしれない。)

 その時、この映像はいつどこで撮った映像だろうかと怪訝に思った。娘がまだ幼稚園児だったころ、幼稚園で教わったのだろう、「アフリカの子どもは泥水を飲んでいるんだって」と恐怖の表情で私に伝えたのは、もう30年前のことである。30年たった今でも、アフリカには飢餓があるのだろうか?ユニセフの映像は大昔のものではないのか?

 アフリカは広い。54か国もあって10億の人口があるから、十派一からげにアフリカを論じることはできないだろう。だから、ユニセフはただ痩せ細った子どもの映像を流すのではなく、どこの地域がどれくらいの飢餓なのか具体的に知らせる義務がある。

 私は他の多くの日本人と同じくアフリカのことを知らない。それから、世界情勢についても新聞報道でしか知らない。その程度の知識だが、ある程度の想像を巡らすことはできる。

 アフリカに住む人々は、19世紀にヨーロッパ諸国によって分割される前には、ユニセフの映像ほどの飢餓はなかったのではないか?つまり、現地人は少数部族に分かれており、それぞれにちゃんと生活していた。部族同士の戦いはあったが、ほぼ儀式的に形骸化されていたのではないか?

 そこでヨーロッパ列強によるアフリカ分割が行われた。きのうこの欄で示したように、現地人は搾取された。だが、ヨーロッパ人も現地人が飢餓になるほどの搾取は行わなかっただろう。労働力が減っては困るからである。

 飢餓の原因がよく内戦に帰せられるけれども、そもそも内戦の原因はヨーロッパ人が持ち込んだ近代文明や統治制度や経済システムによる。それまでは、上述のように部族間の儀式的な戦いで終わっていた。各部族は自給自足だったから、内戦のような大きな戦いをする必要もなかった。

 それでも東西冷戦時代は、両陣営がアフリカの民を自分の陣営に取り込もうとして多大な援助を行った。そのため、アフリカは一時、ひどくは困らなかった。ところが1980年代後半に冷戦が終結すると、両陣営とも勝手なものでアフリカから手を引いてしまった。これにより、アフリカには再び飢餓がきた。(そのころ起こった干ばつが被害に輪をかけた。)

 要するに、アフリカは先進国に翻弄され続けたのだ。そこに対して、先進国出身のユニセフが、まるで罪滅ぼしのように援助の手を差し伸べようとする皮肉な構造となっている。

 以上は、乏しい情報による私の妄想である。聞き流してくださって結構だ。だが、これだけは言っておきたい。すなわち、アフリカの飢餓はどこにどれだけあるのか、場所と程度を正確にかつ系統的に伝えてくれ。飢餓がアフリカの代名詞であるかのような漠然としたイメージ戦略はもうやめてくれ。