院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

料理専門の写真家

2012-11-19 06:10:18 | 食べ物
 雑誌やレシピ本には料理の写真がたくさん載っている。あの写真は編集部の人がテキトーに撮ったのではない。料理写真専門の写真家がいて、彼らの手になるものである。

 料理写真家はたくさんの食器を自前で持っている。そして、その料理にはどんな食器が合うか、どういう角度で写したら一番おいしく見えるかを考えている。(おいしそうに写るんだったら、料理にニスだって塗る。)

 編集部の人は料理の写真を料理写真家に依頼する。そうすれば、おいしそうな写真をきちんと撮ってくれる。そういう業界があるのだ。

 最近、自分が行った店の料理を写真に撮る人が多い。デジカメの普及によるものだろう。だが、出された料理を写真に撮るのは下品だと、六本木には料理の撮影禁止という店があるという。

 雑誌の料理写真をじっくり見た人は少ないだろうが、今度じっくりみてほしい。ほとんどの写真が逆光で撮られているはずである。つまり、食器の影が手前に映っている。このような撮り方がおいしく見せるコツらしい。

 ということは、素人さんが店で撮る料理写真は、デジカメのフラッシュを使うために、どうしても順光となって、プロの料理写真のようにはおいしそうには撮れない。

 料理写真家がどうしてそのような仕事を選んだかというと、芸術写真家や人物写真家になれなかったからだ。篠山紀信のようになろうとして、なれなかったのが彼らである。

 だから彼らには鬱屈したものを心に持っている。その怨念が、おびただしい数の食器を集めさせ、料理がもっともおいしく見える角度を探させるのだ。

 でも、一流の料理写真家となると、かなり実入りがよいらしい。篠山紀信のように有名にはなれなくても、けっこういい生活ができるようである。どんな世界にも一流の人はいるものだ。