院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

コラーゲンとは何か?

2012-11-11 04:52:58 | 生物
 最近たんぱく質の中でもコラーゲンがことのほか注目されている。コラーゲンの含有を謳ったサプリメントも多いし、牛スジ屋の女将までが「コラーゲンたっぷりだよ」と牛スジ料理を売り込んでいる。(確かに牛スジにはコラーゲンがたくさん含まれている。)

 だが、コラーゲンは本当に「お肌」や健康に良いのだろうか?コラーゲンは皮膚の真皮に含まれている。また、骨、軟骨、腱にも利用されている。とくに腱のコラーゲンは繊維化されていて強靭である。

 コラーゲンを経口接取すると、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリンというアミノ酸に分解されて吸収される。

 しかし、アミノ酸はたんぱく質の原料であって、吸収されたグリシン、プロリンなどがふたたびコラーゲンに合成されるとは限らない。つまり、コラーゲンをいくら摂取しても、「お肌」によいとは到底言えない。他のたんぱく質よりも「健康に良い」とも言えないのである。

 これくらいのことは、高校で生物や化学を普通に習っていれば、すぐに分かることである。だから、コラーゲンがあたかも「お肌」や健康に良いように宣伝するのは、実はペテンである。

 文系の人はもしかしたら、高校で人体の組成やたんぱく質について習わないかもしれない。もし彼らが、たんぱく質の中でも特別にコラーゲンを有難がっているとしたら、気の毒という他はない。