院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

里山は人工産物

2011-11-20 00:46:09 | Weblog
 「ウサギ追いしかの山、小鮒釣りしかの川・・」という歌や「どじょっこだのふなっこだの・・」という唱歌がある。そのためか、里山とは自然の最たるものと思われがちだが、実は里山は人工産物である。

 人間が山に適度に手を入れて、田畑を営んだ結果、懐かしい里山の風景が生まれたのだ。起源は縄文時代まで遡れるらしい。以後、何度か山の木が伐採されすぎて、ハゲ山となったが、その都度、里山は復元されてきた。もっとも最近、復元されたのは1950年の国土緑化運動で、そう古いことではない。

 したがって、里山の生態系は人工的なものであり、けっして原始の姿ではない。だから。「どじょっこ」や「ふなっこ」も人工産物である。里山を中心とした生態系は、言ってみれば水族館のようなものである。

 ほんとうに原始の風景を取り戻したければ、田畑や山の手入れを怠ればよい。その代わり、田畑は荒れ、「どじょっこ」も「ふなっこ」も激減するだろう。結果として人間は食べていけなくなる。

 多くの自然環境重視主義者が、里山と原始の風景を混同しているようなので、一言言ってみた。