私はNPO法人なごやか理事長に連れられて、小さなイタリアンレストランにお邪魔した。とにかく狭いお店だったけれど、料理は本格的で、デザートのドルチェもおいしかった。
いつからこちらへ?と理事長に尋ねると、彼は笑って言った、少し前の日曜にふらりと立ち寄ったら、たぶん学童保育が休みだからなのか、カウンターの端に小さなお嬢さんが座ってタブレットPCでなにかを読んでいて、帰り際にはカウンター内の両親と一緒に、ありがとうございましたって、恥ずかしそうに声を掛けてくれたんだ。お店の子供あるあるだよね(笑)
僕もお店の子供で、シャッターの開閉や朝の雪かきが「仕事」だった。
たまたまそこに同級生が通ったりすると、ホント恥ずかしかったものだよ。
ああ、分かる、と私はうなずいた。
私は家具屋の娘で、夕方、店の前にずらりと並べた小ぶりな三輪車を、番頭さんと取り込むのが「仕事」でした。お母さんも店に出ていたため、お客さんに居座られると夕ご飯にならなくて。お店の子供ってなんとなく悲しいですね。
「鼻息の荒いのも、中にはいたけど(笑)お店の子供たちは、親の喜びや悲しみを嫌でも目の当たりにしながら暮らして行く。なんにせよ、子供たちが自分ちのお店を誇らしく思える時代がまた来るといいね。」
そんな思いから、理事長はここへ通っていたのか。