長唄三味線/杵屋徳桜の「お稽古のツボ」

三味線の音色にのせて、
主に東経140度北緯36度付近での
来たりし空、去り行く風…etc.を紡ぎます。

京の四季

2010年03月14日 22時34分46秒 | お稽古
 曲名からして、お稽古のモチベーションが格段に上がる曲、というのがある。
 タイトルに「京」の一文字が入っただけで、関八州の女子はなぜだかウキウキしてしまう。吾妻女に根深い京女コンプレックスがあるのかどうかはさておき、京都のモノって、紅葉一つにしろ、すべてが細かくて丸っぽくてカワイイのである。
 そこで、今度の春の演奏会に、若手だけで「京の四季」を出曲することにした。
 もともと上方唄であるが、昭和の初期に作曲された長唄「舞妓」にも入っていて、歌詞がほんのちょっと東京ことばになっている。短いので暗譜が苦手な子にもやさしいメロディラインだ。
 歌詞が洒落てる。「二本刺し」は無論お侍さんだが、それが「祇園豆腐」に繋がっていくところが、ニクイ。
 今春のJR東海の「そうだ京都行こう」シリーズは、川端康成の『古都』を引いていたが、それでふと、思い当たったことがある。「粋も不粋も物堅い」のは、なんでか?
 みな浮かれて、それでいて神妙になっちゃうって、桜が美しすぎるから…??とか、自分でも腑に落ちないところだったのだが、ストンと落ちた。
 物堅いとは、律義とか義理がたいとかいう意味だが、そうか、風流を解する人は当然のこととして、日頃花見なんて縁がなさそうな不粋な人も、咲く花に義理立てして律儀に、この時ばかりは花見に奔走する、というほどの意味なんじゃないかしら。
 
 
コメント
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