長唄三味線/杵屋徳桜の「お稽古のツボ」

三味線の音色にのせて、
主に東経140度北緯36度付近での
来たりし空、去り行く風…etc.を紡ぎます。

もっとjaponaisを!〈君影草の植替え〉

2019年06月19日 19時56分10秒 | 趣味です。
 日曜の朝にちらと園芸番組をのぞいてみたら、どうやら百日草の特集のようなのだけれど、主役の名前が私の知ってるのと違う。
 カタカナ三文字ぐらいの聴いたことのない名称なので、もう忘れてしまったが、日本語イコール漢字表記の名称があるものはできればそれで表現したほうが、一目瞭然で簡潔ではなかろうか。

 表音文字である、カタカナや、アルファベット系の言語は、一目で物事の意味と全体像を把握できる漢字に劣るところがある、と私は常々思っている。私のように深く物事を考えず直感で生きている人間には、命綱とも思えるツールなのである。
 そのような、極々優秀で奇特な表記方法を編み出した日本語というツールを持っているのに、もったいない。

 …と思っている人間の数が多分、2020年頃には逆転して少数派になっているのだろう…と実感する今日この頃。
 5月の第二週に、スズランの花を探して、私は近隣の花屋を5軒回った。
 五月一日に鈴蘭の花をプレゼントされた人は、幸せになれる…という西洋の言い伝えを想い出し、令和婚をしたお弟子さんにプレゼントしたかったからだが、
 …いや、実はもっと前に、出立する列車の時間調整のために売店をひやかしていた東京駅構内の花屋さんで、スズランの生花のかわいらしい花束を見つけて…ぉぉ!なんて美しくかわゆくめずらしい…!!五月生れのмさんに贈ってあげたいものである、毎年私の誕生日に唯一人贈り物してくださる律義な優しいお心遣りに応えられるものをいまだ見つけられないのだけれども、
 これはそんなささやかな我が感謝の気持ちを託すにぴったりのものではなかろうか…と思いながらも、これから旅立つ身としてはかなわず…という残念な思いをしたことがあったので、スズランの花の時季に時機の見極めをしていたのだが、
 どういうわけだか、それ以来、スズランの生花の花束を商っている花屋に巡り会えたことがなかった。
 
 吉祥寺の西側の駅ビル入り口にあった花屋さんは、この春閉店してしまっていた。
 量販のチェーン展開をしている花屋さんには置いてなさそうだし、比較的珍しいものを置いている水泳教室の隣の花屋さんを一軒目として、商店街の老舗などを尋ね歩き…
 …やっぱりもうないかなぁ、スズランといえば可憐さでもって初夏を彩るリリカルな花の代表格で、昭和のある時期には♪金銀パールプレゼント…という、万民が知っている(はず)のコマーシャルソングでもって、スズランの香り…という高貴で清廉な雰囲気からしても当時の時代の志向を感じさせる、国民的洗剤メーカーの宣伝があったのだ。
(そして昭和のお昼時は、奥様劇場などという、ソープオペラの全盛でした。)
 そしてまたスズランを冠する場所、スズラン通りと言ったら、どこの都市の目抜き通りの商店街にもあって、本の街・神田の神保町にも、そのむかし、東京堂書店、銭形平次最中、スーパー富士屋やスヰートポーヅ屋さんで忘れ得ぬ、有名なスズラン通りがあったし(街灯の柱がスズランのモチーフでしゃれていたのだ)、すずらんといやぁ…あーた……
 オーマイケセィラセラ、という萩尾望都のしゃれたラブコメもあったのだ。

 そういえば…フラワーアレンジメントをしている旧友が、あそこの花屋さんは近在では一番種類が豊富でお手頃価格であると、スーパーマーケットのSの花屋さんを推奨していた。
 なんと! 蛇の道は蛇、餅は餅屋、あったんですょ、スズランの鉢植えが。

 実は、その花屋さんを訪ったとき、もう鈴蘭を見つけることは半ばあきらめていて、スズランの付いた何かをプレゼントしようと(フローリスのシリーズにリリーオブザバレーという天花粉やらボディーソープがあったはずなんだけど…と思い立ってさらにお店を放浪する羽目になるのだったが…私の脳内の商品群の基本情報はすでに10年がとこ古い)、作戦変更に舵を切りつつあったときだったのですが……
 同じ白い花でももう店頭で咲き初めていた、くちなしの花の匂いにうっとりとして、一鉢500円という値段にも気をよくして、レジに持って行ったついでに(そもそもが何を探して花屋さんをハシゴして歩いたのかがもはや謎の購買状況になっておりますが)、お店の方に、スズランてもうありませんよね、遅いのかなぁ…と伺ってみたところが、
「あるけどさー、もう終わっちゃったのよ、この間まで咲いてたんだけどねー……」
 と、お店の蔭に隠すように置いてあった数個の鉢を指したのである。
 …あった!! しかしもう確かに可憐な花はしぼんで立ち枯れて、商品としては店先に出せない態であった。
「持ってく? 二つで500円でいいけど」

 これを育てれば、来年、見頃の花を逃がさずプレゼントできるかもしれない…という後付けの言い訳にもなるけれど、行き掛かり上、2つのすずらんの鉢主になった私は、そんなわけで、今朝、スズランの植え替えをした。

 写真だけは撮ってあっても、まだまとめられない風葉記シリーズに心が向いて気がせくのだが、戦のあと…という風情のレモン樹に、飛べない揚羽蝶をとまらせて、ウィンドサーフィンをさせながら、蝶によろこぶ母に手伝わせながら、せわしなくも、植木の世話という作業に、ひと時の心の安らぎを覚えながら。

【追記の追記 2021年12月31日】
記事中、「金銀パール、プレゼント」CМ、私の記憶の中ではニュービーズだったのですが、半世紀の時を経て、この度それが記憶違いと気づきました。遡ること今月7日、密かに贔屓にしている芸人さん・寒空はだか師匠のライブでの出来事。
吉祥寺はスターパインズカフェで、ジントニックを傾けながら開演を待っていたその場内音楽(客入れ)は、小林亜星CМ作品集。
流れてきた、聞き覚えのあるメロディ。商品名はブルーダイヤでした。
〽スズランの香り…は花王のニュービーズで違いないと思うのですが…。
ご記憶の皆さま、ご教示を賜れますれば幸甚なり。
ライオンか花王か、それが問題だ。

【追記】 

今日までに羽化した12頭目が羽化不全とやらで、左右の翅がいびつで飛べずにおりました。
不憫なのでガムシロップを薄めたものを吸わせたりして、そのままベランダに棲まわせております。


指を差し出すと、脚萎えで素早くは動けませんが、とまるので、
それから生まれ育ったレモンの木にとまらせると、風が気持ちよいのか翅をはばたかせたりしております。
その答えは、風だけさ……替え歌、♪風が吹いてるだけさー、だったり、
♪ただ風が吹いてたー、だったり。
やはり蝶は、風に吹かれるのが好きな様子。


20匹あまりの青虫に喰い尽くされ、しまいには尺取虫までいたりして、
こちらも不憫なレモン樹でしたが、戦い済んで日が暮れて…新芽若葉が芽生えてきました。


静かになった枝の、鳥除けの網の向こうに、ささがにの蜘蛛が営み。
網目は2.5センチ四方なので、とても小さいクモの赤ちゃんです。

 
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梅雨時の和楽器ライブ(ディスカバリー伝統邦楽)

2019年06月15日 07時00分14秒 | お知らせ
 この極東の地の自然の摂理として、梅雨時に雨が降るのは本寸法。
 …ですが、21世紀になってから気候も欧米化したのか、激烈な振幅度で、ひ弱な人間としては体に堪えます。

 皆さま、お体を大切になさって、日本列島ならではの気候・風土のもと、無理なく発生した古来の文化に親しみ、英気を養ってくださいませ。

 きたる6月16日日曜日(今週末です)、
 小田急線・成城学園前駅 北側徒歩2分 の、
 成城ホールにて、無料公演です。
 午後1時開演です。

 長唄(三味線と唄と囃子)、箏曲(13絃の琴)、小唄(三味線と唄)、
 清元(三味線と浄瑠璃)、新内(三味線と浄瑠璃)、常磐津(三味線と浄瑠璃)、
 笛(能管、篠笛etc.)
 …などをお聞きいただけます。

今公演では、世田谷邦楽研究会企画番組として、
「調絃と口三味線のお話」お話と実演を、杵屋徳衛がいたします。
(午後3時前後の番組です)

 我が杵徳社中は、
 初番の「水仙丹前」:初演は、江戸時代中頃の寛延~宝暦年間(1750頃:文献により1749と1755説あり)
         江戸(文献により中村座と市村座あり)で、
         上方の歌舞伎役者・中村粂太郎が、江戸下りの折に京土産の舞踊番組「京人形五変化」
         (丹前・花笠踊・傾城・槍踊・猩々)で大当たりをとりました。
         その五変化中の丹前と槍踊りを一つの曲にした舞踊曲です。
    元禄風のおおどかで、春風駘蕩とした味が面白い曲です。
    繰り返し遊び風の歌詞も、耳について離れません(助けて…!)

 そしてラストの「勝三郎連獅子」にて御目文字仕ります。

 今公演に出曲いたします長唄曲本来の、すべてにお囃子がついております本寸法、理想的な演奏形態でおとどけいたします。
 ハツラツ、颯爽とした愉快痛快な長唄の醍醐味をご堪能いただけますよう頑張ります。

 終演は午後6時を予定しております。
 お待ちしております。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。

 
 
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雨宿り、風待ち(風葉記のうち)

2019年06月11日 09時54分14秒 | 近況
  ……幼虫の行方は杳として知れない…
 雪之丞変化かっ!?と独り突っ込みをする5月末の状況から、はや十日余りがたち、それでも蛹化を目撃・所在を把握しているサナギのうちから気の早いものが羽化し、また旅立ち、日曜日の午後、三頭目の羽化に立ち会えなかった何となくしょんぼり気味の月曜日。
 ベランダの鉢周りを、前蛹化が近く彷徨う青虫の様子を見ておりましたら、鈴蘭の鉢の裏からひょこひょこっと蠢くものがあります。
 
 
 呼ばれず飛び出て、ジャジャジャジャーン!
 くしゃみはなけれど大魔王のようにひょっこり飛び出す、揚羽蝶の成虫が一羽。

 なんとなんと、ベランダのキャビネットの裏にもぬけの殻になった蛹を発見しました。
 こんなところで秘かに羽化していたのか……(\(^o^)/)

 しかし、外は雨。土砂降りの雨。
 何度も翅を羽ばたたかせ、飛ぶ稽古をしていたようでしたが、気温が低い。
  ※窓ガラスの線は5センチ幅です



 そのまま夜を迎え、早朝。



 いつ飛び立つのか、心配しながら見守っておりましたら、外気温が上がった7時半を過ぎたころ、ベランダの鳥除けの網目につかまってバタバタしております。
 網をひょいと持ち上げる親心にも気づかず、網目をくぐろうと躍起になっております。
 あらまー………

 どうしたものかと見ておりましたら、やっこさん、するりと網目を抜け、外界へ旅立っていきました。
 お前さんは引田天功かぃ……
  ※網目は2.5センチ四方です

 雨上がりの朝、旅立つアゲハチョウが一匹。

 それから小一時間経ち、旅立った後の空の様子が見たくて、またまたベランダに出てみましたところ、鉢と鉢の間の網の辺りでバタバタ蠢いているものがおります。



 なんとなんと。これまた把握していなかった隠れ蛹が羽化した模様。
 


 小刻みに羽ばたいて、網目の上部へ。



 風に吹かれて心地よさげ。
 網の下を捲って出られる空間をつくったのですが、気がつかないかなぁ……

 空が青いうちに早よぅ、旅立ちなされや…
 (先ほど様子を見に行ったら、まだ居ました)

 
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7回オモテの光芒@和ライブ両国亭

2019年06月02日 10時38分16秒 | お知らせ
 おはようございます!
 明日が代休であらせられるでありましょう、本日、運動会の皆さま、
 今日のお疲れを明日の邦楽寄席で、ぜひ、お癒しくださいませ。

 理論ではなく情緒で、皆さまの右脳にしみる日本の音楽は、
 筋肉ばかりでなく、心のコリをほぐします。
 
 明日月曜日、両国は永谷ビルのお江戸両国亭で、
 第7回Waライブ両国亭が、開催されます。
 開演はヒル12時15分、午後2時までのコンパクトな興行です。

  ~演奏とトークで味わう和の響き
 とのキャッチにたがうことなき、充実のラインナップでおおくりいたします。

 番組は、
  一、違いの分かる男シリーズで昭和の皆さまにはおなじみ、箏曲家・沢井忠夫作曲の
   箏・尺八二重奏「風の歌」

  一、ドロップ イン ナガウタ
洋楽と邦楽の立脚点、演奏手法、考え方、味わい方…などなどの違いを、
   トークと実演でお聞かせします。
   初心者だけでなく、プロの方々必聴の心得もきけるかも?

  一、江戸浄瑠璃の粋、清元の「幻椀久」

  一、皆さまのお財布の中にも眠っていらっしゃる、日本で最初の女性職業小説家・樋口一葉の世界を、
   語りでお聞かせする、明治二十五(1892)年作「別れ霜」

 以上、四番を、新暦6月の風に乗せて、さわやかかつ軽妙に、はたまたしっとりとおおくりいたします。

 ぜひぜひご来場くださいませ。
 木戸は500円です。
 よろしくお願い申し上げます。

 
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