長唄三味線/杵屋徳桜の「お稽古のツボ」

三味線の音色にのせて、
主に東経140度北緯36度付近での
来たりし空、去り行く風…etc.を紡ぎます。

水無月朔日のdeparture

2022年06月29日 07時57分24秒 | 近況
 そいえば、私が二十歳の頃、愛と青春の旅立ち…という洋画がありまして。
 屈折したつもりのオタクっぽい青春を送っていた…つもりの、マイナー擁護派の私としては、恥ずかしくて見に行けないタイトルの映画ではありました。
 今、原題は何だったのかと、日記を書くにあたり標題に迷っていたので調べましたところ……
 20世紀の映画会社(固有名詞ではなく)の方々の翻訳センスの素晴らしいこと!!
 本日のお題は、譬えますれば「アゲハくんの冒険~愛ある旅立ち」…かな?

 はて扨て、過ごしやすい早朝の気温(されど6時半の気温27℃)も、余談から入りますと、肝心の話題に入らずじまいでパソコン前から撤退を余儀なくされる、頭脳に疲弊が生じない適温を超える室温となります。



 つい一時間ほど前のこと…
 いつものように、ベランダの檸檬樹にお水を遣りに参りましたところ、
 おはようと声を…(もちろん、心の中で掛けます)昨日は15ミリ程の豆みどりだった幼虫が倍に育っている、彼らを寿ぐ意も込め、挨拶しつつ所在を確かめておりますと、
 何しろ葉っぱが緑で見付けづらい、そんなときは葉裏から眺めて、影をそれと見定めますと、やすやすと把握できるのですが、それで、植木鉢台の蔭にしゃがみ込んで、ふと、余剰敷きマットの積み重なりが目につき、ああ、そういえば彼女は無事かしら、と、そっとしておくつもりでしたが、ひょいと持ち上げてみましたところ、
 薄レモン色の翅を拡げたアゲハチョウが、とまっておりました。

 ぉぉ、生きていたのか!!

 このアゲハくんは、実はわたくしの隠し玉…隠しサナギ…というわけでもないのですが、その幕内的存在のゆえからご紹介しそびれておりましたものです。

 …それはいつのことか誰も知らない…訳ではなく、おおよその見当はつくのですが、今季初のクロアゲハ組が蛹だった6月下旬の20日月曜日(夏至の前日でしたが)留守中、二世代目のレモンアゲハ組八蟲士たちが、一斉に蛹化のため行方知れずになったことがありました。
 
 それから二日後の22日水曜日朝、サッシの隅に佇み、羽化した摺墨1番のことはお知らせしましたが、その撮影中、とある思い掛けない邂逅が…。

 ベランダという場所は、写真をご覧のように掃除が行き届いていない場所だったりもしますが(何しろ、床下もどきのお芝居が展開される不思議空間だったりいたします)、
 ああ、この背景じゃ、せっかく羽化したクロアゲハの黒い翅の感じが写せないなぁ…などと素人なりに知恵を働かせ工夫しようと、何かしら、背景隠しになるような…レフ板とは言わないまでも、白い板は無いものかしら…と辺りを見回しますと、おお、植木鉢台の下のバケツの上に無造作に数枚重ねてほったらかしに置いておいた、ウレタンフォームの柔らかい敷きマット材が…何の気なしにひょっと持ち上げてみますと………



 あーびっくりした。なんと、裏に蛹が出来ているではありませんか。
 しかもなんという擬態スタイルの膚(はだえ)。
 とにかく、彼の気に入った場所ゆえ、そのままにしておかなくては、と、見なかったことにして、高松塚古墳をそっと埋め戻したように、私もそっと戻しました。

 それから、なるべく触らないようにしながら様子を見守っておりましたが、本当に生きているのか案じておりました。



 昨日はこんな感じ☟だったので、羽化近いので黒ずんでいるのか、瀕死状態で黒っぽいのか不明でした。
 それで油断していたのです。



 そんなわけで、今朝、またまた何の気なしにマットをひょい、と持ち上げたら、蛹とともに蝶が釣れて、まー驚いた。

 見つかっちゃった方もドッキリビックリして、ハタハタとテーブルの下、奈落の底に落っこちてしまいました(ゴメンネ)。
 そして辺りの金属製の什器に摑まろうとしてもがいておりましたが脚が滑るのでしょう、さらに沈んでゆく…



 責任を感じた私が辺りの板っ切れをそっと差し出しましたところ、何とか這い出てきて、やれやれ一安心…と思う間もなく、パッと飛び上がり、私の右肩、二の腕にとまりました。

 それもつかの間、一瞬のことで、ぱたぱたとレモンの枝下からするりと、外界へ去ってゆきました。



 よかったなぁ… 
 それにしても、びっくりされ通しのレモンアゲハ、今季、越冬サナギの羽化を除けば、一番目の成虫です。
 きっとサプライズ専門のプレゼンターの血が騒ぐ性質に違いない。
 今頃、雑木林の上空を、我が意を得たりと、喜々として飛んでいるのかも…

 そんなメルヘンな朝だったのが、令和四年旧暦六月一日だったのでした。
 皆さま、本日もお健やかに………


 

 役目を無事終えて嬉しげな蛻(もぬけ)の殻。



 ベランダの隅で夢見る蛹虫。


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存在証明

2022年06月27日 16時36分23秒 | 近況


 遅かりし由良之助…
 さすがに早暁に起きて三日続けてアゲハの羽化につき合うのは草臥れるもので、さてこそ、当家のクロアゲハは気が利いてござる。
 いつの間にやら蛹化して、消息を知らしめて家内を安心させ、また人知れず羽化して去っていったのである…
 と、何となくホッとしたのが、早朝の6時26分。





 朝というには強すぎる陽射しの中で、レモンアゲハの鯨組が一匹、みどり君に脱皮している。







 この暑さでは檸檬たちの水加減が心配である。
 そうして、外気温36℃という暑さに耐えかねて、二時間おきぐらいにベランダへ様子を見に行くたび、まだ体長15ミリ程のちびっこの鯨組が一頭また一頭と脱皮し、美登利ちゃんへと変貌しているのだった。

 〽葉っぱの乱れを 水差しで 引き揚げながら アゲハ算…(「四季山姥」畳算・改)

 本日、午前中だけで4頭の幼虫が終齢のミドリちゃんへとグラディエイトし、
 現在、当屋敷内には檸檬アゲハのサナギが二頭、幼虫が八頭、うち青虫が五頭、ベランダに居る。



 三度目だったろうか、せめてもの冷却材として、タオルケットを洗ったのを干し拡げようとベランダへ出た時のこと、我が足音に戸惑ったように、クロアゲハが一匹、ふらふらひょっこりと飛び上がった。



 あれあれ、隠れサナギが今また羽化したのだろうか…とビックリしつつ見送ったのだが、
 やれ待て、ひょっとすると今お発ちのあの方は、この2週間というもの、植木鉢の陰でひっそり隠れ棲んでいたノワール3号ではなかろうか…

 私がもぬけの殻の脱け殻を発見したのが、こう、今朝の6時20分ごろ…
 今、足元から湧き立つように飛び出してきて去っていったのが、10時20分……


 
 明智探偵の顔をした天知茂の声が私の胸に去来して、「ちょうど4時間…」というキーワードが井上梅次監督っぽく、エコーをかけて脳内に何度も響いた。
 植木鉢台の下の物陰で、翅の伸びるのを塩梅していたのだろうか…



 ♪しんじられない事ばかりあるが、もしかしたら、もしかしたら、そうなのかしら……

 さて、摺墨三番が、待ちかねたわやぃ…と言って旅立ったかどうかは定かでない。



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マカオン・ノワールの4時間

2022年06月26日 23時45分55秒 | 折々の情景
 〽木陰にしばし やすらひぬ…

 胡蝶に心和らぐのは荒獅子ばかりではなく、人間とても同じこと。
 二頭を間近に見て、クロアゲハが羽化して青空に飛び立つまで、ほぼ4時間を要するらしいことが分かりました。

 普通の黄地に黒のアゲハチョウは2時間程度だったように記憶しておりましたから、これは意外なことでした。
 体が大きい分、翅を動かす筋肉(?)が調うまで時間が要るのでしょうか。

 ともあれ、彼らの今生の仮の宿…旅籠のあるじとしては出立を見送ることが出来て大いに気が済んだことでした。
 そんなわけで、令和4年6月25日朝7時56分。
 



 それから1日が過ぎまして、鎌倉の世なれば、虎が雨が降る月暦五月廿八日の、令和四年の日も暮れて…







 さて、また次に控えしは…




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まだ宵ながら明けぬるを…(昧爽の攻防)

2022年06月25日 06時16分10秒 | 近況
 よほど外界が恋しかったのでありましょう。
 本日の日の出は4時27分。
 朝陽とともに微笑む姿を…と思っておりましたが、既に。



 夜明け前から殻を破って羽化した模様。
 遅参いたしました。
 が、スマフォのカメラも限界ながら…見えますか…



 強風と撮影者に驚き、お隣との区分壁峡谷に、逃れて暫しやすらいぬ。





 パラディソ・レモンは事も無く…
 ノワール三号も大人しく控えております。



 そして新たなるレモンアゲハ鯨組と、昨日出来立ての緑のさなぎちゃん。





 清原くんと名を替えし摺墨二番は…





 現身の無事を暁に祈る、残されしもの。





 廿六夜の月宿りたる雲一つ見えませで、今日も暑くなりそうな…

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曜変

2022年06月24日 22時37分50秒 | 折々の情景


 仲夏の胡蝶の夢を見てしより、ここ数日、早朝五時に目が覚めてしまいます。



 鯨組とは別に、一人残ったレモンアゲハの緑くんもそろそろ旅立つ風情。



 昼ごろ様子を窺うと、埴生の宿たるレモンの植木鉢から転がり落ち、テーブルの三隅をうろうろしておりました。

 そいえばユーレカ種を乗せたこっちの植木台は配置換えをして以来、手摺りから孤立しているので旅立ちにくいかもしれない…と、橋を架ける女たる私が(古代マヤ暦占いに拠る)お隣のビアフランカ種の植木台へ板を渡したところ、得たりや応と進み出で…





 夕方四時ごろ再び見ると、その場所にはおらず、どうしたものかと見渡せば、ずいぶん離れたところで既に蛹になっておりました。
 異例の変わり身の早さ…(四時間のうちに前蛹化してさらに蛹化したものと思われ…)



 30℃超えという気温が拍車をかけるのか…
 しかし何と言っても、目下の懸案事項は、軒先で洗濯バサミとともに揺れている、アゲハ・ノワール。



 強風で眩暈でも起こし、羽化に影響しやしないかと些か心配です。
 お昼時は昨日とあまり変わらないように見えましたが、四時間後の十六時。





 そろそろ羽化も近いかも…と、夏の夕暮れは日没まで間があって、明るい六つにまたまた見ると、







 急激に様変わりして、最早カタカナ語よりは直截な命名をと、摺墨(するすみ)と名付けることに。



 映画エイリアンは、空想の産物ではなく、蝶類の生態の地道な観察に基づいて発想したものでは…と、クリーチャーデザイナーの脳内に思いを馳せ…
 東のベランダ、西の空。
 




 明日は早起きしなきゃなりません。
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佇むひと

2022年06月22日 22時32分13秒 | 美しきもの
 〽ベランダの隙より見れば サッシの下に色殊なるサナギの
  今を盛りと見えて候
  立ち寄り眺めばやと思ひ候





 …夕暮れ時はこのような塩梅でしたが、夜更けて夜目に透かして見れば、墨のように黒くなっておりました。
 翌朝、ふと目が覚めましたのが寅の刻。





 〽檸檬に戯れ 匂ひに交はる
  胡蝶の精魂 現れたり



 〽詩歌管絃の御遊を催し 眺め絶えせぬ花の色





 一時間ほどの間にだんだん翅が伸びて参ります。





 二期作(?)次世代のレモンアゲハの緑くんも、未だ夢のなかから応援中。



 二時間ほども経ったでしょうか、



 〝わが翼をご覧ぜよ″



 〽草木の花に心を染め 梢に遊ぶ身にしあれども
  深き望みのある身なり

 それから更に一時間ほど、前脚で頭をこすっているかと思いましたら、体液を排泄し、やにわに羽ばたき始めました。
 そしてついに、明るい向こうへ…



 〽人目稀なる木の下に 宿らせ給へ 我が姿
 夢に必ず見ゆべしと…



 〽明け行く雲に 翅うち交わし
  霞に紛れて 失せにけり


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曇天のレモン横丁

2022年06月17日 09時31分31秒 | 近況
♪ 葉脈一本 両手に抱いて 罷り出たのも アゲハの食生…

梅雨らしい薄どんよりとしたお天気の朝は、昭和歌謡の替え歌が頭の中を経廻るのが常でして…
旺盛な食欲の幼虫たちを見ていると、現代日本が青春時代だった昭和中期の愉しい雰囲気が思い起こされ、心がなごみます。
4つ目の朝に3つ目のサナギを見つけたり、黒揚羽の八蟲士が旅立った後に新たなる種族、レモンアゲハが「11人いる、再び!」モードで檸檬樹の巷を席巻したり。

本業を纏めるいとまもなく、伸び伸びと育ちゆく小さき者どもの日常を、取り急ぎ近況まで…

「レモンの食卓」↓




クロアゲハの8頭のうち、三匹の侍がベランダにて南面の武士となりつつあり…



(お耳がカッツェさまに似ている〉ガッチャマン世代の第一印象)





(角度によってはお腹周りがムーミン・トロールを髣髴とさせます)

さて、幾度目かのベランダの模様替えに、オーチャード・スパイダーまでもが何度目かの引っ越しに姿を消した日、空に雲居の…



 〽️浮き立つ雲の行方をや 風の心に任すらん…
放たれた千条の糸が西の空に出でて、お別れの兆しなのやら…
スフィンクスちゃんが、そのまま緑ちゃんへ。







今朝の三つ巴、記念スナップ。
(一見、ウィリアム・モリス調テキスタイルのモチーフ)


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…そして、三つ目の朝が来た。

2022年06月10日 17時21分21秒 | 趣味です。
 …二つ目の朝は雨でしたが、曇天の今朝は雨が上がっておりました。
 さて、早々に余談。
 テレビドラマ版『子連れ狼』のテーマ曲は、圧倒的に橋幸夫の第3シリーズが有名ですが、私はバーブ佐竹の「ててご橋」がメチャクチャ好きで、よくくちずさんでおります。水原弘のカムイ外伝「忍びのテーマ」も物凄く好きですけれども。低温…もとい低音の魅力。

 このままこんなところで蛹になっちゃうのかなぁ…と思っておりました予定調和。
 朝いちばんに怖々…恐る恐る…いや寧ろ嬉々としてベランダの様子を窺うと…





 見れば見るほど不思議です。
 昨日はこんな感じだったのが☟





 どうしてこうなるのか、真実のところをお知りになりたい方は、ちょうど3年前の夏、揚羽蝶の前蛹からサナギに変態する動画を撮影してありましたので、こちらのYouTubeチャンネルをご覧くださいませ。



 何事も脱皮が重要なのですね…



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柚子坊に…

2022年06月09日 09時59分55秒 | 折々の情景




  柚子坊(ゆずぼう)に
    干場とられて
   もらい竿

         武蔵の十久女



 そして、二日目の朝の様子。




 これより第二の物干し場を求めて、ベランダは俄かの模様替え、可哀想にコシロガネグモは、竿改変による幾度目かの宿替えの憂き目を見ることになるのですが、それはまた、のちの話…
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伽羅当世檸 ベランダ床下

2022年06月06日 21時11分27秒 | 歌舞伎三昧
 その疑念がわが胸に頭をもたげたのは、実を言えば先月のことであった。
 檸檬の樹に無邪気に寄宿しているのは、どうやら常のアゲハじゃない。

 葉の影に隠れた彼の存在を知らなかった或る朝、根方に水を遣ろうとした手が小枝にぶつかって、大きく揺れた。
 突然、カーマインレッドの筋がひらひらっと閃いたのだ。
 …?? レモン花の雄蕊の散り残りかしらん、サフランじゃあるまいし、ハテ扨てこんな色だっけ??? 
 しかも今季、ビアフランカ種の二株には、花はほとんど付かなかった。
 いぶかしく思ってよくよく見たら、下葉の陰に緑くんが居て、赤い二本の角をチロチロさせていた。

 ぎょっとして言葉を失ったものの、いや待て、レモンアゲハ(ナミアゲハの当家の呼称)のツノは、こんなじゃない、綺麗なレモンイエローだったはず…(目撃者は語る)
 急いで証拠写真を撮ろうと、室内に戻ってスマフォを引っ掴み、息せき切ってベランダに取って返すも、みどり君は何ごとも無かったように、涼しい顔でちんまりと葉陰に居た。

 (ぅわぁぁぁぁ…!!!)うちにいるのはアゲハじゃない…アゲハの皮をかぶった何者かなのだ……!!
 ママが怖い…と、楳図かずお先生の怪異におびえるキャラのように、彼らがうちに来たこれまでの経緯を密かに胸の裡で検証してみた。



 思えば、彼らが葉陰に姿を顕したとき、去年までの幼虫とどことなく違って奇妙な印象を受けたので、ひょっとしたら害虫かも…と不安に感じたのだったが、数日たって白黒のクジラ幕組に変容したので、ぁぁ、やっぱり揚羽だった、と胸をなでおろしたのだが、人間の第六感、虫の知らせを侮る勿れ、









 今年のみどり君たちは健康優良児だなぁ…と、育ちっぷりの見事さに目を細めていたのだったが、蛹化のため一人減り二人居なくなって、移動中の彼らをうっかり踏み付けないよう、恐る恐るベランダに足を踏み出し、さて、皆はどこへ行ったのやら…振り返ると我が後ろのサッシのヘリに緑色のしん粉細工が…



 (ギャァァァァ……)
 普通のアゲハらしい体勢で前蛹化したので、杞憂であろうか、と思えたのだが、



 演奏会から帰った夜、あまりに気になって薄闇のなかを透かして見ると…
 ……ぁあら、怪しやなぁ



 うぬもただのアゲハじゃあるめぇ…
 ゴブラン織りの衣装をまとった、蓑虫にも似ている、どうもこの子は並の揚羽じゃない。





 あんなに緑色だったのに、どうしてこんなことに…
 居ても立ってもいられず、グーグル先生に教えを乞い、あれこれword検索をかけてみましたところ、アゲハチョウの種類と幼虫の違い、というような記事を纏めて写真まで丁寧にアップしていらっしゃる、奇特な御方のサイトに辿り着きました。
 ありがとうございます(。-人-。)

 そんなわけで、舞台は床下から河連法眼館へ、ドロドロドロ…と仁木弾正ではなく狐忠信が出て参りまして、四の切に。
 静御前は何と言っても当代福助の声が我が脳裏に浮かびます。

   さてはお主は…黒揚羽じゃな…!! (字余り)

 予てより、令和4年5月中旬から6月上旬にかけて、我がベランダには8頭のクロアゲハ(恐らく)が育っていたのでした。
 ノブナガ君ファン的に申しますれば、エイト・ヤスケーズ。
 (スリー・ディグリーズみたいに言うな!)





 さて、本日は先ず、これぎり……

※本名題『めいぼく・あづまのれもん』(当世=とうせい=東生)の檸檬、これにて一巻の読切りでございます。
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11人いる?

2022年06月03日 23時53分57秒 | 趣味です。
 五人囃子どころか、地謡座ができるのではないか、と気がついたのがこの木曜日、6月2日の朝のことで、緑の葉海に晦まされ厳密に数えたことも無かったのだが、あれれ、何となくここらへんが薄くなってきたような…と、彼らの旺盛な食欲に応えるべく気前よくその身を投げ出す緑の黒髪ならぬ檸檬樹の茂みを矯めつ眇めつ、心を落ち着けて緑の幼虫をよくよく数えてみたら、昨日まで緑野の七人と思っていたのが、八虫士いたのだった。
 加えることの、黒白の鯨団が三匹…しめて、11人いる……ではないか。



 嬉しくなって、今日もいるかしらと、ベランダを覗いたところが、緑のしゃちほこ、ちりれんげの形で寝ていたツワモノが居りました。
 自由だなぁ…
 ところで、つい4日前の5月31日に、「今日は土方歳三の誕生日」という文言がインターネット内に流れてきて、刑事コロンボの「さらば、提督」回だったか…明らかに犯人ではなかろうかと思われた、ロバート・ボーンが途中ゲームオーバーして、被害者だった提督の弟さんの「そんなバカな…」という台詞を想い出したほどに…ナニヲイットルノカネ。
 どうやら西暦年に換算しての今日は何の日ネタのようでしたが、およしなさいな。トシさん本人だって、えっつ、オレの???と驚くに違いないのだ。
  大体、江戸時代には、31日という概念はない。
 小の月は29日、大の月でも30日どまりである。
 本人の心情に思い至らず、勝手に決めつけるのって、どんなもんなんでしょうかねぇ。

 …というわけで、では、本当の土方さんの誕生日はいつだったのかというと、天保六年五月五日だったらしい。
 なんと、今日ですよ。月暦令和四年五月五日、端午の節句は本日、6月3日金曜日なのです。

 とはいえ、昭和の子どもには物心ついた時から、新選組はポピュラーで当たり前の存在過ぎて、改めてトシさんに恋心を抱く状況ではなかったので…そして昭和の50年代ぐらいまで、精神的強面のトシさんより薄命の沖田くんが圧倒的人気だったので、後年、友人に連れられて石田村の土方さん宅へお詣りしたこともあるし、壬生の屯所だって行ったし…取りたてて新選組ファンでなくとも、彼らの史跡をたずねて旅するのは昭和の青少年には当たり前(?)のことだったので…昭和の小中学生には鴨川つばめ「マカロニほうれん荘」だし、女子高生には和田慎二「あさぎ色の伝説」だし、そりゃーもう、キリがないので、ただでさえ取り留めのない本稿が更に茫洋として困ってしまうので、もう新選組のことは語りたくないのだが、

 もう20年以前、たしか早乙女貢だったと思うのだが、歴史エッセイの著作の中に、試衛館(しえいかん)ではなく誠衛館(せいえいかん)の誤りではなかろうか、というお説を拝見したことがあった。
 なるほど、そうかも知れない…と、漢字の意味を繙き、類推した展開だったので、今でも印象に残っているのだが、時代小説、時代劇、映画、芝居…etc.で口に馴染んだ固有名詞を今更改められるものであろうか、とも感じた。
 どなたか発掘して、新説・新選組異聞…的なことを纏めて下さると面白いのだが。

 そして、そして、実は、私がもう、ずうぅっと長い間、新撰組関連で最も気懸りだったのは、浅葱色の隊服の袖の意匠は、“だんだら模様”ではなく、“雁木模様”というのが正しい名称ではなかろうか、ということなのでありました。
 だんだら模様というのは、地との境界が曲線であらわされる柄だと思うのですけれどもね…

 一方、旧暦皐月のレモンの木上では…



 アクロバティック!



 いつも仲よし。
 そして、記憶を辿るに、昨シーズンのみどり丸たちと色合い、印象が違うことに気がつきました。
 2021年6月30日撮影の、碧丸。



 模様以外はすべて、この上もなく緑色です。
 いっぽう、2022年、今年の6月のミドリ君たちはというと、



 背は模様以外緑色ですが、模様がヘビメタっぽい…爬虫類の鱗様の白黒柄で、お腹側は白いのです。
 疑似お顔周りが褐色なので、カールおじさんのようでもあり…映画「若者たち」シリーズの橋本功にも似ている……

 けれども別種というわけでもなさそうで、これは個体のDNAの違いなのでしょうか。
 大体、ナミアゲハ、という名称がどうも気に入らない。
 並があるならジョウアゲハ、とか特上アゲハとかが居るわけでもなかろうに、ネーミングに愛情が感じられないではありませんか。なにかこう、投げやりな。手抜きな感じがして詰まらないではないかいなぁ。
 うちのは檸檬の樹で育ったから、レモンアゲハ、と、せめても呼びたい気がするのでありました。

 …と観察者の思惑はよそに、幼虫たちはそろそろ、蛹化に向けて旅立ちの季節。




※電導ヅタのお話が一言も出てこなくて申し訳ありません…
 初めて萩尾望都「11人いる!」がテレビドラマ化されたとき(キャスティングは確か宝塚関係だったかと)、熱烈な原作のファンだった中学生の私にはどうも馴染めず、激しい抗議のお手紙をNHK放送センターへ投函したのでした。

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