「輪補」「凡鳥棗・ぼんちょうなつめ」
薄茶器の一種。利休の孫千宗旦の門弟・藤村庸軒の好みです。
貞享4年(1687・丁卯)と元禄12年(1699・巳卯)の2回、塗師の初代中村宗哲によって作られました。
利休形黒大棗の外面を五郎塗(刷毛目が見える塗り方)とし、その甲(蓋の表)にいわゆる凡鳥桐(嵯峨桐ともいう)を蒔絵したもの。
「丁卯」箱書のものは蓋裏と盆付に「凡鳥」と「花押」が別書され、「巳卯」の方には蓋裏に朱漆の書入れがあります。
「凡鳥」とは鳳のこと(わかりますよね?)で、甲に桐紋蒔絵があるのは、鳳凰は梧桐(アオギリ)にのみ栖住するという中国伝説によります。
次回は「め」。