六カ国協議で合意された共同声明に、拉致問題は「懸案事項の解決」という間接的な表現で盛り込まれた。近く、日朝政府間対話も再開される。拉致、核、ミサイル問題などの包括的な解決を目指すべきである。
共同声明は日朝関係について、「日朝平壌宣言に従って不幸な過去を清算し、懸案事項を解決することを基礎として、国交を正常化するための措置を取ることを約束した」としている。
「拉致」はおろか、「人権」という言葉も入っていない。日本側首席代表の佐々江賢一郎・外務省アジア大洋州局長は「拉致問題をはじめとする諸懸案の解決に向けて、最大の努力を続けていく」と述べたが、北朝鮮は「拉致問題は解決済み」と言い続けている。拉致問題で、北の方から歩み寄ってくるとは考えられない。
日本は「拉致事件の解決なくして、国交正常化はあり得ない」という原則を崩してはならない。拉致事件の解決とは、横田めぐみさんら北に残された拉致被害者全員の帰国と拉致実行犯の引き渡しなどである。これらがすべて北によって実行されない限り、国交正常化に伴う経済協力などの甘い話を日本側から持ち出すべきではない。
今回の共同声明で、北の全面核放棄を条件に、日本など五カ国が北にエネルギー支援することが盛り込まれた。日本単独での経済制裁が難しくなったように見える。だが、細田博之官房長官は「拉致問題は国民的課題なので、多くの国民が納得することが前提になる」と述べ、拉致問題で前進がないままエネルギー支援に踏み切ることはできないとした。経済制裁の検討も続けるべきだ。
北は今回の共同声明に関し、「軽水炉の提供まで核放棄に応じない」との談話を発表した。町村信孝外相は「受け入れられない」と反論、ライス米国務長官も「北朝鮮の核放棄が先決」と批判した。合意や約束を守らない北の正体が、早くも暴露された。
自民党が圧勝した今回の総選挙後、小泉純一郎首相は日朝国交正常化について「乗り越えるべき難関がたくさんある。(任期中の)来年九月までに解決されるか断言できない」と述べた。拉致、核問題をおざなりにしたまま、国交正常化を急いではならない。
(産経新聞・主張 平成17年9月21日)
北朝鮮の焦りは何処から来たのであろう?
今回の6カ国協議で、形上でも共同声明に妥協せざるを得なかった理由は?
もちろん共同声明に関して「核の完全放棄」より「軽水炉」が先だといつものお決まりがはじまってはいるが。
全ての原因は9月11日の総選挙における自民党の大勝であり、その後の記者会見で小泉首相が日朝国交正常化について「乗り越えるべき難関がたくさんある。(任期中の)来年九月までに解決されるか断言できない」と述べた点にある。
いろんな手を使いながら、小泉首相の在任中に「拉致問題の解決」を餌に日本の経済協力を引き出さなければ、次の首相では又一から始めなければならず、北朝鮮という国が持ちこたえられないほど経済的疲弊をきたしているということだ。
日朝交渉の早期再開で両国政府が合意したと町村外相から発表があった。しかし、産経新聞の主張どおり『日本は「拉致事件の解決なくして、国交正常化はあり得ない」という原則を崩してはならない。拉致事件の解決とは、横田めぐみさんら北に残された拉致被害者全員の帰国と拉致実行犯の引き渡しなどである。これらがすべて北によって実行されない限り、国交正常化に伴う経済協力などの甘い話を日本側から持ち出すべきではない。』
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