九州六大学野球の春季リーグ戦(西日本新聞社など後援)最終日は27日、北九州市の北九州市民球場で3試合を行い、福岡大が北九州大に6-4で競り勝ち、2季連続46度目の頂点に立った。3打点の岳野竜也(4年・九州産業)が好リードで投手陣をもり立てた。MVPは坂井貴大主将(4年・西日本短大付)。福大は6月10日からの全日本大学野球選手権(神宮球場など)に出場する。2位は北九大、3位には九国大がつけた。
最後の打者のバットが空を切ると、マスクを空高く放り投げた。岳野は猛ダッシュでマウンドへ。歓喜の輪に加わった。優勝に王手をかけた前日に逆転負け。連敗なら北九大に逆転で優勝をさらわれるピンチだった。
そんな修羅場で昨秋MVP男が躍動した。押し出し四球で1点を先制した後の3回、1死満塁で2点目をたたき出す右前適時打。2点差の7回にも2死二、三塁から左越えに2点二塁打を放つと、守っても左ひじ痛のため痛み止めを飲んで先発した榎田を好リードでもり立てた。「完ぺきに抑えるのは難しい。最少失点にしのごう」と緩いカーブを多投させるなど、打ち気にはやる相手を幻惑した。
今季のチームは前途多難の船出だった。開幕前、昨秋5勝を挙げて優勝の原動力となった藤崎真一郎(3年・鳥栖)が右ひじ手術のため戦列を離れた。投手力が不安視される中、開幕戦は西南大に3年ぶりに敗退。樋口修二監督が「やりくりが苦しかった」と振り返った投手事情を支えたのが岳野だった。
22度目の出場となる6月の全日本選手権。樋口監督は「投手陣をつないでいく。全国に名前が知られていない分、意外とやれるのでは」と大暴れに自信を見せた。岳野は「2年前は代打で1打席立っただけ。三振だったので借りを返したい」と鼻息を荒くした。
現在の4年生14人のうち、岳野ら3人を除く11人が就職活動などのため今春で一線を退く。「このチームでどこまでも勝ち進みたい」と言う岳野。全国の舞台でも大事な仲間を引っ張っていく覚悟だ。
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(1勝1敗)
福大 003000300=6
北九 000100300=4
▽勝 榎田2勝1敗
▽敗 山内裕2勝1敗
▽本塁打 麻生▽二塁打 山下、岳野▽失策 榎田、小宮▽盗塁 橋本
(1勝1敗)
久大 200100000=3
西南 000000100=1
▽勝 楠原1勝2敗
▽敗 山内1勝3敗
▽二塁打 藤崎▽失策 牧山、豊岡、能勢、猪口▽捕逸 野方2▽盗塁 岡崎2、田中憲、牟田、中野
(1勝1敗)
九国 110511000=9
九大 000001000=1
▽勝 木下渉1勝
▽敗 滝沢1勝2敗
▽本塁打 松尾浩▽二塁打 永松、脇谷、杉原▽失策 永松▽盗塁 鍬本、工藤
北九大が逆王手
九州六大学野球春季リーグ戦(西日本新聞社など後援)の最終週第1日は26日、北九州市の北九州市民球場で3試合を行った。北九大がエース山内裕喜(4年・直方)の力投で、福岡大に4-3の逆転勝ち。両校は首位に並び、きょう27日の直接対決の勝者が全日本大学野球選手権(6月10日から、東京・神宮球場など)の出場権を得る。このほか九州大、西南大が勝った。
●エース山内裕が粘投
負けたら終わりの土俵際で北九大が踏ん張った。必勝のマウンドを託されたエース山内裕が完投勝利。「絶対に勝つつもりだった」。強打の福岡大打線を相手に先制されても粘り強く投げ抜き、逆転劇を呼び込んだ。
腸に原因不明の潰瘍(かいよう)が多発する病気にかかり、開幕前から約2週間入院。「悔しくて仕方がなかった」。体重は3キロ落ちた。めげそうになる気持ちを奮い立たせたのは優勝争いを演じる仲間たちの姿だ。
最終週で迎えた天王山。右打者のひざ元にシンカーを多投し、活路を見いだした。今春限りで野球に別れを告げる。「最後に優勝して、みんなと一緒に神宮に行きたい」。右手に握りしめたウイニングボールが誇らしげだった。
●継投の時期悔やむ
「もう少し早めに代えておけばよかった」。福大の樋口修二監督は継投のタイミングを悔やんだ。7回までリードを奪いながら、ここまで無傷の4勝を挙げていた先発左腕の門脇が8回につかまった。「調子が悪く7回から球が浮き出した」と今季初黒星。試合後、最終戦の先発を告げられた左腕榎田は「負けられない。熱くなりすぎずにゲームをつくりたい」と力を込めた。
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(北九大1勝)
北九 000000130=4
福大 020000100=3
▽勝 山内裕2勝
▽敗 門脇4勝1敗
▽三塁打 麻生▽二塁打 吉次、弓削、山下、片山▽失策 大原隆、山内拓▽盗塁 向井、甲斐
(西南大1勝)
西南 000001000=1
久大 000000000=0
▽勝 川本2勝3敗
▽敗 千代島1勝3敗
▽二塁打 岡崎、田原▽失策 猪口▽盗塁 岡崎、中野、小八重
(九大1勝)
九大 140000000=5
九国 002000000=2
▽勝 藤田3勝2敗
▽敗 宮脇大1敗
▽三塁打 鍬本、岩崎慎▽二塁打 清水、木之下▽失策 加藤、永井▽捕逸 木之下▽盗塁 鍬本、岩崎慎、加藤