前々から読もうと思っていた小説が今回紹介する「優駿」でした。競馬好きなら絶対一度は手に取るべし、と周りの人からよく言われていて、さてさてどんな内容かと楽しみにしてページを開いてみました。
物語は、北海道は静内にある小さな牧場から始まります。牧場が一世一代を賭して生産した一頭の競走馬、名前はクロ。彼が生まれたその日から、彼に関係する全ての人々にある変化が訪れ始めます。クロは無事にダービーを勝つことができるのか。そんな感じの出だし。
冒頭でいきなり、当時の世界三大系統であるノーザンダンサー、プリンスリーギフト、ボールドルーラの話が引っ張り出され、さらにそれらにまつわるエピソードも寓話的にとっつき易く語られます。この辺りが好感度大。競馬を知らない人にもそこそこすんなり入り込むことができます。80年代が舞台ですから、まだサンデーはおらず社台がうなぎ上りだった頃です。
章毎に中心人物が入れ替わり、それぞれの内面をあらわしつつクロの成長も描かれていくのですが、視点がころころ変わるため感情移入しにくい人物も僕にはいました。その人物視点の章は読むのが多少苦痛だったりしました。
この小説の特徴として面白かったのは、全ての主要人物が性善説で作り上げられているところです。牧場の跡取り息子の博正を始め、視点として描かれる人物は全員、ぱっと見は斜に構えていても芯は善人でできています。とにかくみんなめっちゃいい人。
その反面、物語中盤から現れる幾人かの脇役は、オセロが反転したかのように気持ちいいくらい悪人でできています。とにかく心の中が汚れています。この善悪はっきりした設定は読んでいて作者さんの何かしらの意図を感じます。このため、構図が明確になっていて、何が正しくて何が間違っているのかを極めて汲みやすくしているのが、読んでいる側にとって安心できるつくりだと思います。
競馬ファンなら一度は読むべし、と吹き込まれていたのは間違いではありませんでした。競馬ファンならずとも、全ての人にお勧めできる作品です。
ちなみに。僕の好きなゆうきまさみさんの競馬マンガ「じゃじゃ馬グルーミンUP」は、この「優駿」から色々ヒントをもらっていることを読んでいて初めて知りました。登場人物の名前や先ほど挙げた中心視点の変化まで、構成がとても似ています。よかれなオマージュだなと感心しました。
物語は、北海道は静内にある小さな牧場から始まります。牧場が一世一代を賭して生産した一頭の競走馬、名前はクロ。彼が生まれたその日から、彼に関係する全ての人々にある変化が訪れ始めます。クロは無事にダービーを勝つことができるのか。そんな感じの出だし。
冒頭でいきなり、当時の世界三大系統であるノーザンダンサー、プリンスリーギフト、ボールドルーラの話が引っ張り出され、さらにそれらにまつわるエピソードも寓話的にとっつき易く語られます。この辺りが好感度大。競馬を知らない人にもそこそこすんなり入り込むことができます。80年代が舞台ですから、まだサンデーはおらず社台がうなぎ上りだった頃です。
章毎に中心人物が入れ替わり、それぞれの内面をあらわしつつクロの成長も描かれていくのですが、視点がころころ変わるため感情移入しにくい人物も僕にはいました。その人物視点の章は読むのが多少苦痛だったりしました。
この小説の特徴として面白かったのは、全ての主要人物が性善説で作り上げられているところです。牧場の跡取り息子の博正を始め、視点として描かれる人物は全員、ぱっと見は斜に構えていても芯は善人でできています。とにかくみんなめっちゃいい人。
その反面、物語中盤から現れる幾人かの脇役は、オセロが反転したかのように気持ちいいくらい悪人でできています。とにかく心の中が汚れています。この善悪はっきりした設定は読んでいて作者さんの何かしらの意図を感じます。このため、構図が明確になっていて、何が正しくて何が間違っているのかを極めて汲みやすくしているのが、読んでいる側にとって安心できるつくりだと思います。
競馬ファンなら一度は読むべし、と吹き込まれていたのは間違いではありませんでした。競馬ファンならずとも、全ての人にお勧めできる作品です。
ちなみに。僕の好きなゆうきまさみさんの競馬マンガ「じゃじゃ馬グルーミンUP」は、この「優駿」から色々ヒントをもらっていることを読んでいて初めて知りました。登場人物の名前や先ほど挙げた中心視点の変化まで、構成がとても似ています。よかれなオマージュだなと感心しました。
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