音楽中心日記blog

Andy@音楽観察者が綴る音楽日記

Take Me To The River

2009年02月22日 | CDの感想
  
○「TAKE ME TO THE RIVER : A Southern Soul Story 1961-77」(2008)
 KENT SOULによるサザンソウル・アンソロジー3枚組。これもHMVの輸入ボックスセット30%オフバーゲンで入手したもの。オーティス・レディング、O.V.ライト、ジェイムズ・カー、サム&デイヴ、アレサ・フランクリン、アル・グリーンなどの名曲がたっぷり75曲収録されている。 

 「洗練された都会的なソウル・サウンドで人気を得たモータウンに対抗するように、六〇年代の南部からはもっと泥臭くて、ゴスペルの影響をもっと直接感じさせるサウンドが生まれてきます。メンフィスのスタックス・レコードを中心としたこのサウンドは、当時はメンフィス・サウンド、現在ではサザン・ソウルと呼ばれています。」(ピーター・バラカン著「魂(ソウル)のゆくえ」より)

 心の重荷から自分を解放してくれる音楽、それが僕にとってのサザンソウルだ。身体の芯にどうしようもなく存在する凝り固まった部分を、ゆっくりじんわりと溶かし、洗い流して心と体を軽くしてくれる。もちろんロックだって心の重荷から解放してくれる音楽ではあるんだけど、サザンソウルを聴く悦びは、ロックを聴く快感とはまた違う。なんというか、まるで素晴らしく効能のある温泉にゆったりとつかっているような感じ。

 前回取り上げた「Soul Spectacular」ボックスと違って、ここに収録されている曲には初めて聴くものもたくさんあった。(僕は所詮その程度のソウルファンだってことだ。)
 でもそういう曲も、はじめから素直にすっと心に入ってくるのだ。なんの抵抗もなしに。それはたぶん、これまで愛聴してきたオーティスやアレサやサム&デイヴの曲と通底する感覚が、その曲にしっかりと刻まれているからなのだろう。ミディアム~スローテンポが多く、似たアレンジの曲が続いたりもするのだが、まったく退屈しない。むしろもっともっと続いてほしいと思うくらい。

 音質も素晴らしいし、スリップケースに入れられたブック型のパッケージもとても丁寧に作られているし、解説も詳細だし(英語だけど)で、これが4千円ちょっとで買えるというのはかなり幸せなことだよなあ、うん。

 では収録曲から、Bill Bandon「RAINBOW ROAD」をどうぞ。