7月2日の福島第6R2歳新馬戦(ダ1150)に、当場生産馬のバグラダス号が出走しました。
入厩当初からすぐにゲート試験に合格するなど、ここまで順調に調教を消化してきたバグラダス。
そのまま在厩調整されて、中間の追い切りの内容も良かったためか、レースでは1番人気に支持されました。
芝スタートの直後はフワッとした感じの走りでしたが、それでもスピードに乗ってダートコースに入る頃には先頭に立つ勢いでした。
結局そのまま先頭に立ったバグラダスは、道中も先頭でレースを進めます。
2番手以降にピッタリマークされて、終始目標にされるレース展開でしたが、最終コーナーを回ったあたりでは本馬を含めて3頭で先頭を争う展開に。
直線で追い出されたバグラダスはさらに加速して、最後は2着馬が上がり最速の末脚で迫ってきましたが、なんとかハナ差凌いで新馬戦勝ちしてくれました。
本馬は当場の馬主名義で走っている馬です。
生まれた当初から好馬体で、母が元ターファイトクラブ所属馬だったので同クラブに提供するか、もしくはセレクションセールに合格できるほどの馬体になりそうとも思っていたので、そのどちらかだろうと思っていました。
ところが、生まれて間もなく他馬に左首をかじられたか蹴られたかされたため、大きな岩陥ができてしまいました。
見栄えが悪くなってしまったため、この時点でセレクションセールを含めたセール上場は諦めることにしました。
あとは当場内で1歳秋まで育成するなかで、どのような馬体になっていくか注視しながら、場合によってはクラブ提供も視野に育成していました。
ただ、馬体が大きくなるにつれて岩陥も非常に大きくなってしまい、競走馬としてデビューできるか心配になるほどのものでした。
1歳になっても、削蹄するたびに左右の蹄の減り方にクセはないか装蹄師に聞いたり、かかりつけの獣医さんを通じて岩陥に詳しいJRAの獣医さんに写真画像を送るなどして競走馬として大丈夫か?など聞いたりもしました。
歩様や放牧地での動きに問題ないようには思いましたし、実際ターファイトクラブのスタッフさんに何度か相談もしましたが、当場としては最後まで自信が持てなかったのでクラブ提供も諦めざるを得ませんでした。
馬体面で心配な馬だったので、すぐに視察に行ける地元の育成公社さんに育成をお願いして、状況を説明して慎重に育成を進めてもらうように頼んだを思い出します。
【育成公社時代のバグラダス】
2歳1月になっても大きな症状は出なかったので、お客様に買っていただくことはできなくても、これなら競走馬としてデビューできるのではと思い、当場の馬主名義で走らせることにしました。
ちょうどその頃、知り合いのJRAの調教師の先生が、新規開業するからと当場に紹介してくださったのが美浦の嘉藤先生でした。
その席で「こういう傷痕のある馬だけど、今のところ動きに問題はなさそうなので、先生さえ良ければ預かってもらえますか?」とお願いして、嘉藤先生に育成公社まで本馬を視察に行ってもらい、結果として嘉藤厩舎所属になったのです。
その馬が新馬戦で1番人気になって、しかも勝ってくれたのですから、私としては本当に嬉しいですし、この馬との縁を感じずにはいられません。
鞍上の戸崎騎手の話しでは「芝でもやれるのでは」とのことでした。
まずは勝ち上がってくれましたし暑い時期を迎えているので、とりあえず放牧に出して、その後は一度芝レースを使ってみたいと思っています。
本馬がお世話になっている厩舎関係者の皆さま、鞍上の戸崎騎手、そして立派に育ててくださった育成公社さんと、本州移動後にお世話になった阿見TC内チェスナットファームさんに感謝申し上げます。