(有)村田牧場通信

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クラブ提供馬3頭の近況

2020年12月30日 | クラブ募集馬
今回は、ローレルクラブに提供しているゼフィランサスの2020、そしてターファイトクラブに提供しているハーランズルビーの2020とクロワラモーの2020の近況をお伝えします。

基本的に当場では毎月末に測尺することにしているのですが、今月末だけは日中に仕事の用事が入りやすい状況にあったため、すべての当歳馬を12月20日に計測しています。

あらかじめご了承ください。

さて、まずはローレルクラブ提供馬のゼフィランサスの2020の近況ですが、父キタサンブラックに似て牝馬ながら立派な馬格に成長しています。







12月20日時点の本馬の測尺は以下のとおりです。

【体高】151cm 【胸囲】170cm 【管囲】19.7cm 【馬体重】372kg

今年の当場生産の牝馬のなかでは、現時点で最も馬格に恵まれた牝馬です。

離乳前は全体に伸びがあって少しヒョロっとした馬体に映りましたが、離乳後に高江第1分場に移動してからは馬体に厚みを増しながら成長しています。

ここまでの成長過程を見ていると、父キタサンブラックの体高と母ゼフィランサスの丸味の帯びた馬体が上手く混ざって、本馬の馬体に受け継がれている印象を受けます。

気性的にテンションが高い時期もあったのですが、12月になってから気性面でさらに成長して、ピリっとした面を残しながらも以前のようにどっしりとした雰囲気に戻ってきました。

現役時の競走成績を考慮するともっと種付頭数が伸びても良い種牡馬キタサンブラックですが、本馬も好馬体であるように、キタサンブラック産駒の出来が良いとの評判を他の生産者さんからも聞いています。

今後は種牡馬としての評価も上がってきそうです。


次に、ターファイトクラブ提供馬ハーランズルビーの2020の近況です。






12月20日時点の本馬の測尺は以下のとおりです。

【体高】149cm 【胸囲】163cm 【管囲】18.5cm 【馬体重】350kg

写真の見た目通りの素軽い馬体をしていますし、それが数字にも表れていると思います。

同じ牝馬のゼフィランサスの2020ほどではないですが、この時期に体高が149cmというのは十分すぎる数字です。

ドゥラメンテ産駒は、幼少時は本馬のようにスラっとした感じで成長していく馬が多い印象です。

本馬も先に骨格が成長していって、例えば来春の青草が生える時期になるとグンと身が入るタイプなのかもしれません。

きょうだいのなかでも気性的にキツい面を見せる馬なのですが、その割りには人間が指示することに対して素直に従います。

歩様や放牧地での動きを見ているとバネを感じさせる馬体で、これが将来的に本馬の武器になっていきそうです。


最後に、同じくターファイトクラブ提供馬のクロワラモーの2020の近況をお伝えします。







12月20日時点での本馬の測尺は以下のとおりです。

【体高】144cm 【胸囲】156cm 【管囲】17.8cm 【馬体重】318kg

今年の当歳世代は、約半数が2月中旬までに生まれているため、3月21日生まれの本馬は決して遅生まれではないのですが、当場平均からすると少し小柄な数字になります。

ただ、当場の3月生まれのなかでは普通サイズの馬体です。

手先の軽さを感じさせるのは、全姉オーパキャマラードやこの牝系に共通する長所の一つです。

放牧地での動きが軽やかで、他馬との接し方を見ていると、この牝系らしい悍性の強さを感じさせます。

他のクラブ提供馬2頭が馬格のある牝馬なので、本馬の測尺の数字に物足りなさを感じるかもしれませんが、気性面を含めて極めて順調に成長していると言えます。


これら3頭は、冬期の昼夜放牧のなかでも一度も熱発もせず順調に毎日を過ごしています。

これからさらに寒くなる1月~2月期を迎えるわけですが、馬体の成長具合や体力を考慮しても十分適応できると考えています。

そして今後は、牧場からの提供ではありませんが、友駿ホースクラブさんから募集されている当場生産馬ハーランズワンダーの2020も併せて、計4頭のクラブ募集馬の近況をお伝えしたいと思っています。


今年は、コロナ禍という状況のなかで競馬が続いてくれたことに大変感謝しています。

そのなかでモズベッロやディープボンド、さらには南関東のブラヴールといった当場生産の重賞勝ち馬が出てくれて、当場としても現在の馬づくりが良い方向に向かっていると実感できる年でもありました。

そして来年は、1月からディープボンドがG3中山金杯に出走予定だったり、2戦2勝のノースブリッジがG3京成杯に出走を予定しています。

クラブ提供馬では、大変長らくお待たせしたターファイトクラブ提供馬のドゥラモンディーが、1月中旬のデビューを視野に調整を進められています。

おそらくは芝中距離の新馬戦ということになりそうですが、調教でも良い動きを見せているようです。

来年も1月から当場生産馬に是非ご注目ください。



【血統・配合】ハーランズワンダーの2020(友駿ホースクラブ募集馬 牡 父エスポワールシチー)

2020年12月29日 | クラブ募集馬
今回は、友駿ホースクラブから2020年度産募集馬として、当場生産馬のハーランズワンダーの2020が募集されることになったのでこのブログ上でも紹介させていただきます。

本馬は、エスポワールシチー産駒ということもあり、縁あって友駿ホースクラブから募集されることになりました。

【カタログ用撮影時の写真(2020年10月撮影)】



【2020年12月下旬に撮影】






12月20日現在の本馬の測尺は、以下のとおりです。

【体高】146cm 【胸囲】163cm 【管囲】19.1cm 【馬体重】359kg

これは当場平均と同等か、やや上の数字になります。

母ハーランズワンダーは初仔の牝馬ということもあってそれほど大きくならず、小柄な馬体で競馬しましたが、本馬は彼女の産駒ながら2番仔の牡馬なので馬体は立派に成長しています。

2020年の10月に友駿ホースクラブさんのカタログ用写真を撮影する際には、あらかじめ立ち姿の練習などをしていたこともあり、横・前・後すべての撮影含めて10分程度で終わりました。

こちらの指示をよく理解してくれるなど、教えたことをすぐに吸収してくれる点は競走馬として好ましい資質だと思います。

父エスポワールシチーに似て節々がしっかりしていて、ここ最近はその骨格に筋肉が乗ってきて、以前よりも丸味を帯びた馬体になっています。

10月時の写真より12月の写真のほうが厚みが増してスピード色が強い馬体に映りますが、母がこういう馬体なので、いまのところは父母それぞれに似ている印象を受けます。

冬期でも昼夜放牧している関係で、ボディコンディションを意識的に上げているので、以前よりも肉付きが良くなっています。

そのなかでも熱発などの病気は一切せず、ここまでの成長過程は非常に順調です。


さて、ここからは本馬の血統をご紹介します。

母ハーランズワンダーは中央で3戦するもなかなか成長が見られず、未勝利のままホッカイドウ競馬に転厩。

滞在競馬が合っていたのか、短距離路線で10戦5勝2着2回3着2回とスピード能力の高さを窺わせました。

その後、前脚に小さな骨片が見つかり、手術をしたら現役続行が可能な状況でしたが、繁殖牝馬としても期待していたので現役を引退して当場へ帰ってきました。

現在は重賞勝ち馬モズベッロの半姉という血統でもあるので、繁殖牝馬として大きな期待をしているところです。


父エスポワールシチーはダートG1を9勝した名馬で、現在は当場と同じ新冠町の優駿SSに種牡馬として繫養されています。

ダートのマイル前後で一流の成績を残したようにスピードとパワーに優れた馬で、産駒にもその特徴をよく伝えています。

エスポワールシチーが種牡馬入りした当初は、まだ産駒傾向が出ていない時期だったので、その父ゴールドアリュール産駒の成功パターンを踏襲する配合を意識しました。

具体的には、ゴールドアリュール産駒は母方にMr.Prospectorの血を持っていると活躍傾向にあります。

そのため、エスポワールシチーとの配合でもMr.Prospectorの血を引く繁殖牝馬と配合してみようと思いハーランズワンダーと配合して、本馬が生まれた経緯があります。

ハーワンズワンダーはMr.Prospector4×5を持ち、さらにそのMr.Prospectorの3/4同血であるMarshua's Dancerの血が6代目に位置しています。





そして、エスポワールシチー産駒がすでにデビューしている現在、やはりと言うべきか、エスポワールシチー産駒もまた母方にMr.Prospectorの血があると活躍傾向にあります。

例えば中央のOP馬ショームや交流重賞2着のメモリーコウ、あるいは地方重賞勝ち馬のヤマノファイトやインペリシャブルなどは、いずれもこの血統傾向を持っています。

Mr.Prospectorの血を持つ繁殖牝馬と相性が良い理由として、ゴールドアリュールやエスポワールシチーがNureyevの血を持っている点が挙げられるのでないでしょうか。





Nureyevの父はNearco系×Native Dancer系の組み合わせを持つNorthern Dancerですが、Mr.Prospectorは逆の組み合わせで同様の血統パターンをしています。

さらに、Nureyevの母方にあるNantallahとMr.Prospectorの母父Nashuaは、これまた血統的親和性が高い関係にあります。





このような血統的な裏付けから、Mr.Prospectorの血が強いハーランズワンダーにエスポワールシチーを配合して本馬が生まれましたが、馬体を見る限りうまく行ったと思っています。

これ以外にも、本馬の配合にはいくつかの相似クロスを織り交ぜました。

Bramalea≒Gold Digger5×6*7、Halo≒Red God4×5*5*6、Nijinsky≒The Minstrel6*6などがそうです。









基本的には、北米血脈らしいスピードとパワーを意識した配合になっていますし、馬体的にもそのような感じに出てくれたと思います。

エスポワールシチー産駒は先週2頭の新馬勝ちが出るなど、地方のみならず中央でもダートを中心に勝ち馬を出しています。

本馬も中央所属の予定なので、父の産駒らしい活躍を見せてほしいと願っています。

なお、今後は定期的に本馬の近況をお伝えする予定ですので、次回までしばらくお待ちください。



ベルキューズが引退

2020年12月26日 | クラブ募集馬
12月24日、これまでローレルクラブでお世話になったベルキューズが引退して、当場に帰ってきました。





クラブこそ違いますが、当場生産馬で元ターファイトクラブ提供馬のオーパキャマラードと同様、本馬もクラブ規定より1年早い引退ということになりました。

これに関しては非常に申し訳なく感じておりますし、特に本馬の引退というのは、単純に1年早いだけではない難しい決断でした。

3勝クラスという層が厚いクラスに所属していて、幾度となく除外となるなかで出走自体が難しい状況が続きました。

そのなかでも厩舎サイドの皆さんがうまく仕上げてくれて、態勢が整ったなかで出走するも、牡馬相手の3勝クラスではなかなか通用しない状況もありました。

ただ、毎月の維持費がかかることから、クラブ会員の皆さんのためには出走して賞金を稼いでもらう必要があります。

そこで当場のほうから、3勝クラスで出走が叶わない状況が続くならば、交流重賞のほうで出走のチャンスがあれば積極的に登録してほしいというリクエストも出していました。

そして、厩舎サイドも登録できる交流重賞には全部登録してくださったと思います。

しかしながら、補欠の番手というポジションから上がること叶わず、結局一度も交流重賞に出られませんでした。

もう1年あるのだからどこかでチャンスがあればという考えもありましたが、関係者間で話し合いをした結果、やはり出走自体が叶わない状況や牡馬相手での苦戦が続くなかでは引退して繁殖牝馬として頑張ってもらうことがベストという結論に至りました。

当場としても、4勝目あるいは交流重賞で結果を残してくれるほうが繁殖牝馬になったときの価値が上がるという思いもありましたが、その思いだけでもう1年という選択はできませんでした。

出資会員の皆さまにおかれましては、ご理解くださいますようお願い申し上げます。


改めまして出資会員の皆さま、これまで大変お世話になりました。

オーシャンフリートそしてベルキューズと、2世代つづけてローレルクラブでお世話になった牝系なので、近い将来ベルキューズの産駒でまたお世話になりたいと思っています。

その際は、是非出資ご検討くださいますようよろしくお願いいたします。



当場生産馬のノースブリッジ号が葉牡丹賞を快勝!

2020年12月05日 | セール上場馬
12月5日の中山第9R葉牡丹賞(2歳1勝クラス、芝2000)に当場生産馬のノースブリッジが出走しました。





新種牡馬モーリスの産駒が本馬を含めて5頭出走するなど、2歳戦らしいメンバーのなか、本馬は5番人気でレースを迎えました。

好スタートを決めて、結果的に押し出されるように先頭に立ったノースブリッジは、最後の直線を迎えるまで先頭をキープします。

最後の直線で鞍上の岩田康騎手にゴーサインを出されたにノースブリッジは、持ち前のスピードを活かしてグングンと加速。

結局、2着馬に4馬身差をつけて快勝しました。

馬主様をはじめ関係者の皆さま優勝おめでとうございます。

本馬は、昨年のセレクションセールで現在の馬主様にご購買いただきました。

当時のセールに向けた本馬の紹介記事は、以下のリンクからご参照ください。


【セレクションセール】№73アメージングムーンの2018(牡 父モーリス)


【昨年のセレクションセール上場に向けた写真】



道中は掛かっているようにも見えましたが、関係者の話しでは、新馬戦もそうですが今回も全く掛かっていなかったようです。

この牝系らしい先行スピードに優れた馬で、そのなかでもうまく折り合えているようで、それが最後の直線での伸び脚にも繋がったのでしょう。

このあとは、年明けのG3京成杯が目標になるようです。

2戦続けて芝の中距離をこなしくれたのは大きいと思います。

この経験を活かして、重賞路線でも持ち前のスピードで頑張ってほしいと願っています。



オーパキャマラードが引退

2020年12月03日 | クラブ募集馬
12月3日、これまでターファイトクラブでお世話になっていたオーパキャマラードが引退して、当場へ帰ってきました。





本来よりは1年早い引退ということで、出資会員の皆さまにご迷惑をおかけする形での引退となりましたが、近走の内容からも関係者間でこれが最良だと判断させていただきました。

ご理解くださいますようお願い申し上げます。

これから来年の繁殖シーズンに向けて、じっくりと馬体づくりをしていくことになります。

まだ配合候補は決まっていませんが、母父ダンカークはサンデーやNorthern Dancerを含まない血なので、繁殖牝馬としては配合にそれほど困らないという利点があります。

馬体や気性も考慮して、最良の一頭を選んであげたいと思っています。


改めまして出資会員の皆さま、これまで大変お世話になりました。

近い将来、彼女の産駒を提供できる機会が訪れると思います。

その際は、是非出資ご検討くださいますようよろしくお願いいたします。