(有)村田牧場通信

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【血統・配合】アメージングムーンの2017(牡 ローレルクラブ提供馬)

2017年11月28日 | クラブ募集馬



今回は、当場生産馬としてローレルクラブに提供しているアメージングムーンの2017を紹介したいと思います。

ターファイトクラブ提供馬としてすでに紹介済みのアルレガーロの2017とともに離乳を終えた後、10月上旬に当場の繁殖分場から1歳分場に移動したアメージングムーンの2017。





移動直後でも環境の変化にも動じることなくどっしりとしていて、その当時から素直に人間の指示に従う賢い面がありました。

ロードカナロア産駒にはそういう面があると聞いているので、今後も賢さを感じさせる馬に成長していくと思います。

馬体の大きさも標準サイズにありますし、ロードカナロアと母方ビッグテンビーの血を引くだけあって、スピードタイプの馬体と言っていいでしょう。

しっかりとした体つきと同時に素軽さも感じさせるので、これからの成長がますます楽しみです。





さて、ここからはアメージングムーンの2017の血統について触れていきます。

父のロードカナロアは、現2歳が初年度産駒となりますが、前評判通りに勝ち馬を量産中。

産駒は11月26日時点で中央にて24頭が勝ち上がって29勝しているわけですが、特筆すべきはそれらすべてが芝での勝利という点です。

芝路線においてはサンデーサイレンス系全盛の現代の日本競馬にあって、この勝利数は素晴らしいの一言です。

もちろん、ロードカナロアはサンデーの血を持たないので、サンデーの血を含む繁殖牝馬との配合が可能です。

実際、中央勝ち馬のロードカナロア産駒24頭のなかで16頭は、母方にサンデーを持っています。

ただその一方で、まったくサンデーの血を持たないカナロア産駒も8頭勝ち上がっています。

サンデーの血の力を借りなくても、現代日本のスピード競馬(特に芝路線)でコンスタントに勝ち馬を送り出せる種牡馬など、そうはいないと思います。

その意味では、ロードカナロアの血統的価値が今後さらに高まるでしょう。

ロードカナロアの血統は、代々異系による配合(父がMr.Prospector系、母父がNorthern Dancer系、2代母父がRibot系など)であり、遺伝的に健康と思わせるところがあります。

産駒が早い時期からデビューして勝ち上がっていく姿を見ると、カナロアのスピードの遺伝だけではなく、このような健康的な血統も産駒に好影響を及ぼしているかもしれません。

カナロア自身は、母が持つSecretariat=Syrian Seaの全きょうだいクロスを活かすべくMill ReefやCharlottesvilleとの相似クロス、あるいはそれらを加えたラストタイクーン≒The Dancer≒Storm Catの相似クロスを持ちます。







ラストタイクーンとStorm Catの比較では、父がNorthern Dancer系であり、母父がNasrullah/Princequilloのニックスから成るMill Reef≒Secretariatという相似性の高い関係です。

また、The Dancer≒Storm Catという観点では、Nijinsky≒Storm Birdの関係があり、互いの母父がNearco系×Prince Rose系というNasrullah/Princequilloのニックスに準じる血統パターンです。

このラストタイクーン≒The Dancer≒Storm Catは、ロードカナロアの血統においては非常に特長的だと思っていたので、配合の際にはこれらの血脈を強化する配合を試みたいと考えていました。


では次に、母のアメージングムーンについて触れていきます。

父のアドマイヤムーンは中距離で成績を残した馬であり、その一方でエンドスウィープやサンデーサイレンスというスピード系の血も含んでいたことから、ビッグテンビーの長所であるスピードを活かした上で距離延長が計れるのではと狙った配合でした。

ただ、アドマイヤムーン産駒は気性面も影響してか、結果的に短めの距離で活躍馬が出ているのが現状です。

ビッグテンビーに配合するときには読み切れませんでしたが、その傾向は産駒のアメージングムーンにも受け継がれました。

具体的には、札幌芝1200の2歳未勝利戦でレコード勝ちを収めて、つづくG3ファンタジーS(芝1400)で3着しています。

ローレルゲレイロの半妹だからと言えばそれまでの話しですが、結果として彼女もまた短距離馬でした。

休養先のファンタストクラブでアメージングムーンを見たときは素晴らしい馬体で、そのままの体調を維持して競馬に望めればもう少し成績も残せたでしょうし、距離延長にも少しは対応できたのではと今でも思います。

ただ彼女の場合、トレセンに入厩すると何十キロも体重が減ってしまうなど、牝馬特有の気性面を含めた体調管理の難しさがありました。

競走馬時代の体調の変動が影響したのか、繁殖入り初年度はヘニーヒューズを複数回種付するも不受胎で、シーズン途中でこの牝系と好相性のキングヘイローに配合変更しても不受胎。

結局、その年を不受胎で終えてしまいました。

ただ、その1年でしっかりと馬体つくりをして臨んだ翌年には、ロードカナロアを配合して1回目の種付で受胎し、その結果としてアメージングムーンの2017が生まれました。

アメージングムーンの初産駒はローレルクラブにお世話になりたいと思っていましたので、彼のクラブ提供は当場にとって既定路線でした。


アドマイヤムーンの血統はNearctic5×5があるものの、全体としてはやや血が散漫な印象というのが個人的見解です。

そういう種牡馬には強めのクロスを持っている繁殖牝馬が合うと思い、Nijinsky3×4というインブリードを持つビッグテンビーを配合しました。

アドマイヤムーン産駒の重賞勝ち馬のなかにも、ファインニードル(母がNorthern Dancer4×4)やレオアクティブ(母がNorthern Dancer3×4)が同様の血統傾向を持ちます。

最近の当場生産馬のなかでは、ソリストサンダーも同様の考え方で配合しています。

ソリストサンダーは、父トビーズコーナーが血が散漫というかキツいクロスを持っていない血統なので、Nijinsky4×4やHail to Reason4×4・6という強めのクロスを持つ繁殖牝馬に配合して生まれた馬です。

ある程度クロスを持った馬には少しアウトクロス気味の馬を配合する、というのも一つの配合手法だと思います。

さて、アメージングムーンの血統に話しを戻すと、彼女はMr.Prospector≒Alydarの相似クロスを持ちます。

また、Mr.Prospectorに関してはMr.Prospector/Nijinskyのニックスもあります。





Mr.ProspectorとNorthern DancerはいずれもNative Dancer系×Nearco系の組み合わせ、またMiss Dogwood≒Bull Pageという関係もあり、多くの馬に見られる血統パターンです。

アメージングムーンの2代母モガミヒメはTom Fool4×5を持ちますが、この血はエンドスウィープの4代母Poupeeと相似クロスを形成します。





いずれもPharamond×Bull Dog(Quatre Bras)の組み合わせを持っています。

アメージングムーンのように、モガミヒメの牝系にHaloを持つ種牡馬を配合すると、Halo≒Careless Notionの相似クロスができるのも特長的です。





この両者はPharamondやSir Gallahad(Bull Dog)を持つ点で共通するほか、Royal Charger≒NasrulahやMahmoud≒Mumtaz Begumの関係もあります。

この手法はキングヘイロー(母父がHalo)×モガミヒメ牝系ですでに試しているパターンですが、サンデーを通じたHaloを持つ種牡馬との配合例はまだ少ないので、もう少し試してみたいと思っています。

このような血統パターンを持つアメージングムーンに対して、ロードカナロアを配合して生まれたのがアメージングムーンの2017でした。

アメージングムーンの2017はMr.Prospectorクロスを持っていますが、これは母の持つMr.Prospector≒AlydarやMr.Prospector/Nijinskyのニックスを活かす意味もあります。

さらに、ロードカナロア産駒という観点で見れば、現時点で2勝以上している産駒が4頭いるわけですが、うち3頭はMr.Prospectorクロスを持っているので、やはりこのクロスは血統傾向として好ましいと考えます。

母アメージングムーンはPoupee≒Tom Foolを持っていましたが、アメージングムーンの2017の世代では遠い世代ではありますが、Tom Foolの息子Buckpasserを7×7でクロスしています。

『モガミヒメが持つTom Foolクロスを活かすために息子のBuckpasserをクロスさせる』という配合手法は、ローレルゲレイロや現役馬スルターナなど、キングヘイロー×モガミヒメ牝系の組み合わせでも試していて、ある程度の手ごたえを感じています。

そのほかでは、ダンケシェーンアルレガーロの2017などでも試していますが、アメージングムーンの2017はBolero Rose(Storm Catの3代母)≒Jester(カコイーシーズの母父)を持ちます。




特にEight Thirtyは、ロードカナロアが母方に持つWar Relicと相性が良いので、このBolero Rose≒Jesterは意味のある相似クロスだと思います。


キングカメハメハが持っていたneriad≒Milan Millや、ビッグテンビーが持っていたMilan Mill≒Quillという4分の3同血クロスは、アメージングムーンの2017の代ではMill Reefを6×6で直接クロスさせることで強化する形にしました。





ロードカナロアの血の活かし方という観点から見ると、カナロアが持つラストタイクーン≒The Dancer≒Storm Catに対して、母アメージングムーンがCaerleon≒モガミポイントを持つことで活かすことができます。

アメージングムーンの2017の代で派生するラストタイクーン≒The Dancer≒Storm Cat≒Caerleon≒モガミポイントという関係は、それぞれNorthern DancerやNasrullah/Princequilloを持っていたり、相手によってはNijinskyやBuckpasserあるいはBull Pageを持つ関係であり、それぞれが互いに関係の深い血脈だと言えます。

このように、父母の血統傾向を活かしながら配合した結果が、アメージングムーンの2017です。

ロードカナロア産駒の活躍で、本馬もローレル会員の皆様に注目されていると思います。

その期待に応えられるだけの立派な馬に育つように、当場でもしっかりと飼養管理していきます。


【寝起き気味のアメージングムーンの2017】




【血統・配合】アルレガーロの2017(牡 ターファイトクラブ提供馬)

2017年11月14日 | クラブ募集馬



当場生産馬として、ターファイトクラブに募集馬として提供しているアルレガーロの2017。

10月上旬に繁殖分場から1歳分場に移動して、約1か月が経過しました。

1歳分場に移動する前に迎えたターファイトクラブの募集馬ツアーでは、比較的大人しい感じでしたが、1歳分場に移動してからはローレルゲレイロ産駒らしいハツラツとした活気のある雰囲気を見せ始めています。

四肢の肉付きが良くなってきたため、ツアー時のスラッとしていた頃より馬体に厚みが増してきました。

父母ともに短距離馬だったことも考慮すると、こういうスピード馬の体型で今後も成長していくものと予想されます。

さて、今日はそのアルレガーロの2017について、彼の血統や配合の紹介をしたいと思います。





父のローレルゲレイロは、当場生産馬としてG1を2勝してくれて、最優秀短距離馬にも選ばれた功労馬です。

種牡馬としては、準OPを勝っているアイラインや地方重賞を勝っているシークロムなどを出しています。

ローレルゲレイロ自身の血統的特長の一つとして、Drone≒Halo≒Nijinsky≒Careless Notionによる相似クロスが挙げられます。






上記で色分けした通り、これら4つの血脈はNearoやPharamond、さらにはBull Dog=Sir GallahadやMahmoudを持つ点で共通しています。

ローレルゲレイロが持つこの血統パターンを生かすために、アルレガーロの2017の代ではこれらのうちHaloを4×4でクロスさせています。

また、ローレルゲレイロの代で一度プールされたNijinskyクロスを、アルレガーロの代で再びクロスさせる配合にしました。

この血統パターンは、現2歳のソイルトゥザソウル(現1勝)のそれに類似したもので、ソイルの場合はHaloクロスとNijinskyの息子であるCaerleonクロスを持たせる配合にしています。

ローレルゲレイロの3代母モガミポイントは、アルレガーロの持つStorm Catの血と相似クロスを形成する関係です。





それぞれの父系であるNijinskyとStorm Birdは、いずれもNorthern Dancer×Bull Page系牝馬の組み合わせです。

また、モガミポイントの母父ボールドラッドUSAとStorm Catの母父Secretariatは、いずれもBold Ruler×Princequillo牝馬という4分の3同血クロスを形成します。

このモガミポイント≒Storm Catの相似クロスは、同父のローレルゲレイロ産駒であるグランジゲレイロ号(中央1勝)や、現2歳のダンケシェーンにも用いている配合手法です。


母のアルレガーロに目を向けると、彼女自身はスペシャルウィーク産駒ですが、どちらかというと母系のスピードが勝ったようなしっかりとした馬体で、スペシャルウィークの伸びのある馬体とは少し異なります。

全姉のクロワラモーよりも、より短距離向きの馬体をしている感があります。

産駒の代になれば、もしかするとスペシャルウィークの体型を産駒に伝えるかと思いましたが、ここまでの産駒の出来を見ると、母アルレガーロより種牡馬の馬体の影響を受けている産駒が多い印象です。

実際、アルレガーロの2017についても、ローレルゲレイロ産駒らしい『ムダ肉はつかないが四肢が発達した馬体』という雰囲気を帯び始めています。

そのアルレガーロの父スペシャルウィークですが、ローレルゲレイロの父キングヘイローと共通祖先を持つ関係です。





いずれの血脈もHaloやNorthern Dancer、Buckpasserを持つ点で共通しています。

他のローレルゲレイロ産駒と異なり、アルレガーロの2017が持つ特徴的な相似クロスという点では、カコイーシーズ≒Seeking the Goldがそれに該当するかもしれません。





それぞれの父であるAlydar≒Mr.Prospectorが、どちらもRaise a Native×Nasrullah系牝馬の組み合わせであるほか、2頭とも母父がTom Fool系である点で同じです。

カコイーシーズに関しては、その母父Jesterが、Storm Catの3代母Bolero Roseと相似な血の関係にある点も興味深いと言えます。





どちらもMenowとEight Thirtyを持ち、さらにはBull Dog=Sir Gallahadを持つ点でも共通しています。

このようにカコイーシーズがStorm Catと血統的に相性が良く、さらにはモガミポイント≒Storm Catという相似クロスが派生することを考慮すると、カコイーシーズ×モガミポイントの配合で生まれたモガミヒメという血脈はStorm Catの血を持つ馬と相性が良いのかもしれません。

以上のことからも、アルレガーロの2017が多くの相似クロスを持った血統であることがわかります。

このような血統パターンにすることで、少しでも高い競走能力の遺伝に好影響を及ばしてほしいと願っています。

父ローレルゲレイロの牝系も、そして母アルレガーロの牝系も、それぞれ当場で何世代にもわたって力を入れてきた系統です。

アルレガーロの2017自身は高額な募集価格ではありませんが、思い入れのある血統なので、当場としても大きな期待を持ってしっかりと育成していきたいと思います。


(寝ながらこちらをチラ見するアルレガーロの2017)



【血統・配合】クロワラモーの2016(牝 ターファイトクラブ提供馬)

2017年11月13日 | クラブ募集馬



今回は、当場生産馬でターファイトクラブ提供馬のクロワラモーの2016を紹介させて頂きます。

本馬は、10月中旬に育成場のフジワラファームへ移動しました。





10月末時点の報告では放牧しながら環境に慣れさせていくということでしたが、10月上旬に募集馬ツアーで静内の北海道市場へ行ったときもそれほど戸惑ってはいなかったので、早い段階で育成場に慣れてくれるかもしれません。

募集馬ツアーの際に、市場内に設置されている馬体重計に乗せたところ512kgありましたが、この時期の牝馬としては十分な馬格だと言えるでしょう。

父のダンカークも馬格のある種牡馬で、その本邦初年度産駒である現1歳馬たちがセールで高く評価されていたように、産駒はクロワラモーの2016に限らず全体に立派な馬が多い印象です。

クロワラモーの2016に関して言えば、首や胴あるいは脚の長さや比率から父似の印象を与えます。

幼少時は当歳とはいえ脚長の雰囲気で、もしかすると母父のスペシャルウィークの馬体が出たのかなとも思いましたが、周囲から聞いたところではダンカーク産駒はそういう感じが多いとのことでした。

1歳になってからの成長ぶりを見て最近思うのは、こういう風に馬格のある馬に成長するから当歳時から脚長だったのかなと感じています。

母のクロワラモーはスペシャルウィーク産駒であるものの、スペシャルウィークの馬体の伸びというよりはマイラー体型に近い印象。

クロワラモーの2016に関しては毛色こそ母や母父と同じですが、母とはまた違ったタイプの馬体なので、やはり父似なのでしょう。

初めて試した配合なので、この先どのような成長を見せるかはまだわかりませんが、現時点の馬格だけ見ても競走馬として楽しみな馬です。




ここからは、クロワラモーの2016の血統について触れていきます。

父のダンカークは、血統的にはサンデーサイレンスはもちろんNorthern Dancerも持たないという種牡馬です。

一方で、Mr.Prospector≒Alydarの相似クロスを持っているのが特徴的です。




この2つの血は、父がRaise a Nativeであり、母父がNasrullah系である点で共通しています。

ダンカークは米国で種牡馬入りして新種牡馬チャンピオンを獲得した後、現在は浦河のイーストスタッドで供用中です。

米国ではG1勝ち馬Havanaをはじめステークス勝ち馬を複数送り出していますが、日本でもフォンタネットポーとキープアットベイが中央で勝ち上がっています。

産駒の血統傾向としては、Mr.Prospectorクロスを持つことでダンカークのMr.Prospector≒Alydarを活かす配合か、もしくはダンカークの母父A.P.Indyが強く持つNasrullah/Princequilloのニックスを活かす配合が成功している印象です。

フォンタネットポーとキープアットベイに関しては、どちらも母父がMr.Greeleyですが、この血にはMr.ProspectorとSecretariatが含まれています。




Secretariatは、Nasrullah/Princequilloのニックスから成る血統なので、Mr.Greeleyの血が入るだけで血統的にダンカークと相性が良くなる可能性があります。


母のクロワラモーは中央で3勝して、そのうち特別を2勝してくれました。

芝1200~1700を得意としたように、馬体的にも成績的にも芝のマイラータイプだったと思います。

クロワラモーの血統では、Nijinsky≒Storm Birdを意識して配合しました。




どちらも父がNorthern Dancerであり、母父はBull Page系という点で共通しています。

この血統パターンは個人的に好きで、ターファイトクラブ提供馬の本馬やアルレガーロの2017、あるいはローレルクラブ提供馬のダンケシェーンやオーシャンフリートの2016にも用いている配合手法です。

スペシャルウィークに関しては種牡馬シンジケートに参加していましたが、馬体的にも血統的にも気に入っていて、特に彼が持つHyperion×Nearco(あるいはその父Pharos)の組み合わせから成る血は上手く活かしたいと思っていました。

具体的にはNearcticやセントクレスピン、あるいはGulf Streamといった血脈です。

Hyperion×Nearcoの組み合わせを持つ血と言えば、Northern Dancerの父であるNearcticやトニービンの母父Hornbeam、そして名牝Specialの名前が真っ先に浮かびます。

そういう観点からすると、スペシャルウィークはNorthern Dancer×Specialの組み合わせを持つNureyevやSadler's Wellsの血が入っている繁殖牝馬と血統的に相性が良いはずだと思っていました。

Nureyevの血を持つメジェールにスペシャルウィークを配合したのには、そういう経緯もあります。

実際、スペシャルウィークはNureyevを持つ牝馬との配合から菊花賞馬トーホウジャッカルを、またSadler's Wells牝馬との配合からは名牝シーザリオを送り出しています。






クロワラモー自身は、Northern Dancerを3本持っていますが、そこにあえてNorthern Dancerをまったく持たないダンカークを配合して生まれたのが、クロワラモーの2016でした。

Northern Dancerから一度離れて雑種強勢的な爆発力を期待するという観点で考えると、ダンカークはクロワラモーにとって都合のよい種牡馬だと言えるでしょう。

また、ダンカークがサンデーサイレンスの血も持っていない点も、サンデーの血を引くクロワラモーにとって良い配合相手でした。

Mr.Prospectorクロスを持つダンカーク産駒は活躍傾向にある点は既述しましたが、クロワラモーの2016はMr.Prospectorクロスを5×5で持っています。

ダンカークの母父A.P.Indyが強く持つNasrullah/Princequilloのニックスを活かす配合という点では、クロワラモーの2016はSecretariatを5×6で持っていて、Nasrullah/Princequilloのニックスから成る血を継続強化する配合になっています。

さらに、5代表には登場しませんが、Buckpasser6・7×6・6も重要なクロスだと考えます。

このクロスに関しては、クロワラモーの代で多少こだわったところがありまして、特にBuckpasserのクロスする位置がポイントだと考えています。





当場がこだわってきたキングヘイロー×モガミヒメ牝系の配合でもBuckpasserクロスが派生しますが、この場合でも良い位置でクロスするというのが個人的見解です。

クロワラモーの代で良い位置でクロスしていたBuckpasserクロスを継続強化できたのも、クロワラモーの2016の血統的長所だと考えています。


クロワラモーの2016には、このような血統背景があります。

クロワラモーがお世話になったターファイトクラブにその産駒を提供したいと思いながら、やっと納得できる馬が生まれて、提供できることになったのが本馬です。

当場としても、育成場での彼女の成長ぶりを楽しみに見守りながら、立派な競走馬になることを期待したいと思います。



ラインルーフ号が観月橋Sを快勝!

2017年11月12日 | 情報
本日、京都第10Rで当場生産馬のラインルーフ号が快勝しました。

道中好位に付ける競馬で、3コーナーあたりから徐々に進出してきて最後の直線で先頭に立つも1度は交わされますが、そこから差し替えして見事に勝ってくれました。

最低人気の勝利ということで単勝万馬券でしたし、WIN5に至っては1億円越えとのこと。

ただ、この馬は過去に同クラスの1600万円下のレースを勝ったことがありますし、そのときの2着馬ミツバ号は現在では重賞勝ち馬で先日のJBCクラシックで3着している実力馬です。

やっと、本来のラインルーフらしい競馬をしてくれたと今日のレースを見て思いました。

ちなみに、彼の母サルトリーガールは当場にいませんが、ラインルーフをモデルにして配合したダンシングハートの2017(牡)がいます。

彼にも、ラインルーフのようなダート中距離での活躍を期待したいところです。







【血統・配合】オーシャンフリートの2016(牝 ローレルクラブ提供馬)

2017年11月09日 | クラブ募集馬



今日は、ローレルクラブ提供馬の1歳馬であるオーシャンフリートの2016を紹介したいと思います。

10月中旬に当場から育成場の小国スティーブルに移動したオーシャンフリートの2016。



10月末の馬体重は480kgとの報告書が届いています。

引き渡した時も、トラックから降りた直後から周りを気にしながら厩舎まで歩いていましたが、10月末時点ではウォーキングマシンやロンジングをしてもらいながら環境に慣れさせているとのこと。

母似に感じさせる馬体ですが、母オーシャンフリートは全5勝が京都ダ1400というはっきりとした傾向を持っていました。

父ヘニーヒューズに関して言えば、このところ産駒がダ1400で好走している傾向にあるので、父母の成績を考えるとダ1400前後が主戦場かなというのが現時点での印象です。

まずは、小国スティーブルさんでじっくりと育成してもらって、出資会員さんに楽しんで頂けるような立派な競走馬に成長してほしいものです。



さて、ここからはオーシャンフリートの2016の血統について紹介したいと思います。

父ヘニーヒューズに関しては、ローレルクラブ募集馬の先輩でもあるダンケシェーンの記事で紹介しているので、ここではまず母オーシャンフリートの血統について触れておきましょう。

OPクラスまで上がってくれたオーシャンフリートですが、この馬にはもともと配合モデルの馬がいました。

それが、当場の近隣牧場さんの生産馬であり、G1ジャパンダートダービーを勝ったビッグウルフ号です。





ビッグウルフの母はトニービン×マルゼンスキー牝馬でしたが、これはオーシャンフリートの母であるウインクパール(トニービン×Caerleon牝馬)と類似していると思い、アフリートを配合した経緯があります。

アフリート×ウインクパールの配合では全体に米血脈が豊富な配合になりますが、トニービンの部分だけが欧州血脈となり、いわゆる“4分の1異系”配合になると考えました。

ビッグウルフの活躍に加えて、このような適度に健全と思わせる配合も相まって、この配合からオーシャンクルーズ(中央2勝)とオーシャンフリート(中央5勝)が生まれたわけです。

一方で、この配合には幾つかの相似クロスも織り交ぜています。

その一つが、Mr.Prospector≒Where You Leadです。





いずれもRaise a Nativeを父に持ち、母父はNearco系という共通点があります。

さらに、5代表には登場しませんが、Blenheim=His Graceの6×4という全きょうだいクロスも存在します。

ほかにも、Mr.Prospectorの3代母Miss Dogwoodが、Caerleon内のNothirdchanceと相似クロスを形成します。





Bull Dog(Sir Gallahad)×Blue Larkspurの組み合わせが特徴的です。

では、そろそろ娘のオーシャンフリートの2016について触れましょう。

ヘニーヒューズ産駒の彼女ですが、同じヘニーヒューズ産駒の当場生産馬ダンケシェーン(牡2歳)とは父の血の用い方が少し異なると考えています。

あえて、ダンケシェーンとの血統的な共通点を探すならば、Storm Bird≒Nijnskyの組み合わせをオーシャンフリートの2016も持っている点が挙げられるでしょう。

彼女の場合、Storm Bird≒Nijnskyに加えてそれぞれの息子であるStorm Cat≒Caerleonという見方が可能だと思います。





まず、Northern Dancer×Bull Page系のStorm Bird≒Nijinskyという関係があり、母方にPrincequilloを持つ点でも共通します。

このうち、Bull Pageという血脈はBull Lea(その父がBull Dog)×Blue Larkspur牝馬の配合なので、オーシャンフリートが持つMiss Dogwood≒Nothirdchanceと相似クロスを形成する関係になります。

これに関連することですが、ヘニーヒューズが持つSuspicious Nativeという血には以前から着目していました。

この血脈は、Mr.Prospectorの血と相性が良い可能性があると考えていますが、それがオーシャンフリートにヘニーヒューズを配合した一因でもあります。





どちらの血も父がRaise a Nativeであり、それぞれの母系にはNothirdchance≒Miss Dogwoodの関係があります。

これまでのヘニーヒューズ産駒の中央勝ち馬を調べると、半数以上の産駒の母方にMr.Prospectorの存在を見つけることができます。

ヘニーヒューズ産駒の稼ぎ頭モーニンなどは、母がMr.Prospector3×4を持っているほどです。





オーシャンフリートの2016の血統では、Tom Cat≒Foolsih Pleasureという相似クロスもあります。





どちらも、Tom FoolとMhamoudを持つ点で共通しています。

Tom CatとFoolish Pleasure、どちらも米国では短めの距離で活躍していたことを考えると、この相似クロスはスピード強化につながるのではと期待しています。


このようにオーシャンフリートの2016を見てみると、同父のダンケシェーンとは血統傾向が少し異なることが分かって頂けるかと思います。

育成場での生活が始まったばかりの彼女ですが、順調に成長してもらって、願わくば母の成績を超えるくらいの活躍を期待しています。