(有)村田牧場通信

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チャームアスリープ逝く

2018年02月27日 | 情報
突然の報告ではありますが、2月25日に当場繫養の繁殖牝馬チャームアスリープが事故により亡くなりました。

昨年は受胎しなかったので、今年の出産予定はありませんでした。

一方で発情も来ていて、これから種付という段階まで来ていたので、当場としても非常に残念な気持ちでおります。


チャームアスリープは、2003年3月19日に当場の大富分場で誕生。

母のターフアミティエは、細身の素軽い馬体の持ち主でした。

いかにも芝向きの彼女でしたが、生まれてくる初仔の馬体を考えた場合、この牝馬の配合相手には立派な馬体をしている種牡馬が望ましいと考えました。

そこで配合相手に選んだのが、骨量もあって馬体に厚みもあるティンバーカントリーです。

そして、この配合から初仔として生まれたのが、チャームアスリープでした。

チャームアスリープは、当歳時から一見すると牡馬かと思うほど立派な馬格をしていました。


【当歳時のチャームアスリープ】



1歳になってからは、同じ牝馬のグループのなかでは明らかに大柄な馬で、非常に馬っぷりの良い馬体だったのを憶えています。

この1歳の時期に、馬主様のエージェントの方が来られて、縁あって見ていただいた1歳馬が彼女でした。


【1歳時のチャームアスリープ】



いま思えば、当場と馬主様そして船橋・佐藤賢二調教師とのお付き合いは、この馬から始まったと言えます。

競馬場に行ってからのチャームアスリープは新馬戦勝ちを収めるも、その後はなかなか勝ち切れず、レースを使われながら成長。

浦和桜花賞を前に2勝目を挙げて臨んだ本番では、内田博幸騎手を背にスタートから道中気合を付けられ通しの展開で、第3コーナー手前から一気に先頭集団に取り付きます。

そのまま直線を迎えて、最後は抜け出して見事1番人気で快勝。

その勢いで迎えた東京プリンセス賞では、最後ギリギリ交わして再び1番人気に応えて2冠を達成しました。

最後の1冠は交流G2関東オークスでしたが、このレースでも中団やや後方でレースを展開。

これまで通り、第3コーナー手前から徐々に進出すると、先に動いた先頭集団を追う展開になります。

直線を迎えたときは、牝馬ながら交流G1全日本2歳優駿を勝った先頭のグレイスティアラとかなり開きがありましたが、そこから一気の末脚を見せて最後はクビ差交わして優勝。

この瞬間に、南関東初の牝馬3冠馬になったのです。


繁殖牝馬として生まれ故郷に帰ってきたチャームアスリープは、なかなかに気の強い性格で、さすがは牝馬3冠を達成した馬だなと思ったものです。

当場で好結果を出しているキングヘイローやダート種牡馬の雄ゴールドアリュールなどと配合されて、産駒たちは南関東で勝ち上がっていますが、当場の力及ばず残念ながら母を超える馬は生産できていません。

これからデビューを迎える馬に、父セレンの牡馬(2歳)とその全きょうだいの1歳牡馬がいます。


【在りし日のチャームアスリープと2016年産の牡馬(父セレン)】



父のセレンも当場生産馬で、馬主様も厩舎(船橋・佐藤賢二厩舎)もまったく同じです。

彼は南関東重賞を4勝して、交流G1東京大賞典でも中央馬につづき4着しました。

非常に素軽くバネのある馬で、南関東に行くと決まるまでは、正直なところ芝馬なのではと思っていた時期もありました。

それが、チャームアスリープの縁でこれほどまでの競走成績を収めてくれたのです。

馬主様のご厚意で種牡馬入りして、その際に配合して生まれたのが、チャームアスリープの2016と2017(いずれも栗毛の牡馬)たちです。

お兄さんのほうは、現在育成場でデビューに向けて育成中。

弟のほうは、私が管理する当場1歳分場で昼夜放牧中です。

当場では今年から冬期の昼夜放牧を導入したのですが、チャームアスリープの2017も順応して元気に育っています。

すでに150cmを超える体高で、このあたりは母譲りなのでしょう。

一方で、胴回りは比較的すっきりとしていて素軽さを感じさせるので、これは父の影響かなと思っています。


チャームアスリープのことを想いながら、ブログでファンの皆様に報告しなければと車での帰宅中にふと放牧地を見ると、珍しく1頭で佇むチャームアスリープの2017がいました。

少し気になって、放牧地脇まで歩いて様子を見に行って『チャーム!』と呼びかけたらこちらを向きました。


【チャームアスリープの2017(牡 父セレン】



忘れ形見となりましたが、そんな彼を見ながら私もいろいろなことを想い出す瞬間でした。




ターファイトクラブ提供のスルターナが引退

2018年02月16日 | クラブ募集馬
2月13日、小倉第11Rの門司S(4歳以上1600万下、ダ1700)にターファイトクラブ提供馬のスルターナが出走しました。

スタートで出遅れて後方からの競馬となりましたが、向正面で徐々に進出して最終コーナー前あたりから外に回しながら加速。

ただ、そこでバテた馬が外に膨らんだ関係で内側に進路変更を迫られ、その分直線で伸びるタイミングが遅れてしまいました。

直線に入ってからは良い脚を使ってくれましたが、結局8着でゴール。

そして、このレースをもってスルターナは引退、当場にて繁殖入りすることになりました。


当場としては、牝馬の場合には20戦前後を引退させる一つの目安にしています。

その意味ではスルターナは15戦ですので、こちらの目安より5戦ほど少ないことになります。

5戦と言えば、およそ1年間の競走生活に換算できるかもしれません。

実際、1600万下のレースで快勝するようなことがあれば、クラブの規定が6歳2月でファンド運用期限(牝馬の場合)を迎えるにしても、今年一杯くらいまで競走生活を送ることも視野にクラブ関係者の方々と話していました。

ただ、やはり1600万下のレベルは甘くないこと、また問題ないとはいえ脚にボルトが入っていることなどを総合的に判断して、無事で健康なうちに引退させることになりました。

骨折により1年以上休養していた時期があったことを考えると、出資会員さんのなかにはもう少し走ってほしかったと思う方もいるかもしれませんが、どうかご理解くださいますようお願いいたします。

まだ引退したばかりで配合相手は決まってませんが、当場としては血統面と馬体面、そして競走成績から考えても非常に期待している牝馬です。

配合相手が決まり次第、このブログで報告したいと考えています。

スルターナに出資して下さった会員の皆様、そして応援して下さった皆様。

これまでありがとうございました。








当歳馬たち

2018年02月10日 | 情報
2月9日の夜に、繁殖牝馬のメリオールがフェノーメノの牡馬を出産。

すぐ立ち上がって元気いっぱいの彼ですが、今回は先に生まれている当歳馬4頭を放牧地で撮影したので、そちらを紹介しようと思います。

メリオールの2018については、日を改めてアップする予定です。


今年初の当場生産馬は、アメージングムーンの2018(牡、父モーリス)でした。


【アメージングムーンの2018(牡、父モーリス)】





Roberto系の牡馬らしく節々がしっかりとしていて、品の良さを漂わせる馬体をしています。

相変わらずバネのある軽やかな歩様をしていて、運動神経が良さそうな馬だなという印象です。

母アメージングムーンにとっては2番仔になりますが、仔馬をよく可愛がって良い母親をしています。


【キタサンハルカゼの2018(牡、父ブラックタイド)】





キタサンハルカゼの2018(牡、父ブラックタイド)は、このブログ初登場です。

母キタサンハルカゼは、南関東の牝馬三冠を制したチャームアスリープの娘で、彼女にとってはこの仔馬が初仔になります。

とはいえ、仔馬にベッタリというわけではなく、放牧地では仔馬を自由に遊ばせるなど放任的なところもあり、この牝系らしい親仔関係かなと感じています。

当場では初めてブラックタイドの仔が生まれたわけですが、この当歳馬に関してはバランスの取れた好馬体という印象。

父と母の名前からは思わずキタサンブラックを連想してしまいますが、彼ほどではないにしても、馬主さんに愛され楽しんでもらえる馬に成長してほしいと思います。


【ゼフィランサスの2018(牡、父ドゥラメンテ)】





前回このブログでゼフィランサスの2018(牡、父ドゥラメンテ)を紹介した際には寝ていたときの写真だったので、今回は立ち姿を!と思って張り切ってカメラを構えたら、急に雪模様…。

でも、せっかく格好良く立っているからとシャッターを切りました。

父ドゥラメンテは芝のクラシックディスタンスをこなした馬らしい馬体の伸びと柔軟性、そしてダイナカールの牝系らしい立派な骨格をした種牡馬ですが、その意味ではゼフィランサスの2018は父似と言って良い馬です。

この当歳馬も生まれたときから立派なサイズで、骨格もしっかりしていて見栄えがします。

母のゼフィランサスは、初仔のダンケシェーンもそうですが、産駒を父似に出す傾向にある繁殖牝馬なので、この当歳馬もこのまま父似の雰囲気を帯びて成長しそうな気配です。


【ファーストチェアの2018(牝、父アジアエクスプレス)】





最後に紹介するのは、ゼフィランサスの2018と同日に誕生したファーストチェアの2018(牝、父アジアエクスプレス)です。

父アジアエクスプレスにとって、この当歳馬は初年度産駒の世代になります。

この当歳馬はやや脚長でスラッとした馬体をしていて、牝馬らしい品の良さを備えています。

母ファーストチェアの産駒は、肉付きの良い立派な馬体に成長していく傾向にあることから、この当歳馬もいずれ程よい肉付きを帯びてくるのかなと感じています。

父アジアエクスプレスは非常に馬っぷりの良い好馬体の持ち主で、昨年そして今年とすぐに種付権利が満口になるほどの人気種牡馬です。

この当歳馬を見る限り、アジアエクスプレスの仔は1歳馬のセリ市などで好評価を得られるのではないでしょうか。

生産者の皆さんがアジアエクスプレスを配合したがるのも分かる気がします。


今回は4頭紹介しましたが、機会を見て他の産駒も紹介していきたいと思っています。

しばらくお待ち下さい。




ローレルクラブの新年交流会に参加してきました

2018年02月05日 | クラブ募集馬
2月4日の夕方、東京でローレルクラブの新年交流会があり、当場から募集馬を提供していることなどから私が参加させていただきました。

当日は調教師の先生や騎手の方々、また牧場関係者も含めた競馬関係者の皆さんが参加していました。

参加して下さったクラブ会員さんたちも、普段お話しを直接聞ける機会のない関係者の方々と会話されるなど、楽しんでくださったのではないでしょうか。

当場生産のクラブ提供馬ダンケシェーンの主戦である横山典弘騎手も駆けつけて下さって、皆さんの前でダンケシェーンのことをいろいろと話していただいて、私自身も楽しい時間を過ごしました。

その他にもジャンケン大会やビンゴなども開催されて、例えばプレゼント対象だったダンケシェーンのゼッケンを横山典騎手が当選者の会員さんに手渡しするなど、関係者と会員さんの触れ合いもありながら大変盛り上がったと思います。






私も、ダンケシェーンに出資して下さっている会員さんと話したり、同じく当場からクラブに提供しているオーシャンフリートの2016やアメージングムーンの2017について聞かれるなど、北海道から駆けつけて良かったと感じています。

きょう北海道に帰ってきたら、地元の新冠周辺は大雪。

早速、トラクターなどで牧場周りや周辺の道路を雪かきをしていたら、すぐに夕方になってしまいました。

気温はこの時期にしてはそれほど低くなく、人間の忙しさとは関係ないとばかりに、馬たちのほうは放牧地でとにかく元気です。




ダンケシェーンの半弟(父ドゥラメンテ)が誕生!

2018年02月03日 | 情報
2月3日、繁殖牝馬ゼフィランサスがドゥラメンテの牡馬を出産しました。

父のドゥラメンテは昨年の新種牡馬で、本馬を含めて今年生まれる世代が初年度産駒になります。





ドゥラメンテ自身の一族は骨量豊かで骨格がしっかりしているのが特長的ですが、この当歳牡馬も父の特長を良く受け継いで生まれてくれました。

立派な馬体をしていて当場としても期待の大きい当歳馬ですが、ぐっすり休んでいるところを無理に立たせて写真を撮るのもかわいそうなので、とりあえず今日は寝ているところを撮影。

明日からローレルクラブの新年交流会出席のために東京出張予定なので、牧場に帰ってきてから時間を見つけて彼の立ち姿をアップしたいと思います。

なお、当場の生産予定馬については、こちらからブラックタイプ(牝系解説文)や7代血統表を見ることができます。