(有)村田牧場通信

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当場生産馬のメディーヴァル号が2歳未勝利戦を快勝!

2020年11月29日 | クラブ募集馬
11月29日の阪神第1R2歳未勝利戦(ダ1400)に、当場生産馬でターファイトクラブに提供しているメディーヴァル号が出走しました。





芝でデビューした後にダート替わりの2戦目、3戦目で連続2着していたメディーヴァルは、このレースを1番人気で迎えました。

レースでは抜群のスタートを決めたメディーヴァルは、先頭の馬たちを見る形で3番手あたりを追走しながら最後の直線を迎えます。

抜群の手応えで馬なりのまま先頭に立つと、直線では迫ってくる2着馬を最後の1ハロンでは引き離す強い内容で、結局2着馬に2馬身1/2差を付けて優勝しました。

出資会員の皆さま優勝おめでとうございます。

募集当時の本馬の紹介文は、以下のリンクからご参照ください。


【血統・配合】メジェルダの2018(ターファイトクラブ提供馬 牡 父アジアエクスプレス)


メジェール、メリュジーヌ、メジェルダそしてメディーヴァルと、4世代連続でターファイトクラブにお世話になっている牝系からまた勝ち馬が出てくれました。

私自身、メジェールの母カスパースカイゴールドを米国のセールで購買したときは現地にいたので、随分と長い間この牝系に携わってきたなと改めて感じているところです。

当場生産馬としては、メディーヴァルのみならずメルテッドハニーやソリストサンダーも最近は2着だったので、ここしばらくレースで勝つことができていませんでした。

この嫌な流れを2着続きのメディーヴァルが断ち切ってくれたので、この勝利は本当に嬉しい限りです。


また、本日の東京第5R(3歳以上1勝クラス、ダ1600)では、同牝系で同クラブ提供馬のハディアが出走して11番人気ながら2着に好走してくれました。

ハディアは砂を被るとレースを止めてしまうような面がありますが、今日は江田照騎手がレースで好スタートを決めてくれて、それを活かして砂を被りづらいコースを選んでいました。

最後の直線でも見せ馬十分のレースをしてくれて、勝つことはできなかったものの、出資会員の皆さまが納得するレースはしてくれたと思います。

さらに、東京第10Rシャングリラ賞(3歳以上2勝クラス、ダ1600)には当場生産馬のフルデプスリーダーが出走して、こちらも惜しい2着でした。

また2着が続くのか(苦笑)という悪い予感もしますが、フルデプスリーダーのレース振りからは2勝クラスの卒業が近いようにも感じました。


まずは出走馬それぞれが無事に走り切ってくれたので、次走もそれぞれのクラスで頑張ってほしいと思います。

なお、メディーヴァルの次走は、馬の体調に問題がなければ中京の寒椿賞あたりが目標の一つになりそうです。



【血統・配合】クロワラモーの2020(ターファイトクラブ募集馬 牝 父ダンカーク)

2020年11月11日 | クラブ募集馬
今回は、ハーランズルビーの2020とともにターファイトクラブの当歳募集馬として当場から提供したDraft-6クロワラモーの2020(牝、父ダンカーク)を紹介させていただきます。









本馬は3月生まれで遅い生まれではないのですが、たまたま今年は生産馬20頭中1月生まれが9頭いるなどの状況のなかで、繁殖本場から分場への移動が一番遅いグループになりました。

離乳自体は1ヶ月以上前に終えていますが、高江第1分場との兼ね合いで、今年から加わった高江第2分場への移動は10月下旬でした。

11月7日時点での本馬の測尺は、以下のとおりです。

【体高】143cm 【胸囲】151cm 【管囲】17.8cm 【馬体重】292kg

先に紹介したゼフィランサスの2020やハーランズルビーの2020と比べると小さく感じる数字かもしれませんが、この2頭が牝馬のなかでも大きめの馬体であるだけで、本馬の測尺は当場の3月生まれとしては平均的な数字です。

全姉の現2勝馬オーパキャマラードは雄大な馬格をしていて、彼女の当歳時に比べると本馬は一回りコンパクトに映るものの、母クロワラモーと同じかそれ以上の馬格で競馬できそうな馬体です。

この牝系特有の手先の軽さがあり、離乳前までは脚も長めに見せたので馬体の印象から芝馬っぽさを感じさせましたが、ここ最近は幅も出始めて力強さも感じさせるようになってきました。

この牝系らしく気の強さも持っている馬なので、母や姉同様、マイル以下に適性を示すのではないかと考えています。


さて、ここからは本馬の血統について説明したいと思います。

以前にオーパキャマラードの紹介記事を書いているので、本馬の血統に関しても、まずそちらをご参照くださればと思います。

【血統・配合】クロワラモーの2016(牝 ターファイトクラブ提供馬) 馬名:オーパキャマラード

クロワラモーの2016(オーパキャマラード)の紹介記事では、ダンカークが持つMr.Prospector≒Alydarの相似クロスを活かすと活躍傾向にあると指摘していましたが、競走年齢に達している日本での産駒が3世代いるなかでの活躍傾向も同様のことが言えます。

実際、私が調べたところでは、JRAで勝ち上がっているダンカーク産駒の半数はMr.prospectorクロスを持っていました。

この血をクロスすることで、父ダンカークが持つMr.Prospector≒Alydarの相似クロスを活かすことできます。

また、これはダンシングハートの2019(父ダンカーク)の記事で指摘したことですが、ダンカーク産駒の母方にサンデーの血が入っているパターンも多いです。

JRAで勝ち上がっているダンカーク産駒の約7割の馬には、母方にサンデーの血が入っています。

サンデーの父はHaloですが、そのHaloの母Nothirdchanceの血は、Mr.Prospectorの3代母であるMiss DogwoodやAlydarの3代母Real Delightと血統的親和性が高い関係にあります。







Mr.Prospector≒Alydarの関係にNothirdchanceの血を加えることで、父ダンカークが持つ力強い米血脈を強化する配合になります。

また、ダンカークは日本適性の高いNasrullahの血を豊富に持ちますが、サンデーもNasrullahと近親関係にあるMahmoudを4×5で持つので、Nothirdchance≒Miss Dogwood≒Real Delightの関係も含めてダンカークとサンデーは相性が良いことが推察されます。

このように、ダンカークは母方にMr.Prospectorやサンデーの血が入っている繁殖牝馬と相性が良いという考えから、当場においてはオーパキャマラードやダンシングハートの2019、そして本馬が生まれたわけです。

特にオーパキャマラードと本馬の全きょうだいは、ダンカーク産駒のなかで最多獲得賞金のOP馬メイショウテンスイと血統的な類似点が多い関係にあります。





父がダンカークで、母方にサンデーとStorm Catの血が入っている点で共通しています。

Storm Catの血もダンカークが持つMr.ProspectorやA.P.Indyの血とは相性が良いので、現在のところ血統傾向としてはまだはっきりしないものの、今後はダンカーク×Storm Cat持ち牝馬の組み合わせも複数出てくるでしょう。

メイショウテンスイ≒クロワラモーの2020については、上記の共通点のほかにも、マイニング≒Seeking the GoldやMountain Cat≒タバスコキャットの関係もあります。







活躍馬と血統パターンが類似しているのは良い傾向なので、本馬も上位クラスで活躍できるような競走馬になってほしいと願っています。

なお、本馬を含めて当場から提供しているクラブ馬3頭の情報は、コロナ禍ということもありますので、可能な限り定期的に情報を発信していきたいと思っています。

そして、ターファイト・ローレル各クラブからの募集ではありませんが、2020年産の当場生産馬からもう1頭、某クラブから募集されることになりそうです。

正式に発表され次第、当ブログでも関連記事をアップする予定ですのでご期待ください。



【血統・配合】ハーランズルビーの2020(ターファイトクラブ募集馬 牝 父ドゥラメンテ)

2020年11月02日 | クラブ募集馬
今年のターファイトクラブ当歳馬募集には、当場から2頭の牝馬を提供させていただきました。

今回はDraft-2ハーランズルビーの2020(牝、父ドゥラメンテ)をご紹介します。











本馬はゼフィランサスの2020たちと同じ離乳の第一陣として、9月上旬に繁殖本場から1歳分場へ移動しました。

10月30日時点での本馬の測尺は、以下のとおりです。

【体高】145cm 【胸囲】155cm 【管囲】18.4cm 【馬体重】320kg

体高は当場当歳馬の平均以上、他の数字も平均並みなので、現時点での馬格としてはやや大きめということになります。

普段は素直なのですが潜在的な気の強さを持っていて、このあたりは当場提供の同クラブ募集馬であるドゥラモンディー(現2歳、牡、父ドゥラメンテ)にも見られた気性なので、この特徴は父ドゥラメンテ譲りなのかもしれません。

飼い食いは旺盛でもなければ細くもない普通レベルで、今のところムダ肉が付かない体質であることから、この先も素軽い雰囲気の馬体で成長していきそうな気配です。

ただ、素軽いとはいえキングカメハメハ系の産駒らしく付くべきところにはしっかりと筋肉が付いていて、関節も柔らかいことから、将来はバネのある芝向きの馬に成長するのではないかと予想しています。

半兄モズベッロが切れ味のある芝馬としてG2勝ちを収めているだけに、同厩舎所属予定なので、この牝馬にもそのような競走馬に育ってほしいと願っています。


さて、ここからは本馬の血統についてご紹介します。

父のドゥラメンテは、将来のリーディングサイアー候補と目されている良血の種牡馬です。

本馬を含めた当場生産馬やセールでのドゥラメンテ産駒を見ていると、キングカメハメハ系らしい発達した後躯を持っている馬が多く、一方で緩さも感じさせるので産駒が本格化するのは3歳以降ではないかと感じていました。

ただ、今年になって初年度産駒がデビューすると、産駒頭数や配合された繁殖牝馬の質が高いこともありますが、いま現在モーリスとファーストシーズンリーディングを争っている状況です。

さすがに産駒はポテンシャルが高い印象です。

ドゥラメンテの血統を見ていると、この血を活かす配合は以下のパターンが考えられます。

①日本適性の高いサンデーサイレンス、もしくはその父Haloの血をクロスするなどして活かす配合

②日本適性の高いKingmamboの血を活かすべくMr.ProspectorやNureyevのクロスを施したり、Sadler's Wellsと組み合わせてNureyev≒Sadler's Wellsの相似クロスをつくる配合

③ドゥラメンテが持つラストタイクーンはNorthern DancerとNasrullah/Princequilloのニックを持つ血脈なので、これと同じ血統背景を持つStorm Catやダンシングブレーヴなどと組み合わせる配合

④ドゥラメンテが強く持つNasrullah≒Mahmoudの血脈を活かす、もしくは彼の2代母エアグルーヴ(年度代表馬)が強く持つHyperionの血脈を活かす配合(①、②、③にもつながる)

⑤その他。あえてアウトブリードにする配合など。

当場ではこれまでドゥラモンディー(牡、母ゼフィランサス)、アメージングムーンの2020(牡、母父アドマイヤムーン)、そして本馬と3頭のドゥラメンテ産駒が誕生していて、来年もドゥラモンディーの全きょうだいが誕生予定です。

ドゥラモンディーは①のHaloクロスを持つ、②に関してはMr.Prospector≒Alydarの相似クロスを用いて間接的に活かす、③は母ゼフィランサスが持つダンシングブレーヴとモガミポイントがその特徴に該当、④についてはNasrullah≒Mahmoudの血脈は活かしているものの、Hyperionのほうは父ドゥラメンテほどには強くない、⑤には該当しない配合になります。

アメージングムーンの2020は①のサンデーサイレンス3×4のクロスを持つ、②はMr.Prospector4×5のクロスを持つ、③はCaerleonやモガミポイントがその特徴に該当、④についてはNasrullah≒Mahmoudの血脈は活かしているし、Hyperionの血もある程度活かしている、⑤には該当しない配合です。

本馬の場合も①はHaloクロスを持つことで該当しますが、正確には母ハーランズルビーがすでにHalo4×3のクロスを持っているので、これを継続する形になります。





次に②に関しては、本馬はMr.prospector4×5のクロスを持っているので該当しますが、これに関しても本馬の3代母Western LadyがMr.Prospector≒Marshua's Dancerによる3/4同血クロス(父と母父が同じ)を持っていて、これをMr.prospectorクロスをつくることで強化する配合にしています。





③のラストタイクーンのようにNorthern DancerとNasrullah/Princequilloのニックを持つ血脈については、母ハーランズルビーが持つStorm Catがこれに該当します。





キンカメ系×Storm Cat系という配合からはロードカナロアが出ているように、血統的な相性だけでなく実績もある組み合わせです。

④については、母ハーランズルビーはHyperionの血脈を多く持っているわけではありませんが、Nasrullah≒Mahmoudの血脈は豊富に持ちます。

⑤には該当しない配合です。

勝ち上がっているドゥラメンテ産駒を調べる限り、今のところ②と③に該当する産駒が多い印象です。

本馬の場合は①~④の特徴が比較的強い血統パターンなのですが、これは本馬の半兄モズベッロの血統的特徴にも通じるものがあります。

具体的には、モズベッロはHalo4×4*5を持ち、Mr.Prospector≒Marshua's Dancerの相似クロスも6×5*6で持ち、Northern DancerとNasrullah/Princequilloのニックを持つ血脈を組み合わせたAlzao≒Loup Sauvage≒Storm Catを持ち、NasrullahやMahmoudの血も強く持ちます。

ディープブリランテとドゥラメンテは一見すると違うタイプの種牡馬ですが、半兄モズベッロと本馬の血統パターンは共通点が多いと言えます。


本馬はやや脚長で素軽くバネのある動きをするので、今のところは芝中距離前後が合いそうな馬体をしています。

放牧地では走るのが好きそうな動きをしているので、放牧を通じて基礎体力を強化しながら、この馬に合った成長を促すように飼育管理していきます。

なお、このあとはDraft-6であるクロワラモーの2020を紹介する予定ですが、馬自身は順調ではあるものの繁殖本場から分場へ移動してまだ日が浅いので、状況が落ち着いてから画像も含めてアップ予定です。

あらかじめご了承ください。