前回はローレルクラブ募集馬であるアメージングムーンの2021について書かせていただきましたが、今回はもう1頭のローレルクラブ募集馬オーシャンフリートの2021を紹介させていただきます。
本馬は、当場における離乳組の第1陣として、8月10日に当場の繁殖分場からアメージングムーンの2021たちと一緒に高江第1(1歳)分場に移動しました。
移動してしばらくは手入れを嫌がったり、放牧時には人間の歩くスピードより速く行きたがる面があったりと、離乳馬に多い仕草を見せていました。
それでも1ヶ月以上経過した現在では、検温や手入れなど普通にさせるようになり、放牧時の歩様も我慢が利くようになって様々な面で成長を感じさせます。
本馬は、全兄テーオールノワールが2019年のセレクションセール上場時に最高価格で落札されたのを機に、その翌年に配合して誕生した馬です。
パイロ産駒は気性面が激しいなどと聞きますが、テーオールノワールに関しては勝ち気な面があったものの、セレクションセールに向けてのセリ馴致は非常に順調で扱いやすかったです。
ただ、3歳になってから去勢手術を受けることになったので、トレセンに入厩してからは激しい気性が出てきたのでしょう。
結果、去勢してからのほうがレース振りは安定して3歳未勝利を2着するなど好走していますが、勝ち上がるまでには至ってません。
本馬は牝馬というのもありますが、全兄とはまた違った印象で、パイロ産駒らしい気性の激しさは感じられません。
放牧地でもマイペースで少しおっとりしてるところがあり、馬房内でもあまり余計なことはしないことから、気の強さはあるものの当歳馬ながらどこか大人びた面も見受けられます。
本馬の半姉ベルキューズ(牝、父ヘニーヒューズ)は同クラブ募集馬の先輩で、JRAで3勝してくれました。
ベルキューズはヘニーヒューズ産駒にしてはそれほど重心が低いタイプではなく、どちらかと言えば母オーシャンフリートのスラッとした馬体の影響を受けたつくりでした。
本馬も1歳分場に移動して間もない頃は母似の素軽さを感じさせましたが、環境に慣れて馬体がふっくらしてきた現在は、父や全兄に似て程よい肉付きをした力強い馬体に成長してきた印象です。
オーシャンフリートにパイロを配合した当初から「ダートのマイル以下で活躍するような馬を」と思っていましたが、馬体的にもそのあたりに適性があるような馬になると考えています。
本馬の血統に関しては、テーオールノワールの全妹ということで、彼のセレクションセール上場時の紹介記事で、この血統についてはある程度紹介させていただきました。
ただ、今回はセール上場ではなくクラブ提供・募集ということで、改めて本馬の血統・配合についてご紹介したいと思います。
父のパイロは、今年も含めて6年連続でJRA種牡馬ランキングで20位台に位置している堅実な種牡馬です。
産駒の勝ち鞍は約9割がダートで挙げられたもので、平均勝ち距離からすると1400~1600あたりを得意とする産駒が多いと言えます。
賞金獲得順で見ると、牡駒のほうが活躍傾向にあるように見受けられますが、中央平地重賞2勝のうち1勝は牝駒のビービーバーレル(G3フェアリーS)が挙げたものです。
また、交流G2関東オークス勝ちのラインカリーナや南関東牝馬2冠のアクアリーブルなど、パイロは牝駒からも活躍馬を出しています。
9月30日現在、パイロ産駒のなかで収得賞金ベスト50(netkeiba調べ)の産駒に焦点を当てて調べてみると、次のような血統傾向が見受けられました。
①産駒から見て、5代内に母方のほうにHail to Reasonの血が存在する… 28頭 / 50頭中
※このうちサンデーサイレンスの血を通じてのものは22頭 / 28頭中
②産駒が5代内にMr.Prospectorクロスを持つ… 19頭 / 50頭中
③産駒から見て、5代内に母方のほうにNasrullah / Princequilloのニックから成る(もしくはそれに類似した)血脈が存在する… 21頭 / 50頭中
④母方にNijinskyの血が存在する… 12頭 / 50頭中
⑤母方にDanzigの血が存在する… 7頭 / 50頭中
以上のような血統的特徴が、パイロの活躍産駒に見受けられました。
本馬は6代まで遡るとCaerleonを通じてHail to Reasonを持っていますが、正確に言えば①には該当しません。
ただ、本馬はMr.Prospector4×3を持っているので②には該当します。
Hail to Reasonの血はMr.Prospectorと相性が良く、血統的にはHail to Reason≒Gold Digger(Mr.Prospectorの母)による相似クロスが形成される関係になります。
Royal Charger≒Nasrullahの3/4同血クロスができるほか、Nothirdchance≒Miss Dogwoodによる相似クロスもできる関係で、Hail to Reason≒Gold Diggerの血統的親和性はかなり高いと言えます。
実際、本馬の母オーシャンフリートの配合時にも試した相似クロスであり、結果として彼女はJRAのダートで5勝してくれました。
パイロ産駒の活躍傾向に話しを戻すと、本馬の血統は③の項目にも該当します。
パイロの血統は、その父PulpitがSeattle Slew、Secretariat、SIr GaylordそしてStateと、Nasrullah / Princequilloのニックから成る(もしくはそれに類似した)血脈を4本持つ血統です。
パイロと配合する際には、繁殖牝馬側が同様の血脈を持っていると相似クロスを形成することができるので、それが産駒の活躍につながるのでしょう。
本馬の場合、母オーシャンフリートがVenice、kalamounそしてForeseerと同様の血脈を3本保有しているので、③の項目に該当する血統の持ち主です。
④に関しては、パイロが父Pulpitを通じてNijinskyの血を持つことから、母方にもその血があるとクロスを形成できる関係になります。
本馬は母方にNijinskyの血があるので④にも該当します。
⑤については、本馬の母方にDanzigの血がないので該当しません。
本馬の配合を考える際には、Mr.Prospectorをクロスさせたり、Hail to Reasonの血と絡めることで相似クロスを形成したり、あるいはパイロの母父Wild Againとオーシャンフリートが持つトニービンの血を合わせることで、Hyperionの血脈の強化を図るなどしました。
【Wild AgainとSevern Bridge(トニービンの母)】
Mr.ProspetorやHail to Reasonといった血は米血脈らしい力強いスピードを伝えますが、そこにHyperionのような欧州血脈らしいスピードを持続する要素を加えることで、競走能力の強化を狙った配合です。
もう一つ、本馬の配合でこだわったのがPreach(Pulpitの母)≒キソティック(オーシャンフリートの2代母)による相似クロスでした。
互いにWhat a Pleasureの血を持ち、State≒Caerleonの相似クロスもできる関係です。
また、Preachの父Mr.ProspectorはRaise a Native×Nearco系牝馬の配合ですが、キソティックの2代母Where You Leadもまったく同じ血統背景を持っています。
本馬もアメージングムーンの2021と同じく母が元ローレルクラブ募集馬であり、さらに本馬の場合は半姉ベルキューズも同クラブでお世話になったので、馬体の成長具合が良ければ本馬をローレルクラブに提供したいと考えていました。
ここまで順調に成長してくれていますし、父にパイロを迎えたことで、母オーシャンフリートよりも馬体的にダートのスペシャリスト感が強まった印象です。
彼女の成長具合についてはこのブログで定期的に報告する予定ですので、ローレル会員の皆さまには出資検討も含めて今後も是非ご注目ください。
本馬は、当場における離乳組の第1陣として、8月10日に当場の繁殖分場からアメージングムーンの2021たちと一緒に高江第1(1歳)分場に移動しました。
移動してしばらくは手入れを嫌がったり、放牧時には人間の歩くスピードより速く行きたがる面があったりと、離乳馬に多い仕草を見せていました。
それでも1ヶ月以上経過した現在では、検温や手入れなど普通にさせるようになり、放牧時の歩様も我慢が利くようになって様々な面で成長を感じさせます。
本馬は、全兄テーオールノワールが2019年のセレクションセール上場時に最高価格で落札されたのを機に、その翌年に配合して誕生した馬です。
パイロ産駒は気性面が激しいなどと聞きますが、テーオールノワールに関しては勝ち気な面があったものの、セレクションセールに向けてのセリ馴致は非常に順調で扱いやすかったです。
ただ、3歳になってから去勢手術を受けることになったので、トレセンに入厩してからは激しい気性が出てきたのでしょう。
結果、去勢してからのほうがレース振りは安定して3歳未勝利を2着するなど好走していますが、勝ち上がるまでには至ってません。
本馬は牝馬というのもありますが、全兄とはまた違った印象で、パイロ産駒らしい気性の激しさは感じられません。
放牧地でもマイペースで少しおっとりしてるところがあり、馬房内でもあまり余計なことはしないことから、気の強さはあるものの当歳馬ながらどこか大人びた面も見受けられます。
本馬の半姉ベルキューズ(牝、父ヘニーヒューズ)は同クラブ募集馬の先輩で、JRAで3勝してくれました。
ベルキューズはヘニーヒューズ産駒にしてはそれほど重心が低いタイプではなく、どちらかと言えば母オーシャンフリートのスラッとした馬体の影響を受けたつくりでした。
本馬も1歳分場に移動して間もない頃は母似の素軽さを感じさせましたが、環境に慣れて馬体がふっくらしてきた現在は、父や全兄に似て程よい肉付きをした力強い馬体に成長してきた印象です。
オーシャンフリートにパイロを配合した当初から「ダートのマイル以下で活躍するような馬を」と思っていましたが、馬体的にもそのあたりに適性があるような馬になると考えています。
本馬の血統に関しては、テーオールノワールの全妹ということで、彼のセレクションセール上場時の紹介記事で、この血統についてはある程度紹介させていただきました。
ただ、今回はセール上場ではなくクラブ提供・募集ということで、改めて本馬の血統・配合についてご紹介したいと思います。
父のパイロは、今年も含めて6年連続でJRA種牡馬ランキングで20位台に位置している堅実な種牡馬です。
産駒の勝ち鞍は約9割がダートで挙げられたもので、平均勝ち距離からすると1400~1600あたりを得意とする産駒が多いと言えます。
賞金獲得順で見ると、牡駒のほうが活躍傾向にあるように見受けられますが、中央平地重賞2勝のうち1勝は牝駒のビービーバーレル(G3フェアリーS)が挙げたものです。
また、交流G2関東オークス勝ちのラインカリーナや南関東牝馬2冠のアクアリーブルなど、パイロは牝駒からも活躍馬を出しています。
9月30日現在、パイロ産駒のなかで収得賞金ベスト50(netkeiba調べ)の産駒に焦点を当てて調べてみると、次のような血統傾向が見受けられました。
①産駒から見て、5代内に母方のほうにHail to Reasonの血が存在する… 28頭 / 50頭中
※このうちサンデーサイレンスの血を通じてのものは22頭 / 28頭中
②産駒が5代内にMr.Prospectorクロスを持つ… 19頭 / 50頭中
③産駒から見て、5代内に母方のほうにNasrullah / Princequilloのニックから成る(もしくはそれに類似した)血脈が存在する… 21頭 / 50頭中
④母方にNijinskyの血が存在する… 12頭 / 50頭中
⑤母方にDanzigの血が存在する… 7頭 / 50頭中
以上のような血統的特徴が、パイロの活躍産駒に見受けられました。
本馬は6代まで遡るとCaerleonを通じてHail to Reasonを持っていますが、正確に言えば①には該当しません。
ただ、本馬はMr.Prospector4×3を持っているので②には該当します。
Hail to Reasonの血はMr.Prospectorと相性が良く、血統的にはHail to Reason≒Gold Digger(Mr.Prospectorの母)による相似クロスが形成される関係になります。
Royal Charger≒Nasrullahの3/4同血クロスができるほか、Nothirdchance≒Miss Dogwoodによる相似クロスもできる関係で、Hail to Reason≒Gold Diggerの血統的親和性はかなり高いと言えます。
実際、本馬の母オーシャンフリートの配合時にも試した相似クロスであり、結果として彼女はJRAのダートで5勝してくれました。
パイロ産駒の活躍傾向に話しを戻すと、本馬の血統は③の項目にも該当します。
パイロの血統は、その父PulpitがSeattle Slew、Secretariat、SIr GaylordそしてStateと、Nasrullah / Princequilloのニックから成る(もしくはそれに類似した)血脈を4本持つ血統です。
パイロと配合する際には、繁殖牝馬側が同様の血脈を持っていると相似クロスを形成することができるので、それが産駒の活躍につながるのでしょう。
本馬の場合、母オーシャンフリートがVenice、kalamounそしてForeseerと同様の血脈を3本保有しているので、③の項目に該当する血統の持ち主です。
④に関しては、パイロが父Pulpitを通じてNijinskyの血を持つことから、母方にもその血があるとクロスを形成できる関係になります。
本馬は母方にNijinskyの血があるので④にも該当します。
⑤については、本馬の母方にDanzigの血がないので該当しません。
本馬の配合を考える際には、Mr.Prospectorをクロスさせたり、Hail to Reasonの血と絡めることで相似クロスを形成したり、あるいはパイロの母父Wild Againとオーシャンフリートが持つトニービンの血を合わせることで、Hyperionの血脈の強化を図るなどしました。
【Wild AgainとSevern Bridge(トニービンの母)】
Mr.ProspetorやHail to Reasonといった血は米血脈らしい力強いスピードを伝えますが、そこにHyperionのような欧州血脈らしいスピードを持続する要素を加えることで、競走能力の強化を狙った配合です。
もう一つ、本馬の配合でこだわったのがPreach(Pulpitの母)≒キソティック(オーシャンフリートの2代母)による相似クロスでした。
互いにWhat a Pleasureの血を持ち、State≒Caerleonの相似クロスもできる関係です。
また、Preachの父Mr.ProspectorはRaise a Native×Nearco系牝馬の配合ですが、キソティックの2代母Where You Leadもまったく同じ血統背景を持っています。
本馬もアメージングムーンの2021と同じく母が元ローレルクラブ募集馬であり、さらに本馬の場合は半姉ベルキューズも同クラブでお世話になったので、馬体の成長具合が良ければ本馬をローレルクラブに提供したいと考えていました。
ここまで順調に成長してくれていますし、父にパイロを迎えたことで、母オーシャンフリートよりも馬体的にダートのスペシャリスト感が強まった印象です。
彼女の成長具合についてはこのブログで定期的に報告する予定ですので、ローレル会員の皆さまには出資検討も含めて今後も是非ご注目ください。