(有)村田牧場通信

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【セレクトセール №434】ジョワユーズの2020(牡 父ヘニーヒューズ)

2020年06月28日 | セール上場馬
今日は、阪神第11RのG1宝塚記念(芝2200)に当場生産馬のモズベッロが出走しました。

フルゲート18頭のなかでG1馬が8頭も出走ということで、春のグランプリらしいレースだったと思います。

G2勝ちしかないモズベッロは12番人気での出走でしたが、道中は中団で待機しながら、最終コーナーを迎えるあたりから徐々に上がっていこうとします。

このあたりで少し置かれていく展開になりましたが、最後の直線では以前ほどモタれることもなくしっかり伸びてきてくれて、このメンバーのなかで3着と好走してくれました。

調教師の先生からは雨が降らず馬場が良ければもっと伸びていただろうし、秋も楽しみだと連絡をいただいております。

今後のモズベッロの成長と活躍に是非ご注目ください。





さて、コロナの関係で馬の競り市も様々な形で影響を受けていますが、それでもセレクトセール開催までいよいよ1カ月を切ってきました。

当場からはセレクトセール当歳にジョワユーズの2020(牡、父ヘニーヒューズ)を上場する予定ですので、今回はこの当歳牡馬を紹介させていただきます。

今年誕生した産駒が例年よりも多かったことと、ヘニーヒューズ産駒の当歳馬3頭がすべて牡馬だったこともあり、そのなかの1頭をセレクトセール当歳に申し込んで合格したのが本馬です。













本馬の牝系解説文はこちらから、ウォーキング動画はこちらからご覧いただけます。

母ジョワユーズは、自身のきょうだいがローレルゲレイロ(G1高松宮記念、G1スプリンターズS)をはじめ芝馬ばかりのなかにあって、唯一ダート(中山ダ1800、新馬戦)で勝ち鞍のある馬です。

そのダート適性の高さは、彼女の父エンパイアメーカーから受け継いだものでしょう。

母ビッグテンビーが小柄でまとまった馬体をしているのに対して、ジョワユーズは馬体的に窮屈なところもなく、母よりも馬格があります。

このように、どちらかと言えば父エンパイアメーカーの馬体を受け継いだジョワユーズですが、血統的にも父の長所を受け継いだ馬だと言えます。

エンパイアメーカーで日本に輸入された種牡馬ですが、代表産駒は米国に集中しています。

エンパイアメーカーの血統的特徴は、Mr.Busher≒Better Self≒Busandaという似通った血脈同士を組み合わせる相似クロスを持つ点にあり、この相似クロスをBusandaの息子であるBuckpasserを5×4で持つことで強化しています。

このような血統パターンの馬は、総じてダート適性が高い傾向にあります。

実際、このBuckpasserを継続クロスするなどして強く影響を受けたエンパイアメーカー産駒は、米国のダート路線を中心にG1を勝つなどしています。

例えば米3歳・古牝馬チャンピオンに選ばれたRoyal Deltaや、米G1を4勝したEmollient、あるいは米G1勝ちをして後継種牡馬として米G1ケンタッキーダービー勝ち馬のAlways Dreamingを出したBodemeisterもこの血統パターンに該当します。

そして、ジョワユーズも新馬戦勝ちの1勝のみの成績ではありますが、エンパイアメーカー産駒の成功パターンともいえるBuckpasserのクロスを持つ馬です。

そこにヘニーヒューズを配合して生まれたのが本馬ですが、この当歳牡馬は母ジョワユーズの血統的長所であるBuckpasserクロスを持っていません。

その代わり、父ヘニーヒューズはMr.Busher≒Better Self≒Busandaと血統的親和性の高いBusherの血を持っていて、この配合から生まれた本馬はBusher=Mr.Busher≒Better Self≒Busandaという4つの血脈による相似クロスをを持っています。





このうちBusherとMr.Busherは全きょうだいであり、上記血統表の比較でもわかるように、それぞれの血脈は米国の名血であるWar AdmiralとLa Troinneを持つ点で共通しています。

本馬は、当場で力を入れているモガミヒメの牝系の出身であり、この牝系とヘニーヒューズは血統的に大変相性が良いと考えています。

本馬のようにヘニーヒューズ×モガミヒメ牝系の配合においては、既述のBusher=Mr.Busher≒Better Self≒Busandaができるほか、Storm Cat≒モガミポイントによる相似クロスも形成します。





この組み合わせではStorm Bird≒Nijinskyという血統的親和性の高い組み合わせが含まれているほか、Secretariat≒ボールドラッドによる3/4同血クロスも生じます。

さらにヘニーヒューズ×モガミヒメ牝系の配合からは、Bolero Rose(Storm Catの3代母)≒Careless Notion(カコイーシーズの母)や、Harvest Singing(ヘニーヒューズの3代母の父)≒On-and-On(Alydarの母の父)のような相似クロスも派生します。







このように、ヘニーヒューズ×モガミヒメ牝系による配合はインブリードのような強いクロスはないものの、それぞれの血統には共通する血脈が多く含まれています。

その長所を証明するかのように、ヘニーヒューズ×モガミヒメ牝系の配合からはダンケシェーン(現2勝)とアヴォンリー(現2勝)という2頭の現役馬がJRAで勝ち上がっています。







現状、デビューしているのはこの2頭だけなので、ヘニーヒューズ×モガミヒメ牝系の配合による勝ち上がり率は100%です。


母馬にとって初仔ではありますが、馬格も普通サイズで窮屈なところもなく、現在も順調に成長しています。

この牝系らしい気の強さを垣間見せることがあり、それがこの牝系の長所でもあるので、負けず嫌いの競走馬として成長してくれそうな印象です。

本馬に興味のある方は当場HPを通じてメール連絡をいただくか、当ブログに連絡先を添えてコメント欄にご記入下さるようお願いいたします。(表示はされません)

当場から折り返し連絡させていただきます。