(有)村田牧場通信

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クラブ提供馬(当歳馬募集組)2頭の現況

2019年06月22日 | クラブ募集馬
好天だった数日前に写真を撮影したので、そのアップを含めてクラブ当歳募集馬の現況をお伝えしたいと思います。

まず、ターファイトクラブ提供で満口にさせていただいたメジェルダの2018(牡、父アジアエクスプレス)から。





4月下旬生まれの初仔ということで、他馬に比べると小柄な部類に入る馬ですが、現時点では体高が150cmに達しています。

先日、同クラブ提供馬の当場生産馬ハディアが出走して2番人気ながら7着に敗れてしまいましたが、ハディアの同時期と同じくらいのサイズ感です。

一方で、父は馬格のあるアジアエクスプレスでその初年度産駒、母はやや小柄なメジェルダでその初仔ということで、こちらとしても今後の成長曲線が読みづらい面があります。

今現在はっきりしているのは、引き締まった馬体のなかにしっかりと筋肉が付いてきていて、それは父アジアもしくは2代母メリュジーヌの影響だと思われること。

そして、気性面で大分どっしりとしてきたことです。

ただ、気性に関してはこの牝系は成馬になっても敏感な面を持ち続ける傾向にあるので、本馬もおそらくそういうタイプになると思われます。

先日、同牝系のオーパキャマラードの応援に函館競馬場まで行きましたが、彼女もパドックではやはり敏感な面を見せていました。

それでも、その気性がレースの邪魔をしないのがこの牝系なので、本馬もレースに行って良い競馬ができるような馬に育ってほしいところです。


次に、ローレルクラブ提供のハーランズルビーの2018(牡、父ヘニーヒューズ)について。





半兄たちがそうであったように、本馬も4月中旬生まれながら当場のなかでも大柄な部類の馬体に成長してきました。

気性面ではマイペースな面がありましたが、馬格の成長とともに牡馬らしい面を見せ始めていて、最近は他馬と追いかけあっこしたり噛みつきあうなどして噛まれ傷もつくるような精悍さも出てきました。

おそらく馬格の成長とともに牡馬らしい気性が出てきたのでしょう。

見るからに筋肉質の馬体ですが、放牧地でたくさん青草を食んでいても草太りはあまりしません。

このきょうだいはあまり草太りしないところがあるので、その意味では本馬もハーランズルビーの仔らしいと言えます。

例えば半兄のモズベッロ(現3歳)などは丸みを帯びたしなやかさを持った馬体で芝路線で走っていますが、本馬は立派な骨格と四肢に筋肉がしっかり付いているムキムキタイプです。

ヘニーヒューズ産駒という点からも、現状の馬体からはダート向きではないかと考えていますが、詰まった体型ではないのである程度距離をこなすかもしれません。


今回は当歳馬募集で提供した2頭の現況をお知らせしましたが、当場からはターファイトクラブのほうに1歳追加募集として1頭提供することになりました。

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、それがゼフィランサスの2018です。

近日中にゼフィランサスの2018に関する紹介記事をアップ予定ですので、是非ご覧いただければと思います。

今回は、この2頭と同日に撮った写真だけをアップしておきます。


【ゼフィランサスの2018(牡、父ドゥラメンテ)】








【セレクションセール】№167オーシャンフリートの2018(父パイロ)

2019年06月21日 | セール上場馬
今回は、セレクションセールに上場予定の№167オーシャンフリートの2018を紹介させていただきます。

なお、本馬の牝系解説文はこちらをご参照ください。











本馬は当場の1歳分場にて昼夜放牧をしながらセリ馴致中です。

当歳時から骨量豊かな骨格が特長的で、昼夜放牧をしてきた経緯もありますが、当歳時から管囲は20cmを超えていました。

その骨格に筋肉量豊富な肉付きが加わることで、いかにもダート向きなパワフルな馬体をしています。

この時期になると、セレクションセール上場馬の下見にいらっしゃる方々が多いのですが、皆さん「わかりやすい馬体」と評します。

そして、「パイロ×アフリート牝馬の配合らしい馬体」「いかにもダート向きな馬体」といった言葉を付け加えることが多いです。

上場番号№73のアメージングムーンの2018と一緒に本馬を下見する馬主関係者の方々が多いのですが、両馬に対する馬体の評価は総じて上々です。

本馬は勝ち気な気性をしていますが、同時にセリ馴致をしていくなかで牡馬らしいどっしりとした面も出てきました。

パイロ産駒は中央ダートや南関東などで産駒が活躍傾向にありますが、本馬も競馬場に行って立派な活躍をしてほしいものです。


さて、ここからオーシャンフリートの2018の血統について説明いたします。

父パイロの産駒を獲得賞金順に見てみると、実にさまざまな母父との間に活躍馬を出していることが分かります。

その上位の活躍馬のなかには、米血脈であるMr.ProspectorやSeattle Slewのクロスを持つパイロ産駒の存在を見つけることができます。

Pulpit×Wild Again牝馬という米血脈から成る血統を持つパイロにとって、自身の産駒が米血脈のクロスを持つことは血統傾向という点からマイナスにはならないでしょう。

オーシャンフリートの2018も、米血脈のアフリートを通じてMr.Prospector4×3を持っています。

ちなみに、Mr.Prospectorクロスを持つパイロ産駒としてはG3北海道スプリントC勝ち馬のシゲルカガ、昨年の東京ダービー馬ハセノパイロ、今年の羽田盃勝ち馬ミューチャリーなどがいます。

パイロの血統には、Mr.Prospectorと同じNative Dancer系×Nearco系の組み合わせを持つNorthern DancerやIcecapadeの血があるので、産駒にMr.ProspectorクロスがあるとMr.Prospector≒Northern Dancer≒Icecapadeを受け継ぐことになります。

この流れを強調する血統パターンにすることは、スピードの強化につながるのではと考えています。





パイロ産駒の活躍馬はダートに集中しているので、中央ダート5勝のオーシャンフリートを母に持つ本馬もまず間違いなく主戦場はダートだと考えています。

その母オーシャンフリートの血統についても触れておきましょう。

母オーシャンフリートの配合には、幾つかの相似クロスも織り交ぜています。

その一つが、Mr.Prospector≒Where You Leadです。





いずれもRaise a Nativeを父に持ち、母父はNearco系という共通点があります。

さらに、5代表には登場しませんが、Blenheim=His Graceの6×4という全きょうだいクロスも存在します。

このように、パイロのみならずオーシャンフリートにとってもMr.Prospectorという血脈は重要なパーツだと思われ、その点で本馬がMr.Prospectorクロスを持つ意味は大きいと考えます。

ほかにもMr.Prospectorの3代母Miss Dogwoodが、Caerleon内のNothirdchance(Hail to Reasonの母)と相似クロスを形成します。





Bull Dog(Sir Gallahad)×Blue Larkspurの組み合わせが特徴的です。

オーシャンフリートの2018は、Mr.Prospector4×3のほかにHail to Reason7×7もあり、母オーシャンフリートが持っていたMiss Dogwood≒Nothirdchanceを活かす配合になっています。

最後に、オーシャンフリートの2018の代でできた相似クロスを指摘したいと思います。

それがPreach≒キソティックです。





Pulpitの母であるPreachと、オーシャンフリートの2代母キソティックによる相似クロスです。

既述のMr.Prospector≒Where You Leadの関係があるほか、いずれもWhat a Pleasureを持つ点で共通していて、さらにはState≒Caerleonという相似クロスも存在します。

オーシャンフリートにパイロを配合した理由の一つに、このPreach≒キソティックというダイナミックな相似クロスを試したかったというのがあります。

馬体の出来には満足していて、パイロの牡馬らしいダート向きなパワフルな好馬体をしているので、今から競馬場での活躍が楽しみです。


本馬に興味のある方は、当場HPからご連絡頂くか、当ブログに連絡先を添えてコメント欄にご記入下さるようお願いいたします。(表示はされません)

当場から折り返し連絡させて頂きます。




【セレクションセール】№73アメージングムーンの2018(牡 父モーリス)

2019年06月20日 | セール上場馬
久々の更新となりますが、今年のセレクションセールに2頭上場することになったので、そのうちの1頭であるアメージングムーンの2018を紹介させていただきます。

なお、本馬の牝系解説文についてはこちらをご参照ください。











本馬は現在当場の1歳分場にて昼夜放牧をしながらセリ馴致をしている状況です。

セリ馴致を施すことはもちろんですが、将来の競走馬という意味でも、昼夜放牧しながらしっかりと基礎体力を付けさせたいと考えています。

モーリスの産駒がまだデビュー年を迎えていないのでわからない部分もありますが、本馬を含めたモーリス産駒を見ていると、胴回りに厚みがある一方で身のこなしにはしなやかさを感じさせます。

本馬も柔軟性を備えた馬体で、放牧地ではバネの効いた走りをすることから、芝向きなのではと考えています。

1月24日生まれということもありますが、現段階での馬格は十分だと言えますし、放牧地で他馬を追い回す姿からは悍性の強さと運動神経の良さを感じさせます。

本馬の半兄アメージングサン(父ロードカナロア)が2歳デビュー前とはいえ評価が高いようで、すでに入厩していて7月6日の函館新馬戦を目指して調整中とのことですから、今からデビューが楽しみです。


ここからは、本馬の血統についてご紹介したいと思います。

本馬の父モーリスはスクリーンヒーローの代表産駒ですが、モーリスのほかにもゴールドアクター(G1有馬記念)やグァンチャーレ(G3シンザン記念)など、スクリーンヒーローはRoberto系種牡馬らしく牡駒のほうに活躍馬が集中しているのが特徴的です。

スクリーンヒーローは、その父グラスワンダーと母ランニングヒロインがいずれもHail to Reason系×Northern Dancer系の組み合わせを持つので、彼は父母相似配合とも言える血統パターンを持っています。





さらにスクヒーンヒーローの2代父Robertoの血統に関しては、スクリーンヒーロー以上に父母相似配合の血統をしています。





それぞれの父系にRoyal Charger≒Nasrullahがあり、母方にBlue LarkspurやSir Gallahad(Bull Dog)を持つ点でも共通しています。

そのため、Hail to Reason≒Bramaleaの相似関係が成立すると見なしているわけです。

これを前提にすると、Robertoの血を引く馬のなかでもHail to Reasonクロスを持つ馬の場合には、同時にHail to Reason≒Bramaleaの相似クロスも持っていることになります。

その血統パターンを持つのがスクリーンヒーローであり、息子のモーリスやグァンチャーレなのです。

アメージングムーンの2018の血統はHail to Reasonを6*6*7×6*7で持っていて、父モーリスや2代父スクリーンヒーローの血統傾向を受け継ぐ配合になっています。

サンデーサイレンス4×4を持つ本馬ですが、サンデーの2代父Hail to Reasonの血を活かす意味でも、この4×4のクロスは好影響を与えてくれると考えています。

また、本馬にとってHail to Reasonクロスは、既述のBramalea(Robertoの母)の血を活かす以外にも、母方にあるカコイーシーズの2代母Miss Uppityの血を活かす意味もあります。





それぞれの父系にはRoyal Charger≒Nasrullahの関係があり、母方にはSir Gallahadの名前を見つけることができます。

ここにBramaleaを加えたHail to Reason≒Bramalea≒Miss Uppityという相似クロスは、アメージングムーンの2018にとって大きな血統的特長だと捉えています。

父モーリスに焦点を当てると、父スクリーンヒーロー内にあるHail to Reason系×Northern Dancer系の組み合わせを持ったグラスワンダーやランニングヒロインという血に対して、同じNorthern Dancer系×Hail to Reason系の組み合わせから成るSadler's Wellsの血を持つ牝馬との間に生まれた点に、血統的な相性の良さを感じます。

実際、このスクリーンヒーロー×Sadler's Wells持ち牝馬という配合からはミュゼエイリアン(G3毎日杯)なども出ていて、勝ち上がり率も悪くない印象です。

アメージングムーンの2018の場合、母方にNorthern DancerとHail to Reasonの血を持つCaerleonが入っているので、モーリスが持つグラスワンダーやランニングヒロインあるいはSadler's Wellsといった血をうまく活かすことが可能だと考えています。





アメージングムーンの2018の牝系に目を向けると、2代母ビッグテンビー(G1勝ち馬ローレルゲレイロの母)の血統傾向に大きな特徴があると思っています。

この牝馬は「Northern Dancer+Nearco/Prince Roseのニックスから成る血」に該当する血脈を3本(モガモポイント、テンビー、その父Caerleon)持っています。

この傾向を持つ血は多く、有名どころではStorm Catやダンシングブレーヴなど、多くの血脈がこのカテゴリーに該当します。

そして、モーリスの血統においてはカーネギーが同様の血統傾向を持っているので、アメージングムーンの2018に関してはカーネギー≒テンビー≒Caerleon≒モガミポイントといった関係が成り立ちます。

「Northern Dancer+Nearco/Prince Roseのニックスから成る血」を多く持つ馬には柔軟性に富んだ馬が多い印象を受けますが、アメージングムーンの2018の動きにもそのような点が見受けられます。

ちなみに、本馬の叔父ローレルゲレイロ(G1高松宮記念、G1スプリンターズS)はキングヘイロー産駒ですが、彼の2代父は「Northern Dancer+Nearco/Prince Roseのニックスから成る血」に該当するダンシングブレーヴです。

ローレルゲレイロの母ビッグテンビーの血を活かすためにキングヘイローを配合しましたが、その結果として生まれたローレルゲレイロはスピードと柔軟性を武器に芝馬として成功してくれました。


セレクションセールでは、多くのモーリス産駒が上場予定となっています。

他のモーリス産駒と比較する際の一助として、この記事を読んで下さると幸いです。


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