ロック探偵のMY GENERATION

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David Bowie, Heroes

2023-01-23 21:11:55 | 音楽批評



先日このブログで、1998年版の映画GODZILLAについて書きました。


で、あの映画を見返していて、そういえばそうだったっけと思い出したことですが……エンディングでデヴィッド・ボウイのHeroes(のカバー)が使われていました。

David Bowie - Heroes (Official Video)

ボウイといえば、今月“ロックの日”ということで言及したばかりで……なにか縁のようなものを感じたので、今回はちょっとデヴィッド・ボウイさんについて書きたいと思います。まあ、あれこれ書けるほど詳しくもないんですが……


デヴィッド・ボウイは、なかなかキャリアが長く、その音楽人生のなかでいろんな顔をみせてきました。
初期の頃は、知的でシニカルな感じ。
それが後年には社会派的な方向性を出していく……先日の記事ではジョン・レノンのカバー曲というのをあげましたが、あのライブエイドに出ていたりするのもそういうことでしょう。
また、21世紀に入ってからは、HOPEというチャリティアルバムに参加したりもしています。これは、このブログで何度か取り上げましたが、イラク戦争開戦がせまるなかでイラクの子どもたちを支援するためということで制作されたもの。ボウイは、その当時発表したばかりの曲 Everyone Says Hi を提供しました。

‘Everyone Says Hi (Metro Mix)

多くのアーティストがカバー曲で参加している中、ボウイは自作曲。同じく自作曲で参加したアーティストにポール・マッカートニーがいるわけですが、ポールとはライブエイドでもLet It Be で共演しました。同じような道をたどっていったビッグスターといえるかもしれません。


初期のスタイルがある種の演出というか虚構であることは、あきらかでしょう。
たとえば、あのRebel Rebel での宇宙海賊めいた装い……特に深く考えなくとも、そのときどきで設定したキャラを演じているという部分はあるわけです。
そういう“演出”という点では、ミック・ジャガーと通じる部分があるかもしれません。ボウイは、ミック・ジャガーともコラボしています。

David Bowie & Mick Jagger - Dancing In The Street (Official Video)

ミック・ジャガーに比べれば、ボウイがまとったグラムロックの仮面はより刺激的であり、それゆえに桎梏となる度合いも大きかったでしょう。
ああいうかたちで世に出た場合、ずっとそのキャラを演じ続けることは無理があるので、キャリアが長くなればどこかでイメチェンすることになるというのは自然の成り行きといえます。


Jump They Say という曲があります。

David Bowie - Jump They Say (Official Music Video) [HD Upgrade]

「跳べ、とやつらはいうんだ」というこの歌は、リスナーから一つのイメージを背負わされ続けることへの嫌悪感を表明したものとも読めるでしょう。傷だらけになった自分に、それでもまだ跳べというのか、と。
観客が跳べというのなら傷だらけでも跳んでみせる、というのもエンターテイナーとしての一つのあり方でしょう。ボウイがコラボしたもう一人のビッグスターであるフレディ・マーキュリーは、そうだったかもしれません。しかし、ボウイはそういう道を選びませんでした。

それはそれで、いいでしょう。
問題は、イメチェンしてどういう方向性を出すかということです。
ボウイの場合、そこで社会的なメッセージみたいな部分が一つの側面として出てきたんではないかと。
ロックスターは、反逆や皮肉の仮面の奥にピュアな心を隠している――と、このブログではいってきましたが、ボウイもまた、そんな一人ではなかったでしょうか。




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