ロック探偵のMY GENERATION

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Audioslave - Original Fire

2023-02-17 23:24:50 | 音楽批評


最近このブログでは、90年代~2000年代ロックにおける最強バンドといったようなことを書いてきました。

前回登場したのは、サウンドガーデン。

そして、この流れでいけば、当然名前が出てくるのがAudioslave です。
というわけで、今回はオーディオスレイヴについて書こうと思います。



このバンドの名前は、これまでにも何度か出てきました。
一応簡単に成り立ちを書いておくと、レイジ・アゲンスト・ザ・マシーンから突然ザック・デ・ラロッチャが脱退し、残されたメンバーが、サウンドガーデンのクリス・コーネルを迎えて作ったバンドです。

これまで、90年代以降の最強バンド候補がいくつか挙がってきましたが、サウンドガーデン+レイジ・アゲンスト・ザ・マシーンという成り立ちからすれば、このオーディオスレイヴこそが最強かもしれません。

デイヴ・グロールの率いるフー・ファイターズがロックンロール最終兵器だという話を以前書きました。
しかし、オーディオスレイヴもまた、負けてはいません。
彼らもまた、ロックンロールの王道ど真ん中で、その最前衛に立つという気概を示しています。
それを表明した歌が、Original Fire です。

Audioslave - Original Fire (Official Video)

タイトルを訳すれば、「原初の炎」。
そのMVには、キング牧師やマルコムX、ゲバラ、ネルソン・マンデラといった人物にまじって、ロックンロールの歴史を彩ったアーティストたちが登場します。
ジョニー・キャッシュ、ボブ・ディラン、ジャニス・ジョプリン、ジム・モリスン、クラッシュ、イギー・ポップ、ラモーンズ、ピーター・トッシュ、パブリック・エネミー、デッド・ケネディーズ……まさに、「原初の炎」を歌う歌にふさわしいでしょう。
最強の系譜ということでいえば、オジー・オズボーンも登場。そして、そのオジーのバックギタリストで最近映画になったランディ・ローズの姿もあります。

歌の中では、「原初の炎は死に絶え、消え去った」と歌われますが、これは、フー・ファイターズの記事でも触れた、「ロックが衰亡しつつある時代」の反映かもしれません。
この歌が発表された2006年当時の状況は今ほど深刻ではなかったかもしれませんが、商業的な意味とは別の部分で、そういう問題意識があったのかとも想像されます。ロックンロールの炎が消えつつある、と。
しかし、内なる暴動は続いている――とクリス・コーネルは歌います。
それはやはり、魂において滅びつつあるロックンロールを背負って闘うということではないでしょうか。 
この曲は、Revelations というアルバムに入っていますが、revelation とは、「黙示録」のこと。
これはまさに、ロックンロール黙示録なのです。



最後に、以前一度あげたこの動画をもう一度載せておきましょう。

Finale performance of "Cross Road Blues" at the 2013 Rock & Roll Hall of Fame Induction Ceremony

オーディオ・スレイヴのトム・モレロとクリス・コーネルがいます。
そこにフー・ファイターズのデイヴ・グロールとテイラー・ホーキンス。そして、アン・ウィルソンがいて、パブリック・エネミー……と、このところの記事で名前が出てきた人たちが一堂に会しています。

しかし考えてみれば、この動画で演奏している面々のうち3人がこの世を去っているわけです。
ニール・パートはまあそれなりの年齢でしたが、テイラー・ホーキンスとクリス・コーネルは、死ぬような年齢ではまったくありませんでした。
四辻の悪魔の呪いでしょうか。それとも、ロックが滅びつつある時代の象徴ということなのでしょうか……




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