What’s ノーマリゼーション?

福祉について考えるUMEMOTOのブログ

介護施設の新しい経営理論

2006-08-01 21:15:55 | 福祉雑記録
株式会社が介護の世界で活躍している。

介護保険制度スタートと同時にコムスンが福祉業界に参入し、注目を集めたのは記憶に新しい。
その当時のコムスンは、ヘルパー事業所と居宅介護支援事業所を全国津々浦々、すみずみまで整備し、数の論理で経営を行ってきた。
それにより、コムスンのブランドイメージは一気に顧客に定着し、今でも第一線を走っている。当初の計算とは違い、撤退した事業所も数多くあったが。

そのコムスンが、関東を中心に35ヶ所の有料老人ホームを経営する日本シルバーサービスを買収した。買収額は62億円。これでコムスンの所有する老人ホームは50ヶ所となった。
コムスンとしては、老人ホームのブランド『桜湯園』が欲しく、経営がうまくいっていないところを買収した形になる。

福祉業界は社会福祉法人しか参入することができない閉ざされた世界であった。閉ざされた世界の中で、必ずしも健全とは言えない発展の仕方もしてきている。
社会福祉法人のこれまでの役割を批判するつもりはないが、税金が免除され、お上(国や県)の顔色を伺いながら運営してきた社会福祉法人に「甘え」はなかっただろうか。いつまでも自分たちがアンタッチャブルな存在であるという・・・

昨年、外食産業大手のワタミが介護事業に参入したことを覚えている方は多いだろう。若い社長がメディアの前で明確なビジョンを語っていた覚えがある。
そのワタミの介護施設は昨年度末で17拠点。2009年度末までに2.5倍の45ヶ所に拡大する方針を出している。建物は新築ではなく、既存の建築物を改装し投資額を抑えるという。
来月(8月)からは介護教育事業に参入する。まずは、ケアマネジャー育成の講座を開設し、来春には介護事業の教科書を出版する。2008年度までに学校法人として登録する計画のようだ。2011年には大学院を設立する計画を立てているという。

コムスンもワタミも「経営」戦略のもと、事業の拡大を目指している。そして、それだけではなく、理念も兼ね備えているように思われる。それが末端まで浸透しているかはまた別の話だが。
それに比べ、社会福祉法人はさまざまな合議を経て「運営」をしてきた歴史を持つ。そのため、社会福祉法人のトップに経営感覚を備えている人は少なく、お金儲けを「経営」と勘違いしている法人も少なくない。
規制緩和が進み、株式会社が福祉業界に入ってきた今、社会福祉法人が同じ土俵の上で戦っても勝てる見込みはかなり低い。
「経営」という言葉、姿に踊らされることなく、地域における社会資源としての役割を忘れることなく「運営」をしていくことが社会福祉法人の生き残る道だろう。顧客の絶対数は減ることはない。新たな住み分けの中で、現在の顧客に逃げられないようにすることが社会福祉法人における急務の課題である。

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