むじな@金沢よろず批評ブログ

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「オペラ座の怪人」台北公演閉幕

2006-03-14 00:56:12 | 台湾その他の話題
ワールドツアー中の「オペラ座の怪人」台北公演が3月12日、幕を閉じた。
台湾では、1月18日からプレ公演、1月20日から正式に公演が始まり、陳水扁総統も観劇、合計63回上演された。聯合報系の芸能日刊紙「民生報」13日付けによれば、コストは3億元、入場券売り上げは9万枚・2億6千万元の記録を達成した。
私は残念ながら、チケットを買えず、見にいけなかった。キャストを見ていると、なかなか良かったようだ。
ただ、しょせんは国家戯劇院、あそこの音響はひどいからせっかくのキャスティングが良くてもどうだったのだろう。実際、2月16日の公演では、第1幕最後に落ちるべきシャンデリアが落下しないという、実に台湾らしいハプニングがあったらしい(しかもこのときの自由時報の報道では、観客の中で「せっかくのシーンが台無しだから金返せ」と要求した人がいて、主催者側が「たかだか20秒くらいのシーンで、返金などできない」と突っぱねたらしいが、あんたねえ、あれは見所、見せ場なんだから、「たかだか20秒」っていうのは、この演目をやる意味がまったくわかっとらん主催者だね)。

ところで、民生報6面にファントム役を演じた布萊.利托 Brad Little(ブロードウェーの?代目怪人役をやっていた)のインタビュー記事が載っていて、05年からツアーで訪れた上海、ソウルと比較しての感想が載っていた。これがまた台湾人らしさが指摘されていた。
「台湾の観客はかわいげがある」「台湾の観客はクラシックコンサートのつもりで、あまり拍手したりしない。規則正しく、おとなしい」「韓国の観客が一番情熱的で終わってからも裏門で主役を待ちかまえていた」とする一方で、「ただ台湾人は英語能力が一番あり、字幕を見る前に反応していた」と指摘。
その次が面白くて、「ただリットルは、台湾の観客はよく笑うことについて、訳がわからないという様子だった。怪人の役は別に笑えるような役柄ではないのに、台湾の観客からはよく笑い声が起こっていたのは、他国ではありえないことからだ」というくだりがあって、これはさもありなんでこちらが笑ってしまった。
たしかにオペラ座の怪人は喜劇ではない。一部にコミカルな場面や役(ムッシュー・アンドレとか)はあるとはいえ、全体的には悲恋話であり、とくに怪人は笑うべき役ではない(まあ、フランス語だと、ミュージカルはla comédie musicaleという。もっともここでcomédieとは演劇全般の意味だが)。
だが、台湾人ならそれでも笑ってしまうのはありうるだろう。
なぜなら、台湾人はつまらんことでよく笑うからである。たとえば映画「ハウルの動く城」も私が見てぜんぜんつまらん映画だったが、台湾人はよくわかっていて、終わったあとも「可笑しい」といっていたくらいだし、以前陳水扁の息子がテレビ報道で映っていて「彼のあごらへんが形が変で面白い」と笑っていた。
確かに、台湾人の笑いのポイントは、リットルじゃなくて、よくわからんところがある。
とはいえ、リットルが指摘しているように、一方では台湾人は可愛げがあるし、わりとおとなしく行儀がいいのも事実だ。台湾人はいい加減だとしか見ていない日本人はたくさんいるが、実は台湾人は妙に律儀で生真面目な面もあるということだ。

リットルのインタビュー:
http://udn.com/NEWS/READING/REA8/3208885.shtml
魅影利托:台灣觀眾英文好 了解劇情
【記者中亮/報導】
【2006/03/13 民生報】

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