カジュアル・アミーガ         本ブログの動画、写真及び文章の無断転載と使用を禁じます。

ある日カッパ姉ちゃんとカメラおじさんの家に一匹の子犬がやってきた。
日々のうつろいの発見と冒険を胸に生きていこう!

さすらいー若葉のころ11

2010年04月09日 | 投稿連載
若葉のころ 作者大隅 充
      11
ミナト通りへ出る倉庫街をゆっくりと私は、
フィットを走らせて悲鳴が聞こえた路地まで来る。
そこは、切れかかった外灯の寝ぼけた光で薄暗い。
車のウィンドーを下ろしてじっと覗くと路地の奥
からくぐもった女の悲鳴が途切れ途切れに聞こえ
た。暗がりで何かが動ている。私は、車を方向転
換させてヘッドライトを倉庫と倉庫の間の狭い路
地に向かって照らした。
 すると青と黒の塊が蠢く。
 一瞬青いヒラメが砂浜に上げられて暴れている
のかと思う。しかしそれは一人の女を二人の男が
アスファルトに押さえつけているのだった。
 若い女の青いコートがはだけてその細い脚が暴
れているのが見える。二本の白くて長い脚は、根
元まで顕になりながら不発のプロペラのように宙
を舞っている。それをフード付きジャンパーを着
た男の手が掴んでその回転をねじ伏せようとして
いる。もう一人のスキンヘッドの男の手は女の口
を押さえている。若い女の悲鳴は声にならない。
ヴヴヴヴ・・・
 青いコートの女だった。さっき桟橋で泣いてい
たあの若い女が暴漢に襲われている。
 私は、咄嗟に思い切りクラクションを鳴らして
自分でもびっくりするくらいの大きな声で叫んだ。
「今、警察が来るわ。」
そして車から出て大通りに向かって「お巡りさん
 こっちです!」と飛び上がる。
 すると男たちは、女から立ち上がって、フード
ジャンパーの男が私の方へ向かって走って来る。
「バカ。ヤベイぞ。」ともう一人のスキンヘッド
が低く叫んでフードジャンパーを呼び寄せて逆に
後ろへ走り出す。私は、フードジャンパーの汚い
無精ひげにニキビだらけの丸っこい顔が目の前ま
で襲って来て、恐怖で心臓が破裂しそうになった
が、後ろの男に呼ばれてそのニキビ面が引き返す
と力がストンと抜けてヘナヘナとなる。
 二人の男は、路地の突き当たりまで走って行き
止まりの金網をよじ登って逃げていってしまう。
 私は、そのままT字路でへたり込んだ。もちろ
ん警察なんていなく夜風が流れて来るだけ。咄嗟
に出たデマカセだった。
 膝がガタガタと震えている。私は、両手で膝を
押さえるが一向にとまらない。
「ありがとうございます。」
青いコートの胸のボタンを留めながら、若い女は
、駆け寄って来て礼を言う。
 両手にヒールを持って立っている彼女の右膝が
擦りむけて血が滲んでいる。
「あ、あなたは大丈夫なの。」
私は、そう言うと車のドアノブに手をかけて立ち
上がる。そのとき私がよろめいたのを彼女は両手
で支えてくれた。
「はい。お蔭で助かりました。」
彼女は汗と泥のついた頬を手の甲で拭う。長い睫
毛を二三度しばたく。大きな濡れた目が私の顔を
見つめる。そしてわっと泣き出した。

 とりあえず私が青いコートの女の子を乗せて八
戸駅に向かって大通りを走り出す頃には、彼女の
涙は止まっていた。
「どうしたの。」
私が聞くと彼女は助手席でウェットティッシュで
口と頬を拭きながらゆっくりと答える。
「バス通りへ出ようと歩いていたら突然後ろから
男の人が・・・」
「襲って来た!で、知ってる人?」
「いいえ。私、今日東京から八戸へ来たばかり
で・・・」
「そう。この頃若い子が改造バイクで夜になると
走りまわったり、変なの、いるから。」
「すいません。助かりました・・・」
「何言ってるのよ。よかったわ。とにかく。もう
すぐ警察署が見えてくるけど・・被害届出した方
がいいでしょ。」
「ああ。でも・・・膝小僧擦りむいただけですか
ら・・・」
「でも届けていた方がいいと思う。又同じこと、
あいつらするかもしれない。あなたは助かったけ
ど次の人は酷い目に遭うかもしれなくてよ。」
「でも・・・」
「わかるでしょ。私の言ってること・・・」
「・・・はい。そうします。」
 八戸警察に着いて、彼女を正面の窓口まで送り
届けて私は、ハルカの夕食を作らなくちゃならな
いので金田一温泉へフィットを走らせた。警察を
出る前に自分の名前と電話番号を警察官に渡した。
そのとき青いコートの被害者は、輪竹由香と名
乗った。 
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中里の揚最中~シーちゃんのおやつ手帖132

2010年04月09日 | 味わい探訪
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ペット遺体投棄は、デフレスパイラル

2010年04月08日 | めんちゃん日記
飯能
 ぽっぽ通信のハト爺さんは、つらい顔してるよ。

いや、めんちゃん。愚かな人間がおったものじゃ。
一昨日見つかった埼玉山林のペット100匹が捨て
られた事件でペット葬儀業者が逮捕されたんじゃが、
ペットを預けた人は、たまらない。
お金だけ取って正丸峠の谷へ捨ててたんじゃからな。
捕まった阿部忍(71)容疑者は、元町議だというから
よけいに驚くよ。つまり政治家だったわけじゃ。
 だってな。ペット業者の登録義務づけなんて法律も
議会でつくるんじゃぞ。
電話帳で火葬設備完備なんてウソ出しても何の罰則も
無いこと自体がおかしいのにな。
5000円で受けて火葬すると1000円しか儲からなかっ
たと供述してるそうじゃ。
さらに2万円で受けて火葬せず他の犬の骨を渡してい
たんじゃ。
何か他所の国であったことと似てて腹が立つのう。
 とにかく安いとこや怪しい人には気を付けよじゃ。
「自由が丘ペット探偵」の古海めぐみさんは本当に
怒ってたそうじゃ。
めんちゃん、シッポでも振って古海さんを慰めて
くれんか。

ぼく、一昨年死んだ大好きだったムックさんのことと
ダブって、とーても悲しいよ。
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豪華客船インテリア画展~横浜みなと博物館

2010年04月07日 | 美術館・イベント
 第二次大戦前、客船は旅客輸送の主役で
「動くホテル」と呼ばれていました。
船会社は競って豪華な客船を建造し、船内
インテリアは船客の嗜好や時代の流行を取
り入れて最高水準のものが揃えられました。
       
 今回の展覧会では1930年前後に建造された
客船の秩父丸、氷川丸、日枝丸の室内完成
予想画を展示し、当時のインテリア・デザ
インの素晴らしさを紹介しています。
 1930年代当時の最新流行・アールデコ様式
がふんだんに取り入れられた室内装飾はと
てもシャープでモダン、今見ても遜色なく、
出来ればそのインテリア画の空間にトリップ
したいと思わせる程でした。
 この展覧会は4月11日まで横浜みなと博物
館で開催されています。

(常設展では博物館隣りに繋留された帆船日
本丸内も見学可能です)
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チワワん・らんデブー

2010年04月06日 | めんちゃん日記
ぼくのように大きなチワワくんに会ったよ。
みんな、耳うちで
デカイってことでお互い苦労するよね。
けっこう愚痴こぼすんだ。


でも負けないで生きよう! っと。
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夜ひかる桜の花

2010年04月05日 | めんちゃん日記
今年も咲いた。
緑道の桜。
5年目になるんだよ。ぼく、ここで見るの。
 
夜桜って、つい吠えたくなるよ。
でもここは夜中の住宅街、じっと我慢。
うぉぉぉぉぉー
・・・・・すまんっス。
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Cardごのみ98~水槽の魚&春の仲間たち

2010年04月04日 | 食玩小物
上はお魚が飼われている水槽、水槽らしく見えるように
トレーシングペーパーを表面に貼ってみました。
下は可愛い動物たちを春らしくポップに並べてみました♪
 
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鎌倉湖の渓谷にて

2010年04月03日 | めんちゃん日記
鎌倉の山は、崖だらけ。
いつも来る度、何かいるって思うよ。
たえずなにかに見つめられている気がする。
とーてもねばりっこい何かに。
 
たぶん、もののけだと思うよ。
そいつって、怖いっていうより
人懐っこいんだ。なんだかさ。
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さすらいー若葉のころ10

2010年04月02日 | 投稿連載
若葉のころ 作者大隅 充
      10
ハーバーライトが灯って、カモメが八戸港の上空を
黒いシルエットになって群れ飛んでいく。隣の漁港
へ帰って来る漁船のおこぼれに与ろうと沖合いから
群れて来るカモメの数がみるみる増えていく。
 私は、あのカモメの群れにかつての西高時代の自
分たちを見ている。いつも誰かと手をつないで学校
に行ったり、帰りは荷物をジャンケンで負けた方が
持って電車に乗ったり、お昼のお弁当を食べるのも
グループで机を寄せ合い、囲んで好きなオカズ、嫌
いな野菜や魚フライの物々交換をした。いつでも横
を見ればトミーがいて、オマツがいた。
 今すっかり立派な中年になって言えることは、あ
んな利害もなく責任もない、お互い笑ったり怒った
り、いること自体が当たり前のような付き合いは二
度とないんだなということ。もうあの、平等な場は
訪れないという動かし難い真実を実感する。もし専
業主婦で大学や専門学校に入り直しても、西高時代
のキラキラした学生という計り知れない未成熟な身
分には戻らないし、生活という決定的なアイテムが
どっかりと目尻に出来た皺のように居座ってどんな
に上手に誤魔化しても離れない。
 誰もが未成年から孵化して学校という猶予された
場所を卒業してしまうと、一人一人がバラバラな生
活をそれぞれの足で歩く。そこにはもう猶予はなく、
他人任せな気ままさはあり得ない。一度群れを飛び
立ってしまうと誰もがはぐれ鳥。どこへ行くかもど
こで羽休めをするかもみんなバラバラ。そして何よ
り心の中に積もってくる人生の塵やキズや悩みの梶
棒は、それこそバラバラで応用も利かない代物であ
るなあ、と最近つくづく思う。
 あの若鳥のしなやかさは二度と戻って来ない。
行列を成して飛んでいるように見えて大人は、隣を
飛ぶ人と同じ場の気持ちではもう飛べない。
 トミーがあのレストランの店員との秘密の生活を
持っているように、私は、輪竹さんへの思慕をそっ
と心の見えない港に繋留している。それは、たぶん
オマツもそうだろうし、他の吹奏楽部のメンバー一
人一人もそういう心の危うい梶棒を持っているに違
いない。
 私は、埠頭の外灯の下で海が夜のオーバー・コー
トに被さり水平線の境のない広大な闇に変わって行
くのを見つめながら、そんなことをぼんやり考えて
いた。
 外灯の光を受けて一羽のカモメが目の前を掠めて
桟橋の方へ飛んで行った。
 すると現実の港の音がさあっと甦って来て、桟橋
のはずれに一人の女が係累杭に座って泣いているの
が港の照明に照らされて目に入って来た。
女が泣いている。
 私のいる埠頭からかなり離れているし後姿でしか
見えないのだけど私は、そのひとりぽっちの春物の
ブルーのコートを着ている若い女が泣いていると直
感で受けとめた。遠くて後姿だけれど彼女は泣いて
いる。間違いない。あのほっそりした青いコートは
見覚えがある。確かに夕方ここに私が車で入って来
たときに待合所から出て来て私の車の前を横切って
桟橋へ行った人だったことを思い出す。
 顔はよくわからないがこの町の人ではない。都会
から来た旅行者のように見える。長年ペンションの
仕事をしていると旅行者も地元や近辺か東京あたり
から来たかの勘は働く。ましてや女の私は、その後
ろ姿でも泣いているのがすぐにわかる。
 なぜか。それは、私がこの港で同じように泣いて
いたから。だから理由は知らないが悲しい思いを誰
にも言えずこの夕方の寂しい海にそっと泣きに来て
いるのだと思う。
 桟橋に定期便のクルーズ船が舷灯を点して入港し
てきた。青いコートの女は、立ち上がると桟橋を後
に出口へ歩き出す。私は、フィットの運転席からそ
の若い女の細い顔を目で追って、学生でもないし結
婚しているようにも見えない、そして単なる普通の
旅行者でもないと見て取る。まっすぐに出口へ歩い
て行くすらっとした姿が美しい。私は、綺麗な人だ
と声にして呟くとカーラジオのスウィッチを入れる。
と同時に警笛がした。
 後ろからオートバイの明かりにフィットの車内を
照らされクラクションが鳴らされた。港湾警備員の
カブだった。
「海上保安庁の大きな船がこの第四埠頭にこれから
入るから出てけろ。」
「あ、はい。すいません。」
と私は慌ててエンジンをかけて埠頭から出て倉庫の
立ち並ぶ抜け道へ車を走らせる。
 私が広い道路から狭い通路へハンドルをきった時、
倉庫と倉庫の間の薄暗い路地から突然若い女の悲鳴
が聞こえてきた。
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青山アンデルセン~シーちゃんのおやつ手帖131

2010年04月02日 | 味わい探訪
今年のイースター(復活祭)は4月4日。
アンデルセンでは、イースターによく飾られる
ウサギやマウスをモチーフにしたパンを期間限定
で販売しています☆
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昼休みの代々木公園

2010年04月01日 | 写真コラム
東京の午後。
サラリーマンの昼休み。
のんびりした時間を満喫。
とても渋谷の雑踏から数分歩いてこれる所とは
思えない。
そう、オアシスと水はつきもの。
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