世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

アロンダ⑩

2018-02-01 04:12:48 | 風紋


怖さのためか、体が震え、涙が頬を流れた。しかし動悸が落ち着いてくると、アロンダの脳裏にはまたあの男の姿がよみがえった。

アシメック。あの男、怪我をしたのか。

そばにいきたいという、女の気持ちになっている自分を、アロンダは認めないわけにいかなかった。

アロンダは、その日、川辺で妙なカシワナ族の男に会ったことを、誰にも言わなかった。言っては、自分の心が誰かにばれるような気がしたのだ。

知られたくなかった。誰にも、知られたくなかった。異部族の男のことで悩んでいる自分の心など。

永遠に、誰にも言うことはできない。




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