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世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

シジフォス

2018-11-25 04:11:24 | 青空の神話


フランツ・フォン・シュトゥック


コリントの王シジフォスはある日、すばらしく大きな鷲が人間の娘をさらっていくのを見た。そしてこれは、ゼウスがまた見初めた女をさらっていったのかもしれないと思った。ほどなく、アソプス川の河神がやってきて、自分の娘がいなくなったと彼に訴えた。シジフォスはさっき見たことを話し、おそらくゼウスがさらって言ったのだろうといって、鷲の去っていった方向を教えた。アソプスは娘を探してゼウスを見つけたが、ゼウスは雷光を放って彼を追い払った。しかし秘密を漏らしたのがシジフォスだとわかると、ゼウスは腹を立て、彼を地獄に落とすことにした。そしてシジフォスは、地獄で岩を山の上まで持っていく責め苦を負うことになった。しかしその岩は苦労して頂上に持っていくやいなや転げ落ち、シジフォスはまたそれを持ち上げねばならず、永遠にそれを繰り返さねばならないのだった。



徒労の代名詞ともなっているシジフォスの神話です。浮気を言いつけただけでこんな責め苦を味わわすのはちょっといきすぎだという感じがしないでもありませんが、ゼウスにとってはそれくらい腹が立ったことなのでしょう。神話の中のシジフォスの罪状はともかくとして、これはわたしたちは、神のなさることを馬鹿にした罪だと解釈しています。神がなされたあらゆる美しい創造を、シジフォスは馬鹿にしたのです。それゆえにシジフォスは、それならば全部自分がやるがいいと言われて、地獄の山に放たれたのです。神の世界では岩は初めから頂上にある。だがシジフォスの赴いた地獄ではそうではない。全部自分一人の力でやらねばならない。それは人間にとっては、永遠に徒労を繰り返すほどの難しい仕事なのです。





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