「釣りはおもしろいか」とアシメックは言った。
「うん、面白い」とネオはぼんやり答えた。冷汗が流れるのを感じた。胸がどきどきし始めた。
「結構釣ってるな。一人では食えない。誰かにやるのか」
「うん、モラにやるんだ」
「ほう、女にか」
「うん、テコラにもやるんだ」
「おお、おまえの娘だな」
ネオはアシメックが自分の娘のことを知っているのに、驚いた。自分がモラのところに転がりこんで、ずっと一緒に暮らしていることが、村のみんなに知れ渡っていることは、知っていたが。
「娘はかわいいか」とアシメックは聞いた。この変わった子供に、興味があったのだ。ネオは聞かれると、目を輝かせて答えた。
「うん、すっごくかわいい。モラが産んだおれの子供なんだ。もうはってるんだよ。おれが抱くとすごく喜ぶんだ」
「普通男は、赤ん坊にはあまり興味を持たないもんだが」
「うん、みんなそういうけど」
ネオは少し暗い顔をした。自分がテコラに夢中だということを、よくサリクやほかの男たちにからかわれるからだ。
「でもおれ、モラとテコラと一緒に暮らせないのは嫌なんだ。ずっと一緒にいたい。それって、だめなの?」
「だめじゃないさ」アシメックは笑って言った。「おまえがそうしたいならしたらいい。誰にも迷惑をかけないことなら、別にいいんだ」
アシメックがそう言ってくれたので、ネオは顔を明るくして笑った。そしてまた釣り糸の先に目をやった。