goo blog サービス終了のお知らせ 

ルビーの森

京都三条と銀座並木通りにある、ミャンマー産無処理で美しいルビー専門店。鉱山から一貫したトレーサビリティーを実現。

宝石学会の研究で勉強させて頂くのは…

2011年06月02日 05時07分59秒 | 宝物

先月の末で、銀座ミキモトホールで開催されて

いた歴史的に意味のある橋本コレクションの

展覧会「指輪-その饒舌なる小宇宙の物語」は

閉会しました。

来場者の皆さまは、どの様な事をお感じだった

のでしょうか?

ご来場いただいた後に、モリスの銀座サロンに

お立ち寄り頂いたお客様にお伺いすると、

「何百年、何千年残るということは、大切に
 されてきたということ。それに、それを着けて
 いた人がいたわけでしょ…どんなモノなのか
 そりゃ見たくなるでしょ。お宝なんですもの…」

とおっしゃられてました。

時代を超えて大切にされるモノは、宝物としての

格があるのです。そしてその雰囲気が私たちを

楽しませてくれているのです。

さて、そのヒストリックリングの中で1本だけ

天然石でなく、人工合成石のリングがあります。

(詳しくは、またの機会に…)

今では、天然の宝石と人工石はきっちりと情報

を開示しないといけないのですが、その頃は、

両方とも宝石として売られたそうです。

橋本さんがおっしゃられていたのが、

「今は安くなってしまったでしょう。。。でも
 昔は高かった…そういうモノも無いと良いモノ
 が分からなくなるでしょう。そういった意味
 があるんです」2008年の会の時の弁)

宝石学が発達して、ルビーとして販売されていた

人工合成ルビーが、人の手で数を増やすことが

分かった。そして、「宝石」と呼んではいけない

ことになった100年も経たないうちに、何千万円

から何万円になってしまった。

ひょっとしたら、宝石学が無かったら、未だに

「お宝」だったのかもしれないこのリングを

見ていると感じます。

それは、お宝として大切にされるべき天然宝石の

尊厳を守ることだと、その為には化学的な研究も

必要だ…そういった観点で宝石学は大切なのだと

思います。

宝石学の目的は、そのお宝を持つオーナーさんに

わかり易く情報開示することではないでしょうか。


最近では、宝石鑑別機関が、加熱処理していない

だろう…と、本当は処理の有無が分からない石に、

「加熱の痕跡が認められない」という分析結果を

出します。でもそこには、処理はしていませんと

は一言も書いていません。

それを非加熱ルビーとして市場で出回っているの

が現状です。

どれが本当の天然無処理で美しい宝石なのか

ますます分かりにくい時代になってしまいました。

何百年後の私たちの子孫が見た時に、恥ずかしくない

ジュエラーであるためには、自分の感性を大切に

しながらも、研究、勉強は続けないと…と

感じます。


ルビーと赤ワイン …よく似ているかも

2011年05月30日 21時37分43秒 | 宝物

一番好きなお酒は?

ときかれると私は「赤ワイン」と

こたえます。あのルビー色の美しい

赤をグラスの下からライトに照らし

ながら楽しみます。

そして、あのリッチなルビー色の

面白いのは、赤ワインも産地によっ

て色彩や色調、色の濃さが違います。

ソムリエさんに産地ごとの特徴や

おすすめになられた理由などをお聞

していくと、楽しみが広がります。

そして、更に面白いのが、1000円の

ワインと5000円のワインの違いは、

ソムリエさんに説明いただかなくて

も良く分かるのですが、5000円と

30000円のワインは、ソムリエさん

がいらっしゃらないと。。勿体ない

事に殆ど違いが分かりません。。。

(私には。。)

でも、プロに説明を頂くと納得です。

このあたりもルビーとよく似ていて

楽しいものです。


芸術作品かと思ったら…

2011年05月30日 19時10分26秒 | 宝物

何の絵なのか?

実は、モリスミャンマーのスタッフ、

ジェモロジストとして活躍する

チョーミンナイ君がヤンゴン大学の学生

と共に調べたモゴック、ナヤン鉱山の

真ん中を通っている「ザガイン フォルト」

ザガイン州の真ん中を通っている活断層の

周辺地図です。

一生懸命に手書きで色を付けてくれたので

最初に見た時に何かの芸術作品かな?と

思いました。

図で見て、このザガインフォルトの近辺

でルビー、サファイアが産出されています。

実際に、ザガインフォルトの右側と左側では

採掘されるモノが違っています。

とはいえ、今回、発表するのは、産地ごとに

違いがあるインクルージョンについて、

その写真をたくさん並べて、その傾向を

発表するに留まります。

しかし、色々と有りがたいコメント、アドバイス

も頂きながら、モリスのルビー調査は加速して

行くと思います。


旅をして「禅」を伝えた達磨大師

2011年05月30日 07時26分20秒 | 宝物

おなじみのダルマさん。

ダルマさんは、ジャーナという仏教の宗派

のお坊さんです。

ジャーナとはサンスクリット語で「禅」の

事です。

インドから中国を経て韓国、日本へ伝わり

ました。

達磨大使は、インドから中国の南部へ渡り

禅を伝えながら「少林寺」に入りました。

1500年も前の話ですが、3年もかけた船旅

を経て「禅」(チャン)の発祥の地に到着

しました。

なにげなく、ちょこんと座って私たちを

励ましてくれるダルマさん。

禅を伝えようと、遥々旅をされた高貴な

お坊さんだったのです。


一番古い色…ルビー色

2011年05月29日 14時28分09秒 | 宝物

モリスは「ルビー」すなわち「赤」のことは

いつも興味を持って見ているのですが、最近

面白い本を見つけました。

「和の色事典」ですが、この事典の中では、

赤系の色が42色もありました。

これだけ赤を色々な呼び方で表現できることに

驚きました。

この視覚デザイン研究所の発行する書籍によると

「赤」は、日本で最古の色名だということです。

赤系統色の総称であり、明るいの「あけ」が

語源とされています。

日本最古の色が「赤色」で、日本の国旗も

白地に赤色(ルビー色)とは、嬉しくなりますね。


「指輪-その饒舌なる小宇宙の物語」は今日までです。

2011年05月29日 05時58分29秒 | 宝物

2週間ほど前から、銀座ミキモト本店の

6階ホールで開催されている

「指輪-その饒舌なる小宇宙の物語」
 古代エジプトから現代まで

が今日の午後7時まで開催されています。

古代エジプトのスカラベリングから、

ルビーの結婚指輪、ギメルリングや

マリーアントワネットの髪の毛が入った

マリーエメリーのリングなど実物を

目にする機会です。

是非、足を運んでみて下さい。


上空から見たルビー鉱山 「モゴック」

2011年05月28日 17時51分09秒 | 宝物

昨年に北部へ調査に行ったときの写真です。

ミチナ―への機内からモゴック鉱山が見えました。

モゴック鉱山といえば、世界的に有名なルビーの

伝統的な鉱山です。

今でこそ、ナヤン鉱山もありますが、長らく

最高のルビーが採れる山ということでヨーロッパ

から狙われ続けた山です。

実際に19世紀にはイギリスが採掘を行っていました。

ヨーロッパの国王の王冠や、ロイヤルファミリーの

ジュエリーに使われたルビーのほとんどは、この

鉱山から採掘されていったルビーです。

 


女性がキレイになる ルビー

2011年05月28日 14時30分35秒 | 宝物

旧ラテン語では、赤色の事をルビウスと

呼んでいました。赤色の語源です。


ルビー色の歴史はとても古いのです。

人類が利用した最初の顔料は、赤土で、

イスラエルのナザレ近くにある、9万年前

頃のきわめて古い墓から、赤土のかけらと

玄武岩製の粉砕器が発見されています。

(参考文献:世界の染料、顔料、画材「色」
 アンヌ.ヴァリション著)


赤と人間の付き合いはとても長いのです。

赤色の特性が人に良いから、人間は赤を

好きになったのか、赤色が好きだから人間

の体が赤色を見て反応するようになったの

でしょうか?

少なくとも赤を身に着けると元気はでますし、

色彩学的にも赤は、人目をひきつける色です。

女性が身に着けるといいと思います。

女性は、見られるときれいになるといいますから。


視点が面白いと思う…「指輪88」淡交社

2011年05月27日 12時49分42秒 | 宝物

「指輪88」淡交社は、今月、発売された本ですが、

何が面白いか?というと、4000年前からのリング

の変遷が、何のためのリングだったのか?と

いう視点がインデックスになっているこという

事です。

例えば…

紀元前2000年…紀元前1400年代
王の再生を祈る指輪
子供の成長を願う指輪

1500年…1600年代
ふたりの心を一つにする指輪

1700年…1930年代
幸せのおすそ分けをする指輪

1945年…現代
スパイが使ったカメラの指輪
神話に触発されたキュビズムの指輪

…と題名を見るだけでもそのユニークさが

お分かり頂けると思います。

そして、これだけ小さな指輪が人の「心」の

シンボルだったことに驚かれると思います。

精神的なモノなのです。

是非一度、手に取って見て下さい。


赤い宝石が大切にされるのは…

2011年05月27日 06時02分35秒 | 宝物

写真は、トルクメンの伝統的なジュエリーを身に着ける

女の子と若い女性。

トルクメンといえば、紀元前5世紀ごろから、豪華な

ジュエリー、装飾品で有名な「スキタイ、マッサゲタイ系」

の遊牧民が住んでいた中央アジアの国です。

シルクロードの要所として栄えたのですが、10世紀以降

の海運の発達によって衰退していった地域です。

さて、そのトルクメン、お祝いの宴では、必ず銀と赤い宝石

(ルビーは手に入らないのでカーネリアンが中心)

でつくられたジュエリーを身につけます。

女性を怪我などから守るものとして伝えられているそうです

が、赤い装身具、赤い口紅…

やはり女性が赤いモノを身に着けるのは良いですね。

 

写真、情報は「シルクロードの赤い宝石」(トルクメンの装身具)

から引用させていただきました。


ルビーの景色

2011年05月26日 06時41分05秒 | 宝物

天然無処理のルビーには、「景色」あります。

2つと同じものが無い、そのインクルージョンは、

茶道のお茶碗の景色の様に、「育つ」ことは

ありませんが、ルーペでのぞくと、そこには、

絵画のように美しい景色が広がります。

専門的な技術が無くても、10倍のルーペで見慣れると

そのルビーの個性を感じられるようになります。

そのまま、拡大して印刷し、飾っておきたい景色。

それが、身に着けているルビーに内包されていると

いうのも嬉しい事です。

これらのインクルージョンは、それぞれのルビーの

カット研磨される前の姿を想像させてくれます。

ルーペさえあれば、いつでも楽しめる小さな美術館です。

 


ルビーの兄弟 ブルーサファイアの中に浮かぶ結晶

2011年05月25日 21時18分33秒 | 宝物

ロイヤルブルーのミャンマー産のサファイアは、

現存するサファイア鉱山では最も高級品といわれて

います。

ルビーと同じ鉱物で兄弟分なので、内包されている

インクルージョンも良く似たものが多く、

産地や、処理の有無などの見分け方も同じです。

キレイな写真だったのでご紹介しました。

 


古代エジプトの悪を避けるお守りリング

2011年05月25日 17時10分33秒 | 宝物

紀元前747年~343年 リングサイズ21番

トルコ石ではなく、滑石(ステアタイト)

に銅を含む青色の釉薬をかけて焼成された

リングで、華奢である上にサイズも大きい

ので副葬品(ミイラの)だったと考えられ

ています。(指輪88 淡交社)の本文より。


このリングは、古代エジプトの神ホルスの

シンボルであるハヤブサの眼をモチーフに

されているリングですが、上空から眼を

光らせて見下ろしていると信じられていた

眼だそうです。


2500年以上の時を経て、見た私たちが感じる

ことと、その当時の人たちが感じることは

どの様に違うのでしょうか?

会って話がしてみたいものです。

写真、内容は一部
指輪88 「四千年を語る小さな文化遺産たち」
淡交社
より引用


宝石学会でインクルージョンの発表 

2011年05月24日 19時54分57秒 | 宝物

ルビーには、人の指紋と同じように個性が

あります。

同じルビーでも、色彩の違い、色相の違い

色の濃さの違い、透明度の違い…

ルビーそれぞれですが、その中でも

パッと外見では分からないけど、ルーペで

拡大すると見えてくるのが、内なる個性

「インクルージョン」です。

ルビーの中にサファイアやスピネル、

ジルコン、アパタイトなどがキレイに

結晶している姿を見ると、自然のメッセージ

の様なものを感じます。


さて来月、開催される「日本宝石学会」では、

モリスは、ミャンマー産ルビーの産地、

特にNam-ya地方のものの特徴や、その内包物

=インクルージョンの特徴を発表します。

という訳で、只今、中央宝石研究所さんで、

ラマン分光器を使って、その結晶の種類を

特定して頂いてます。


インクルージョンの写真に写る結晶が

何なのかを特定していき、その上で色々な

実験をすれば、貴重なデータを集められる

と思っています。


何か分かればブログでも報告させていただき

たいと思います。