モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

コシアブラ、ウド、タラの芽、山蕗の山菜三昧。のらぼう菜、菊芋、春牛蒡の地野菜。伊賀筑後オレゴンの手打ちうどん。土を喰らう卯月と皐月(妻女山里山通信)

2024-05-15 | 男の料理・グルメ
 4月5月、信州は山菜の季節を迎えます。コゴミに始まって、タラの芽、ウド、コシアブラと。忙しく今年もハリギリを採り損ないました。ウコギも。木の芽(山椒の若葉)は、昨年たくさん採って山椒味噌にしてまだあります。地野菜では、ニラ、のらぼう菜、菊芋、春牛蒡など。土を喰らう卯月と皐月です。

「コシアブラの炊き込みご飯」と「コシアブラのブルーチーズ入り塩麹ハンバーグ」
 コシアブラ・ハンバーグは、いつもは鶏ひき肉ですが、今回は豚ひき肉。コシアブラをたっぷりと刻み入れます。ブルーチーズはブルーキャステロとかゴルゴンゾーラを使いたかったのですが、ブルーチーズ入りのプロセスしかなかったのでそれを。自家製の塩麹を入れています。クセになる旨さ。

「春ゴボウ、菊芋、ニンジン、豚肉のきんぴら」
 ごま油で炒めますが、菊芋は生でも食べられるので歯ごたえを残す程度に。甘辛でご飯が進みます。

「タラの芽、ウド、コシアブラ、春ゴボウ、エノキダケの天ぷら」
 山菜は採りどきが短いのでぼーっとしていると食べ損ないます。アクが出るのが早いので、昼に採ったら夜に食べます。タラの芽は余ったら2分ぐらい茹でてアク抜きし冷凍すると一ヶ月は保存できます。ウドは昔は塩漬けして保存しました。コシアブラは、洗って水分をつけたままジップロックで一週間は保存できます。

「幻のうどん粉・伊賀筑後オレゴンの手打ちうどん」
 友人が作った大正時代に日本一のうどん粉といわれた幻の小麦「伊賀筑後オレゴン(通称いがちく)」。製麺機は、埼玉県戸田市の(株)小野機械製造所のものです。信州の家庭には昔は普通にありました。もう製造していませんが、ネットで探せば中古があると思います。

 伊賀筑後オレゴンは、三重県伊賀上野市の農林省関西試験場が、筑後平野で作っている小麦と、アメリカ西部のオレゴン州の小麦を交配して作った硬質小麦です。日本の小麦は軟質小麦。アメリカのオレゴン種はグルテンが多い硬質小麦です。この二つを交配して作られたのが伊賀筑後オレゴン種で、準強力粉です。信州の善光寺平から上田にいたる間の千曲川の沿岸で、大正時代から戦後まで作られた人気の小麦でした。戦前東京のうどん屋さんで一番喜ばれたのが、この伊賀筑後オレゴン種でした。 わが家でも父が昭和30年代半ばまで作っていました。60俵も収穫していたそうですが、イガチクは小麦の粒がこぼれやすく面積あたりの収量も少なかったので、新品種に取って代わられたということです。現在有志が栽培しています。うどん好きなら食べたら絶句感激すると思います。稀にネットで買えることもあります。

「塩皮鯨の出汁うどん」
 塩漬けの鯨の皮で出汁をとる調理法は昔からあります。ナスやカボチャと煮るのが一般的なのですが、うどんの汁にするのは塩皮鯨が大好きだった父が考案したオリジナルの食べ方の様です。作家・開高健のエッセイ『最後の晩餐』にも、新潟の山奥でゼンマイ採りの時に、小屋の囲炉裏に鯨の皮の塩漬けの大きな塊をつり下げ、味噌汁の大鍋に入れて出汁と脂をとる話が出てきます。そうして過酷な作業に必要なカロリーや栄養を補給したわけです。
 塩皮鯨は、しっかり塩漬けの固いものと、ブロックの柔らかいものを使っています。おそらくゴンドウクジラとミンククジラだと思います。敗戦後の食糧難の時代、日本人を栄養面から救ったのが鯨でした。1年間に世界中でクジラが食べるエサの量は、3~5億トンだそうです。鯨保護がなされると同時に鯨食害論もあり、世界の海に散らばる鯨の生態調査は非常に難しいものの様です。興味のある方は、Wikipediaのクジラで検索を。

「のらぼう菜(野良坊菜)のおひたし」
 のらぼう菜は、東京の奥多摩の伝統野菜で、江戸時代初期にオランダからジャワ島経由で伝わったといわれるナバナです。セイヨウアブラナの原種に近いといわれます。昔、奥多摩へフライフィッシングに通っていた時に知りました。苦味がなく甘く美味しいので、種を取り寄せ父が栽培してくれて種をとり、集落の人達に配りました。秋の彼岸の頃に蒔き、春にとう立ちをポキっと折って食べます。おひたしや炒めもの、ボンゴレビアンコや中華炒めと応用が効く非常に美味しい野菜です。

「山蕗と身欠き鰊の煮物」
 柔らかな山蕗は、皮を剥く必要がありません。また、アク抜きは採ってすぐならば一度茹でこぼせばOK。干しホタルイカやスルメイカでも美味。干しホタルイカは、海無し県の信州では昔から食べられています。切り干し大根などと煮ました。

好評だったブログ記事:「ブラジルへの郷愁」レヴィ=ストロース 川田順造訳 みすず書房。文化人類学、また構造主義におけるバイブルのひとつ(妻女山里山通信)は、都合によりリンク先の楽天ブログに移転しました。

インスタグラムはこちらをクリックツイッターはこちらをクリックYouTubeはこちらをクリック
 
もう一つの古いチャンネルはこちら。76本のトレッキングやネイチャーフォト(昆虫や粘菌など)、ブラジル・アマゾン・アンデスのスライドショー

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、
『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。掲載の写真は有料でお貸しします。他のカットも豊富にあります。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする