goo blog サービス終了のお知らせ 

もっきぃの映画館でみよう(もっきぃの映画館で見よう)

年間100本の劇場鑑賞、音声ガイドもやってました。そんな話題をきままに書きます。ネタバレもありますのでご注意を。

映画「蟹工船」1953  悪徳監督のワンマンショー、予想外に唐突なエンディング

2008-09-07 13:33:24 | その他(邦画)
タイトル:蟹工船 製作:日本
ジャンル:プロレタリア文学の代表作の映画化/1953年/モノクロ109分
場所:中丹勤労者福祉会館(約100席:パイプ椅子)18:15~、約100名
鑑賞日時:2008年9月6日(土)
私の満足度:60% 
オススメ度:50%

<序>
ツタヤの近くを歩いていると手書きの立看に「蟹工船」上映会、
「中丹勤労福」とありどこであるんだろうとネットで検索。
問合せ先が日本共産党だったのでやめようかと思ったものの、
自宅から徒歩3分の同じ町内だったので行くことにしました。
HPでは『入場料1コイン(カンパ制)』と書いてあって
最高でも500円かなと思って受付に着くと
『最低500円お願いします。』と、しっかり取られて入場。
もっとも近隣の上映会は軒並み1000円以上であり、ラッキーか。
配布されたコピーには、共産党志位委員長のインタビュー記事
(週刊ポスト9.12号)もありました。バレーボールが2面ぐらいとれ
そうなフロア。壇上に幅約3mのスクリーン、その両端にスタンド型
のスピーカ。パイプ椅子がならべられ観客約100人。地元の映画館
ではここまで人が入ったのをみたことがないのでちょっとビックリ。
動員がかかっているのか60歳以上男性が半分以上で目立つ。残りも
30代以上が多く、10,20代パラパラ。ここでは若い人の支持はない
ようだ。3分間ぐらいのあいさつをした民青の人は20前後だったが。
4箇所の非常灯が結構明るいのが気になりながら上映開始。

<あらすじ:配布されていたビラから3分の2を引用>
カムカッチャの沖で蟹を獲り、それを缶詰にまで加工する蟹工船
「博光丸」。それは、様々な出自の出稼ぎ労働者を安い賃金で
酷使し、高価な蟹の缶詰を生産する海上の閉鎖空間であり、彼らは
自分たちの労働の結果、高価な製品を生み出しているにも関わらず、
蟹工船の持ち主である大会社の資本家達に不当に搾取されていた。

情け知らずの監督者である浅川は、労働者たちを人間扱いせず、
彼らは懲罰という名の暴力や虐待、過労と病気(脚気)で倒れてゆく。
初めのうちは仕方がないとあきらめる者もあったが、やがて労働者
らは、人間的な待遇を求めて指導者??のもと団結してストライキに
踏み切る。


※指導者との表現に違和感をもったので??をつけました。むしろ、
労働者側に強力な指導者・主人公がいないのが特徴。

<感想>--注)開始30分あたりで意識がとんだところあり。

ひとことで言って、無茶苦茶ですがな。暴力・殺人当たり前。
『反抗する者は銃殺されるものと思うべし』なんて書いて貼って
あるんですから、海外ではいざ知らず今の日本からみると現実離れ
しているとしか思えません。さらに暴風雨(ここの映像は迫力あり)
のなか海に流されてゆく人がでてくるのですが、この人は流されて
行方不明になったということだと思うのですが、なぜか同僚の反応
もいまひとつ。ほかにも仲間内が殺されるシーンがあるからいいか
と思ったわけではないでしょうが、最初の人の死の表現はもっと
丁寧にあつかってほしかったです。

もうひとつ盛り上がりに欠けたところとしては、船の中に蟹の缶詰
をつくる工場があるのですが、その動きがあまりテキパキとして
いなかったこと。コンベアが早く動かなかったのかもしれませんが
いきなり暴力・病気で倒れる・死亡との描写に実感がついていけま
せんでした。労働者側の暗くジメジメした劣悪な職場や住環境、
役者さんの風貌はよかっただけに残念なところです。

一方で、悪の権化ともいうべきワンマン監督は、風貌といい行いと
いい迫力満点。船にも海にもマッチして主演男優賞ものです。悪で
ありながら働き者。船の中のサロンには会社の背広組も乗り込んで
いてあそんでいるのですが、そういう人からのプレッシャーもあり
収穫の数値をあげるために少しの飴と無数のムチ、無法の限りを
つくして奮闘する様は、興味深い人間像になっていました。

後半は、労働者が団結してゆくダイナミックな動きがあり、なぜか
急に盛り上がって対戦モードに入ります。ここの労働者の表情は
見ごたえがあるのですがストーリー的には実感がわきませんでした。
さらに唐突に、こんなところで終わっていいの?というところで
終わっています。原作とは逆の『団結しても無駄ですよ。』という
メッセージを受け取りました。その方があたってたりするのが
怖いところです。

もうひとつ原作と大きく違うのはロシア人との遭遇がないこと。
原作では漂流して戻ってきた労働者が”岸に打ち上げられロシア人に
助けられ『労働者戦え!大丈夫!』見たいなことを言われた
という話があります。原作は戦前、映画は戦後の違いか?
できすぎた話なのでカット?見逃したとしたら残念。

最後に「蟹工船」ブーム。フリーター、派遣労働者に似てる??
似てるとは思わないけど、原作短いしストーリー展開はおもしろいし
ネットでタダなので読んでみるのもいいかも?

<関連URL>
白樺文学館 多喜二ライブラリー。
5つの作品がPDF、うちひとつは音声でも無償で提供されています。
http://www.takiji-library.jp/
原作:小林多喜二「蟹工船」
http://www.takiji-library.jp/collection/read/kanikousen/kanikousen.pdf
30分で読める・・・大学生のためのマンガ「蟹工船」
http://www.takiji-library.jp/collection/read/kanikousen/kani_cmc.pdf

ブームのきっかけとなったといわれている新聞記事
「格差社会:08年の希望を問う 高橋源一郎さん・雨宮処凛さん対談」
毎日新聞 2008年1月9日(毎日新聞のURLは既に消されているのですが
引用しているブログです。)
http://wajin.air-nifty.com/jcp/2008/05/post_4c16.html

映画「蟹工船」を見ませんか?というブログ
映画ビラの表情がいい。
http://plaza.rakuten.co.jp/kanikousen/

蟹工船・党生活者 (新潮文庫)
小林 多喜二
新潮社

このアイテムの詳細を見る


蟹工船

北星

このアイテムの詳細を見る


マンガ蟹工船―30分で読める…大学生のための
小林 多喜二,藤生 ゴオ,白樺文学館多喜二ライブラリー
東銀座出版社

このアイテムの詳細を見る


蟹工船 - goo 映画
蟹工船@映画生活
「蟹工船」の映画詳細、映画館情報はこちら >>




最新の画像もっと見る

2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
現実と「リアル」 (内藤)
2008-09-07 19:03:23
あの監督役、役者ではなく本当の漁夫だとか。

また、カムチャッカでの操業の様子は、ドキュメントして実際の就労を撮影したものだといいます。

ここに「現実」と、今日の「リアル」とのギャップがあるようですね(笑 
返信する
Re:現実と「リアル」 (もっきぃ)
2008-09-07 20:59:28
本物の漁夫ですか。ほかにも出てないんでしょうかねえ。この一作で終わるには惜しいです。一方、山村聡とかの若い頃というのは、おもかげもみつけられませんでした。

それにカムカッチャは、実際の操業ですか!!
映画の途中で「ソ連領海」と、メインタイトルのような大きさで書かれていたのは、本当にそのあたりと
いうことかもしれませんね。

もう一度みたくなりました。
返信する

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。