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もっきぃの映画館でみよう(もっきぃの映画館で見よう)

年間100本の劇場鑑賞、音声ガイドもやってました。そんな話題をきままに書きます。ネタバレもありますのでご注意を。

SAYURI(さゆり) 「シカゴ」の監督が描くエキゾチックジャパンの美、おめでとうチャン・ツィイー

2006-01-10 00:27:45 | さゆり
タイトル:SAYURI  
ジャンル:女のドロドロと純愛/2005年/146分
映画館:京都・TOHOシネマズ二条プレミアスクリーン(68席)
鑑賞日時:2006年1月4日(水),15:45~ 68席完売(3回目の鑑賞)
私の満足度:90% 
オススメ度:70% 

<冒頭>
暗転。かぜの音、波の音、雷。
黒い雲、大きな波、岩の多い浜辺。
雨のなか干してある網をとおして、海岸に小船が見える。
あわただしく漁師たちがいききする。
画面右下に、メインタイトル Memoirs of a Geisha
松の木越しに、海を間近に、かやぶきの小さな家。

夜、家の中。
白髪丸刈りの男(田中さん?)「さかもとさん、やれることはみんなやったなあ」
深いしわの男(父)「わたしんとこに、もう、な、なにもありません」
しんどそうに横たわっている母。
心配そうに戸の隙間からみている幼い瞳(大後寿々花)、
後の姉をみて、二人手を握り合う。

夜明け前、家の外、男の影。

(激しい、笛と太鼓)
朝、突然、父に起こされ連れ出される姉妹。横になり目をつぶったまま動かぬ母。
千代「お父さん、くるんでしょ」
父「大丈夫」
馬車の後に乗せられる二人。鞭が入り、発車。馬に跨る男が一瞬振り返る。
悲鳴のなか遠ざかる馬車。見送るお父さん、しわしわの顔に涙が流れる。
泣き顔の妹を後から姉がだきしめる。森の中を走る馬車。

駅のホームを男に押されるように小走りの姉妹。(登場以来、そまつな着物姿)
男が一枚の紙を受け取り、二人を別の男に預ける。
姉妹「田中さん、田中さん!!」の叫びも届かず二人は別の男に押し込まれるように
汽車に乗せられる。汽笛。ホームに残る男。
山間、田園風景の中の橋を蒸気機関車が白い煙を発しながら進む。

(ナレーション)これは語ってはならない禁断の世界。
※母が病気であると父がに聞いたこと、自分は水の性分、
 姉は木の性分と言われたことなど、ナレーションがつづくなか
 汽車は「みやこ」と書かれた駅に着く。
人力車に乗せられて、少しチャイナタウンチックな京の花街を
通り過ぎてゆき、格子戸の家の前に止まる。

格子越しの家の中、濃い化粧で着物姿。後から、火打ち石の音と伴に火花が散る。
ハットするような美しさの芸者(初桃、コン・リー)がでてくる、格子戸をひらけ
そばにいる姉妹をチラリとみさげて、夜の街へと消えてゆく。一瞬言葉を失う姉妹。
つづいて、火打ち石を打っていたおばさんがでてくる。
「田中さんのところから?」
「やくそくの姉妹です」
「このこだけ」
おばさん、千代をつかんで中に引き入れ、格子戸を閉める。
姉妹「佐津!」「千代!」「佐津!!」「千代!!」
男、姉をつかんで再び人力車に乗せ走り去る。

※ここまでの感想
原作を読んでいただけに、あまりにも早い展開に驚きながらも、
千代(さゆりの子供時代)役の大後寿々花のかわいさに目を
奪われる。ミステリアスな雰囲気のなか、物語にぐんぐん引き込まれ
ていきました。初桃登場のシーンは、原作を読んだときは、
前半(50ページぐらい/全体は600ページ)の見せ場のひとつと
思っていましたが、開始5分でいきなりきたなって感じ。
でもさすがにコン・リーの氷のような美しさは、はまっていましたね。
つかみはOK。このあと、おばさんが「お母さん」の桃井かおりに、
千代を紹介するシーンへと続きます。

<ストーリー、gooのあらすじ、解説の詳細より>
9歳で花街の置屋へ売られた千代は、下女として働いていた。
ある日、辛さに耐えられず泣いていた千代は、「会長さん」と呼ばれる紳士から
優しく慰められ、いつか芸者になって会長さんに再会したいと願うようになる。
時が経ち、15歳になった千代は、芸者の中でも評判の高い豆葉に指導を受け、
「さゆり」としてその才能を開花していく。
そしてついに、会長さんと再会することになるが…。

アーサー・ゴールデンの小説「Memoirs of a Geisha」を、『シカゴ』の
ロブ・マーシャル監督が絢爛に映像化した話題作。西洋の目から見た花街を
妖艶でミステリアスに描きつつ、その厳しい世界で信念を貫き通した芸者、
さゆりの、純粋で一途な心を映し出していく。ヒロイン、さゆり役を演じるのは、
可憐な容姿に強さを秘めたチャン・ツィイー。初桃には、大女優コン・リーが扮し、
鬼気迫る演技を見せつけている。豆葉を演じたミシェル・ヨーは、
凛とした美しさを発揮。渡辺謙、役所広司ら日本を代表する俳優たちなど、
キャスト一堂がそれぞれのキャラクターにピッタリとはまっている。
花街に渦巻く人間模様をリアルに見せた大作。

<感想>
日本の芸者を中国人女優が演じ、ハリウッドが映画化。これだけで非難をあびるのは
予想通り。ブログでもボロクソ書いているものも多い。私もズッコケるのではとも
思っていた。が、私は映画としても役者さんの演技も素晴らしいと思いました。
特にチャン・ツィイーの生き方を、さゆりの生き方に重ね合わせて、
厳しい世界で志を高くもちつづけるふたりの生き方に感動。

雑誌CUT100で読みましたが、主演の候補としてはアメリカTV「LOST」出演中で
韓国映画「シュリ」のヒロインを演じたキム・ユウジンもあがっていたが
「芸者でのハリウッドデビューは嫌」と断ったそうです。「シュリ」の時に
ノーギャラでもやりたいと申し出た彼女らしさを感じます。これも立派。

一方ヒロインを射止めたチャン・ツィイー。正直言って、主演クラスが中国人
と聞きこの映画コケチャウのでは?との不安も大きかったです。チャン・ツィイーが
出演した2001年のハリウッド映画「ラッシュアワー2」では、いかにもアメコミに
でてくる東洋人のような化粧で、折角の美貌が消えていたのも不安材料。
このときジャッキー・チェンは「ギャラのことなんて一切考えず、ちゃんと作品
選びをしていくべきだと思う。例えば、コン・リーのように」とアドバイスした
そうです。それはともかく、見事に私の不安を覆してくれました。ロブ・マーシャルが
「単にその役に最も適した俳優を選ぶべき」という言葉どおりであったと思います。

5年前にスピルバークに会ったときに、ツィイーは「私を使ってください」とお願いし、
芸者役について「どんな役でもこなすのが役者というもの」と言い演じきった強さは、
花街に生きる女性の強さに通じるようなものを感じました。私の大好きな映画「おもちゃ」
(東映・深作欣治監督)のなかで、主人公(宮本真希)が舞妓となり水揚げをする前に、
置屋のおかあさん(富司純子)に「あんたほんまにええんんか」と聞かれ
「うちは早く舞妓になってそれから芸者になってお金がとれるようになりたいのどす」
と言ったシーンを思い出したました。

もともと中国・香港のみならず韓国・日本・ハリウッドの映画にも出演してきた
ツィイー。ハリウッド大作での主役を目的にされていたということはないでしょうが
やはりひとつの頂点。ワールドプレミアで出演者を代表して英語であいさつするときの
緊張感をみても、その重さ、その業界のすざまじさは想像を絶するものがあること
でしょう。だからこそ、ラストシーンを見たとき、チャン・ツィイーおめでとうと
叫びたかったです。

この映画については、まだまだブログを続ける予定です。

gooの引用ページ
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD7886/story.html

公式HP
http://www.movies.co.jp/sayuri/

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25 コメント

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Unknown (ながて)
2006-01-10 02:31:40
トラックバックありがとうございます。

緻密な解説恐れ入ります。



私は職業柄どうしても見方が厳しくなってしまうんですが、エンターテイメントとしては十分楽しめる作品でもあると思います。

返信する
Unknown (もっきぃ)
2006-01-10 03:05:24
ながてさんへ



ブログ見させていただきました。厳しいですねえ。私はすんなり楽しんだ口です。3回見ましたが、左前の人がいたなんて気づきませんでした。おっしゃるようにファンタジーですね。
返信する
Unknown (ながて)
2006-01-10 03:54:05
3回も見たんですか?すごいですね。



えっとですね、左前に関してですが、確か目立ったところだと、さゆりがまだ置屋に来た手の頃、コン・リーが赤い長襦袢で自分の部屋からで敵て、初めて意地悪するシーンなんですけどね。

一見分からないかもしれないけど、ん???

ってちょっと思ったんですよ。

あたしは一回しか見てないので、見間違いでなければ、確かそうかな。



まあだからといって、大した影響ないんですがw

ちょっと冷やかしてみただけですのでw



興味があったらチェックしてみてください(笑)
返信する
どうも~ (cyaz)
2006-01-10 08:55:06
もっきぃさん、TBありがとうございましたm( )m



いろんな見方があるとは思いますが、日本人から見ても独特の世界がある世界ですから、より叙情的に多少の違和感は捨ててみれば、良い作品に仕上がっていたのではないでしょうか?

所詮、外人の目から見た世界ですので(笑)

でも、ミシェル・ヨーの演技は素晴らしいと思いました桃井かおりさんも^^



TB何故か貼れませんでしたm( )m

http://blog.goo.ne.jp/cyaz/e/50a03247e69918cf0303d64c4b1fa06e
返信する
TBありがとうございました (ミチ)
2006-01-10 09:09:54
こんにちは♪

そうですね、ボロクソにけなされている方もたくさんお見かけしますね~。

同じものを見ても感想が一人一人違うのは当然なのですが、こういう「ニッポン」を描いた作品はもっともっと評価が厳しくなるわけで・・・。

私自身は見る前に抱いていた不安が消されるほど、女優さんたちの演技が素晴らしかったです!

返信する
TBありがとうございます (shiro_taka)
2006-01-10 09:19:27
はじめまして。

丁寧に、かつわかりやすく記事をまとめられていて

興味深く拝見しました。



日本の俳優さんたちもがんばっていると思うのですが(もちろんこの作品以外でも)

アジア女優軍の気合には一歩及ばず…の感があると思います。

こちらからもTB送らせていただきます。
返信する
TBありがとうございました。 (foo)
2006-01-10 10:20:29
とてもきちんと解説されていて、感情論のみで突っ走る私にまでTBいただきありがとうございます。



この先も楽しみにしております。
返信する
Unknown (あいり)
2006-01-10 11:37:33
TBありがとうございました!

「みやこ」と言うからには東京都かもしれませんね。

京都と明言してましたか?見落としました。汗

日本が外国を描いても、どれだけ正確か?には疑問がありますよね。



桃井さんがとにかく素晴らしかった!

彼女にオスカーを!笑



返信する
本作に疑問あり (マダムクニコ)
2006-01-10 11:55:41
>ツィイー。ハリウッド大作での主役を目的にされていたということはないでしょうが

やはりひとつの頂点。



同感です。

国際化は時代の流れ。本作の配役については評価します。

しかし、内容については、バックラッシュ路線を疑うことも必要ではないかと・・・。

返信する
Unknown (ナマケモノ)
2006-01-10 15:40:30
TBありがとうございます。

“もっきぃ”さんのブログ、始めてみたのですが、映画を観た時の画面を思い出させる、すごい描写ですね。(まるで、北島マヤのようです。)

ハリウッドが作ったアジア映画、それも日本映画としては、素晴らしい出来だと思いますよ。

何より、俳優陣の気迫を感じる作品です。



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