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鳴かず飛ばず

2005-08-09 20:20:21 | 十八史略を読む
十八史略を読む-61 戦国の七雄-5 楚 その2 鳴かず飛ばず
「十八史略:徳間書店発行、丸山松幸、西野広祥編訳、1987年7月九刷」から

楚は穆王(ぼくおう)を経て荘王(そうおう)の代となった。

しかし荘王は、即位以来三年間、政令一つ出さず、日夜酒宴にふけっていた。そして国中に「あえて諫めるものは死刑に処す」というおふれを出した。

たまりかねた臣下のうち、伍挙(ごきょ)という者が「岡の上に一羽の鳥がいて、三年の間、飛びもしなければ鳴きもしません。いったいどうしたことでしょう」と皮肉を言った。

すると王は答えた。「三年も飛ばないのは、ひとたび飛べば天まで高く飛ぶためだろう。三年も鳴かないのは、一旦鳴けば世間を驚倒させるためだろう」

蘇従(そじゅう)という臣下も、王の前に進み出て諫めた。すると王は、左手で蘇従の手を取り、右手に剣を握って、酒宴のための鐘や太鼓をつるした紐を一気に断ち切った。

その翌日からというもの、荘王は政務にいそしみ、伍挙、蘇従を重く用いた。これを知った国民は喜びにわいた。

荘王はさらに賢人孫叔敖(そんしゅくごう)を宰相にして、ついに諸侯に覇をとなえるに至った。


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