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裁判員制度 = 弁護士会はどうした?

2005-08-22 02:50:13 | Weblog
 裁判員制度の施行まであと4年になったが,ここにきて弁護士会の動きが鈍い。司法制度改革の骨格が固まるまでは,弁護士会が一番元気で,かなり強気の提案や提言をどんどん出していたはずなのに,制度ができてしまうと,何か元気がない。

 とりあえず,ホームページを覗いてみた。

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 最高裁は,トップページの裁判員制度へのリンクこそ小さい(他もみんな小さい。)が,一旦裁判員制度のページに飛ぶと,絵入りの解説や,Q&Aがかなり充実している。制度の解説だけではなく,資料集の中には,裁判員制度が適用になる事件数の見通しや,裁判員になる確率まで出ている。裁判員制度広報に関する懇談会というものも行われているらしい。「最高裁判所ホームページでは,裁判員制度について,新しい情報をできるだけ早くお知らせしていく予定です。」という文章も入っている。

 「裁判員制度施行までのスケジュールのイメージ」という資料によると,規則の制定と平行して,「裁判所・裁判制度に関する親和度の向上」「広報活動の実行」ということが課題として示されている。

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 法務省は,トップページにちょっと大きめのリンクアイコンがある。ここから裁判員制度のページに飛ぶと,法務省作成のパンフレットが出ている。このパンフレットによると,法務省には,「法務省裁判員制度広報担当」が置かれて,模擬裁判,出前教室,説明会,イベント・お祭りへの出展,執筆から,テレビ出演(バラエティ歓迎とまである。)まで対応するとある。

 ページの内容は,中身については最高裁ほど詳しいものはないが,タウンミーティングの開催報告など,いろいろやってますよ~という雰囲気である。

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 日弁連では,トップページに,法務省よりちょっと小さめのリンクアイコンがある。ここから裁判員制度のページに飛ぶと,中身はほとんど文字ばっかりの(それもフォントが小さい!),解説だけのページである。

 裁判員ニュースという2ページのパンフレットが,3月6月に発行されているとのことで,PDFで読めるようになっていて,大和田獏氏との対談なども掲載されていて,取調の録音が必要とか,裁判員制度を根付かせるためには小学校からの教育が必要とか,大きな話は出ているが,肝心の,裁判員制度の実施までに,弁護士会があと4年で何をするのか,ということには,特段触れられていない。

 日弁連で今年になって実施したことは,弁護士対象の研修を2回(1月と6月)やったという今年かでていない。

 司法への国民参加ということを強力に推進してきたのは弁護士会だったはず(裁判所とか法務省はむしろ抵抗勢力だったという印象をもっている。)なので,これまでの取組みに比べると,今の日弁連HPでの裁判員の取扱いは,ずいぶんと地味な感じがする。

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 一体弁護士会はどうしたのだろう?。

 確かに,弁護士会の主張としては,陪審制だったから,裁判員という中間的な制度に落ち着いたということで,対応に苦慮しているということもあるだろう。

 しかし,裁判官の世間知らずや,捜査の密室性を批判するとともに,司法に市民感覚を取り入れる必要があることを強く主張したのは,弁護士会である。すべての弁護士が同じ意見ではないにしても(そんなことは絶対にあり得ない。),「会として」国の重要な施策を決める時に,そのような意見を申し入れたことは否定できないことである。

 一応曲がりなりにも(相当曲がったという人もいる。),市民感覚を取り入れる方向で制度が決まったわけだから,弁護士会としては,これを活用しない手はないはずである。司法に市民感覚を取り入れることが,公正な裁判を実現する大きな方策だというのだから。

 で,平成16年5月の読売新聞の意識調査の結果からしても,裁判員制度の認知度はまだまだ低いし,自分が裁判員に選ばれても参加したくないという意見が過半数という現状からすると,ともかく,裁判員制度の広報活動をして,国民に正しい認識を持ってもらい,その中から,徐々に出も裁判員となることへの抵抗感を減らしていくことしか方法がないと思える。

 少なくとも,最高裁と法務省は,そのような認識で一致している。しかし,このような重要な広報活動を,元々抵抗勢力であった官の側に任せておいてよいものだろうか?。弁護士会は,自らの理念を実現するために,もっと積極的に活動すべきではないかと思うのだが。


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