昨日は県議会一般質問でした。
使用済み燃料がたまりつづける、実効性ある避難訓練もやられないなかで相次ぐ再稼働。過労のなかで交通事故が多い教員の現場、福井市での産業廃棄物最終処分場建設、新幹線敦賀開業後の特急存続などを取り上げました。
県が重大問題で県民への説明責任を果たしていないことがますます浮き彫りとなりました。
■
1、西川県政は県民の意見を聴くべき
―― 原子力、産廃最終処分場など ――
●原発
日本共産党の佐藤正雄です。
福島原発事故を忘れたかのように相次いで再稼働がすすむことに多くの国民、県民から怒りと不安の声が広がっています。
知事は代表質問への答弁で「新規制基準に適合した原発の再稼働を認める、ことにとどまらず原子力の重要性、安全性について国が国民に説明すべき」などと語気を強めて答弁しました。
しかし、福井県民の命と安全にまず責任をもたなければならないのは知事であり、国まかせの主張を繰り返す知事の姿勢は問題です。
具体的には、ひとつは再稼働によってさらに累積し続ける使用済み核燃料の問題を先送りし、もうひとつは集中立地地域での相次ぐ再稼働によって過酷事故の可能性が生じているにもかかわらず有効な住民避難体制が未確立であるということです。
この2つの課題の解決の見通しのないまま再稼働だけ認めていくのは、国の無責任であるとともに、県知事が無責任であります。
知事はエネルギー基本計画云々といいますが、そもそも福井県の原発再稼働を要望した電力消費地の自治体があるのでしょうか。原発の電気がなければ停電するわけではないのに、危険な原発の再稼働には電力消費地からも批判の声が自治体首長や住民から聞こえてくるばかりではありませんか。
★そこでおたずねします。知事が重要な2つの課題を先送りして再稼働を認めていく姿勢は県民と県土の利益を毀損します。
第一に、使用済み核燃料はすでに原発運転開始当初からのものもふくめ長いものでは約40年間にわたって使用済み燃料プールにあるわけで、事実上の中間貯蔵状態となっています。知事がこの解決を先送りしたまま、再稼働だけ相次いで認めていくのは、ゆきつくところまでいけばいいさ、という無責任な態度ではありませんか。知事の姿勢では県内に貯蔵される使用済み核燃料はさらに増え続け、40年、50年、60年とあいまいな形での中間貯蔵状態を福井県に押し付けられるのではありませんか、はっきりとご答弁ください。
★第二に、昨年8月に高浜原発事故を想定しておこなわれた県外もふくむ広域避難訓練は、はじめての取り組みということでもあり、スクリーニング体制、ヨウ素剤服用、大地震など災害と重なった場合の検証、全住民避難の交通手段と避難所確保、県外受け入れ自治体との連携などなど多くの課題が持ち越されました。
それを踏まえて、新たな広域避難計画の策定と実際に見合う住民避難訓練がおこなわれないままに集中立地地域での相次ぐ再稼働だけ認めていくのは複数原発が同時発災した福島原発事故の教訓を無視するものではないのですか。まずは一番に住民の安全確保と避難体制の確立、訓練ではありませんか、知事の見解をおたずねします。
●原発再稼働反対の市民団体への自粛要請
ところで、福井県庁は県庁前で福島原発事故以降、再稼働反対を訴えつづけている市民団体にたいして活動の自粛要請をおこないました。このようなことは全国でも異例のことで、全国マスコミでも言論に対する干渉行為として大きく報道されました。県は市民団体の公開質問に対して、「景観保護のためのお願いであり問題ない」と回答した、と報道されています。
このようなあいまいな「景観保護のため」などという論法が適用されるなら、県内各地の県民によるさまざまなテーマでの街頭活動にたいして干渉できることになってしまいます。
たとえば、県庁前だから目障りなのか、福井市役所や高浜町役場前なら景観保護に支障がないのか、まったく不明瞭です。
いやしくも福井県庁たる行政機関がこのような法的にあいまいな屁理屈で県民にたいして公文書をだしたことは大問題ではありませんか。
国会、官邸周辺などでもかつての安保闘争や沖縄返還闘争、米価闘争、最近の再稼働反対、共謀罪反対にいたるまで国民が声をあげ続けています。しかし戦後70年あまり、このような国民の行動に公文書で自粛要請した政権などありません。
それは集会であれ、デモであれ、演説であれ、国民主権のひとつの表現として日本国憲法で認められているからです。
★福井県庁は歴代政権すらやらなかった、ほかの県でも例がない、日本国憲法で認められた国民の活動に対する干渉を公文書でわざわざおこなったのです。
このような言論の自由を抑圧する憲法違反の公文書は知事の責任で撤回すべきではありませんか、知事の明確な答弁を求めます。
●産業廃棄物最終処分場
さて、福井市の清水地区で巨大な産業廃棄物最終処分場計画が進行し、地元説明会もおこなわれています。
住民の間では敦賀のキンキクリーンセンターのように事業者が経営を放棄するなどの事態がおこれば県が同様に責任をとってくれるのか、などの不安もあるようです。
先日は大森地区の自治会会長さんらの連名で福井県と県議会にも「産業廃棄物最終処分場建設反対の要望書」が提出されました。建設予定地が志津川の広い下流域を潤す農業用水・生活用水の水源にあることから危機感が流域住民を中心に高まっています。
現在は福井県が許認可権限を有していますが、福井市の平成31年度からの中核市移行にともないその権限と責任は福井市に移ります。ならば、福井市が中核市になった時点から審査をおこなえばいいのですが、福井県は駆け込み的に審査をすすめようとしているところにも問題があります。
ところが不思議なことに地元住民への事業者の説明会には県の担当者は参加せず、福井市の担当者が参加し、その内容を県に報告しているとのことです。
県としては福井市の事務になるのだからしっかりみてもらう、とのことですが、現在の許認可権限をもつ福井県の姿が福井市民、地域住民にみえないのはあまりに不自然ではありませんか。
また、2月議会でも質疑しましたが、この処分場の営業時期と原発の廃止解体時期とが重なってきます。かつては100ベクレル以上は低レベルの放射性廃棄物扱いでしたが、福島原発事故後に国は基準を緩和し、80倍の8000ベクレルまでは焼却や埋め立てが可能となりました。いいかげんな基準緩和であります。
浸出水であれ、焼却炉の冷却につかうことによって大気中に拡散する水蒸気であれ、放射性物質の管理が必要になります。
★そこで質問します。反対要望書をだした大森地区はじめ福井市民の間で高まっている疑問や不安を県はどう認識しているのですか。県としてただちに福井市とも相談し必要な説明会を開催すべきではありませんか、おたずねします。
また、県は原発解体によって発生する放射能を帯びた8000ベクレル以下の廃棄物の処分をこの処分場で認めるのか、認めないのか、お答えください。
●間伐事業
次に林業行政についてです。
福井市などで森林組合による間伐事業で地域住民との間のトラブルが報道されています。許可してないのに勝手に木を切られた、とか、高く売買できる木まで伐採された、などの苦情をお聞きしました。
関係者のお話をお聞きしますと、問題の大本には所有権、つまり所有境界線の不明確さがあります。参考になるものとして昔の県庁職員が作成した森林計画図がありますが、これは空中写真や公図、聞き取りによる間接調査で昭和40年代に作成したものであり、林況や所有界は現地で実測や確認したものではないとお聞きしました。
また、今回のような対立に発展したのは森林組合の対応のまずさも指摘されています。直営でなく下請けが作業していることで二重三重に作業についての関係住民とのコンセンサスと、トラブル発生の際の対応に不備が生じたのではないでしょうか。
★そこで質問します。従来から指摘されていますように、このような問題の発生を防ぐ根本は所有の境を地籍調査によりはっきりさせることではないでしょうか、見解をおたずねします。また、県は間伐後のチェックなどには補助金事業であるため万全を期しているようですが、このようなトラブルについても未然に防ぐよう指導していただき、森林組合、住民と一体となって山林を守り育て、必要な間伐事業が円滑に促進されるようにすべきではないでしょうか、見解をおたずねします。
2、過労死再発となりかねない教育行政
●教育行政
つぎに教育行政について質問します。
4月の県立学校教職員の超過勤務時間に関する実態調査報告によれば、652人の集計のうち、80時間以上が171人26パーセントもおります。141時間以上21人、161時間以上11人などとまるで24時間労働に近い方までいます。あらたな過労死予備軍ではありませんか。
県教委は超過勤務時間が80時間超える教員に対して校長、教頭が個別指導を行え、としています。
教員の側からは「過重な仕事を押し付けられて怒られるのではたまらない。」と80時間以下に修正する教員もおられるとお聞きしました。
2月県議会でも指摘しましたように、業務をスクラップせずに県独自テスト導入などビルドを重ねている県教委に問題の根源があります。
4分の1を超える教員が80時間を超える過労死に追い込まれかねない勤務実態を個々人の教員の業務管理の責任に転嫁してはなりません。責任は県教委の現場への業務割り当てにあるのであり、ここを1割、2割とスクラップし、現場の教員がほんらいの生徒指導に集中できるようにすべきではありませんか。
★この数年間の県独自テスト導入など新たな新規事業についてそのすべてを対象に見直しを求めます。二度と福井県教員から過労死をうまない、そのためには思い切った業務内容と勤務時間の削減は学校現場任せではなく、県教委の責任で取り組む決意をおたずねいたします。
★ところで、この教員の過労が交通事故の原因にもなります。
学校外での部活動の指導に向かう途中の教員が交通事故を起こし、失職になった事例もある、とお聞きしました。もちろん、過労だからと言って、交通事故を合理化はできません。
バスやトラック事故の際には、国も労働実態を調査し、マスコミなどでも報道されます。
福井県の教員はどうでしょうか。県独自テスト作成委員の交通事故や、部活動指導に向かう教員の交通事故など背景を分析することは必要ではないでしょうか。
そこでおたずねします。今年6月までの5年間で教員側の過失による交通事故件数と、うち休日以外の交通事故件数、これによる処分内容と件数をおたずねします。
3、来年4月からの国保新制度で値上げか?
●国保県単位
つぎに来年度からの国保県単位化について質問します。
県は各市町の赤字を計画的に解消する方針や収納率向上をしめしています。これに対し、市町からは「住民にとって相当な負担増となるため2年ごとの保険税改定を考えている」「赤字解消には長期間かかる」「新制度で負担増となるために、収納率の落ち込みが予想される」などの意見がだされています。
ある意味、今回の国保新制度はこれまでも高額の保険税を賦課してきたものをさらに増税し、ぞうきんをしぼるようにじわじわと県民をしぼりあげていく恐れがあります。
県単位の制度となり、国保税の増税に対して市町は当然激変緩和措置を考えるわけですが、保険税引き上げが繰り返される恐れがあり、県民にすれば真綿で首をしめられるようなものです。
つまり来年4月のスタート時は大きな負担増を避けながら3年、6年とたってみれば市町単位の国保時に比べて大幅に引き上げられている懸念があります。
住民からすれば、国保税の負担は増え、逆に医療は制約が強化されていくという生き地獄のような制度になりかねません。
★ところが、このような重大な制度変更がまったくと言っていいほど県民に周知されていないのは大問題ではありませんか。県と市町の責任で最低各自治体での説明会を開催し、来年4月からの試算と、その後3年後、6年後などの中期的な試算で負担がどう変わるのか、また県や市町として医療にどういう姿勢で取り組んでいくのか、の説明会を開催すべきではありませんか、おたずねします。
県民の命綱の国保に関することであり、おざなりのパブリックコメントだけにとどめるのではなく、ていねいにすすめるべきであります。
4、北陸本線の伝統・利便性と特急存続
●特急存続
最後に新幹線敦賀開業後の特急存続について質問します。
九州でのFGT開発が難しいことが濃厚となりました。九州で無理ならさらに雪対策などの条件が厳しい北陸ではいっそう難しくなります。県として国とJR西日本にたいして開発スケジュールがいっそう不透明となったFGTは中止を決断し、FGT導入に係るアプローチ線の費用等として予定していた300億円の事業費も活用して特急存続へのアプローチをおこなうべき、と働きかけるべきです。
その際、敦賀駅での新幹線と在来線特急乗り換えの試算は5分と発表されましたが、いったん乗り換えが発生するという大きなマイナスを軽く見るべきではありません。
北陸本線に戦後間もなくの1947年に急行で関西と北陸がむすばれて以来、高速列車が敦賀で寸断されたことはなく、仮に新幹線によってそのような事態になれば関西―北陸間の交通の歴史、先人たちが築き上げてきた伝統と利便性に大きな汚点を残すことになります。私たちが県政を担っている時にこんなことでいいはずはありません。
しかしながら国土交通省は新幹線と在来線特急の上下乗り換え案を決定しました。これは新幹線認可時の議論にはなく、わたしは不当だと思います。
★それをふまえたうえで、次善の策を考えれば、新しくつくられる新幹線敦賀駅下からの発着特急と、現行の北陸本線特急路線の併存が一番あらたなコスト発生を抑制することができ、北陸―関西間の従来の利便性を最大限維持できる手法ではないでしょうか。つまり関西からの利用者は、北陸新幹線を利用して長野などへ行きたい方は敦賀どまりで新幹線ホームの下に到着するサンダーバードを利用し、鯖江、武生や福井に行く方は現行のルートでのサンダーバードを利用するということです。
特急存続への知事の見解をおたずねし、質問を終わります。
使用済み燃料がたまりつづける、実効性ある避難訓練もやられないなかで相次ぐ再稼働。過労のなかで交通事故が多い教員の現場、福井市での産業廃棄物最終処分場建設、新幹線敦賀開業後の特急存続などを取り上げました。
県が重大問題で県民への説明責任を果たしていないことがますます浮き彫りとなりました。
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1、西川県政は県民の意見を聴くべき
―― 原子力、産廃最終処分場など ――
●原発
日本共産党の佐藤正雄です。
福島原発事故を忘れたかのように相次いで再稼働がすすむことに多くの国民、県民から怒りと不安の声が広がっています。
知事は代表質問への答弁で「新規制基準に適合した原発の再稼働を認める、ことにとどまらず原子力の重要性、安全性について国が国民に説明すべき」などと語気を強めて答弁しました。
しかし、福井県民の命と安全にまず責任をもたなければならないのは知事であり、国まかせの主張を繰り返す知事の姿勢は問題です。
具体的には、ひとつは再稼働によってさらに累積し続ける使用済み核燃料の問題を先送りし、もうひとつは集中立地地域での相次ぐ再稼働によって過酷事故の可能性が生じているにもかかわらず有効な住民避難体制が未確立であるということです。
この2つの課題の解決の見通しのないまま再稼働だけ認めていくのは、国の無責任であるとともに、県知事が無責任であります。
知事はエネルギー基本計画云々といいますが、そもそも福井県の原発再稼働を要望した電力消費地の自治体があるのでしょうか。原発の電気がなければ停電するわけではないのに、危険な原発の再稼働には電力消費地からも批判の声が自治体首長や住民から聞こえてくるばかりではありませんか。
★そこでおたずねします。知事が重要な2つの課題を先送りして再稼働を認めていく姿勢は県民と県土の利益を毀損します。
第一に、使用済み核燃料はすでに原発運転開始当初からのものもふくめ長いものでは約40年間にわたって使用済み燃料プールにあるわけで、事実上の中間貯蔵状態となっています。知事がこの解決を先送りしたまま、再稼働だけ相次いで認めていくのは、ゆきつくところまでいけばいいさ、という無責任な態度ではありませんか。知事の姿勢では県内に貯蔵される使用済み核燃料はさらに増え続け、40年、50年、60年とあいまいな形での中間貯蔵状態を福井県に押し付けられるのではありませんか、はっきりとご答弁ください。
★第二に、昨年8月に高浜原発事故を想定しておこなわれた県外もふくむ広域避難訓練は、はじめての取り組みということでもあり、スクリーニング体制、ヨウ素剤服用、大地震など災害と重なった場合の検証、全住民避難の交通手段と避難所確保、県外受け入れ自治体との連携などなど多くの課題が持ち越されました。
それを踏まえて、新たな広域避難計画の策定と実際に見合う住民避難訓練がおこなわれないままに集中立地地域での相次ぐ再稼働だけ認めていくのは複数原発が同時発災した福島原発事故の教訓を無視するものではないのですか。まずは一番に住民の安全確保と避難体制の確立、訓練ではありませんか、知事の見解をおたずねします。
●原発再稼働反対の市民団体への自粛要請
ところで、福井県庁は県庁前で福島原発事故以降、再稼働反対を訴えつづけている市民団体にたいして活動の自粛要請をおこないました。このようなことは全国でも異例のことで、全国マスコミでも言論に対する干渉行為として大きく報道されました。県は市民団体の公開質問に対して、「景観保護のためのお願いであり問題ない」と回答した、と報道されています。
このようなあいまいな「景観保護のため」などという論法が適用されるなら、県内各地の県民によるさまざまなテーマでの街頭活動にたいして干渉できることになってしまいます。
たとえば、県庁前だから目障りなのか、福井市役所や高浜町役場前なら景観保護に支障がないのか、まったく不明瞭です。
いやしくも福井県庁たる行政機関がこのような法的にあいまいな屁理屈で県民にたいして公文書をだしたことは大問題ではありませんか。
国会、官邸周辺などでもかつての安保闘争や沖縄返還闘争、米価闘争、最近の再稼働反対、共謀罪反対にいたるまで国民が声をあげ続けています。しかし戦後70年あまり、このような国民の行動に公文書で自粛要請した政権などありません。
それは集会であれ、デモであれ、演説であれ、国民主権のひとつの表現として日本国憲法で認められているからです。
★福井県庁は歴代政権すらやらなかった、ほかの県でも例がない、日本国憲法で認められた国民の活動に対する干渉を公文書でわざわざおこなったのです。
このような言論の自由を抑圧する憲法違反の公文書は知事の責任で撤回すべきではありませんか、知事の明確な答弁を求めます。
●産業廃棄物最終処分場
さて、福井市の清水地区で巨大な産業廃棄物最終処分場計画が進行し、地元説明会もおこなわれています。
住民の間では敦賀のキンキクリーンセンターのように事業者が経営を放棄するなどの事態がおこれば県が同様に責任をとってくれるのか、などの不安もあるようです。
先日は大森地区の自治会会長さんらの連名で福井県と県議会にも「産業廃棄物最終処分場建設反対の要望書」が提出されました。建設予定地が志津川の広い下流域を潤す農業用水・生活用水の水源にあることから危機感が流域住民を中心に高まっています。
現在は福井県が許認可権限を有していますが、福井市の平成31年度からの中核市移行にともないその権限と責任は福井市に移ります。ならば、福井市が中核市になった時点から審査をおこなえばいいのですが、福井県は駆け込み的に審査をすすめようとしているところにも問題があります。
ところが不思議なことに地元住民への事業者の説明会には県の担当者は参加せず、福井市の担当者が参加し、その内容を県に報告しているとのことです。
県としては福井市の事務になるのだからしっかりみてもらう、とのことですが、現在の許認可権限をもつ福井県の姿が福井市民、地域住民にみえないのはあまりに不自然ではありませんか。
また、2月議会でも質疑しましたが、この処分場の営業時期と原発の廃止解体時期とが重なってきます。かつては100ベクレル以上は低レベルの放射性廃棄物扱いでしたが、福島原発事故後に国は基準を緩和し、80倍の8000ベクレルまでは焼却や埋め立てが可能となりました。いいかげんな基準緩和であります。
浸出水であれ、焼却炉の冷却につかうことによって大気中に拡散する水蒸気であれ、放射性物質の管理が必要になります。
★そこで質問します。反対要望書をだした大森地区はじめ福井市民の間で高まっている疑問や不安を県はどう認識しているのですか。県としてただちに福井市とも相談し必要な説明会を開催すべきではありませんか、おたずねします。
また、県は原発解体によって発生する放射能を帯びた8000ベクレル以下の廃棄物の処分をこの処分場で認めるのか、認めないのか、お答えください。
●間伐事業
次に林業行政についてです。
福井市などで森林組合による間伐事業で地域住民との間のトラブルが報道されています。許可してないのに勝手に木を切られた、とか、高く売買できる木まで伐採された、などの苦情をお聞きしました。
関係者のお話をお聞きしますと、問題の大本には所有権、つまり所有境界線の不明確さがあります。参考になるものとして昔の県庁職員が作成した森林計画図がありますが、これは空中写真や公図、聞き取りによる間接調査で昭和40年代に作成したものであり、林況や所有界は現地で実測や確認したものではないとお聞きしました。
また、今回のような対立に発展したのは森林組合の対応のまずさも指摘されています。直営でなく下請けが作業していることで二重三重に作業についての関係住民とのコンセンサスと、トラブル発生の際の対応に不備が生じたのではないでしょうか。
★そこで質問します。従来から指摘されていますように、このような問題の発生を防ぐ根本は所有の境を地籍調査によりはっきりさせることではないでしょうか、見解をおたずねします。また、県は間伐後のチェックなどには補助金事業であるため万全を期しているようですが、このようなトラブルについても未然に防ぐよう指導していただき、森林組合、住民と一体となって山林を守り育て、必要な間伐事業が円滑に促進されるようにすべきではないでしょうか、見解をおたずねします。
2、過労死再発となりかねない教育行政
●教育行政
つぎに教育行政について質問します。
4月の県立学校教職員の超過勤務時間に関する実態調査報告によれば、652人の集計のうち、80時間以上が171人26パーセントもおります。141時間以上21人、161時間以上11人などとまるで24時間労働に近い方までいます。あらたな過労死予備軍ではありませんか。
県教委は超過勤務時間が80時間超える教員に対して校長、教頭が個別指導を行え、としています。
教員の側からは「過重な仕事を押し付けられて怒られるのではたまらない。」と80時間以下に修正する教員もおられるとお聞きしました。
2月県議会でも指摘しましたように、業務をスクラップせずに県独自テスト導入などビルドを重ねている県教委に問題の根源があります。
4分の1を超える教員が80時間を超える過労死に追い込まれかねない勤務実態を個々人の教員の業務管理の責任に転嫁してはなりません。責任は県教委の現場への業務割り当てにあるのであり、ここを1割、2割とスクラップし、現場の教員がほんらいの生徒指導に集中できるようにすべきではありませんか。
★この数年間の県独自テスト導入など新たな新規事業についてそのすべてを対象に見直しを求めます。二度と福井県教員から過労死をうまない、そのためには思い切った業務内容と勤務時間の削減は学校現場任せではなく、県教委の責任で取り組む決意をおたずねいたします。
★ところで、この教員の過労が交通事故の原因にもなります。
学校外での部活動の指導に向かう途中の教員が交通事故を起こし、失職になった事例もある、とお聞きしました。もちろん、過労だからと言って、交通事故を合理化はできません。
バスやトラック事故の際には、国も労働実態を調査し、マスコミなどでも報道されます。
福井県の教員はどうでしょうか。県独自テスト作成委員の交通事故や、部活動指導に向かう教員の交通事故など背景を分析することは必要ではないでしょうか。
そこでおたずねします。今年6月までの5年間で教員側の過失による交通事故件数と、うち休日以外の交通事故件数、これによる処分内容と件数をおたずねします。
3、来年4月からの国保新制度で値上げか?
●国保県単位
つぎに来年度からの国保県単位化について質問します。
県は各市町の赤字を計画的に解消する方針や収納率向上をしめしています。これに対し、市町からは「住民にとって相当な負担増となるため2年ごとの保険税改定を考えている」「赤字解消には長期間かかる」「新制度で負担増となるために、収納率の落ち込みが予想される」などの意見がだされています。
ある意味、今回の国保新制度はこれまでも高額の保険税を賦課してきたものをさらに増税し、ぞうきんをしぼるようにじわじわと県民をしぼりあげていく恐れがあります。
県単位の制度となり、国保税の増税に対して市町は当然激変緩和措置を考えるわけですが、保険税引き上げが繰り返される恐れがあり、県民にすれば真綿で首をしめられるようなものです。
つまり来年4月のスタート時は大きな負担増を避けながら3年、6年とたってみれば市町単位の国保時に比べて大幅に引き上げられている懸念があります。
住民からすれば、国保税の負担は増え、逆に医療は制約が強化されていくという生き地獄のような制度になりかねません。
★ところが、このような重大な制度変更がまったくと言っていいほど県民に周知されていないのは大問題ではありませんか。県と市町の責任で最低各自治体での説明会を開催し、来年4月からの試算と、その後3年後、6年後などの中期的な試算で負担がどう変わるのか、また県や市町として医療にどういう姿勢で取り組んでいくのか、の説明会を開催すべきではありませんか、おたずねします。
県民の命綱の国保に関することであり、おざなりのパブリックコメントだけにとどめるのではなく、ていねいにすすめるべきであります。
4、北陸本線の伝統・利便性と特急存続
●特急存続
最後に新幹線敦賀開業後の特急存続について質問します。
九州でのFGT開発が難しいことが濃厚となりました。九州で無理ならさらに雪対策などの条件が厳しい北陸ではいっそう難しくなります。県として国とJR西日本にたいして開発スケジュールがいっそう不透明となったFGTは中止を決断し、FGT導入に係るアプローチ線の費用等として予定していた300億円の事業費も活用して特急存続へのアプローチをおこなうべき、と働きかけるべきです。
その際、敦賀駅での新幹線と在来線特急乗り換えの試算は5分と発表されましたが、いったん乗り換えが発生するという大きなマイナスを軽く見るべきではありません。
北陸本線に戦後間もなくの1947年に急行で関西と北陸がむすばれて以来、高速列車が敦賀で寸断されたことはなく、仮に新幹線によってそのような事態になれば関西―北陸間の交通の歴史、先人たちが築き上げてきた伝統と利便性に大きな汚点を残すことになります。私たちが県政を担っている時にこんなことでいいはずはありません。
しかしながら国土交通省は新幹線と在来線特急の上下乗り換え案を決定しました。これは新幹線認可時の議論にはなく、わたしは不当だと思います。
★それをふまえたうえで、次善の策を考えれば、新しくつくられる新幹線敦賀駅下からの発着特急と、現行の北陸本線特急路線の併存が一番あらたなコスト発生を抑制することができ、北陸―関西間の従来の利便性を最大限維持できる手法ではないでしょうか。つまり関西からの利用者は、北陸新幹線を利用して長野などへ行きたい方は敦賀どまりで新幹線ホームの下に到着するサンダーバードを利用し、鯖江、武生や福井に行く方は現行のルートでのサンダーバードを利用するということです。
特急存続への知事の見解をおたずねし、質問を終わります。