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前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

前福井県議会議員・さとう正雄の活動日誌。ご意見・情報は smmasao.sato@gmail.com までお願いします。

新幹線対策特別委員会。新幹線敦賀開業時の利便性確保と国の責任。JRワンマン運転の問題。

2017年06月01日 | 福井県政
  2017年3月2日 新幹線対策特別委員会での佐藤正雄議員の質疑です。


新幹線敦賀開業時の利便性確保と国の責任

◯佐藤委員  関連で質問させてもらうが、フリーゲージトレインの問題で、私も一般質問でやったし、今も質問があった。フリーゲージトレインはもともと一つの案なんだと、それがだめになったから上下でいいんだというような議論もあるが、県民に対しては、そういうことではなかったと思う。
 この一つの案だというような言い方というのは、当初、国土交通省の委員会でいろいろな議論があった中で、フリーゲージトレイン以外にはどういう案があったのか。


◯企画幹(新幹線建設)  乗りかえ利便性ということになると、フリーゲージトレインもあるし、九州新幹線の新八代駅では対面乗りかえ等もやっている。今の上下乗りかえについても利便性の確保には間違いないと思うが、そういうふうにフリーゲージトレインだけでなく、世間一般的には対面乗りかえということも、一つの案としては出てくるものとは思う。


◯佐藤委員  私が聞いたのは、企画幹(新幹線建設)の見解ではなく、国土交通省の委員会でどういうことが議論されたのかということを聞いているのである。


◯新幹線政策監  当時、フリーゲージトレインを利用すれば、B/Cが1.1になって、貸付料が102億円出てくると。それで結局、認可に踏み切ったのだが、もう一つの案は、フリーゲージトレインなしでB/Cは1.0。ただ、収支採算性は約80億円──102億円が80億円であるというふうなことが資料に出ている。


◯佐藤委員  それで、県民にどのようにアナウンスされたかというと、当時の県民福井の一面トップであるが、2012年の新聞にどう書いてあるかというと、「敦賀開業時に在来線接続で乗りかえが必要のないフリーゲージトレイン導入を検討する国土交通省は、現在の特急サンダーバードと同程度のダイヤ編成で同区間を運行し、利便性を維持することを想定していることがわかった」ということであった。
 私も、今の国土交通省の委員会の記録を見た。全部見たわけではないが、当時JR西日本の社長も呼んで議論されている内容を見た。
 これを読んでみると、JR西日本の社長は何と言っているかというと、こう言っているわけである。いかに敦賀駅での旅客の利便性が下がらないようにするかというのが、当然ながら大事な観点だと認識している。その意味で、私どもとして、敦賀で新幹線と在来線が接続するということからすると、やはり同一ホームでの乗りかえ、今言ったいわゆる新八代方式というものを想定していた。その一方で、今回フリーゲージトレインという方法でもって、この敦賀から大阪方面への運行という案の提起も受けた。我々とすれば、やはり先ほどの関西対北陸の流動を考えると、敦賀での乗りかえ回避という観点からすると、一つの大きな選択肢かなと、より望ましいものではないかという思いだということである。
 だから、JR西日本の社長は、新八代方式の、要するにホーム・ツー・ホームの乗りかえを望んでいたけれども、それが無理ならフリーゲージトレインでもいいというようなことで、この委員会では議論されているわけである。
 さらに加えて、新八代と敦賀の断面の交通量が、やはり八代のほうが3分の1ぐらいのボリュームであると──少ないわけである、向こうのほうが──対面に乗りかえていただくにしても、スムーズさからすると、やはりこの新八代のほうが時間的にも楽だと。お客さんが少ない分楽だと。
 だから、対面で当然やってやれないことはないわけであるが、もともと我々もフリーゲージトレインがなかったならば、当然その対面方式というものを考えていた。フリーゲージトレインということであれば、当然乗りかえ時間がゼロであり、その部分がクリアできるということになる。よく言われているように、1回乗りかえは乗車時間の30分ぐらいに相当するという、何か心理的な問題であるが、こういう説もある。単に乗りかえが何分だと、フリーゲージトレインの軌間変換時間が何分だという時間の比較というよりも、そういう意味で心理的な抵抗を加味すれば、フリーゲージトレインが非常に望ましいと、こういうようにJR西日本の社長は言っていた。
 この議論を通じて案、上下乗りかえなどは、この委員会のときの社長の認識にはなかったわけである。それが構造上、対面が難しいということで、上下ということになってきたのであるが、このJR西日本の社長がこの委員会に出て述べていることを改めて読み直してみても、このフリーゲージトレインをやってもらうのは当然だと言っているわけである。
 ただ問題は、このフリーゲージトレインの開発がどうも思わしくない。試作車をつくるにもあと6年ぐらいかかると、それを検証するのにさらに3年かかると、北陸のような雪国仕様にはさらに3年かかるということで、6足す3足す3で十何年もかかってしまうと。十何年後にできたとしても、JR西日本が導入するかということになるわけである。
 このフリーゲージトレインの開発が早まるならそれは選択肢になるけれども、これは難しいとはっきり言っており、仮にできたとしても、十数年先であるから、JR西日本が導入しない可能性も高まってくる。そうなってきたときに、どうするかということになると、今議論にあったように特急の存続という形で、利便性をキープするということが、どうしてもこの数十年、数十年と言うと失礼かもしれないが、皆さんの計画でも京都までつなぐにはまだ相当の年月がかかるわけであるため、そういうことを考えると、特急存続ということを福井県としても真剣に考えてもらわないといけない。当初のJR西日本社長の国土交通省の委員会における議論を読ませてもらっても、お客が乗りかえるというのは、30分ぐらいの心理的負担になるんだということを言っていて、フリーゲージトレイン賛成だと言っているわけである。JRとしては乗りかえがないほうがいいと。県民としても乗りかえがないほうがいいと。むしろフリーゲージトレインが無理なら、特急しかないというあたりが、鮮明になってきたのではないか。
 その辺は県としても、この当初の国土交通省の委員会での議論も踏まえて、そもそもの上下乗りかえというのはどうしようもないから出てきた案であって、ベストなわけではないわけであるのだから、どうだろうか。


◯新幹線政策監  この問題を難しくしたのは2点あると思う。
 フリーゲージトレインというものが、まだ技術的にきちっと確立していない中で、それができると見込んで計画を立てたということが1点あると思うし、もう1点は、この対面方式について、詰めをきちっとしていなかった。正直言って、対面でなく、上下を導入せざるを得ないというのを、当初の段階で国土交通省としては十分詰めていなかった。その2点だと私は思う。
 それで、今これから与党PT福井駅先行開業等検討委員会でいろいろ議論になっていくため、まずそれを見守っていきたいというのがあるが、やはり本県として大事なのは、できるだけ大阪までの建設財源を早く詰めて、早期開業をまず目指す。それが敦賀での乗りかえを少しでも短くする大事な点であるということ。もう一つ、並行在来線に対しては、やはり健全経営でやっていくというのは大原則なので、そこに余り影響を与えるようなことはできないということである。
 そうなると、要は国がどこまで責任を負うかであるが、やはりこれは与党PT検討委員会で十分──入っている先生も十分理解していただけると思うので、今後、その検討委員会の状況も見守りながら、また県としてどうしていったらいいか、いろいろ検討していきたいと思っている。


◯佐藤委員  今、言ったとおりだと思う。要するに、責任はどこにあるかといったら、国にあるわけである。福井県にあるわけでもないし、JR西日本に直接あるわけでもない。
 フリーゲージトレインの開発の見通しも甘かったし、それから対面で乗りかえができると考えていた見通しも甘かったということであるから。そしてB/Cも1.1になるからいいねということで、認可をしたのは国である。国ばかり攻めても余りよくないかもしれないが、そういう点で、国も認可した責任があるわけであるから、お互いが知恵も出し合って、一番大事なお客のことをどう考えるかというのが、JR西日本も大事だし、国も福井県も大事だと思う。福井県民はもちろん、関西から北陸へ来ていただくお客、それから北陸から関西へ行くお客も大事である。
 JR西日本の社長は、この同じ委員会の中で、サンダーバードのお客というのはビジネス客が割合としては少ないと言った。つまり観光客のほうがサンダーバードの利用客は多い。だから、乗りかえというのは非常に問題があるとわざわざ言っているわけである。
 そういう点でいうと、JR西日本にとっても、今のサンダーバードよりも不便になるような仕組みというのは、経営上はマイナスのはずである。北陸新幹線も金沢まで開業したといっても、もちろんお客はふえているなどいろいろ報道はあるが、収支そのものはそんなにふえていないわけである。
 だから、やはりそういう点ではしっかり国にどう責任を持ってもらうか。さっき笹岡委員も言ったお金のスキームの問題、スキームの問題でお金もついてくるため、フリーゲージトレインをやめるならやめて、予定していた300億円の事業費を新たなスキームの構築のために使うとか、そういうことも含めて、抜本的に福井県もいよいよ本腰を入れて考えてもらわないといけない。このままずるずる行ってしまうと、国も上下でいいねと、JRも仕方がないねということになってしまってからでは、結局損したなと、福井県民は何か不便な新幹線になったなということになってしまうわけである。
 「ほら、やはり無駄遣いだっただろう」と私は言うかもしれないが、できることならいいものをつくってもらったほうがいいわけであるので、ちゃんとしっかり答弁をお願いする。


◯総合政策部長  新幹線が必要な事業ということを認めていただいて、大変ありがたいと思う。
 まず、やはりプライオリティーの問題が一つであると思う。敦賀までの認可を、県を挙げて頑張ってかち取ったというのは、やはり一刻でも早く新大阪までつなぐということを考えて、敦賀まで持っていった。かつそれを3年前倒ししたという経過の中で、どういうプライオリティーがあるかという話になると思う。
 状況が変わってきたのは、もともとフリーゲージトレインは平成37年度の敦賀開業時に導入ということで、3年前倒しには間に合わない。その3年間をどうするかという論点がまずある。それから今、平成37年度にも間に合わないのではないかという論点が新たに出てきた。
 そういう中で、新大阪までの完全なフル規格開業までの間をどうやって利便性を確保するのか。余り二つの論点を一緒にすると物事を間違うと思うため、まずプライオリティーの一番高い全線フル規格ということをかち取りながら、それまでの間の利便性をどう確保するのか。そこには当然、本体への財源確保の問題に影響をするかしないかといったことを慎重に見きわめないといけないし、もちろん我々の立場として、いろいろな主張をすることとか、スキームを変えたらいいのではないかと言うのはいいと思うが、それを言ったときに、結果として敦賀以西の全体の整備スキームが崩れて、敦賀でとまってしまったのではまさに元も子もないという話になる。だから、その根幹の部分を失わないような形で、何ができるかというのは、知恵を出し合いながら、タイミングを見ながら考えていく。これが必要だと思う。


◯佐藤委員  部長が言ったとおりだと思うが、今回の敦賀の上下乗りかえにしても、一般質問で部長は幾らになるかわからないという答弁だったけれども、敦賀市議会では100億円ぐらいかかるであろうというような話で説明がされている。
 そうすると、敦賀市と福井県にもそれなりの負担が発生するけれども、それは今部長が言ったように、とにかく早く大阪までということになると、その100億円が無駄だというか、もともとそんなに必要のないことになってしまうわけである。
 それぐらいなら、今の特急存続とセットできちんとしたスキームと財源をリンクさせて、提案もして──これは福井県だけではだめである。さっき議論があったように、石川・富山、それから京都・大阪も含めて、連合体でしっかり国にも相談もして、働きかけていくということをやらないと、結局損をするのは福井県民だと、敦賀市民だということになってしまうのではないかと思う。その辺をきっちりしてもらいたいと思うが、どうか。


◯総合政策部長  利便性確保やさまざまな課題があるため、何がベストかというのはもちろん我々も事務的にはいろいろ考えている。考えているが、それを具体的にどういうふうな形で、どのタイミングで、誰が働きかけるかというのは、非常に重要な機微にわたる話である。今、連合体でやったらいいのではないかという話があるが、力は増すかもしれないけれども、ハードルも上がるという側面もあるわけである。
 そうであるならば、今、敦賀で実際に具体的な利便性確保が一番必要な人たちのためにそこをしっかり確保するというやり方も選択肢としてあるわけで、さまざまな選択肢を慎重に選んでいくということが大事だと私は思う。



ワンマン運転の問題など

◯佐藤委員  需要予測調査結果が説明されたが、先日の常任委員会でも議論になったということをテレビや新聞で見たので、なるべく簡潔にしたいと思う。
 これは人口が減っていくからこうなるのだと、これはどこでも共通である。ただ、その報道の中で、県は、要するに交流人口をふやすから、その分一定カバーしていくんだという説明をしたと書いてあるが、それがこの資料の下の「県外客の利用促進」というところになるのかと思う。この「県外客の利用促進」というのは、日本全体の人口が減っていくわけであるから、当然、福井県に来る観光客、石川県に来る観光客も、常識的には日本全体の人口減少に伴って減少すると見るのが普通だと思うが、県はそういう見方ではないということか。


◯交通まちづくり課長  県外客を呼び込むことで、直ちに減少を補填できるというわけではないと思うが、そういった県外客、例えば県外から来られた方でもICOCAを使って回ることが簡単に可能になったりとか、外国人の方にもそういったパスもあるため、そういったものをうまく取り込むような施策を準備していくということである。


◯総合政策部長  表右側の石川県は予想では93%に落ちる見込みが140%になっているとか、富山県の見込みでは83%が125%になっている。これは北陸新幹線の波及効果や、それに伴う観光客の増加ということであるし、日本の人口は減っても、インバウンドをこれからどんどんふやしていくわけであるため、まだまだ開拓の余地はあると思う。
 アクションプログラムにあるような各地域の資産を磨き上げることによって、どうやってふやしていくかというのが、まさに課題だと考えている。


◯佐藤委員  景気のいい話も大事だと思うが、景気のいい話ばかりではどうか。きょうの日経新聞を見ていると、金沢商工会議所が敦賀延伸の影響調査をするという記事が載っており、今回、新幹線の敦賀延伸をめぐっては、北陸3県の広域でプラスになる反面、関西との往来で乗りかえが発生することでの影響も懸念されると。延伸で交流人口が変化する可能性などを調査するということで、やはりどこだって危機感を持っているわけである。いけいけどんどんではないと思う。だから、福井県としては、今言ったインバウンドも広げる、観光資源も磨いていくというのはもちろんわかる。わかった上で、こういう点がやはり懸念材料で、ここを一つ一つ、ある意味ではつぶしていく課題というのはどう認識しているのか。


◯交通まちづくり課長  例えば、平成22年に実施された国勢調査などを見ると、15歳から59歳までの福井県民、福井県の人口の約40万人のうち、75%が自家用車のみで通勤・通学をしているというデータもあるため、そういった自家用車だけで移動している方をどうやってこういった公共交通のほうに取り込んでいくかというのが最大の課題かと思っている。


◯佐藤委員  それから、二つ目である。「地域鉄道・バスへのICカード乗車券の拡大」と書いてある。これは先ほど説明があったICOCAの導入のことだと思うが、確かJRの発表では、小浜線や越美北線は対象外というようなことだったと思うけれども、県としては、地域鉄道というのは、福井鉄道やえちぜん鉄道はもちろん、越美北線や小浜線についてもJRに導入を求めるということか。


◯交通まちづくり課長  そういったこともJRと相談をしていきたいと思う。


◯佐藤委員  それは第三セクターとして引き受ける前にきちんと整備してもらうということか。


◯総合政策部長  小浜線と越美北線は第三セクターにはならないと思う。


◯佐藤委員  北陸本線が第三セクターになる前に、小浜線と越美北線は整備してもらうのかということだが。


◯総合政策部長  時期の問題はまだはっきりしないが、現在のバスや地域鉄道、福井鉄道、えちぜん鉄道も含めて、全体にそういうカードが使えるというのは利便性の向上につながるため、それは全体として働きかけていくということである。


◯佐藤委員  それから、これとは離れるが、ダイヤ改正が発表されて、今週からダイヤが変わる。それで、福井県内の北陸本線で一定の列車がワンマン運転になるということであるが、県はJRに対してどういう要請をしたのか、要請していないのか。


◯交通まちづくり課長  ワンマン運転化について、要請は全くしておらず、今回のダイヤ改正に伴い、特に影響のない時間にワンマン運転をするというようにJRに伺ったところである。


◯佐藤委員  県としては、ワンマン運転はやめてくれということは一切言ってないということであるか。


◯交通まちづくり課長  特に言っていない。


◯佐藤委員  大きな問題だと思うのだが、これはどちらにしても第三セクターで引き受けたときも同じような問題が出てくると思うけれども、ワンマン運転になるといろいろなトラブルのときにどうなるかという問題が当然出るわけである。
 バスの運転手が突然意識をなくして交通事故になったとかというのが時々ニュースで流れてくる。JRではそういう危険がないのかという問題も出てくるわけである。実際出てくると思う。
 それで、JRはことしの1月にワンマン連結装置の使用開始についてという文書を出している。何が書いてあるかというと、北陸トンネルの中において521系車両、今走っている車両であるが、車内非常ブザーが取り扱われた際に、指令の専用回線につながって、指令員と旅客との相互通話が可能になるということである。
 これはどういうことかというと、運転手が疾病などで運転継続が不能となり、EB装置、EBというのはエマージェンシー・ブレーキであるが、非常ブレーキが動作したことによって、トンネル内に停車した場合に、お客にきちんと情報提供するということである。
 だから、JRはそういう危険性もあるのだということで、そうなったとき、当然、運転手が操作しなくなると、自動的に列車がとまるため、そうなったときには、中に乗っているお客さんと指令室が、大丈夫かとか、どうなっているかというやりとりを多分しようということだろうと思う。
 こんなことは許してはいかんと思う。北陸トンネルでこんなこと許してはだめである。大分年月はたっているけれども、北陸トンネル火災があったが、ああいう災害の教訓を忘れて、重要箇所、危険箇所でもこういう合理化をしてはいけないということを今からでも県として要望してほしい。


◯交通まちづくり課長  県内のJR以外でいうと、えちぜん鉄道、福井鉄道はいずれもワンマン運転で運行しているし、JRも越美北線はワンマン運転で運行されている。IRいしかわ鉄道やあいの風とやま鉄道も結局、並行在来線会社が運営を引き受けた後には全部ワンマン運転になっているので、ワンマン運転がどうこうというところはなかなかJRには申し上げるところではないとは思っているが、ただ、やはりワンマン運転になることによって、そういった危険もあると思うので、そこはJRから話を伺いたいと思う。


◯佐藤委員  JRも今言ったように、普通の路線なら運転手が意識を失えばとまるということで問題ないけれども、北陸トンネルの場合は特別だということで、こういうことをわざわざ考えるわけである。だから、県も県議会も、北陸トンネル火災のようなことが起こらないとも限らないわけであるから、ああいうことになったときにワンマン運転だと運転士が対応できなくなってしまえば、あとはお客だけになってしまうわけであるから、非常に問題があるという認識はないわけであるか。普通のえちぜん鉄道や福井鉄道と一緒にされたら困るのである。


◯総合政策部長  運行については、当然安全ということは大前提なわけである。そういう中で、経営上の問題というのを解決していく。JR西日本も福知山線の事故以来、安全には相当な気をつかって、少しの風でも湖西線をとめるというような安全文化の徹底というのは進めているから、今言われたようなことについては、どのように安全が確保されているのかということも確認して、必要な対応があればしたいと思っている。


健康福祉部関係。子ども医療費の窓口無料化前進へ!、来年4月からの国保県単位化でどうなるのか。介護福祉士問題

2017年06月01日 | 福井県政
  2017年3月1日 健康福祉部関係での佐藤正雄議員の質疑です。

陽子線がん治療センター事業

◯佐藤委員  平成28年度(2月補正)予算案説明資料の24ページの、保育所運営費が3億4,000万円とかなり増額になっていて、その理由は入所児童数の増加とのことであるが、何人ふえたのか。
 もう一点は、同資料の31ページ、陽子線がん治療センター事業で、収支見込みがマイナスであるが、患者数の見込みと実績を伺う。


◯子ども家庭課長  保育所運営費の増額については保育所と認定こども園の施設型給付に係るものであり、人数については、保育所は平成27年度が2万3,000人余りであったものが、平成28年度1万9,000人と4,000人余り落ちている。ただし、認定こども園は平成27年度が4,700人余りであったものが、平成28年度は約1万人余りと5,000人の増加になっている。
 それぞれ合わせると約2,000人の増加になっているけれども、それ以外に保育士の処遇改善の加算など、さまざまな加算がついているので、施設型給付の単価がアップしている。それら関係で増額となっている。


◯地域医療課長  陽子線がん治療センター事業の減額補正については、県民に治療費の半額を割引する制度の実績分が減になっている。もともと県内の利用者103名を見込んでいたけれども、今年度70名ほどの予想になっている。


◯佐藤委員  103名を見込んで70名と、かなりの減であるが、103名見込んだときには県としてそれなりの目算があったと思うが、それに結果的に結びつかなかった理由を伺う。


◯地域医療課長  陽子線がん治療の患者については、全国的には大体1割減っており、この理由は保険適用になる従来のX線治療の技術が上がってきて、陽子線との差が縮まってきたことや、全国的にも、ここ1年で神奈川県と岡山県の二つと施設がふえてきているが、今後もふえる予定があり、そこの競合もあると思う。


◯佐藤委員  神奈川県、岡山県がふえたのはわかるが、103名の見込みのうち70名というのは、県内外で、どちらの見込みが減ったのか。


◯地域医療課長  103名は県内だけである。県内については、従来の放射線技術が上がってきたことが理由になると思う。県内、県外全部含めると約200名の目標だったけれども、今後の最終見込みとしては140名であり、県外の落ち込みも大きい。施設が競合する点が大きな理由である。


◯佐藤委員  今ほど答弁があった、X線の技術も上がってきた、県外にも施設がふえたことの2つが理由であれば、今後とも厳しい状況が続くとの見立てで新年度予算は編成しているのか。


◯地域医療課長  そのように厳しい中で、今までも事業を続けているけれども、特に石川県と富山県ではまだ知っていない方が多く、潜在患者が多いため、今年1月に金沢市でなかにし礼さんという体験者を呼んで、講演もしてもらった。その後、問い合わせもふえている。
 今、大阪市とか名古屋市とか太平洋側の施設がふえてきているので、特に石川県、富山県、日本海側唯一の施設として、北陸3県に重点を置いて、医師からの紹介促進に向けてPR活動もしながらふやしていきたい。




こども医療費の窓口無料化

◯佐藤委員  平成29年度当初予算案説明資料の50ページ、子ども医療費助成事業について、今回窓口無料化して、負担が軽減するとのことであり、前進することはありがたいと思う。それで、この制度を行うことによる財政的な負担は、県や市町は幾ら増減するのか。


◯子ども家庭課長  窓口無料化に向けて、平成29年度は準備の時期であるので、各市町における医療費は変わらないけれども、システム改修にかかる経費について、当初予算または6月補正予算で計上してもらう予定をしている。平成30年度からは、県のほうでは、いわゆるペナルティーの部分にかかる経費は、試算であるが約2,900万円の負担を予定している。各市町においては、平成30年度予算になるので、具体的な試算については、今のところまだされていない。


◯佐藤委員  これまでの県議会において、国のペナルティーは約8,000万円との答弁であったと思うが、就学前までの子供のペナルティーがなくなり、小学校1年生から中学校3年生までのペナルティーの約3,000万円を県が負担するのか。


◯子ども家庭課長  佐藤委員が言われる、8,000万円とのペナルティーの金額については、県では具体的な数字としては捉えていないけれども、未就学児の金額については3,000万円と試算している。小学校1年生から中学校3年生までのペナルティーの金額、約2,900万円を県が全額負担をする。


◯佐藤委員  別に蒸し返すつもりはないけれども、私は県議会での理事者答弁は8,000万円のペナルティーとの記憶があるので、実際はそれほどではなかったのであれば、もっと早くできたのではないかと思うところもある。
 また、市町の財政負担について、窓口無料になるから、市や町が医療機関に対して払っていた100円と少しの手数料は要らなくなると聞いている。逆に、県国民健康保険団体連合会へ支払う手数料が、これまで30円ぐらいだったのが九十何円と、3倍に値上げになる。その結果、財政的には大幅ではないけれども、負担がふえることになると。もう少し何とかならないのかとの意見がある。というのは、現在、坂井市など幾つかの市町では窓口での一部負担金を徴収しないでやっているが、福井市などは一部負担金をとっている。だから、福井市などで坂井市等と同じように一部負担金をなくそうとの気持ちがあるとすれば、財源が必要になるが、この制度に合わせて県国民健康保険団体連合会との関係で負担がふやされるようだと、それを行う上で障害になるという指摘がある。これは改善できないか。

◯子ども家庭課長  まず、平成30年度から実施するのは、現物給付化であり、窓口無料化と言っているけれども、一部負担金の金額は、一医療機関当たり通院は月500円、入院は月4,000円の上限があるが、その制度については県としては残す。ただし、現在7市町が独自に撤廃しており、それについては各市町の独自性に任されているので、今のところ、市町の数が順次拡大される予定もある。
 今ほど言われた医療機関への手数料は、これまでの償還払いのときには1レセプト当たり110円を支払っていた。それから、県国民健康保険団体連合会のシステムに関しても、1件当たり43円の手数料で契約をしていた。それについて、平成30年度の現物給付化に当たり、それらがどのようになるかについては、今議会できちんと予算が承認された後に、改めて医療機関や県国民健康保険団体連合会と協議して、単価等を決めていく予定をしているので、現段階で具体的な数字は積算していない。


◯佐藤委員  だから、福井市などから、110円の医療機関への負担はなくなるが、県国民健康保険団体連合会に対する43円の負担が倍以上の九十何円に値上げされると、坂井市のように一部負担金をなくしたいとの気持ちは当然あるだろうが、やっぱりそれの障害になるとの声がある。であるから、課長が言うように、これから協議するのであれば、県国民健康保険団体連合会の1件当たり43円の負担金を、今回の制度に合わせて、ふやすのはやめてほしいと、県から要請できないかと質問している。


◯子ども家庭課長  福井市の説明の真意はわからないが、少なくとも市レベルにおいては、例えば、今までの償還払いのときは、利用者の口座振替の手続をして、入金額についても郵便で通知を差し上げていたが、そのような手間もなく、郵便料も削減されると考えているので、一部負担金の廃止と、事務的な経費の議論とは別の話と私は考えている。
 あわせて、県国民健康保険団体連合会への委託料については、新しい制度になる場合には、国民健康保険の人は県国民健康保険団体連合会、それから社会保険の人は支払基金と、2つの審査機関と契約をする予定をしているが、それぞれに発生する事務手数料も踏まえて単価が決まってくるので、できる限り単価が安くなるよう協議していきたい。


◯佐藤委員  いい制度に拡充されるのに、これに応じて逆に市町が困るようなことが起こらないようにしてほしいとの質問の趣旨である。それは県国民健康保険団体連合会が手数料を倍以上に値上げする計画を持っている理由を直接県国民健康保険団体連合会に確認したわけではないが、福井市の説明を聞き、実際にそのようなことがある以上、このような制度を市町も県も応援しようとしているときに、なぜ県国民健康保険団体連合会が水を差すのかと心外であったので、あえてこの場で質問した。
 あわせて、県外の医療機関を福井県民の子供が受診した場合はどうなるのか。


◯子ども家庭課長  県内の人が県外の医療機関を受診した場合については、未就学児は2割、それから小学校1年生以上は3割になるが、一旦窓口で自己負担分を支払ってもらい、領収書も受け取ってもらった上で、市町の窓口で償還払いの手続をとってもらうことになる。


◯佐藤委員  それで、京都府との県境の、高浜町、おおい町、これらの地区の住民は、小浜市や敦賀市の病院よりも、半分ぐらいが京都府の舞鶴市の市民病院等の医療機関を利用しているらしい。せっかくこのようないい制度ができるので、それら医療機関と協力は可能なのか、全くできないのか。県をまたぐことにはなるが、同じ福井県民でありながら、さきの健康の森の議論の中でも、前議会、今議会と福井市の施設はよくなるが、嶺南地域の施設はどうなのかなどと議論が続いているわけである。そのような中で、子供の医療にまで、嶺南地域に住んでいるためにこの制度の恩恵を直に受けることができないことについて、福井県として改善の余地はないのか。この辺は、当然県単独ではできないので、国への要請等を含めて、京都府との協定締結が可能になるのかわからないが、その辺はどうか。


◯子ども家庭課長  佐藤委員が言われるようなケースについても、各市町の担当課と首長から要望は受けているので、子供の医療制度については、県としては全国知事会等を通じて、全国一律の制度となるように要請しているところであり、広域な取り組みができるよう、さらに要請等していきたい。
 あわせて、医師会等とも相談し、例えば、県外で受診した人にうまく償還できる方法について、今ここで返事できないが、引き続き研究をしていきたい。




産後うつ対策、動物管理指導センターなど


◯佐藤委員  平成29年度当初予算案説明資料の56ページの要支援妊産婦等サポート体制モデル事業については、いわゆる産後鬱の対策等も含めているのか。


◯子ども家庭課長  要支援妊婦のサポート体制モデル事業については、県内でも妊婦健診にも行かず、医療機関にもかからないという特定妊婦、具体的な数は把握していないが、そのような人や、望まない妊娠をした人などについて、県内の乳児院、産科機関、それから児童相談所などと連携して、支援していくものである。ただし、この事業については、国のモデル事業であり、全国で10カ所の枠があるため、国の要綱が発出され次第、県としてもエントリーをしたい。


◯佐藤委員  県内にもいるのであれば、各自治体等の健康診査に来るのかはわからないが、地域では把握しており、そのような人たちを訪問して、個別に対策をしていくのか。


◯子ども家庭課長  そのような専門機関があることを、広くいろいろな機関を通じて周知した上で、対象者の把握については、各健康福祉センターなどで、育児不安解消サポート事業という育児不安に関する事業などもあり、女性相談員等のいろいろな相談員もいるし、あと児童相談所にも相談があるので、それらで把握する。
 実施に当たっては、現在、済生会病院に乳児院も併設しており、同病院には性犯罪の被害者に対するサポートを行っている「ひなぎく」というセンターもあるので、同病院を想定している。


◯佐藤委員  全国的に、国の予算で産後鬱対策も強化していると聞いているが、それはこの予算案説明資料ではどの事業に含まれているのか。


◯子ども家庭課長  産後鬱対策については、産前産後安心サポート事業として、国の子育て世代包括支援センターを設置する事業があり、財源としては国から市町への交付金に入っている。センターの立ち上げについては、県で指導しているが、基本的には市町に予算化をお願いしている。


◯佐藤委員  動物管理指導センターについて、建設工事費は1億8,400万円とのことであるが、全体事業費は幾らなのか。また駐車場の台数が30台との説明があったが、この30台で、ドッグランなどいろいろなイベントで足りるのか。


◯医療食品・衛生課長  今年度は、当初予算で1,459万1,000円、9月補正で5,530万7,000円、総額で6,989万8,000円の予算である。来年度の1億8,362万9,000円と合わせて、総事業費としては2億5,352万7,000円である。
 それから、駐車場の台数については、現在の健康福祉センターでの譲渡会の参加人員や、講習会の参加人員からは、30台程度あれば十分との判断で整備している。その中には、大型バスがとまるスペースもあり、大きなイベント等のためにどうしても何十台も必要であれば、施設の横に、道路との間にもスペースがあり、とめることができるので、そのような場所を利用したい。


◯佐藤委員  この施設ができれば、運営は委託することになるが、これはどこへ委託するのか。
 また、この建物自体の管理と業務は、福井市が中核市に移行する関係で、どのように変わっていくのか。


◯医療食品・衛生課長  現在、動物管理業務については、嶺北地区は知識や経験を有している民間業者に委託をしているが、このセンターの開設後は、嶺南地域も含めて、県内全域の動物愛護管理業務の実務を民間業者に委託したいと考えていて、その中で、センターの管理運営体制については、県の職員の配置も含めて、現在検討している。
 また、福井市が中核市になった場合には、この動物愛護業務は福井市が行うこととなるが、昨年3月に策定したこのセンターの基本計画の中で、この施設を共同で利用して、運営については、各管轄区域の業務を行っていくと記載している。現在、福井市に対しては、その業務、事務内容についての説明を行っているところであるが、あわせて、今後どのように行っていくのかについて協議していくことになると思う。


◯佐藤委員  県の事業費約2億5,000万円で建物をつくり、指定管理になるのかはわからないが、民間に業者委託する。しかし、中核市になれば福井市の業務も入ってくる、福井市外のエリアは県の責任であるから、県の業務も入ってくる。それでは、県職員と福井市職員が、そのセンターに併任でそれぞれの業務をするようなイメージになるのか。その辺の、県の行政、福井市の行政、そして民間業者の三者の関係で、どのように運営されていくのか。


◯医療食品・衛生課長  今後、福井市と具体的な協議に入っていくことになると思うが、例えば、県と市が同じ民間業者に実務を委託する形もあるし、市が県に業務を委託する形もあると思う。



来年4月からの国民健康保険の県単位化でどうなるのか

◯佐藤委員  午前中、議論を大分聞かせてもらったが、なかなかわかりにくい制度だと思う。先ほど、一人当たり保険税の額が安い自治体で6万円、高い自治体で10万円と、4万円の差があるということであった。
 県一本の国民健康保険になるということであれば、例えばこの6万円が7万円になる、10万円が9万5,000円になるように財政が調整されていくのか。
 それとも、そのようなことは全くしない、これまで10万円のところは10万円、6万円のところは6万円と、各地域の医療の需要、一人当たりに割った水準とするとの考え方は、そのまま踏襲していくのか。


◯長寿福祉課長  まず、制度の改正前と改正後での変更点については、基本的に必要な医療費を最初に見積もり、その医療費を支払うために保険料を集めることは変更ない。
 その場合に、現在は、市町ごとに医療費を見込み、それに必要な部分を、保険料、公費等として集めることになるが、制度改正後は、その医療費を県全体で見込む形に変わる。それから市町ごとに必要な医療費を分配していくけれども、この分配の仕方について、今回、制度上は、各市町が使っている医療費水準に応じて分配するような形と、それを考慮せずに一律に分配する形の両方がとることができるようになっているけれども、福井県としては、先ほど話したとおり、医療費水準に格差があるので、その医療費水準に応じて分配することになる。
 各市町に分配されたその医療費について、必要な保険料と公費等を含めて給付費が払われるので、基本的に、市町ごとに必要な医療費に対して、必要な保険料を集めるところは変わらない。その考え方は大きく変わっていないけれども、その分配する過程の中で、例えば、公費の入り方が少し変わる部分等があるので、それによる影響が少し出てくる場合がある。
 ただし、保険料が今より上がるか、下がるかについては、これから試算を詰めていく中で、判明してくると思う。まだわからないけれども、仮に変わった場合に、制度改正による計算方法の改定による差異については、激変緩和措置ができることになっており、県に造成される基金等を活用して、現在と余り差異がないように緩和措置をしていくことになると思う。


◯佐藤委員  今、福井市、敦賀市、越前市等の幾つかの自治体が、たしか全体で十何億円であったと思うが、一般会計から繰り入れて、国民健康保険税が高額になるのを一定程度抑えている。昨年質問したときには、基本的に将来的には廃止してもらう必要があるけれども、いきなり見直すことはしないとの答弁だったと思うが、先ほどの質問に対しては、そのようなものは、もうやめてもらうとの言い方だったと思う。これは、来年の新国民健康保険制度に移行するのに伴い、一般会計の繰り入れによる保険税を抑える方法はもう認めないということか。それとも、一定期間、それは認めていくことになるのか。


◯長寿福祉課長  先ほどは、保険料の必要額の算定の仕方は、基本的に医療費水準に応じて配分するため、大きく変わらないと説明したけれども、実際の各市町の保険料は、医療費に対する必要額に、一般財源等を繰り入れて負担を下げていることが反映されて今の状態になっている。
 その部分の今後の取り扱いについては、決算目的での一般会計からの繰り入れはやめていくとの基本的な方針が国からも出ているし、そのような方向で進めていきたいけれども、今すぐに、それを実行すれば、保険料が急に上がってしまうので、それもできないということで、そこまでは強制するものではない。それを中長期的に徐々に減らしていくことを、医療費適正化に努めながら進めていきたい。


◯佐藤委員  今、内部では試算がされているとのことであるが、以前、それがひとり歩きをしてしまうと、無用な混乱を起こすからとの説明があったけれども、国民健康保険加入者である、県民が一番関心を持つのは、この制度改正によって保険税がどうなるのかである。要は、払う税金が幾らになるのか、受けられる医療制度がどうなるのかであるが、それが先ほどの質問の中でも、ぎりぎりまでわからないのでは困るとの話があった。部長はなるべく早くとの答弁であったが、この「なるべく早く」が、6月は無理にしても、9月の議会になるのか、12月の議会になるのかはある。
 国から、いわゆる係数を示すのは12月になるとの方針が出されていると報道されているが、12月に国が具体的な係数を示して、それに基づいて各県や市町が試算することになれば、確定した保険税が、2月議会ぎりぎりになってからしか示されないという危険があるのではないか。


◯長寿福祉課長  国から、最終的な試算に必要な係数については、12月の診療報酬等の係数が固まらないと決まらないとの通達が来ているけれども、ことしの夏ごろには大まかな試算方法について、方向性が出される予定となっているので、それを踏まえた大まかな試算結果は、夏ごろという、その時期にもよるけれども、間に合うようであれば、9月議会に示すことは可能と思う。国の動向を見ながらできる限り、早目に伝えたい。


◯佐藤委員  9月ごろには一定のものを示してもらい、それで市民、町民の人にも、来年度の国民健康保険制度では、このぐらいの金額になると分かることになる。
 問題は、下がる人からは不満が出ないであろうが、上がる人も出てくる。あるいは全体として下がる自治体も出てくるかもしれないけれども、全体として上がる自治体も出てくるかもしれないことである。
 県単位の国民健康保険にするけれども、75歳以上の後期高齢者の連合で議会を設置している後期高齢者医療制度と違うところは、これは引き続き市町議会で条例がかけられる点である。例えば、ある市町では、新制度によって国保税が20%、30%と、ものすごく上がることになると、とてもうちの議会で認められないと、その条例を2月議会で否決したとする。その場合は、その市町は従来の国保税の額とするのか。


◯長寿福祉課長  そのとおりである。県からは、新制度に変わった際に必要な医療費に応じた、必要な保険料である標準的な保険料率を示すことになるが、最終的な保険料の決定は市町が行うため、市町がそのとおりにしないと決定した場合には、従前の保険料が、その市町の保険料になる。


◯佐藤委員  だから、余りにも、2割も3割も、急に値上げになるようでは困るとの判断は、その自治体の議会に、最終的には委ねられる。
 そのようなことをなるべく避けるために、この提案されている協議会は、広域代表3名、保険委員3名などの委員11名が決まっており、この提案内容どおりに設置する必要があるのであろうが、県民の、いろんな団体の意見を広く聞く公聴会や、ヒアリング等を行ってはどうか。
 今の国民健康保険でも、多少減っているかもしれないけれども、高い水準で滞納者も生まれ、資格証明書や短期被保険者証も一定程度発行されている状況である。
 だから、今の国民健康保険よりも県民にとっての負担がふえていくことになれば、全体的に自治体にとってもよくないし、被保険者にとってもよくないことになると思うので、公聴会か、参考人か、方法は別として、その辺の声を吸い上げる機会は、この協議会で持つのか。


◯長寿福祉課長  今のところ公聴会の開催は予定していないけれども、パブリックコメントを行う予定で進めているので、その機会に広く県民から意見を受ける方向で考えている。


◯佐藤委員  パブリックコメントも別に行わないよりは行ったほうがいいけれども、声を聞く手法としては、効果が弱い側面があると思う。
 というのは、一人一人の県民が意見を出してきて、それを行政側が受け取って、意見をまとめるだけである。だから、このような会議の場で、県内数カ所の会場に分かれて、県民の意見を直接聞くと、9月に示された内容を説明しながら、10月、11月にいろいろな意見を聞いて、12月議会に反映するような形を考えてほしいが、その辺はどうか。


◯長寿福祉課長  県民から広く意見をもらうべきとの指摘は、そのとおりと思うので、その方法については、今後検討したい。




介護福祉士問題など

◯佐藤委員  先日も課長に電話をしたが、例えば、福井市と坂井市など近隣の自治体が、坂井市の保護者が福井市に勤務していて子供を福井市内の保育園に預ける場合に、相互に協力している体制がある。先日、福井市の子供を坂井市の保育所に預けようとしたら、定員一杯であるので断られたとのことである。それで、別にそのことに反応したわけでもないだろうが、福井市も、坂井市の子供は断るようになったとの事例を聞いた。
 これがたまたま聞いた1例だけかもしれないし、全体的にもっと何件もあるのかもしれないが、国や県等が行政を挙げて取り組んでいる中で、そのようなことはなくさなければならないと思うが、そのような問題についての見解と改善方法を伺う。


◯子ども家庭課長  まず、保育については市町の業務であり、保育所に預けたい保護者は、住んでいる市町に保育所に入所したいとの申し出をしてもらい、そこで、保育が必要かどうか、保育所の入所が妥当かどうかについて市町の審査があり、保育が必要であれば入所が決定される。
 ただし、今ほど紹介があった、福井市在住の人が坂井市の保育所に入所を希望する広域入所の場合は、福井市と坂井市の市町同士で話をしてもらい、行き先の市町が受け入れ可能であれば受け入れてもらうことになる。
 ただし、それは義務ではなくて、市町同士の話し合いで決まるとになるので、もしだめな場合には、市町で必要な保育所を紹介することが原則である。
 それでも、今ほどのように、坂井市からだけは、福井市からだけはなどと、特定の市町だけを限定して受け入れない措置をすることはあってはならないので、それについては県としても市町の担当課長会議などを通じて、きちんとした運用について説明をしていきたい。


◯佐藤委員  ぜひお願いしたい。
 もう一つは、急な途中入所が受け入れられないことも実際には起こり得るとのことであるが、今ほどの保育士の人材の問題についての議論の中では、資格を持っている人が何千人もいるとのことであり、その人が実際に仕事につく気があるかどうかはあるとして、いざというときには臨時のパートとしてでも応援に入ってもらう体制を、県も支援しながら整備をしていくことなども今後必要になってくると思う。要するに、保育は市町の責任であるが、市町に任せるだけではなく、今ほどは広域的な例を出したが、福井市だけでも起こり得る問題である。途中入所を支える保育士の臨時的な配置について県の支援も必要と思うが、その辺はどのように考えるか。


◯子ども家庭課長  県単独事業としては、保育所に対し、産休代替職員が必要になった場合の支援や、ふれあい保育という、中、軽度の障害のある子供を迎える場合に手厚い支援を行うための支援などを行っている。そういう県単独の補助制度の中で、保育士への処遇について手当てをしているところである。現在、これらの県単独事業だけであるので、今ほどの途中入所に対する支援について、今後、全国の状況なども調べていきたい。


◯佐藤委員  ぜひ、そのような途中入所に対応してもらうためのサポートを県がすることによって、市町の保育所の途中入所がしやすくなると思うので、対応願う。
 それから、先ほど特別養護老人ホームの議論があった。全国の特別養護老人ホームの団体が調査したところ、特別養護老人ホームに入所している人が、経済的な理由などを含めて、その1割ぐらいが退所する、あるいは個室から多床室に移らざるを得ないなど、いろいろなことが起こっているとの報道もあったが、福井県の実態はどうか。


◯長寿福祉課長  特別養護老人ホームの入所者の中で、個室から多床室に移った人数のデータは今は手元にないが、入所の際、低所得者については、介護保険料の自己負担等の支援策は国が制度化しているので、それを利用してもらいながら、そのような人でも安心して特別養護老人ホーム等に入所できるようにしていく必要があると思っている。
 県として、もともと個室を進めていくとの国の大きな方向性はあるが、低所得者に配慮し、条例の中で福井県の独自の施設の基準として多床室の整備ができるようにしている。


◯佐藤委員  また、先ほど野田委員が質問した介護福祉士の養成について、定員は10名ぐらいしか減っていないとの説明であったが、新聞報道では、資格受験者が15万人から7万数千人と半減しており、結局、要件が厳しくなっているとのことである。これについては、福井県ではどのような状況か。


◯長寿福祉課長  介護福祉士の国家試験の受験者数の減少については、こちらも手元にデータがないが、理由としては、国家試験の受験に当たり、実務者研修の受講を要件とする変更があったことに伴うものである。その実務者研修を受けるのに10万円から20万円ほどの費用がかかり、研修自体も、基本的には450時間の研修を受けてもらうことが必要になる。
 このため、県の施策として、この実務者研修の受講費の貸与等の支援を行っており、現場で働いている人が実務者研修に出席するときに、現場の人材が足りなくなるため、非常勤の人を雇ったり、ほかの職員が研修へ行く人の分も仕事をしたりする場合には、人件費等について支援をしている。それらの支援を通じて、引き続き介護福祉士の資格の取得者がふえていくように支援していきたい。


◯佐藤委員  今ほど説明があった県の人件費の支援、それから10万円から20万円かかる受講費用の貸与の実績はどうか。


◯長寿福祉課長  介護福祉士の修学資金の貸与については、平成28年度から始まったこともあり、まだ実績がないが、もう一つの介護福祉士の実務者研修に対する人件費の補助は、平成28年度は9法人、48名に対して行っている。


◯佐藤委員  県立病院について、先日、ある人から、生活保護を現在受給していて、以前、県立病院を受診して、そのときに発生した未収金を月々支払っているとの相談があった。事情を聞くと、最初に県立病院へ行ったときに、低所得者、生活困窮者でありながら、普通の受診手続になったけれども、別の総合病院へ行ったときは、困窮世帯であれば、医療扶助になるから生活保護を取得してほしいと言われて、生活保護になったとの案件である。
 だから、一つは、いろいろな人が病院に来て、もちろん一々所得状況を確認して、それがない人は全部生活保護へと誘導できるものではないだろうが、ケースワーカーがいるわけだから、そのような対応を綿密に行い、県立病院が損を出さないよう、個人に身の丈を超えた負担が将来かからないような、仕組みづくりをしてもらうことが必要ではないか。
 もう1点は、現実に、他の総合病院では、生活保護を受けたほうがいいとのアドバイスを受けて、生活保護をとって医療扶助を受けていることからも、県立病院の未収金の分が残っているが、そのような人に対して、未収金だから督促をする県立病院の責任はあるが、一定の猶予等の措置も必要になるのではないか。つまり、生活保護を脱却して、また収入が安定すれば、月々5,000円、1万円返してほしいと言ってもいいだろうが、生活保護を受けている状況のもとで月々5,000円を返してもらうことは、少し酷ではないか。その辺はどうか。


◯地域医療課長  県立病院においても、退院時や、入院時にそのようなことがわかれば相談に乗り、そのように勧めることもあるべきだと思うし、そのときは生活保護世帯でなくても、今は生活保護になっており未収金になっているのであれば、例えば、分割して少額の支払いとするなど、十分に相談に乗れるし、健常者と同じような分割の仕方で支払いを求めることはないと思うので、そのことについては医療サービス課に十分伝えていきたい。







安全環境部審議。原子力防災訓練総括。廃炉事業の予算がたった105万?、福井市に産業廃棄物最終処分場計画

2017年06月01日 | 福井県政
 2017年2月28日 安全環境部関係審査での佐藤正雄議員の質疑です。



放射線防護対策事業

◯佐藤委員  平成28年度2月補正予算案説明資料7ページの一時集合施設等への放射線防護対策事業は大事であるが、原子力規制委員会は、この施設に避難した場合の生活時間を何時間ぐらいと想定しているのか。


◯危機対策・防災課長  避難者に放射線防護施設で生活してもらう時間は7日間ぐらいを想定している。


◯佐藤委員  それでは、例えば、体育館、市役所、学校、それぞれの施設に7日分の食料や生活に必要なさまざまなものを常備しているのか。


◯危機対策・防災課長  7日分の食料、水等を常備している。


◯佐藤委員  7日間は少し長目であるが、避難者の体のぐあいが悪くなった場合の対応はどうするのか。


◯危機対策・防災課長  現在、医薬品等も含めて常備しており、その要支援者の状況を見ながら、地域の支援者が様子を見守っていくことになる。


◯佐藤委員  よく議論になるが、現在、要支援者等を含めて、その地域内の住民だけで対応できない場合に、例えば公立小浜病院などの医療機関から医師や看護師が出入りして対応することなども想定しているのか。それとも、外部から施設に入ることは想定していないのか。


◯危機対策・防災課長  一時集合施設は、あくまでも避難のための一時的な待避場所の位置づけである。天候などの外的要因によって一時的に入ってもらうが、必ず7日間いるわけではなく、例えば、高浜町の内浦小中学校などは、その建物の前にヘリポートを完備しているので、ヘリコプターなどの輸送手段を確保しながら、必要に応じて病院等の施設に搬送することになる。




原子力防災訓練総括がしめされない問題


◯佐藤委員  平成29年度当初予算案説明資料13ページの原子力防災活動資機材整備事業において消防団等に原子力防災資機材整備との説明があるが、具体的な内容と規模を教えてほしい。


◯危機対策・防災課長  一つは、現在、嶺南地域の消防団は防護服等の資機材の整備は進んでいるので、今後、嶺北地域の30キロメートル圏内、具体的に南越前町、越前市、鯖江市、越前町、池田町、それから福井市の一部の消防団の簡易防護服等の整備を進めていきたい。その対象者は約1,600名である。


◯佐藤委員  ヨウ素剤等は入っていないのか。


◯危機対策・防災課長  ヨウ素剤については、県の健康福祉センター等でまとめて備蓄している。


◯佐藤委員  当初予算案説明資料11ページの各防災訓練実施事業について、実施時期と実施場所は未定であるが、予算だけは計上している。どのような内容を考えているか。


◯危機対策・防災課長  1番目の総合防災訓練実施事業については、自然災害を対象とした防災訓練であり、今年度は10月にあわら市で実施した。来年度も県内の各市町と相談しながら、別の地域で同じような総合訓練を実施するものである。
 2番目の原子力防災訓練実施事業については、昨年8月に高浜、大飯地域で行った総合訓練と、例えば、安定ヨウ素剤の配布やスクリーニング場所等の職員の資質向上のための個別訓練等を行う予算を計上している。


◯佐藤委員  それでは、高浜地域かどうか、実施場所は別にして、昨年のように県域を越えた避難訓練を行うのか。


◯危機対策・防災課長  来年度の対応については、内閣府、関係府県、市町等と相談しながら協議していくことになるが、現時点で個別の話はまだしていない。


◯佐藤委員  福井県としては、どのような考えで臨むのか。


◯危機対策監  昨年度、初めて県外に避難する訓練を行ったけれども、住民避難は、県としては県内避難を基本にしつつ、念のための県外避難との位置づけをしている中で、新年度は、何を検証し確認していくかによって、場合によっては県外避難もあり得るであろうし、県内避難については必須だと思っているが、それによって訓練内容は変わってくる。今後、訓練の目的等について関係市町や受け入れ先等と調整する中で、具体的に詰めていきたい。


◯佐藤委員  このような予算には誰も反対はしないと思うが、認めるかどうかは事業の内容次第である。昨年の訓練に対し、当議会で各委員や各議員からいろいろな厳しい意見が出されたとおりだと思う。それで、昨年の訓練をどのように総括したかが大事である。
 その総括資料の提供を依頼したところ、内閣府のホームページのアドレスを教えてもらったが、見たところ報告書のようなものは何も掲示されていない。高浜地域における合同原子力防災訓練の実施成果報告の現状案について内閣府より説明を行って各府県において、記載内容等の確認、認識の統一を図ったとのことで、福井県と京都府と滋賀県が参加をしてテレビ会議を行ったとの内容のみである。
 どのように総括して、議会の意見が反映されて、新年度予算として提案したのか、チェックしたいので、その報告書等を議会に提出してもらえないか。


◯危機対策・防災課長  昨年の高浜等の訓練であるけれども、議員から資料の請求があった時点では、分科会で検討を行っている状況であった。その時点の情報を提供したが、内閣府が2月中旬に報告書がまとまったため、現在、ホームページのほうに国としての訓練の報告書を公表している。またごらん願う。


◯佐藤委員  議会であれだけの議論があったにもかかわらず、内閣府のホームページを自分で見てほしいとは余りにも不親切ではないか。内閣府は報告書を出したと、県としては、このとおりだと思うと、あるいはこのような点を別途考えているとの答弁があって、しかるべきではないのか。


◯危機対策監  時間的な関係で、そのような対応になってしまったけれども、今回は、国のほかに福井県、滋賀県、京都府、兵庫県の関係府県が集まって訓練をしたので、国がそれらを全部取りまとめて、まずは内閣府がホームページにアップし、各府県がそこにリンクを張ることで情報にアクセスできるようにした。
 今ほどの、委員の指摘については、今後、次年度以降、まとまった段階で提供の仕方を考えていく。また、毎年度、防災会議を必要に応じて開催するが、一つの方法として、その中で当該年度の一般防災及び原子力防災訓練の検証結果について報告している。


◯佐藤委員  訓練があり、参加者数、参加機関数や実施内容の報告はあった。それに対して、各委員会でも、議会でも、いろいろな意見があり、批判も、感想もあった。それが県庁を通じて内閣府の報告書にどのように反映されているのかを回答してもらわなければ、新年度にまた実施するので予算だけ認めてほしいと求めるだけでは、おかしいのではないかと言っている。


◯大森分科会長  報告書の公表されたタイミングがずれているので、翌年度の予算に反映されにくい側面もあるであろうが、佐藤委員以外の委員の考えもあるけれども、やはり少し不親切に感じる。
 これだけ広域的に訓練に実施するのであれば、各府県も各参加機関も予算を使って参加しているであるから、時期はどうであれ、総括的な資料をまとめた時点で、議会に提示してもらうことが筋であり、分科会として要望したいけれども、どうか。


◯危機対策監  手続的に前後して失礼した。ホームページから印刷したものについて、分科会長と相談した上で、後ほど提示させてもらう。


◯大森分科会長  資料は相当多いのか。


◯危機対策監  ある程度のページ数はある。(「配付してほしい」と呼ぶ者あり)──わかった。


◯大森分科会長  それでは、配付願う。




廃炉事業の予算が105万?

◯佐藤委員  平成29年度当初予算において、原子力安全対策課の全体の予算額は前年度からかなりふえてはいるが、大気モニター等整備事業など、いろいろな資機材の整備が多いと思う。廃炉、新電源関係の予算額は幾らか。


◯廃炉・新電源対策室長  廃炉・新電源対策に係る事業は廃炉・新電源対策推進事業の105万8,000円である。事業内容は、廃炉業務への関係部局が連携した評価、廃炉業務評価委員会の設置に係る費用、あと新電源の調査費等である。


◯佐藤委員  原子力安全対策課の予算額が13億円ぐらいのうち、廃炉に関する仕事の予算はたった100万円しかないのか。


◯廃炉・新電源対策室長  当室の業務としては、この廃炉のビジネスの関係のほか、廃炉に係る協定や中間貯蔵に係る業務など、さまざまであるが、特に費用を伴う廃炉ビジネスの地域経済への波及を狙った事業について、これだけの費用がかかっている。


◯佐藤委員  今いろいろな動きがある中で、「ふげん」、「もんじゅ」、敦賀1号機、美浜1・2号機の廃炉が始まっていく。これは事業者が行うので、事業者が資金を投入することは理解できるけれども、県として、そのための事業があるのであれば、例えば、原発の推進と保全に十何億使っている一方で、廃炉は100万円では、県の取り組みとして非常に弱い印象を与えるのではないか。


◯原子力安全対策課長  廃炉・新電源対策室は、原子力安全対策課内にある。廃炉になっても、使用済み燃料等はそのままあるので、原子力発電所の安全対策は、県内に「ふげん」も含めて15基あるプラントについて共通して対策していくものであり、それに関連する予算としては、大気モニター等の整備も含めて共通している。
 さらに、委員の言うとおり、事業者または国に何をしてもらうかについて、現在、廃炉・新電源対策室長初め、室員4名がどれだけ汗をかくかというところもあって、新電源のことについて文献の収集も含めて行っている実態である。100万円だけの予算ではなく、原子力安全対策課が一体となって、さまざまな対応をしている。


◯佐藤委員  今ほどの答弁の趣旨もわかるけれども、汗をかけと言っても、職員とすれば金もないのに汗をかけるかという面もあると思う。だから、事業者任せにせずに、必要な予算を計上して、県として何か提案できるような仕事をすることが必要ではないか。


◯原子力安全対策課長  当委員会でも、以前から廃炉ビジネスがあるとの話を受けており、安全環境部が経済界、県内企業は訪問できないので、県全体として当然、取り組むものだとの指摘もあった。
 そのような中で、産業労働部や、若狭湾エネルギー研究センターを所管している総合政策部が同様に、さまざまな予算措置をしているので、県全体として、廃炉関連ビジネスにも取り組んでいくことになると思う。


◯佐藤委員  しっかり取り組んでほしい。
 次に、当初予算案説明資料35ページ、年縞研究展示施設開館PR事業と関連して、その下の里山里海湖魅力向上検討事業について、有識者を交えた検討会を開催するとの説明であるが、具体的にはどのような有識者を交えて、県としてどのような目的でこれを開催するのか。


◯自然環境課長  年縞研究展示施設開館PR事業については、再来年の年縞展示施設のオープンに向けて、年縞の機運の醸成のためにシンポジウムの開催等を行う。
 また、里山里海湖魅力向上検討事業については、その年縞展示施設と、スマートインターチェンジが平成29年度開通することもあり、はす川の右岸と左岸を結ぶ連絡橋の検討、さらにこの一帯の魅力向上方策を検討する観点から、地元の若狭町とよく相談し、その若狭町、地元関係者、全国レベルの観光に関する知見を持つ人も入ってもらいながら、さまざまな魅力向上方策を検討していきたい。


◯佐藤委員  魅力向上はわかるけれども、抽象的過ぎて、具体的に何をしたいのか余り見えてこない。県として意図がなければ、専門家を集めて議論だけをしてもらってもよい話になるかというと、単純にそうでもないのではないか。


◯安全環境部長  以前の議会では、スマートインターチェンジができると、右岸側と左岸側の連携について、人と自転車等が通れる橋をかけるといいのではないかとの議論もあった。
 まずは、連絡橋をつくるにしても、県としては数億円の費用がかかると事務的に試算しているが、連絡橋について、どの場所にどのようにかけて、どれくらいの金額がかかるのか1回精査することが、今回の一番の目的である。
 あわせて、どのようなにぎわいをつくっていくのかとの宿題を受けているので、観光という視点で、全国の情報を収集したり、意見も聞いたりしていきたい。


◯佐藤委員  目的はわかった。ただし、当議会でも議論があったように、年縞そのものは非常に地味であるし、恐竜と違って、何度も家族連れで見にくるような物でもない。だから、この地域は、地理学的にも断層もあり、縄文時代を含めて、三方五湖もあると、非常に魅力的なので、その魅力を全体としてアップしていかなければ、年縞やその連絡橋だけにこだわったりすると、逆に全体がアップしないと思う。そこは、せっかく整備するのであるから、地元の人ともよく相談して、よいものになるよう要望する。




原子力防災訓練総括

 理事者から提出があった資料は手元に配付してある。
 それでは、当該資料について、理事者より補足説明を求める。

      〔危機対策・防災課長、「平成28年度高浜地域における
      内閣府・3府県及び関西広域連合との合同原子力防災訓練
      実施成果報告書」について、資料に基づき説明〕


◯佐藤委員  資料を初めて見たので、すぐに質問が出てこないところもあるが、12月議会でも質問したとおり、一つはヨウ素剤の服用のタイミングについて福井県と京都府とで対応が違った問題、もう一つはスクリーニング場所での除染された汚染水の管理について、例えば、京都府で管理するのか、あるいは発生源である福井県の関西電力の施設に持ち帰るのか、それらについてはどうなったか。


◯危機対策監  実際の訓練のときに、安定ヨウ素剤は服用までではなくて、配布までという国からの指示がある中で、本県は統一して行った。京都府のほうで一部、服用まで実施したが、実際に服用までを訓練のメニューに入れなければ、訓練としてはどうかとの指摘の趣旨は認識している。県としては、それを国に伝えて、次年度以降は服用することになれば、それに対応する必要な前提条件等を訓練に盛り込むことも必要になるので、それを来年の訓練でどのように反映するかについては、今後、検討していきたい。
 また、スクリーニングした後の処理水についても、先般も答弁したとおり、現在、決まっていることは電力事業者が処理することだけであり、それ以上は決まっていない。その処理方法については、原子力地域防災協議会の中で合意していく必要があると、内閣府に確認しているものの、具体的に協議をしているわけではないので、今後、国と関係府県と、今後、協議を進めて、国が主導的に方向性を示してほしい。


◯佐藤委員  資料を読ませてもらうが、新年度の訓練も、これらを踏まえて、住民の参加人数等を含めて、できる限り実践型になるように願う。



クマ対策

◯佐藤委員  熊について、件数は減ってきているが、山間地からかなり離れた平野部にも出没するという話も聞いている。その原因と対策はどうなっていくのか。それから、嶺南は少ないということで、今後、推定最大190頭との説明であるが、これが300頭、400頭とふえていく可能性はどうか。


◯自然環境課長  生息域の広がりについては、指摘のように、山間部だけでなく一部の平野部においても熊の出没が見られる状況にある。特に熊について留意すべきは人身事故の防止であるが、その人身事故に至るような事案として、例えば、熊に対する誘引物があり、ごみや軒先の柿を出しっ放しにしていると、熊が人里に来るとおいしいものにありつけると学習して、非常に人身事故に結びつきやすい個体になると言われている。まずは地元や、山間部の住民に誘因物の管理、ごみであれば鉄の網つきのケージにきちんと入れてもらう、柿の管理もしっかりしてもらうことを、市町を通じて呼びかけている。
 また、人里をうろつくような個体については、地元の猟友会及び県警察と連絡をとり合い、必要であれば予防的に駆除に取り組んでいく。
 さらに、今後嶺南の個体群がふえるかについては、90頭から190頭という数字は個体群としてはまだ非常に脆弱なサイズであり、捕獲圧をかけ過ぎると容易に絶滅につながり得ると考えている。引き続き、その様子について精密に調査を行い、その結果、どのように取り扱うかについて市町とも検討していきたい。


◯佐藤委員  今、柿など果樹の話が出た。この委員会の所管ではないが、空き家が大きな問題になっており、田舎の空き家には大抵果樹が植わっている。空き家については、そのような対策も一緒に考えていってほしい。



もんじゅ

◯佐藤委員  今ほど話があった、12月27日に文部科学大臣が来たところで、知事は、日本原子力研究開発機構任せとせずに政府が責任を持った体制を設ける必要がある、早く示してもらうのが大事だ、4月をめどにと言っているけれども、2月、3月には県議会もある、余り時間がないとも言っている。
 しかし、今ほど説明があったように具体的な提案はまだ何も示されていない。きょうは常任委員会であるが、今議会中にも示されないことになる。次の議会はもう6月議会になるので、議会との関係でも、知事がこれだけ念を押したのに、体制が示されないことは無責任だと思うが、来月中には体制がきっちりと示されるめどがついているのか。


◯原子力安全対策課長  現在、国において具体的な案を検討している段階だと思う。先週もその政府の考え方を早期に示すように言っており、今ほど委員が言われたように、地元と十分に議論を深める必要があると考えており、例えば、唐突にもう決まったと、それを提示するやり方では、地元が安心する体制にはならないと考えている。国において早期に考えを示すように重ねて言っているところである。


◯佐藤委員  県議会直後の15日の会議の設定とは関係あるのか。


◯原子力安全対策課長  15日の会議とは、エネルギー研究開発拠点化推進会議のことであろうと思うが、会議を仕切っているのは総合政策部であり、先ほど予算案の審査の中でも話が出たが、当然、「もんじゅ」は、これまで拠点化推進会議の柱になってきているため、今後、これまでの検討の内容、経緯については、説明があると考えている。


◯佐藤委員  委員長にも要望したいが、県議会閉会の翌日である。西川知事も、2月、3月には県議会がある、早く示してもらわなければ困ると言いながら、県も合意した会議を県議会閉会直後に設定することは、議会との関係ではどうかと思う。まだ予算決算特別委員会もあるから、決めうちでなく、せめて、大体概要がわかる案ぐらいは県議会開会中に示してもらわなければならないと思うがどうか。


◯安全環境部長  3月15日に拠点化会議を開催することは、当部も聞き及んでいるが、それと「もんじゅ」の関連性について、スケジュール的にも当部が考えるところではない。とにかく、この間も知事が文部科学省の局長に言ったように、しっかりと早く案を示してもらい、地元に説明して議論をしてほしいと言い続けている。3月15日の会議と直接的な関連性について、今はまだ整理しているものではない。


◯佐藤委員  大臣は、「もんじゅ」の廃止措置体制については政府と一体となった指導監督体制をつくる、第三者による技術的評価等を受ける、内外の英知を結集した体制を整えるとはっきりと言っている。その上で、日本原子力研究開発機構が実施すると言っている。そうなるのであれば、要はその肉づけについて、どのような指導監督体制なのか、どのような第三者の評価機関をつくるのか、日本原子力研究開発機構任せではなく、どのような英知を結集し体制をつくるのか。それらについて、県は詰めていないのか。


◯安全環境部長  国はそのように言っているが、日本原子力研究開発機構の延長線上ではなく、どのように変えられるのか、県としては、現在の日本原子力研究開発機構のままでは体制の問題に非常に不安があると常々言っている。それをどのようにしていくのか、民間の力の活用などをどのように体制の中に組み込んでいくのかについて、具体的に示してほしいと、国に対して言っている。


◯佐藤委員  言っていることはわかったし、この問題では、県を余り責めることではないかもしれないけれども、県として責任を持って交渉しなければいけない。議員はいろいろな意見を言うが、文部科学大臣や文部科学省局長と直接交渉できる立場にはない。県は、県民のいろいろな意見を集約して、文部科学省と交渉もする立場にある。
 それが、先ほども言ったが、これほどの大問題について、県議会が終わってから示されるようでは、我々の立場は一体どうなるのかということもある。議会中に、何らかの形で、当常任委員会の安全環境部の審査はきょうで終わりであるから、予算決算特別委員会か原子力発電・防災対策特別委員会になるのかは別としても、そのような場で何らかの形で説明してもらいたいし、それは可能か。それとも、昨年12月27日の文部科学大臣と知事との会談のその後の具体的な展開について、今会期中、県としては説明しないつもりか。


◯安全環境部長  繰り返しになるが、先週の金曜日に知事から局長にそのような話をさせてもらい、可能な限り早く体制について示したい、今後また相談をしたいと、国は言っているので、今、それが示されていないことについては非常に申しわけないが、国に対してしっかりと話をしていきたい。


◯佐藤委員  結局、決まったことが出てきてしまってからでは、県議会が幾ら議論をしても、意見を言っても、なかなか変更できないと思う。県もそうだと思うけれども、県は決める過程で国といろいろと折衝しているが、議会は折衝できない。だから、案の段階で県議会も議論に参加させてもらいたいと要望している。気持ちはわかるであろう。


◯安全環境部長  年末のあの決め方は、9月の段階でもう方向性が出たと最初に急に出されて、3カ月余りで非常に拙速な議論によりできたものであるので、そのようなことがないよう、地元にも十分説明してほしいと何度も言っている。国も、県議会、敦賀市を初め、しっかりと説明をしてもらう必要があると思っている。



福井市に産業廃棄物最終処分場計画

◯佐藤委員  旧清水町に管理型処分場の計画があると聞いているが、これはどの程度の容量で、どこから持ち込まれて、どの程度運営するのか、その計画が県に提出されているのか。


◯企画幹(循環社会推進)  現在、清水町で計画されている処分場については、詳細な計画は公表されていないが、今のところ、50万立方メートルぐらいの容量と聞いている。現在、許可申請前の行政指導の段階であり、書類等も出てきたところであるので、国の定める適合基準に構造や生活環境影響などが該当しているのか確認を始めている。


◯佐藤委員  どのような廃棄物が持ち込まれて、どの程度の営業するのか質問している。


◯企画幹(循環社会推進)  今回は管理型処分場であり、通常の汚泥や木くずなどと、それ以外に安定型処分場として通常のがれき等も入れたいと聞いている。


◯佐藤委員  地元にも賛否両論があると聞いている。県にはいろいろな意見が届いていると思うが、反対の要望書が届いているのであれば、それはどのような内容か。


◯企画幹(循環社会推進)  その計画が上げられたときに、県から福井市に意見を聞いたところ、福井市から、施設の下流地域の一部の地区で情報不足による漠然とした不安がある。だから、不安解消のために説明は必要であるとの意見書を受けた。それを踏まえて、県として事業者にその地区に対して説明等をするよう指導している。


◯佐藤委員  下流地域で漠然とした不安があることについて、県には県民から具体的な文書が出されていることはないか。


◯企画幹(循環社会推進)  正式な手続に入った段階で要望書等は受けていない。


◯佐藤委員  地元、今ほど説明があった下流地域では反対の立て看板が立てられるなど、先ほど敦賀市の民間最終処分場の議論もあったが、どうしてもそのようなイメージもあり不安があるとの側面があると思う。だから、事業者が丁寧に説明することも大事であるが、県としても福井市とともに住民に対して説明する気持ちはあるか。


◯安全環境部長  委員が言われるように、関係者に丁寧に説明していくことが重要だと思っている。今ほどの説明のとおり事前協議の段階であるので、まずは事業者が地元にしっかりと説明をした上で、地元への説明会での状況、あるいは福井市の考え方を聞きながら対応していきたい。


◯佐藤委員  持ち込まれるものについて説明があったが、コンクリートくずや金属くずなども対象になっている。
 今後、原発の廃止、解体、廃炉の事業が福井県内で大規模に行われていく。当然、放射能を含んだものはだめであるが、いわゆるクリアランスで全く放射能を含んでいない原発から排出されるコンクリートくず、金属くず等をこの事業者が受け入れる可能性はあるのではないか。


◯企画幹(循環社会推進)  一般的な管理型処分場であるので、そのようなものを入れるとは聞いていないし、計画が出てきた段階であるので、今後、審査や確認など、いろいろな作業を進めていきたい。


◯佐藤委員  県としては、放射能を含んでない原発のコンクリートくず、金属くずもこの管理型処分場で受け入れるべきでない、要は、原発の解体物は全て県外へ持ち出すべきとの見解か。


◯安全環境部長  原子力発電所からの放射性廃棄物は、低レベルのものも含めて、全然、処分場に入るようなものではないことは、委員もよくわかっていると思う。具体的にどのような廃棄物が入ってくるかについて現段階で想定できないし、発電所の通常の建物の解体物が入ってくることまで、事業者と具体的に話はしていない。原子力発電所からのそのような廃棄物が対象になるのかどうかは、まだ確定していないが、先ほどは、低レベル放射性廃棄物等や関連するものは入れないと答弁している。


◯佐藤委員  それは当然わかっている。
 私は、西川知事が原発を更地にして返すことを求めた場合に、放射性物質は県外へ持ち出すように求めるのであろうが、全く放射能をおびていない廃棄物も県内では受け入れないことは違うと確認している。


◯安全環境部長  知事は、使用済み燃料、それから低レベル放射性廃棄物であれば、どのようなものであろうと、県外に排出するように言っていると認識している。


◯佐藤委員  その辺は廃止措置の進捗と関係した問題が出てくると思う。中心部分の放射能を含んでいるコンクリートは当然だめであるが、周囲の全く放射能をおびてない、例えば管理棟を解体したものまで、福井県内に置いておくことは許さないと、直ちに県外へ持ち出せとしゃくし定規の対応をすれば、持って行く場所がなければ、廃止作業にも影響が出て、それを進めるのに障害になるのではないか。その辺については、県もきっちりと整理して考えていかなければならないが、どうか。


◯安全環境部長  現時点で、そのようなところまで議論していない。どのようなものを埋めようと想定しているのか、事業者から話を聞いていきたい。


◯佐藤委員  それでは、福井市は中核市を目指しており、順調にいけば2年後には中核市に移行することが福井市のホームページにも載っている。そのような時期であるので、今ほどの県が認可をしている業務、ほかの業務も含めてであるが、福井市が中核市になる以前に県の責任で処理してしまうほうがよいのか。それとも、福井市の判断で対応してもらうほうがよいのか。その辺はどのように考えるのか。


◯安全環境部長  事業者から各種申請が出てきたときには、都度、内容をしっかりと確認して、妥当かどうかを判断しながら対応していくことが筋だと思う。中核市への移行があるので、先送りをする等の議論ではないと思う。まず、今の基準に合っているか、地元に対する説明をしているか、内容をしっかりと確認し、ただし、施設自体が福井市に設置するものであるので、関係自治体として福井市にも意見をもらっているし、どのような経緯があって、今後検討していくのか、福井市にも理解してもらうためにも、今の段階からしっかりと連携をとっている。

予算決算特別委。刑事政策と再犯防止。教員の労働時間把握と改善、知事の原子力行政への責任

2017年06月01日 | 福井県政
 2017年3月10日予算特別委員会での佐藤正雄委員の質疑です。



        「刑事政策と県政」             佐藤 正雄 委員


◯佐藤委員  日本共産党の佐藤正雄である。
 最初に、刑事政策について尋ねる。以前、一般質問した内容ともかぶるが、よろしくお願いする。
 法務省法務総合研究所は、2009年に再犯防止に関する総合的研究を発表したが、これは1948年から2006年の約60年間の犯罪データを分析したものである。全体の約30%の再犯者によって、6割の犯罪が行われていることなどを明らかにした。こうした研究成果も背景に、昨年12月には、国会で再犯の防止等の推進に関する法律が成立している。
 そこで尋ねる。
 福井県内の再犯者による犯罪の割合と再犯期間、有職、無職の割合、再犯事由などの再犯者の特徴について尋ねる。


◯警察本部長  平成28年中に刑法犯により検挙された成人のうち、再犯者の割合は全国では48.7%、福井県では42.9%となっている。10年前の平成19年における再犯者の割合は、全国では39.7%、福井県では35.9%となっており、県内の再犯者の割合は全国と同様に上昇傾向を示している。なお、犯罪統計上の再犯者とは、「刑法犯により検挙された成人のうち、前に道路交通法違反を除く犯罪により検挙されたことがあり、再び検挙された者」を示しており、再犯者の再犯期間、有職、無職の割合、再犯事由などについては、統計を持ち合わせていないため答えられないことを了承願う。


◯佐藤委員  そこで、再犯の防止等の推進に関する法律に基づいて、福井県の取り組み強化が求められてくると思う。さきの県警報告書でも紹介されているけれども、入所度数、入所した回数であるが、これが2回以上の方は、犯行時に職を持っている方が27.8%、ない方が70.6%、保護観察対象者の再犯率は、職のない方が39.6%、ある方が7.3%ということで5倍となっているわけである。議会でも、保護観察所や保護司会の取り組みを紹介したこともあるが、県として、保護観察中の方を雇用した際の入札制度の改善、協力雇用企業の拡大などの取り組みの推進状況はどうなっているのか、伺う。


◯土木部長  県は、平成29、30年度の県発注工事で入札に参加することができる資格の審査から、新たに保護観察中の者を雇用する業者について、A等級とかB等級などの業者の格付をする際の評価点に1%の加点をすることとし、改善している。


◯健康福祉部長  協力雇用企業の拡大の指摘であるが、国においては、出所者の雇用促進を図るために、就労職場定着奨励金、あるいは、就労継続奨励金など、協力雇用企業に対する支援制度を設けている。
 県としても、福井保護観察所と協力し、企業の人事担当者などを対象とした研修会を実施して、こうした国の制度を紹介するなど、出所者の社会復帰への理解と協力を求めている。その結果、県内の協力雇用企業の数は平成27年4月1日現在の94社から、現在は109社へと増加しているところである。


◯佐藤委員  全国的にはもう少しふえているかと思う。建設、建築業界などを含めて、いろいろと雇用環境の厳しさがふえている状況で、福井県の場合は94社から109社であるから、伸び率としては余り多くない気がするが、この辺はどのように分析し、今後どうするのか。


◯健康福祉部長  出所者の推移の状況にもよろうかと思う。平成28年4月1日現在では、全国では13%増、福井県では12%増ということで、全国平均並みかと思っている。ただ、石川県などはもっと高い状況であるので、我々も精いっぱい普及啓発、あるいは、研修会を通じてさらに高めるような努力をしていきたいと考えている。


◯佐藤委員  きのうも議論があったが、働ける人が60歳までか、65歳までか、70歳までかと、いろいろあるし、働けない方は福祉につながなければならないことになるので、その辺もよろしくお願いしたいと思う。

        「教育行政について」


◯佐藤委員  次に教育行政であるが、教育長は、私の一般質問への答弁で、今年度は県教育委員会安全衛生委員会が一度も開催されておらず、最後の月、今月に開催すると答弁された。昨年度はストレスチェックの実施などの関連で開催したとの答弁であった。しかし、安全衛生委員会は何か新しい制度を導入したときにだけ開催するというものではないわけである。
 そこで、改めて質問する。
 今年度は、5月、9月に出退勤記録の報告もさせているわけであるから、なぜその内容を踏まえた安全衛生委員会を開催しなかったのか。また、今月、開催予定の委員会の議題は何か、伺う。


◯教育長  県教育委員会安全衛生委員会は、職員の健康の保持増進、また、衛生に関することを審議するために設置して、年1回以上開催することになっている。
 今年度は、全国に先駆けて、全教職員の出退時間の調査を5月、9月、2月の3回行うこととしており、年間を通じての勤務実態を把握した上で、その対策について審議する必要があること、また、今年度初めて実施したストレスチェックの実施結果についても2月に出てくるということで、そうした審議を含めて、3月に委員会を開催することにしているわけである。
 今月予定している委員会の議題としては、ストレスチェックの実施結果、また、実施方法の改善、それから、健康診断や人間ドックの一般的な受診の状況、それから、出退勤時刻調査を踏まえた学校の業務改善や、来年度の出退勤管理内容についての審議をする予定をしているところである。


◯佐藤委員  そもそも、各学校での安全衛生活動がどうなっているのかも問われてくると思う。
 そこで、小中高ごとに定期的に会議が持たれるなど、衛生委員会活動が行われている割合について尋ねる。


◯教育長  衛生委員会の設置については、労働安全衛生法によって、教職員50人以上の学校について義務づけられているところであって、10人以上50人未満の学校については、衛生推進者を選任することになっている。
 県立学校においては、全部の学校で、校長や健康管理医で構成する衛生委員会を持っており、年に1回から3回開催している。その中で、職員の健康診断の状況、感染症等の対策の審議をしているほか、毎月開催する職員会議において、長時間勤務の縮減、職場の環境づくり等の協議を行っているところである。また、小中学校において、教職員50人以上の学校は3校であって、こちらは衛生委員会を年2回程度開催しているとともに、先ほどの県立と同じであるが、毎月開催する職員会議で協議しているということである。そのほかの全ての学校においても、衛生推進者を選任して、教職員が教育活動に専念できる労働環境の確保に努めている状況である。


◯佐藤委員  一般質問のときも指摘したのであるが、県教育委員会は、各学校の現場の先生に対し、自己責任での労働時間の管理を強調して、出勤、退勤時間を自分できちんと書き入れる表を配っているわけである。それを教頭や校長がチェックすることになっているのだと思うが、そもそも、この労働時間が自己責任だということになってくると、この間あったように、過労事件、過労自殺、あるいは、過労による病気等が起こった場合に、その責任の所在はどうなるのか。あなたの責任だと、自己責任になるのか、それとも、管理者の校長の責任になるのか、あるいは、教育長の責任になるのか。その辺はどうなるのか。


◯教育長  一人一人をチェックすることは、ことし5月から始めた。自己管理をすることは非常に大事であるので、自分の出退勤の時間をきちんと把握する。そして、我々はそれを3回集めて、対策を講じていく。来年度からは、各学校の校長、教頭、管理者がそれをきちんとチェックして、勤務時間が長い人たちについては指導をする。そして、1人に偏っていればほかの人がサポートするという体制をとってもらって、管理を行っていくことになる。全体としては、来年度4月以降、そういう管理体制の中できちんとやってもらう方向性を考えている。まずことしは、自分のことを知ってもらい、校長や教頭もきちんと把握してもらうという全体的な流れをつくって、来年度からは、管理も含めて、校長、教頭は、先生方が出してきたものを、そのままではなく、きちんと管理していかなければならない。もともと、先生方の超過勤務は、一般企業とは違った法律体系にはなっているけれども、基本的に、ある程度そういうものをきちんと守っていく必要もあるし、それは学校長の管理下にあって、その服務体制でやっていくことになると思っている。


◯佐藤委員  その記録をつけ、月に80時間を超えたら校長と面談するとか、いろいろなことが言われているけれども、それだけでいいのかということがあると思う。
 平成27年7月31日に、学校教育政策課長の名前で、「活力ある学校活動を目指す取り組みについて」という文書が出されている。これを見ると、退勤時間の設定と徹底をするということで、退勤目標時刻をきちんと決めることが言われているわけである。だから、そういう校長との面談任せではなく、例えば、20時なら20時とか──20時がいいかどうかわからないが、19時がいいということもあるかもしれないけれども──きちんとこれを決める。学校教育政策課長が文書でそのように各学校に通知しているわけであるから、決めたらいいのではないか。


◯教育長  学校の先生方は皆さん結構忙しいが、時期的ないろいろな課題もある。だから今回、出退勤記録を3回とっているところもある。試験の前とか、部活の大会がある前とかいろいろな時期があり、夏休みはそんなに多くないのではないかという時期もある。それは、学校としてきちんとやる体制をとってもらうということであって、全てを今、やり始めたところなので、完全にどこまでをやれるかはわからないが、順次改善をするというのが我々の考え方である。県はことしも、それに対するいろいろなサポート支援を入れているし、学校でも、まず、校長先生たちがきちんと面談もして、今の服務体制もやっていく、そういう体制をとっていく中で、改善すべき点があれば、順次改善していくということであって、一遍に全部を改正してしまうことは非常に難しいと思っている。


◯佐藤委員  自分が出されたこの通知、矛盾過ぎではないか。一遍に改善するのが難しいといっても、教育政策課長の名前で、各市町教育委員会教育長、各県立学校長あてに学校教政第574号として出しているわけである。なぜ、書いてあることをきちんとやらないのか。書いてあるとおりやればいいではないか。退勤時間をちゃんと設定して徹底しようと、全校でこれをやろうと出しているではないか。なぜやらないのか。


◯教育長  そういうことは全部進めていくけれども、県全体を一本の時間帯にするというのは、今後、また協議する中で出てくるかもしれないが、1年間毎日を何時間という形にはできないし、それは学校としてこれから決めていくときに、先生方ときちんと話をして、この時間帯に帰ろうと皆さんで決めてもらうのが一つの正しいやり方だと思っている。


◯佐藤委員  現場任せだけではなくて、教育委員会の責任は大きいと思う。学校の現場の先生のアンケートを幾つか、この間の一般質問でも紹介したし、これまでも紹介しているし、多分それは教育長の手元にも届いていると思うが、現場の先生が何で一番困っているかといえば、県独自テストとか、いろいろなことがふえていき、仕事は際限なくどんどんふえていく。スクラップ・アンド・ビルドではなく、ビルドばかりである。要するに、業務がスクラップされていかない。それはそうだろう。学校は子供相手であるから、そんなに簡単にスクラップできない。これまでの業務に加えて、英語だ、県独自テストだと積み重なっていくわけであるから、大変になるのである。その辺はやはり、教育委員会の責任だと思う。県独自テストのような新たな負荷をかけることは、きちんと見直すことが根本的に必要ではないか。


◯教育長  我々がいろいろ先生から聞いているところでは、多忙感と多忙は異なる。要するに、子供たちに教えることについては福井県の先生方は熱意もあるし、そこに対してストレスがかかっている人は少ないという話であるが、父兄からいろいろな話があったり、校務のいろいろなことをこなしていく、そういう子供たちに教えることとは違った部分でのいろいろなことの解消をしてほしい、そこにストレスを感じると聞いている。
 今回も、部活動において、部活動が得意な先生もいるけれども、得意でない先生もいるので、新しいシステムを入れる。それから、校務システムもみんなで協力してやれるということで、ここでもかなり省力化できる。そのような応援をする中でやっていくわけであって、新しい教育課題があることについて、ほとんどの先生方は、積極的に捉えてやっていく。我々は、ほかのところでカバーするという考え方を持っているし、また、全体としても、管理する中でできるだけ減らしていくよう、積極的に取り組んでいきたいと思っている。


◯佐藤委員  平成28年度第2回福井県総合教育会議の議事録をまとめたものを見ても、議論の中では、超過勤務時間が長く、ぎりぎりの状態ではないかとか、残業が長い教員が非常に多いとある。教育委員会の総合教育会議でも、きちんと対応をしていかなければいけないということは真剣な議論になっているわけであるから、もう少しきちんとメスを入れないと、とにかく学校の現場の先生の善意に任せているだけではだめだということは指摘しておきたいと思う。

        「原子力行政について」


◯佐藤委員  次に原子力行政であるが、佐賀県では、玄海原発の再稼働についての住民説明会を県内5カ所で行い、約1,000名が参加したと、先日、報道があった。西川知事は、「もんじゅ」の廃止について、国に対して厳しく、福井県民に説明するよう求めている。これは当然だと思う。同様に、我々は望まないが、仮に再び県内原発の再稼働が日程に上がってきた場合には、佐賀県の例も参考にして、福井県の責任で、県内各地で県民説明会を開催すべきではないか。


◯知  事  県民の皆さんに対する説明については、福井県には多くの発電所が立地しており、それぞれ種類も状況も対応も異なることから、住民に一番近い市や町の段階でこれまでの経緯や地域の実情に応じて対応するという方法を講じている。
 その際、県は、国や事業者に対し、責任者の派遣など、市町の意向に適切に対応するよう協議、調整をしている。
 また、福井県原子力環境安全管理協議会においては、国や事業者から説明を受け、立地及び周辺市町の代表者、商工、農林水産業、労働団体など、さまざまな立場の方々から意見を聞くというやり方をとっている。


◯佐藤委員  従来と変えないとのことである。佐賀県と福井県の違いは、知事が言われるように、福井県にはいろいろな種類の原発が各地にあるから、各地の責任でやってほしい、佐賀県には原発が何カ所に分かれてたくさんあるわけでもないし、原発の種類も1つだから、佐賀県が責任を持つということか。


◯知  事  そういうことが主な理由であるし、歴史的な事情、また、最近における行政と電力事業者のいろいろな関係など、また、住民との関係もそれぞれ違うかと思う。


◯佐藤委員  では、この「もんじゅ」の問題について、知事は国に求めているが、国との関係では、いつどういう形で県民に説明会を開いてもらえるのか。


◯知  事  「もんじゅ」については、今、そういう議論ではなく、国がいかに責任を持つ体制をつくるかの議論を急いでもらっているということである。


◯佐藤委員  島根県では、原発事故時に備えたヨウ素剤の配布を、30キロ圏、5キロ圏に限らず、30キロ圏の希望者にまで広げて行っている。福井県でも、いざというときには、交通渋滞なども重なって、現在やっている少人数の訓練のようにはヨウ素剤をうまく配布できないことも想定されるわけであるから、希望者への事前配布を行うべきではないかと思うが、見解を伺う。
 あわせて、30キロ圏の保育所や幼稚園、学校、こういうところには、お昼の時間に必要になる場合もあるわけであるから、きちんと全員分のヨウ素剤、あるいは、ゼリー状のものも含めて備蓄する体制をとるべきではないか。


◯健康福祉部長  30キロ圏内住民へのヨウ素剤の事前配布については、国は5キロ圏内と同様に予防的な避難を行う可能性のある地域など、緊急時に配布困難な地域について認めているところである。また、配布に当たってはさまざまな課題もある。県としては、市町の具体的な意向をもとに、地域原子力防災協議会などの場において国と協議をしていきたいと考えている。
 そして、UPZの学校などへのヨウ素剤の備蓄であるが、これについては現在、保管場所の確保をどうする、保管管理責任、あるいは、配布者の確保、保護者の同意確認など、さまざまな課題もある。現在、各市町の防災部局を通じ、教育委員会などと慎重に検討をしているところである。


◯佐藤委員  そうすると、島根県と福井県の差、要するに、島根県は希望があれば配る、福井県は、今部長が答弁したように、避難するときに困難であるところにしか配らないというわけである。ある意味では、さっき私が言ったように、渋滞とか、そういう状況のもとで困難になり得るわけである。何も、がけ崩れで困難になるエリアだけではなく、町部であっても、渋滞の列ができれば、ふだん車で5分で行けるところが30分、1時間とかかるわけであるから、そういうことも含めて、きちんと考えるべきではないか。


◯健康福祉部長  今、指摘のあった島根県松江市の例であるが、人口20万人である松江市の全域がUPZに入る、家屋の連担によって、PAZとUPZの線引きが難しいといったことから、住民に個々に緊急時の受け取り困難な理由を出させるといった一定の条件のもとに、特別に認めているものである。そのほか、例外的にUPZの事前配布をしているところは、例えば、PAZ圏内を通らないと避難できない、あるいは、離島とか、一定の地理的な条件もあるということである。
 本県においても、各市町が具体的にこういう事情で、こういう地理的な要因があるのだということで、そういった意向が示されれば、私どももこの問題について、国などと協議をしていきたいと考えている。


◯佐藤委員  ぜひそれはお願いしたいと思う。
 今答弁されたように、学校などについては各市町教育委員会と協議しているとのことであるが、各市町のほうは、いろいろと伺うと、待っている市町もあるようである。県としては、各市町がそろわないと動けないということなのか、それとも、例えば、町の教育委員会、あるいは、市の教育委員会で希望するところがあれば、その市とか町だけ学校に配布するのか、そのあたり、スケジュール的にはどうなるのか。


◯健康福祉部長  南越前町においては、先月、既に学校などへの配布が終わったと承知しているが、それ以外の市町については、先ほど答弁したとおり、配布するだけで終わらない問題である。人事異動等々もあろうかと思う。市町レベルの段階において、しっかりと責任体制、あるいは配布体制の確立が必要だと思うので、そういうところを現在、協議しているということである。


◯佐藤委員  平成25年の災害対策基本法の改正で、地区防災計画の仕組みがつくられたわけである。あすで東日本大震災から6年になるわけである。釜石の奇跡というようなことがマスコミでも取り上げられたけれども、やはりトップダウンの防災ではなく、ボトムアップの防災ということで、この原子力防災においても、それぞれの地域とか、集落、地区などで、うちの学校ではヨウ素剤を備えようとか、うちの地区では備えようという要望があれば、積極的に応えていくことが、結果的には防災意識の向上ということになってくるのではないかと思うので、よろしくお願いする。
 次に、長野県の防災ヘリコプターが墜落して、乗員9名が全員亡くなるという非常に残念な痛ましい事故が起こった。さまざまな災害で防災ヘリコプターが活用されるわけで、安全第一の運行が必要である。
 福島原発事故の際にも、県内各地から消防も支援に駆けつけ、福井県の防災ヘリコプターも出動したと聞いている。当時、福井県の防災ヘリコプターも放射能汚染にさらされる中で活動し、被曝のために、福島県における活動後の防災活動に支障が生じたと聞いている。原発事故時の防災ヘリコプターの活動について、福島原発事故の際の活動からの教訓を尋ねるとともに、その際、乗員の被曝の程度はどの程度だったのか、伺う。


◯危機対策監  東日本大震災が発生したときには、消防庁からの要請を受けて、本県の防災ヘリコプターが現地に行って活動をしている。現地において、捜索、救助活動、あるいは、急病者の方の病院への搬送といった活動をしており、孤立者の方を3名救出、1名の方を病院へ搬送と、震災直後の応急対策に大きな役割を果たしている。
 一方、現地の状況を当時の隊長に聞いたが、報道関係のヘリコプターも含めてであるが、ピーク時で130機ほどのヘリコプターが、福島空港に来ていた。そのため、県の災害本部の中にヘリコプター専用の調整班を設けて、そこがいろいろと差配するのが本来のあるべき姿だったのだろうと思うが、福島の場合は、本部の中にヘリコプター専用の調整班を設けずに、地上の消防隊の調整班の中でヘリコプターもさばいていたということで、今、どこでどういうヘリが活動しているかの調整ができなかった。あるいは、現場からの要請が、本来ならば本部を経由してヘリサイドに行くべきところを、本部を経由せずに直接行ってしまったので、本来のあるべき活動場所の把握や調整に大きな混乱を来したと聞いている。
 こういったことがあって、県では、災害があった場合には、県災害対策本部の中にヘリコプター専用の調整班を設けることを制定しているし、昨年秋のあわら市の防災訓練でもその運用の訓練を行っている。
 それから、隊員の方の被曝の状況であるが、資機材、あるいは、線量計を持って活動していただき、活動後は当然シャワーによる除染を行っている。線量については、累積で最も大きいものでも16マイクロシーベルトということで、いろいろな専門家に聞くと、健康上、全く問題のないレベルだったということである。


◯佐藤委員  ヘリコプターも汚染されるし、乗員もシャワー除染するということだったわけで、大変な活動だったと思う。福島原発事故は、まだまだ終息はしていないので、これからも福井県として考えられる支援がいろいろとあると思うが、安全第一でお願いしたいと思う。
 次に、知ってのとおり、今、東京都で、豊洲市場への移転問題などをめぐって石原元知事の政治責任が百条委員会などで問われるという事態になっている。
 そこで、福井県の「もんじゅ」も、1兆円以上の国費と数十年の歳月を費やしながら失敗したという状況に終わろうとしている。知事としては、まだ、終わらせたくないということであろうけれども。知事が、国や事業者と二人三脚で「もんじゅ」を推進してきたことはみんな知っているわけであるが、この巨大プロジェクトの事実上の失敗について、知事みずからの責任はどう考えるのか。


◯知  事  今の質問は、東京都の問題とは何の関係もないし、二人三脚でもないので、発言について注意してほしいと思う。
 それから、この問題は、国が福井県や福井県議会に対して責任をとってもらわなければならない事柄であって、そういう質問の意味はわからない。


◯佐藤委員  そうすると、西川知事は、「もんじゅ」が失敗したとしても、私に責任はないと言われるわけか。
 では、ほかの原子力行政についても同じ立場なのか。「もんじゅ」だけではなく、ほかの原発についても、同じ答えか。
 では、福島のような事故が起こったときにはどうなるのか。また、国の責任だ、関西電力の責任だと、自分に責任はないと言われるのか。


◯知  事  仮定のいろいろな話をされているが、福井県は、県議会と我々とともに力を合わせて、福島のような事故は起こさせないという強い決意で臨んでいるというのが我々政治や行政の立場だと思う。


◯佐藤委員  それは、もちろんそうである。もちろんそうだと思うけれども、今、知ってのとおり、東日本大震災とか、熊本地震とか、何百年に1回という大きな地殻変動の時代になっているわけである。その中でも、まだ、原発を動かし続けようとするわけであるから、何が起こるかわからないということで私も反対しているわけである。それでも再稼働を認めていこうという知事の立場であるから、もし、自然災害であろうと、あるいは、人為的災害であろうと、原発で何か事故が起こったときには、自分には責任がないという立場なのかと聞いているのである。はっきり答えてほしい。


◯知  事  仮定の抽象論をこの場で言われても、答弁のしようがない。


◯佐藤委員  それは無責任ではないか。これだけ県庁一丸となって、県議会とも、ある意味では議論しながら原子力行政を進めていく中で、福井県の原発が事故を起こしたときに、知事の責任については述べられないというのはおかしいのではないか。私が責任をとるとどうして言えないのか。


◯知  事  起こってもいない抽象論をここで展開されても全く意味がないと思う。


◯佐藤委員  それでは、これから廃炉が進められていくことになるわけであるけれども、知事は、使用済み燃料を福井県は引き受けた覚えはない、全部県外へ持ち出してほしい、5年以上たったものは税金もかけて、早く持ち出してほしいということをやっているが、中間貯蔵施設の見通しがどうなるのかということになっているわけである。これについての現況と見通しを尋ねる。


◯知  事  使用済み燃料の中間貯蔵施設については、関西電力は平成27年11月につくった使用済み燃料対策推進計画において、2020年ごろに計画地点を確定し、2030年ごろに2,000トン規模で操業を開始するとしている。
 また、使用済み燃料対策については、国は、本県の要請に基づき、平成27年11月に政府と事業者で構成する使用済燃料対策推進協議会を設置し、事業者の計画を進行管理することとしている。
 今後、国が責任を持って事業者の計画の実行を促すことが重要である。関西電力に対し、国との連携を強化し、みずから策定した推進計画を確実に実行するよう引き続き強く求めていく。


◯佐藤委員  見通しはどうか。


◯知  事  それはしっかり求めていくということである。


◯佐藤委員  そこで、原発の廃炉という場合に、放射性の使用済み燃料だけではなく、コンクリートでも、放射能を帯びたコンクリートが出てくるだろうし、金属も、放射能を帯びた金属の廃棄物も出てくる。もちろん、全く放射能を帯びていないコンクリート、金属も出てくると思う。この辺の仕切りはどうするのか。


◯安全環境部長  放射性が低レベルのものについては、しっかりと事業者の責任でやっていただく必要があると思っているし、帯びていないものについてどうするかは、今後、廃炉計画をいろいろと立てていく中で、事業者がどのように考えるかをしっかりと確認していきたいと考えている。


◯佐藤委員  私が聞いているのは、使用済み燃料などは、全部県外へ持ち出ほしいと言っているが、それ以外のものは県外へ持ち出してほしいと言うのかどうかという確認である。


◯安全環境部長  低レベルのものについても、県外へ持っていってもらうのが基本だと思っている。


◯佐藤委員  以上で、質問を終わる。

2月福井県議会 共謀罪、関西電力の原発管理能力、特急存続、自殺者相次ぐ教育行政の改善を

2017年06月01日 | 福井県政
 2017年2月23日  佐藤正雄県議の一般質問です。



◯17番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。

共謀罪

 今の国会に政府が提出を予定していますテロ対策を口実にした共謀罪法案は、これまでに3度も廃案になるなど、国民理解が得られていないものです。そもそも国連がテロ防止条約とする14本の条約の中に、政府が締結には共謀罪の創設が必要だとする国際組織犯罪防止条約は含まれておらず、条約締結のために共謀罪創設が必要だという安倍政権の説明は、国民を欺くものであり、許せません。
 さらに、安倍総理を先頭に、一般の人は関係ないと殊さらに強調し、特別な犯罪集団だけが対象のように説明していますが、これまでの3度の廃案も、対象が無限定で一般人も対象とされる危険が指摘され廃案になってきました。
 国会でも、安倍総理は、関係ないと判断してきた一般人の集団であっても、判断が変わる場合があると答弁しました。判断するのは誰でしょうか。一般国民ではなく、その時々の国家権力であり、捜査機関です。まさに、かつての治安維持法と同様の窒息する日本社会をつくる危険性があり、現代版治安維持法とも呼ばれています。かつての治安維持法は、制定された後に最高刑が死刑に拡大され、予防拘禁までが導入されました。取り締まりの対象ではないとされていた労働組合運動や宗教者、文化活動、教育実践、学生サークルなどにまで恐怖の取り締まりが行われていきました。今回の共謀罪制定に関しても、日本ペンクラブ、140人を超す刑法学者、日本弁護士連合会なども反対声明を出しております。
 また、安倍政権は、安保法制、戦争法でも順法精神を失い、暴走しています。南スーダンでの活動では、現地からの報告を隠ぺいし、戦闘を衝突などと言い繕うありさまです。かつて戦争を事変と言った歴史に重なりかねません。余りのひどさに、日本共産党、民進党、社民党など、野党各党は稲田防衛大臣と金田法務大臣の辞任を求めております。
 ところで、今回の予算案には、幕末明治福井150年博開催準備事業費などが計上されています。明治は、富国強兵、対外戦争へと向かった時代でもありました。その後、福井出身の総理、岡田啓介は、2.26事件の当事者ともなりましたが、治安維持法の適用を学者や宗教者へと拡大し、思想、信条への弾圧を行った人物でもあります。彼は、回顧録で、「無理な戦争でも勝てればいい」と語っています。多くの国民、県民が多大な犠牲を負った戦争と、それを支えた国民弾圧への反省は語られません。
 そこで、改めて知事の歴史の事実についての認識をお尋ねいたします。
 県庁と県議会初め、多くの県民は、戦争犠牲者、戦没者を慰霊、追悼し、過ちを繰り返さないと誓い続けております。戦争推進と一体での当時の治安維持法で、その反省思想や信条、労働組合活動、文化活動などを理由に逮捕された国民は数十万人、送検された者は7万5,681名、獄死者は約1,700人、実刑は5,162人にも上る大規模なものでした。治安維持法犠牲者に国家賠償を求めている国賠同盟福井県本部などの調査活動によれば、福井の大島英夫、木下利男、上中信夫、武生の黒川泰一、大野の乾補、土本勇、加藤和光などを初め、福井県民の犠牲者も少なくありません。優に100名を超え、数百名とも言われております。宇野重吉、高見順、高田博厚ら、戦後活躍された面々も治安維持法弾圧の犠牲者でありました。治安維持法は、戦争遂行の国策と一体であったわけです。
 この治安維持法の犠牲者に対して、知事は哀悼の意を表明し、二度と過ちは繰り返しませんと誓うべきではありませんか。誠意ある答弁を求めます。



高速炉開発、関西電力の原発管理は大丈夫か


 次に、原子力行政について質問します。
 安倍政権は、「もんじゅ」は廃炉にするが、高速炉開発は継続することを関係閣僚会議で決めました。高速炉と高速増殖炉は高速中性子を利用する点では同じですが、関係閣僚会議の高速炉開発とは、これまでの高速増殖炉開発からプルトニウム増殖を外したものです。
 そこでお尋ねします。
 そもそも、高速増殖炉開発は、長期計画、原子力政策大綱において、将来の原子力の主流と位置づけられてきました。増殖を外すなら、日本の原子力政策の抜本的見直しを行うのが道理ではありませんか。また、今回の関係閣僚会議での決定は、これまでの政府の政策手続からも逸脱しており、まずは原子力政策大綱の見直しから始めるべきと考えますが、知事の見解をお尋ねいたします。
 さて、大飯原発3号機と4号機について、昨日、原子力規制委員会は、再稼働の前提になる新しい規制基準の審査に技術上合格したことを示す審査書の案を取りまとめました。しかし、大飯原発の地震や津波の審査を担当した島崎邦彦元委員が、規制委員会の審査合格の算定式を、熊本地震の知見に基づいて過小評価になると批判をされております。例外と説明されていた40年超える原発を軒並み合格させる手法といい、いわばかつて中枢を担っていた専門家からも審査内容の見直しが求められている事態といい、規制委員会は当初の設立目的の活動から逸脱しています。
 ところで、高浜原発でのクレーン倒壊事故は、前代未聞、言語道断です。普通、風速10メートルで作業中止ですが、今回、もし作業員がおられたら深刻な労働災害になりかねないものでした。私は、こういう事故を関西電力が防げなかった要因について、単に暴風警報の気象庁との契約や作業手順などの課題に矮小化してはならないと考えます。
 関西電力は、プラントのうち美浜1・2号機は廃止するが、後は再稼働したいとの思惑です。ですから、40年超える老朽化原発の高浜1・2号機についても、知事の了解を得て再稼働に向けた準備工事に入っていました。
 しかし、関西電力原子力事業本部が多数の原子炉について、その安全管理と再稼働に向けた大規模な工事など、それぞれ課題が違う工程を管理していくことは、初めての経験であり、その全てを統括する能力があるかどうかの検証は、県の原子力安全専門委員会でもなされておりません。規制委員会の審査にもかかっておりません。個々の原子炉の安全対策や工事内容についての議論は、その都度ある意味では丁寧に行われるかもしれませんが、今後予定されている9基の原子炉の再稼働に向けたそれぞれの複雑な手順と2基の原発の廃止措置という新たな取り組みに十分な体制がとられているのかどうか、疑問であります。この無理な体制の中で、高浜1・2号機の規制審査を担当していた職員の過労自殺も起こりました。
 そこで知事にお尋ねします。
 11基の原発の再稼働と廃止措置に向けた複雑で難渋な業務に取り組む原子力事業本部と発電所の体制について、同時並行で進めても大丈夫であると知事が判断された根拠をお尋ねいたします。
 知事が、きっぱりと40年超える原発の再稼働は認めないと、最初から判断していれば、職員の過労自殺もクレーン倒壊事故も防げたわけではありませんか。この際、今からでも知事として、工事入り容認と再稼働判断は別ですよなどという、従来のいわば平時の手法を繰り返すのではなく、今は非常時であるわけですから、今からでもきっぱりと40年超の原発の再稼働は認めない、工事は中止すべきだと判断を下すべきではありませんか。明確な答弁を求めます。


原発事故自主避難者への住宅提供

 さて、来月の11日で福島原発事故から6年を迎えます。テレビでも高高線量のデブリの映像なども流れ、今後の福島原発での作業の困難さが想定されます。
 原発事故で家と地域を失った方々の苦難も続いています。いわゆる区域外避難者は約2万6,000人、そのうち70%が4月以降の住宅が未定であるとお聞きをいたしました。自主避難者への唯一の補償が住宅の提供でしたが、3月で打ち切られるからです。福島に戻らないなら新たな負担を強いられ、福島に戻れば被曝に向き合わなくてはならない。まさに、貧困か被曝か選択が迫られています。これまでの日本の歴史にない最大の事故を起こし、安寧な生活を奪いながら、国民を見捨てていく国や東京電力の残酷さに身の毛がよだちます。
 そこでお尋ねします。
 毎日新聞のアンケート調査報道では、福井県は原発事故自主避難者に対し、4月以降は住宅の無償提供も、家賃補助も、転居補助も、いずれも行わないと回答しています。何と冷たいことでしょうか。みずからには何の過失もない、原発事故によってやむにやまれぬ思いで福井県に来られた方々に対して、もっと温かい支援ができないものでしょうか。鳥取県は、避難者は住まいの不安を感じている。支援するから鳥取県に住み続けてもらってもいいとの考えから、県営住宅の無償提供、民間賃貸住宅でも家賃全額補助を行うようです。
 原発のない県ですら、これだけの支援を行うのですから、福井県は原発事故被災者に対し、もっと親身になって県営住宅の無償提供、民間賃貸住宅の家賃全額補助など、住まいの確保に関する独自の支援を行うべきではありませんか、お尋ねをいたします。


新幹線敦賀開業時の乗り換え不便克服には特急存続を

 次に、新幹線問題で質問いたします。
 新幹線敦賀開業に伴う乗りかえ利便性の問題は、北陸新幹線認可の際の国土交通省が設置した委員会でも重要な議論となりました。その際に、乗りかえ利便性を向上させるためにフリーゲージトレイン──FGT導入が決定されたのです。1.0であった費用対効果──B/Cが、フリーゲージトレイン導入により1.1となったのです。つまり、投下した事業費以上の公共事業効果を出すためには、敦賀駅で毎日平均2万人近くの利用者が一々下車して乗りかえるようでは効果が低下する、公共事業としての妥当性が疑われるおそれがあったからです。今ごろになってフリーゲージトレインは一つの案だったというのは、計画のおくれの言い逃れでしかありません。
 フリーゲージトレイン開発のおくれにより、敦賀駅での乗りかえ利便性確保のために、新たに100億円もかかるという工事が必要になるのではありませんか。しかも、仮に敦賀以西も開通すれば、無用の工事となります。このような手戻りは、国民、県民の税金の無駄遣いであります。本来の北陸新幹線認可時の原点に国は立ち返るべきです。すなわち、フリーゲージ開発ができないのなら、現在の利便性を確保するのは現行の特急存続しかあり得ないことは明白です。国がフリーゲージトレイン開発おくれのために、新たな敦賀駅での巨額の工事を行い、福井県民と敦賀市民にそのツケを回すのは間違っています。
 そこで知事にお尋ねします。
 このように、フリーゲージトレイン開発のおくれのために、そのツケを当初の計画にはなかった巨額の新たな負担として福井県と敦賀市に押しつけるのは問題ではありませんか、見解をお尋ねいたします。
 認可時の原点に立ち返り、フリーゲージトレインが見込めないなら、同等の利便性確保の現行特急の存続を国とJRに求めるべきではありませんか。きのうの一般質問への答弁で、県は議論を見きわめていく、整備財源や並行在来線に影響するなどの答弁もありました。巨額の税金を投じ、現在の特急よりも利用者の利便性を悪くする公共事業など許されませんよ。知事の明確な答弁を求めます。


毎年平均すると1人が自殺している教育行政の改善は急務

 最後に、教員の労働衛生環境改善について質問します。
 代表質問に対し、この10年間に自殺された教員が10名との答弁がありました。昨年の私の質問のときは9名でしたので、また新たな犠牲者が生まれたということです。無念であり、御冥福をお祈りしたいと思います。
 まず質問します。
 昨年の私の質問の際にはお答えいただけませんでしたが、10名のうち、過労を含め業務の影響での自殺者は何名なのですか、お答えください。また、その関係者の処分内容と理由についてもお尋ねをいたします。
 ここのところが県議会と県民に隠されたままでは、議会としても事態の全容解明と対策の議論が進みませんし、結果的に犠牲を繰り返すことにつながりかねません。平均すれば、毎年自殺者を出している福井県教育行政の異常事態を何としても改めなければなりません。県議会と課題を共有し、解決に向かうためにも、明確な答弁を求めます。
 ところで、県教委は、5月、9月、2月に教員の出退勤記録を報告させているとお聞きいたしました。県に報告する月だけ毎日記録する、しかも全員の分を平均してしまうなどの実態もあるようです。まことに不正確です。県教委は、自己管理表を渡し、自己責任を強調しています。現場の教員からは、仕事がふえる中で何のためにやらせているのか、意味がわからないとの声も上がっています。教育長のもとにも現場の声が届けられているはずです。
 紹介しましょう。
 「仕事が多く、土日も学校。休みは一日だけ。子供が1歳と3歳で7時半に帰宅し、また9時半に学校へ仕事で戻ることも週に3日はある」。別の教員は、「とにかく忙しくて教材研究の時間もとれない。何のために教員をやっているのかわからなくなっています。多忙化解消してほしい」。また別の教員は、「土日は必ず部活動です。そのため、妻と子供は毎週末には実家に帰ってしまいます」などなど、深刻であります。
 労働時間の把握を自己責任にしていることを改め、校長の責任で把握すべきであり、教育委員会としての把握も3カ月間だけではなく、毎月行うべきではありませんか。
 さらに、そもそも労働安全衛生法に基づく活動が各教育委員会と学校でやられているのかも問われます。この点で、県教育委員会安全衛生委員会が昨年の3月22日以降開催されておらず、本年度の開催がないのは、実態として労働安全衛生法に違反する状態ではありませんか。その未開催理由と見解をお尋ねいたします。
 真摯な答弁を求め、質問を終わります。

◯議長(松井拓夫君) 知事西川君。
    〔知事西川一誠君登壇〕

◯知事(西川一誠君) 佐藤議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、主に国に関連するお話だと思いますが、共謀罪についてであります。
 治安維持法の犠牲者に対し、知事は哀悼の意を表明し、二度と過ちは繰り返さないと誓うべきではないかとの御質問です。
 治安維持法に関する御意見については、県知事として答える立場にはないところでございます。
 なお、政府において現在検討されている、テロ等準備罪──過去に廃案となった共謀罪の処罰要件を見直したものということでありますが、これにつきましては、その具体的な内容が明らかになっていないところでありますが、今後、国会の中で法案が提出され、あるいはいろいろな議論があるかと思うんですが、提出される中で、その趣旨、必要性を国民に丁寧に十分に説明することが重要であり、国会においてまずは議論される問題であると、このように考えます。
 次に、原子力行政についてであります。
 高速増殖炉開発からプルトニウム増殖を外すなら、日本の原子力政策の抜本的見直しを行うのが道理ではないか。また、原子力政策大綱の見直しから始めるべきではないか、所見を伺うということであります。
 福島原子力発電所の事故を受け、平成26年12月に原子力委員会の役割の見直しが行われ、原子力政策大綱は策定されないということにされておりますが、一方で、平成26年4月につくられましたエネルギー基本計画において、高速炉の研究開発方針が示されています。
 菅官房長官は、昨年12月の原子力関係閣僚会議において、エネルギー基本計画に基づき、核燃料サイクルを推進するとともに、高速炉の研究開発に取り組んでいくとの方針を改めて示しておられます。
 しかしながら、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の廃炉方針の決定により、核燃料サイクルや高速炉開発がエネルギー基本計画との間でそごを来していると、全体の位置づけが不明瞭な状態になっています。
 核燃料サイクルは、資源に乏しい我が日本の将来を考えた長期的な政策と位置づけられており、国は、今後、この高速炉開発において、いわゆるこの増殖をどう考えるのか明確な方針を示し、国民にしっかりした説明をしていく必要があると、このように考えます。
 引き続いて原子力行政でありますが、11基の原子力発電所の再稼働、廃止措置に向けた複雑で難渋な業務に取り組む関西電力の原子力事業本部と発電所の体制について、これが同時並行的に進められても大丈夫だと判断するのかどうかとの質問です。
 関西電力は、福島事故後、現地体制の強化を図り、原子力事業本部に約600名、美浜、高浜、大飯の各発電所に約1,400名、合計2,000名の体制で原子力発電所の保守管理を行っているという報告を受けています。
 平成27年6月には、事業本部に廃止措置技術センターを設置し、これによって美浜発電所の廃炉措置のバックアップ体制を整備するとともに、新規制基準に基づく安全対策工事に対応するため、原子力土木建築センターを設置しております。
 今回のクレーンの事故に関して、県は、既に関西電力に対し、プラントの安全管理の総点検や工事管理体制の改善を求めているところでありますが、今後も大規模な土木建築工事が続くと見られますので、事業者は、専門分野別の人員配置について、現場体制が十分であるかという観点から検証する必要があると考えています。
 もう一つ、原子力行政でありますが、今からでもきっぱりと40年を超す原子力発電所の再稼働は認めない、工事は中止すべきとの判断を下すべきではないかとの御質問です。
 高浜1・2号機については、昨年9月に、関西電力から、原子力発電を経営の根幹とする方針を堅持し、みずからの判断と責任により安全対策工事を実施するとの説明を受け、準備段階としての工事に入ることを了承している状況にあります。
 40年を超える運転に対する福井県としての判断については、これからの課題であり、今後、国や事業者の理解活動の実績などをよく確認をしなければなりませんし、全体について県議会と十分な議論をしながら判断していく事柄であります。
 40年を超える運転延長につきましては、国民、県民の間に古い発電所の安全性に対する不安がある中、事業者は今回のクレーン事故を発生させたことを深く反省し、組織全体として安全管理意識の徹底を図り、プラントの安全確保に万全を期す必要があると考えています。

◯議長(松井拓夫君) 総合政策部長山田君。
    〔総合政策部長山田賢一君登壇〕

◯総合政策部長(山田賢一君) 私からは、新幹線に関連して2点お答え申し上げます。
 まず、国がフリーゲージトレイン開発のおくれのツケとなる敦賀駅における上下乗りかえを、新たな負担として福井県と敦賀市に押しつけるのは問題ではないかというお尋ねございます。
 フリーゲージトレインの導入が、3年前倒しに伴い平成34年度末となりました敦賀開業に間に合わないということで、現在、与党検討委員会におきまして新幹線と特急との上下乗りかえ、それと新幹線駅と在来線駅を結ぶ連絡通路の整備によります、乗りかえ利便性の確保のための方策が検討されているところでございます。
 なお、上下乗りかえ方式の追加事業費は明らかにされておりませんが、本県と石川県に共通の便益となりますので、費用につきましては新幹線事業の共通経費的扱いにより、両県が負担することになります。
 次に、フリーゲージトレインが見込めないなら、同等の利便性の確保のため、現行特急の存続を国とJRに求めるべきではないかということについてお答え申し上げます。
 与党検討委員会は、15日の委員会におきまして、国土交通省に対し、JR西日本と協議して、フリーゲージトレインの開発を見直すかどうかを回答するように求めております。国土交通省の考え方や与党検討委員会の議論を見きわめていく必要があると考えております。
 特急乗り入れにつきましては、新幹線の収支、すなわち整備財源に影響いたしますし、JR西日本への運行委託経費の増加でありますとか、あるいは貨物線路使用料の減少など、並行在来線の経営に影響を与えますので、こうした課題を十分踏まえて検討する必要があると考えております。

◯議長(松井拓夫君) 土木部長辻君。
    〔土木部長辻 義則君登壇〕

◯土木部長(辻 義則君) 私からは、県の原子力行政について、原発事故被災者に対してもっと親身になって県営住宅の無償提供、民間賃貸住宅の家賃全額補助など、住まいの確保に関する独自の支援を行うべきとの御質問でございます。
 県内の福島原発事故による避難者12世帯に対しまして、福島県からの依頼を受けまして、災害救助法に基づいて、借り上げた民間賃貸住宅を無償で提供しています。そのうち、避難指示区域外から来県した6世帯につきましては、提供期間が平成29年3月末までとなっており、福島県では期間終了に伴う支援策として、低所得世帯に対する家賃補助などを実施することとしています。
 県では、この6世帯への戸別訪問を実施しまして、福島県の支援制度や県営住宅の優先的な入居などについての説明を行っております。避難者の状況に応じた住まいが確保できるよう、引き続き支援してまいりたいと考えております。

◯議長(松井拓夫君) 教育委員会教育長森近君。
    〔教育委員会教育長森近悦治君登壇〕

◯教育委員会教育長(森近悦治君) 私から、教育につきまして3点お答えをいたします。
 まず、この10年間に自殺した教員10名のうち、過労を含めた業務影響での自殺者は何名なのか。また、その関係者の処分内容と理由についての御質問でございます。
 自殺の原因につきましては、それぞれ家庭の問題、学校の問題、病気など、またそれらが複合したものなどがございまして、10名のうち公務災害が認定された1名は、過労が原因となっているというところでございます。公務災害に係る件につきましては、訴訟案件であるためお答えはできませんが、ほかの9件につきましては、関係者として処分する案件はありませんでした。
 続きまして、労働時間の把握を自己責任にしていることを改め、校長の責任で把握するべきであり、教育委員会としても把握も3カ月でなく、毎月行うべきではないかという御質問でございます。
 今年度より実施しております出退勤時刻調査は、全県レベルで進めているのは福井県が初めてで、我々、昨年5月からやっておりますけれども、これは教員自身の長時間勤務に対する意識改革をすることや、各学校において校長、教頭が勤務実態を把握し、学校全体の業務改善を進めていくことを目的に行っているところでございまして、校長のもと教員が実施しているものでございます。出退勤の把握につきましては、提出する3カ月だけでなくて、毎月行うように通知をしているところでございます。
 来年度は、校長、教頭が、毎月、出退勤時刻調査をもとに教員の業務管理を徹底する中で、超過勤務が多い教員に対して、面接、指導とそれから校務改善、学校が組織で対応する職場づくりなど、校長のリーダーシップのもと、学校における工夫、改善を進めていくことになると思っております。
 県といたしましても、市町教育委員会や校長と連携いたしまして、教員の勤務実態を把握し、部活動の負担軽減、校務処理の効率化など、教員の業務改善を一層進めてまいりたいというふうに考えております。
 次に、県教育委員会安全衛生委員会について、今年度の開催がないのは実態として法に違反するのではないか、未開催の理由と見解の御質問でございます。
 教育委員会の安全衛生委員会は、年1回以上、いつも2月から3月ごろに開催している状況でございますが、職員の健康の保持増進や衛生に関すことを審議いたしております。昨年度は、労働安全衛生法によって義務づけられたストレスチェックの実施方法等を審議するため、年3回開催をしているところでございます。
 今年度は、9月に初めて実施したストレスチェックの実施結果や実施方法の改善について審議いただくため、3月に開催し、職員の健康管理やメンタルヘルスの充実、職場環境の改善につなげていきたいというふうに考えているところでございます。

◯議長(松井拓夫君) 佐藤君。

◯17番(佐藤正雄君) まず、知事にお尋ねしますが、知事の認識として、関西電力は合計2,000名の陣容でやっているという御説明はわかりましたが、人数が何人かということももちろん大事なことではありますけれども、私が質問したのは、これまで関西電力としては初めて経験するそういう再稼働措置と廃止措置との仕事をその体制でやっていけるんだということを、知事としてちゃんと判断されたのかどうか。今後もそういうことで大丈夫なんですよという判断をされた根拠というのは、この人数だけのことですか。そのことをちょっと1点確認させていただきます。
 それから、これは新幹線の関係ですけれども、きのうの答弁と今の答弁とお聞かせいただきましたが、私が質問したのは、県民からすれば、税金を使って公共事業をやる。道路をつくれば今より便利になる、鉄道をつくれば今より便利になる、そう思って当然であるはずの事業であるにもかかわらず、要するに、県民の利用者からすれば不便になる。往復すれば乗りかえが2回発生する、しかも料金が高くなる。こういう公共事業は、そもそもの公共事業のあり方からしても問題ではないか。
 しかも、そもそも最初県民に説明されたときには、そういうことは何も説明がなかったわけですから、フリーゲージトレインでちゃんと行きますよということがマスコミを通じて県民には周知されているわけですから、やはりそういう点からいえば、福井県庁としても責任を持って、やはりこれの改善──今の状況でいえば、在来線特急の存続しかない状況ではありますけれども、それをきちんと求めるべきではないかということを質問しているので、そこを明確に御答弁いただきたい。
 だから、お金がどうなるとか、そういうことよりも利便性の問題でどうなのかということを質問したんです。
 最後に、今、教育長が答弁されたときに、教員自身が意識改革せないかん、これはもちろんそういう面もありますが、私が主張したのは労働時間の把握というのは、文科省の通知によっても、これは使用者の責任になっているわけです。これはどこの民間事業所でもそうですね。どこの民間事業所でも、労働時間の把握というのは、労働者個人の責任だよとは言わない。やっぱり会社の責任になるわけです。だから、過労死があったら会社の責任になるんです。それは、教育行政も一緒なんです。だから、文科省がわざわざ、ちゃんと学校の責任で教員の労働時間を把握しなさいよという通知を出しているんです。
 しかし、今の福井県教育委員会のやり方は、いわゆる自己管理表を出して、あなた自分でちゃんとやりなさいよと、あなた任せなんですよ。これはおかしいじゃないかということで、もっときちんと文科省の通知にのっとって、きちんと組織として把握するということをやらないと、改善ができないということをお尋ねしているので、そのことを明確に答弁していただきたいというように思います。

◯議長(松井拓夫君) 知事西川君。

◯知事(西川一誠君) 関西電力の今回の安全管理の問題についておっしゃられたことは、関西電力に対して我々や県議会が申し上げることであって、関西電力が各プラントでいかに人員やあるいは管理体制、全体としての統制をどうとって、その工事が、関係事業がしっかりできるかというのを、我々が関西電力に向かってしかるべきであるということをチェックするということであります。

◯議長(松井拓夫君) 総合政策部長山田君。

◯総合政策部長(山田賢一君) 北陸新幹線の利便性というのは、最終的に、できれば札幌開業よりも早く、十三、四年のうちに新大阪までフル規格で通すということが最大の県民益として、皆さんと一緒にやってきたわけです。それが前提でありますし、とは言いながら、敦賀開業からフル規格で全線開業するまでの間にどういう方法をとるかという中にフリーゲージトレインがあった。
 このフリーゲージトレインについても、今まだ結論が出ていないわけです。だから、そこをまず見守る必要があると申し上げているところです。その上で、それが難しいとなったときには、さまざまな課題を全体でどういうふうに調整して、よりよい結論を見出していくかと、そういう問題であるというふうに申し上げたところです。

◯議長(松井拓夫君) 教育委員会教育長森近君。

◯教育委員会教育長(森近悦治君) 今回の勤務時間調査というのは、議員おっしゃるのとほぼ一緒ではないかと思うんですが、校長が把握するというのは、もちろんそういうことなんですが、それぞれがいつ来て、いつ帰るか、朝この時間に来ました、こうしてましたというのは、自分できちんと報告をしていただくという考え方で、それを学校として校長なり教頭なりがきちんと把握して、全体としてどうしていくかというのを、これから来年度以降は、それにきちんと指導もしていったり直していったり、学校が、校長先生が中心となって服務管理ということでやっていくということなので、校長先生が、朝は一人一人がいつ来て、いつ帰るかも全部をチェックするということでは、ちょっとないというふうに思っております。

◯議長(松井拓夫君) 佐藤君。
 佐藤君に申し上げます。発言時間が残り少なくなっておりますので、発言は簡潔にお願いいたします。

◯17番(佐藤正雄君) では、山田部長。そうすると、要するに、県としては特急存続を排除せずに検討するということなのか、1点。
 それから教育長。文科省の通知には、要するに使用者が始業、終業時刻を確認しちゃんとやるべきだと、使用者がみずから現認すべきだと、記録すべきだと書いてあるんです。何も、教員みずからがやるべきだとは書いてないですよ、おかしいじゃないですか。

◯議長(松井拓夫君) 総合政策部長山田君。

◯総合政策部長(山田賢一君) 特急乗り入れにはさまざまな課題があると申し上げたところです。

◯議長(松井拓夫君) 教育委員会教育長森近君。

◯教育委員会教育長(森近悦治君) 全体にきちっと把握していること自体、多分、福井県しかないんだと思いますけれども、我々としては、それがちゃんと届けられたものを各校として管理するというやり方をやりたいというふうに思っております。

目前、あわら市議選。山川ともいちろう議員、再選へ全力

2017年06月01日 | Weblog
11日告示で、あわら市議選。大変な激戦です。
日本共産党の山川ともいちろう議員は、新幹線にともなう無駄づかいやめよ‼️在来線特急存続を‼️高すぎる国保税引き下げ‼️学校給食無料に‼️ など攻勢的に訴えています。




山川市議と訪問したお宅。なんと太政官札が‼️
お上に逆らうな‼️不穏な動きの情報提供者にはほうびをだす‼️と。

現在の共謀罪と似通う。権力者が企むことに進歩がありません。
前時代的な共謀罪廃案に‼️