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JR九州 787系電車

2011-02-28 20:03:57 | 電車図鑑・JR新系列特急用車両
西鹿児島(現・鹿児島中央)発着の特急「有明」号に使用していた485系電車や
783系電車「ハイパーサルーン」の置き換え、新たに新設された特急「つばめ」用に
登場した車両である。
平成4年~平成14年までに140両が製造された。
製造を担当したメーカーは近畿車輛と日立製作所である。
構成形式は以下の通り。

クモロ787
:制御電動車で車内はグリーン車。運転台寄りにトップキャビン
(→DXグリーン席)、グリーン席、グリーン個室、トイレ、洗面所がある。
モハ786-100、もしくはモハ786-300とユニットを組む。
向きは博多駅基準で鹿児島側。

クモハ786
:制御電動車で車内は普通車。車内中央部に荷物置場がある。
 主変圧器と連結側にパンタグラフを備える。
 向きは門司港側。

モハ787
:中間電動車で車内は普通車。主制御装置とコンプレッサを搭載。

モハ786(-0、-100、-200、-300)
:中間電動車で車内は普通車。身障者用座席と便所、洗面所、自販機コーナー、
 フリースペースを備える。
 786-0と786-100が最初に製造されたグループで786-200と786-300が
 それ以降に製造されたグループである。
 当初、モハ787にモハ786-0、モハ786-200が、クモロ787とモハ786-100、
 モハ786-300がユニットを組んでいたが、一部で連結相手が差し替えられている。

クロハ786
:制御車で車内はグリーン席と普通席の合造。デッキの仕切り壁がガラス張りに
 変更されている。向きは鹿児島側。

クハ787
:制御車で車内は普通車。クロハ786と同じくデッキの仕切り壁がガラス張りに
 なった。また、クモハ786にある車内中央の荷物置場がない。
 向きは門司港側。

サハ787
:中間付随車。車内は普通車。車内中央部に荷物置場がある。
 洗面所と便所、簡易車掌台を有する。

サハ787-100
:中間付随車。車内は普通車。17両製造されたうち5両がクハ787-100に改造された。
 車内中央に荷物置場がある。

サハシ787
:中間付随車で4人用普通セミコンパートメントとビュッフェ、車内販売準備室を
 備える。エアコンプレッサーを装備。

サハ787-200
:中間付随車でサハシ787のビュッフェを撤去して普通客室としたもの。
 旧ビュッフェ部分に新設された座席は885系「白いかもめ」などで使用されている
 ものと同一形状のものであるほか、天井の構造上、荷棚を設置できなかったため、
 荷物置場の代わりとしてシート間隔を他の車両より広くとっている。
 セミコンパートメントと車販準備室などは残置。

車体は普通鋼鉄製で腐食しやすい屋根周りなどには一部、ステンレスが
用いられている。
デザインはこれまでの日本の鉄道車両とは大きくかけ離れたものとなり、
登場時は大いに話題となった。
平成5年度に鉄道友の会ブルーリボン賞とグッドデザイン賞、
平成6年にはブルネル賞を相次いで受賞している。
塗装はガンメタリックの濃淡で車体中央やドア周りなど各所にロゴが入れられた。

車内はグリーン席、普通席のほかトップキャビン、DXグリーン席、グリーン個室、
普通4人用セミコンパートメント、ビュッフェの7つに分類される。

まず、グリーン車の開放席は1:2配置の回転リクライニングシートで、背もたれが
腰の部分で折れて任意の角度に調整できるようになっている。
テーブルは肘掛内蔵でオーディオサービスとフットレストが付く。
後年登場する「有明」用のクロハ786では座席は同等品だが、オーディオサービスが
廃止され、代わりにモバイルコンセントが設置された。
また、後述のトップキャビンを設置していない。
トップキャビンは運転室側の6人分(4人用と2人用)のセミコンパートメントとした
もので座席そのものは開放室のものと一緒である。
2人用の席は通路側に向けることも可能である。
グリーン個室は「サロンコンパートメント」と呼ばれる4人用の個室である。
通路側の壁伝いに3人用の大型ソファと窓側に1人用のリクライニングシートを
備える。
DXグリーン席は「リレーつばめ」転用後にトップキャビンを改装したもので1:2配置
2列から1列になり、その広大なスペースを生かした特別座席としている。
座席は最大角144度まで倒すことが出来る電動式回転リクライニングシートで
レッグレストを用いるとほぼ水平になる。
この区画にはハンガー、読書灯、モバイルコンセント、スリッパ、靴べらが
用意される他、グリーン車の乗客に行われるドリンクサービスに
更にクッキーや飴などスナック類が付くなどサービスの行き届いた空間となっている。

普通車は2:2配置の回転リクライニングシートで、座席背面に跳ね上げ式の
簡易フットレストとテーブルを備える。テーブルは肘掛にも小型のものが
設置されている。
後述のビュッフェの跡に設置された座席は既述の通り、885系「白いかもめ」のものを
革張りからモケット張りに変更したものである。
テーブルは肘掛内蔵でフットレストは無い。
天井部分をビュッフェ時代のままとしたため、荷棚を設けることができなかった。
そのため、この区画だけ、シート間隔を1200mmとグリーン席(開放席)と
同じとすることで荷物スペースを確保している。
普通4人用のセミコンパートメントには4人向きあわせで真ん中に大型テーブルを
備える。座席のリクライニングはしない。
通路とはガラスで仕切られるが、扉は無い。

ビュッフェは立席形の軽食堂でホットメニューやオリジナル弁当、
各種ドリンク、オリジナルグッズの販売などを行っていた。
しかし、九州新幹線鹿児島ルートの新八代~鹿児島中央間の開業に伴い、
平成15年をもって全ての営業を終了し、全車普通客室へ改造された。

この他の設備として各客室出入口上部にLEDスクロール式の旅客案内装置を
装備した(一部車両では未設置)。
客用扉は全車片側1箇所ずつで全てステップ付きの片引き戸である。


主制御装置はサイリスタ位相制御でブレーキは発電ブレーキ併用電気指令式
ブレーキを採用した。
これはJR九州が近郊用に導入した811系と同じもので同社で今のところ最後の
直流モーター車である。
台車はヨーダンパー付のボルスタレス台車で軸箱支持方式はコイルバネ式であるが、
一部の台車はSUミンデン式になっている。
駆動方式は中空軸平行カルダン方式である。
運転台はマスコンを横軸式、ブレーキを縦軸式としたツーハンドル式で乗務員支援用
モニターをJR九州の電車で初めて採用した。
なお、先輩の783系「ハイパーサルーン」や後継の883系「Sonic」で採用した
乗務員室背後の展望構造は設けられておらず、壁で仕切られる。

平成4年7月のダイヤ改正で西鹿児島行き「にちりん」を本形式で置き換え、
「つばめ」として営業を開始した。このときは9連×5本と7連×1本の陣容であった。
平成5年に「にちりんシーガイア」(博多~南宮崎)、「ドリームつばめ」、
「ドリームにちりん」に投入されると、7連に中間車2両を加え、
更に9連3本を増備して総数81両と勢力を伸ばした。
平成6年には更に9連2本と7連×3本を追加し、「かもめ」(博多~長崎方面)にも
投入された。
同年には上京し、大宮工場で行われた「新旧つばめの出会う日」で展示されている。

平成8年に「かもめ」運用は臨時列車を除いて消滅し、一旦全て「つばめ」
専用となる。
平成11年に「有明」用の編成が登場し、「つばめ」用の車両から組み換えを実施し、
翌12年には「有明」用に更にサハ787-100からクハ787-100に5両が改造されている。
また同年から「にちりんシーガイア」と「ドリームにちりん」から撤退し、
新たに「きらめき」、平成13年からは「かいおう」の運用に就いている。
平成16年より九州新幹線開業に伴い「つばめ」の愛称を譲り、運転区間を門司港・博多~
新八代に短縮の上で新幹線連絡特急「リレーつばめ」として運用されるようになった。
来る平成23年3月のダイヤ改正で九州新幹線博多~新八代間開業に伴って
「リレーつばめ」が廃止されるため、「有明」、「かもめ」、「みどり」、「にちりん」、
「ひゅうが」、「きりしま」、「かいおう」、「川内エクスプレス」に転用される。
本形式の転用により、国鉄時代より走り続けていた485系特急用電車が
全車定期運用を離脱する。



○車体のあちこちにある「TSUBAME」のロゴ。上写真は車体中央の荷物置場のある
 部分のもの。


○元サハシ787のサハ787-200。手前が個室、奥が元ビュッフェ跡の客室となる。



○「有明」編成。4連(上)と6連(下)がある。一部の先頭車は中間車からの改造だが、
 新車と同じものを取り付けている。
 4連車は「リレーつばめ」・「有明」の併結列車の他、これを2本繋いだ8連運用もある。
 写真は平成18年ごろ訪問した時のもので背後では九州新幹線の建設工事が
 進められていた。


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