水の丘交通公園

鉄道メインの乗り物図鑑です。
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京成電鉄 3400形電車

2009-11-29 22:29:18 | 電車図鑑・私鉄電車(関東)
車体の老朽化により引退した初代AE形「スカイライナー」(※)の機器を
流用して車体を新造した車両である。
平成5年~平成7年にかけて8両編成×5本=40両が登場した。
車番は成田空港側から3401+3402+3403・・・で上野側先頭車が3408である。
十の位が編成番号で実際の編成番号-1で表記される。
したがって、第1編成は3401~3408、第2編成は3411~3418で最終の第5編成は
3441~3448となる。
編成中の電動車は6両、付随車は2両で、1の位1・2・4・5・7・8が電動車、
3・6が付随車である。
原則的に8両編成で運用されるが登場時や車両故障などで6両で運用された
こともある。

車体デザインは3700形電車のものを踏襲しているが、ステンレスではなく、
普通鋼鉄製になっている。
3441編成より先頭部分に大型スカートを設置したが、後に全ての編成で
取り付けている。
行き先表示と種別表示は共に字幕式である。
塗装はライトグレーにレッドの帯とブルーの細帯が入るもので、後に在来形式にも
波及している(当時の京成電車の塗装はオレンジ1色にステンレスの細帯を巻いて、
その中に黄色の細帯)。
ちなみにこの塗装自体は3200形で試用されたもののうちの一つである。

客用ドアは片側3箇所、全て両引き戸である。
車内はオールロングシートで先頭車に京成電鉄の車両として初めて
車椅子スペースを設けた。
各ドアの上にはLEDスクロール式の旅客案内装置が設置されている。

主制御装置は種車のものを流用した同じ界磁チョッパ制御でブレーキは
同じく回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキである。
ブレーキについては通勤輸送を考慮して混雑時でも空いている時と変わらない
ブレーキ力が得られるように応荷重装置を新設している。
しかし、主制御装置は特急車の頃のままで直列から並列の切り換えがない
永久並列回路となっているため、回生ブレーキが45km/hまでしか
使用できないほか、低速度域での衝動抑制についてはあまり考えられていない。
台車は種車からの流用品であるが、ブレーキ装置に改良を施している。
運転台はT字型ワンハンドルマスコンでコンソールは3700形と同じ見やすい形状と
されたが支援装置の類は故障表示灯ぐらいしかない。
パンタグラフは種車からの下枠交差形パンタグラフを使用していたが、
平成15年から17年までにシングルアーム式に交換されている。

平成14年より客室設備を中心に改造を行っている。
主な内容は、LED旅客案内装置の更新と設置数削減(千鳥配置化)、座席の張り替え、
英語放送用ICレコーダー設置(主要駅でのみ使用)、方向・種別幕交換などである。

運用は3700形と共に自社線の特急や京急羽田線羽田空港への直通列車などで
終日運用されている。
自社線では基本的に京成本線と押上線以外では運用されないが、平成11年に
3411編成の3414+3415が足回りの不具合のため、編成を離れた関係で、
一時的ながら6両編成で使われ、京成千葉線や千原線に乗り入れた事がある。
また、北総開発鉄道(→北総鉄道)に3401編成が短期間リースされたことがある。

※初代AE形電車
成田空港へのアクセス特急用として昭和47年に登場した車両である。
昭和53年までに6両編成×7本=42両が製造された。
形式の「AE」は「Airport Express」の略称である。
車体は鋼鉄製で正面は独自の流線型スタイルとなっていた。
車内は乗車時間が1時間程度と短いことから、ビニルレザー張りの
転換クロスシートを採用した他、客室デッキ仕切り付近に大型荷物置場が
設置された。
塗装はクリームに窓周りがマルーンのツートンで全国の小学生から愛称を
募集し「スカイライナー」と命名された。
主制御装置は界磁チョッパ制御で定速度運転機構付き、ブレーキは回生ブレーキ
併用電気指令ブレーキと当時の鉄道車両の最新技術を詰め込んだ。
台車は空気バネ台車である。また、京成の電車として初めて冷房を搭載した。

昭和47年に予定されていた空港の開港と同時に颯爽とデビューするはずだったが、
過激派によるテロや地元住民の武力を用いた反対で大幅に遅れる事になって
しまった。
これを受けて京成としては暫定的に成田までの特急に使う予定であったが、
運輸省(→国交省)から「使用目的が違う」と運行許可が中々下りず、
営業開始は昭和48年の大晦日からという事態になった。
昭和53年の開港直前には過激派によって焼き討ちに遭い、早くも中間車1両が
廃車になった(すぐに代替新造)。
昭和58年に塗装をクリームとブルーのツートンにレッド細帯をブルーの
太帯2本で挟んだ、大胆なストライブを入れたものに変更した。
また、座席もビニルレザーからモケット張りに変更。
昭和62年には回転リクライニングシートになっている。

平成2年に翌年の空港ターミナル直下乗り入れに伴い、8連化を実施している。
この際、先頭車2両を中間車に改造し、余った2両が廃車され、
8両編成×5本=40両の陣容になった。
その後、AE100形の増備が進んだため、平成5年で全車引退した。
引退後は全車が先述の3400形に改造されている。
このうちAE61号の車体は、宗吾工場で保存されている。台車は3400形に
流用されているため、同時期に廃車となった赤電のものを履いている。

なお、平成21年に登場し、来年よりデビューする新型特急車に形式が
引き継がれた。

JR四国 6000系電車

2009-11-28 22:35:23 | 電車図鑑・JR新系列一般用車両
四国電化時より予讃線・瀬戸大橋線で使用していた111系電車の老朽化に伴い、
これの置き換えのために導入された車両である。
平成7年に3両編成×2本=6両が製造された。
編成は高松側から6000形+6200形+6100形で6000形が制御電動車、
6200形が中間付随車、6100形が制御車である。

車体は軽量ステンレス車体で、正面は国鉄が末期に製造した211系電車を
ベースに、側面はJR東海が導入した311系電車をベースにしたものとしている。
帯色はJR四国のコーポレートカラーのマリンブルーに赤い細帯を巻いている。
ドアは片側3箇所で運転室のすぐ後のドアが片引き戸、他は両引き戸である。
このようなドアは位置になったのは車掌の業務環境の改善のため、
乗務員室の拡大を図ったためである。
なお、各ドアの横には半自動ドア扱い時に開閉操作するためのスイッチを
設置している。

車内はオールクロスシートでドア付近と車端部が固定クロス(車端部はボックス
シート)、他は転換クロスである。
トイレは6200形の高松側に和式のものが設置されている。
同じく6200形の松山側にはパイプとパーテーションで仕切られた車掌コーナーが
設けられ、無人駅でのドア開閉や集札業務に対応している。
なお、この部分に車椅子スペースもある関係で座席はなく、車掌不在時は
立席スペースとなる(111系にも設けられていた)。
ドアの上にはLEDスクロール式の旅客案内装置を装備している。

主制御装置はVVVFインバータ制御で同時期にデビューした特急用の8000形電車と
共通のものを採用している。
基本システムが共通なので7000系とも連結が可能で、同形式の制御車である
7100形を連結して4連で走る運用もある。
パンタグラフは7000形と同じものである。
ブレーキは回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキで回生ブレーキが失効した際には
不足分を空気ブレーキで補える。
台車は空気バネ式ボルスタレス台車で国鉄末期に採用されたタイプと共通のものを
採用している。

投入時には主に瀬戸大橋線岡山~観音寺間で運行されていたが、平成12年に
JR東日本から譲り受けた113系に運用を譲り、現在は瀬戸内海を渡らず、
高松近郊の電化区間で普通列車や快速サンポートなどで運用されている。
なお、本形式は最初の2本のみしか製造されておらず、111系の最終的な置き換えは
この113系で賄った。


車内。6200形の中ドア付近から松山側の車掌コーナー側を見る。

北総鉄道 7000形電車

2009-11-27 23:00:00 | 電車図鑑・私鉄電車(関東)
北総開発鉄道(→現・北総鉄道)が北初富~小室間開業に伴い登場した
車両である。
昭和54年に6両編成×3本=18両が製造された後、平成2年の新鎌ヶ谷~
京成高砂間の延伸開業時に各編成に中間車2両を組み込んで8連化されて、
最終的に8両編成×3両=24両が在籍した。
形式は先頭車が7000形、初期型の中間車が7100形、8連化の時に増備された
中間車が7200形となっている。
当初、先頭車はモーターが無かった。

車体はフレームを普通鋼鉄、外板をステンレスとしたセミステンレス構造を
採用した。
先頭部分は「Σ形カット」と呼ばれる独自の形態を採用し、「ゲンコツ」の愛称で
親しまれた。
地下鉄線への乗り入れを想定しているため、中央部に貫通扉を配したが、
連結運転を考慮しないため、扉を外開きとして隙間風を抑止するようにしている。
窓周りには日本の鉄道車両として初めてカラーフィルムを貼っている。
色はブルーである。

窓は当時の通勤型電車としては珍しい固定窓で一部の窓の上段を内折れ式とした。
また、UVカットガラスを採用してカーテンを廃止した。
車内はオールロングシートである。
通勤形電車ではあるが、吊革をなくし、代わりに握り棒を設けた。
新線ということで、これらの新機軸を意欲的に採用し、
これが評価され、鉄道友の会から昭和55年度の「ローレル」賞を受賞している。

主制御装置は界磁チョッパ制御でブレーキは回生ブレーキ併用
電磁直通ブレーキである。
設計最高速度は120km/hだったが、高速域での加速が鈍く営業運転での最高速度は
105km/hだった。
台車は空気バネ台車を採用している。

営業開始時は新鎌ヶ谷駅は未開業で信号所になっており、そのまま新京成電鉄
北初富駅に乗り入れ、同線松戸まで乗り入れていた。
平成3年の新鎌ヶ谷~京成高砂間開通に備え、座席の張り替え、吊革の設置、
各社局対応の無線装置設置などの改造を行った。
平成2年には中間車の7200形を増備して全車が8両編成になった。
7200形は側面窓上段が開閉可能な2段窓とされた。

平成4年には京急からの要請で先頭車両の電動車化改造を実施している。
これは3・6号車の7100形のモーターや電装品を先頭車の7000形に
付け替えたものである。
また、平成5年には千葉ニュータウン側先頭車への空気圧縮機増設を行っている。

8連化と京成高砂延伸後は主に京成押上線・都営浅草線経由で羽田空港に
乗り入れる運用に就いていた。

登場から約30年が経ち、車体のフレームの老朽化が進んだことから、
置き換えられることになり、平成18年~19年にかけて7500形電車に代替され
全車廃車となった。

東京急行電鉄 5050系電車

2009-11-26 21:39:03 | 電車図鑑・私鉄電車(関東)
東横線で運用していた8000系電車の置き換えのために登場した車両である。
平成16年~平成19年にかけて8両編成×18本=144両が製造された。
田園都市線で運用されている5000系電車の派生型の一つである。

車体はステンレス製で車体デザインそのものは5000系電車と同じになっている。
但し、若干であるが車体の幅や運転室が広がっている。
帯色は窓下に赤の太帯、窓上から運転席側面下部にかけて東横線の
ラインカラーである桜色を配している。
行き先表示は正面・側面ともフルカラーLEDを採用した。
これは世界の鉄道車両で初めての採用である。
また、本形式と目黒線用の5080系電車の登場で運用線区を表す
ブロックカラーが正面車番表示の前に付けられた。

車内は5000系初期車に準じたオールロングシートである。
座席については、先行して導入された同型の横浜高速鉄道Y500系電車
運用結果から、S型スプリングを内装して掛け心地を改善している。
化粧板などはピンク系、座席は桜色となっている。
車椅子スペースは2・7号車車端部に設置している。
ドアは片側4箇所両引き戸で、各ドアの上には液晶画面を2台配し、
片方がCMなどを流すTOQ-ビジョン、もう一方が旅客案内表示である。

主制御装置はVVVFインバータ制御、ブレーキは回生ブレーキ併用電気指令式
空気ブレーキ、台車はボルスタレス台車で5000系と同等である。
運転台はT字型ワンハンドルマスコンを採用している。
現在の編成は8両編成であるが、東京メトロ副都心線との直通開始時に
予定されている優等列車の10両化に対応できるようになっている。

登場時より東横線で運行されており、特急から各駅停車まで幅広く使用されている。
本形式は東横線の反町~横浜間の地下化と横浜高速鉄道みなと未来21線
元町・中華街への直通開始後に導入されたため、反町~横浜間の地上線と
横浜~桜木町間で運行されたことが無い。
平成20年以降も導入が計画されていたが、田園都市線用の5000系電車を
8連化と塗装変更の上で転用している。


車内。

正面の行き先表示。フルカラーLEDを世界の鉄道車両で初めて採用した。

登場時。デビュー記念のヘッドマークを付けて運行された。

平成21年夏に5050系とY500系に付けられた「Cool Biz Train」のステッカー。
省エネ車である事をアピールした。

西武鉄道 20000系電車

2009-11-23 23:07:39 | 電車図鑑・私鉄電車(関東)
老朽化した池袋線と新宿線系統の101系電車置き換えのため登場した車両である。
平成11年~平成17年にかけて、10両編成×8本=80両と8両編成×8本=64両の
144両が製造された。
10両編成と8両編成を判別しやすくするため、8両編成のものを50番台として
区分している。
車体番号の付け方は、飯能・西武新宿側から順に20100+20200・・・20900で
最後の池袋・本川越側先頭車は20000である。
50番台車は号車を現わす百の位の5と6が欠番になっている。

車体は日立製作所が開発した標準型通勤車両「A-train」シリーズ準拠のもので
ダブルスキン構造のアルミ製である。
先頭部分は緩く弧を描いた切妻型で地下鉄線への乗り入れを考慮していないため、
非貫通とし、運転席の窓を1枚窓にして視野を大きく広げている。
運転席部分はモジュールユニットを接合した構造となっており、この部分だけ
鋼鉄製となっている。
ヘッドライトは窓下、やや中央寄りに縦2列で配されている。0番台・50番台の
最終増備車(平成17年製造)ではHIDランプが試験採用されたが、後に通常型の
シールドビームライトに戻された。
正面下部にはスカートを設置している。
先頭部分の連結器は当初、通常型より少し小さめの密着連結器を付けていたが、
途中から小型の簡易式密着連結器に変更されている。
塗装はされておらず、側面上部と窓下に青帯が入る。先頭部分は黒に近いグレーで
ライトとライトの間の部分をブルーに塗っている。
行き先表示は正面、側面共にLED式で走行中は側面のものを消灯する機能がある。

車内はオールロングシートで座席は片持ち式のバケットシートを採用している。
車椅子スペースは各編成2・9号車(50番台は2・7号車)車端部と先頭車運転室側に
設けている。
平成14年度製造の20102編成以降(50番台は平成16年製造の20157編成以降)、
座席にスタンションポールを設けたほか、平成15年度製造の20105編成以降
(50番台は同じく20157編成以降)、先頭車の車椅子スペースに折畳みシートを
設置した。
平成16年に製造された20107・20157編成以降は座席の仕切りを大型の板状のものに
変更している。
ドアは片側4箇所で全て両引き戸である。
ドア上にはLEDスクロール式の旅客案内装置を設置している。
この案内装置のカバーの装飾とつながって、車内網棚上のギザギザ状のアルミの
帯装飾が入り、単調になりがちなこの手の車両の車内においてのアクセントに
なっている。

主制御装置はIGBT素子のVVVFインバータ制御で従来のものより騒音の低減化が
図られた。
本形式では60km/h以上での加速力を向上させたほか、20km/h以上での定速度運転
機構を備えている。
ブレーキは回生ブレーキ付き電気指令式ブレーキで、平成14年度製造車から
停車直前まで回生ブレーキが可能な全電気ブレーキを採用した。
全電気ブレーキについてはそれ以前の編成でもソフトウェアを更新して
対応している。
この他に耐雪ブレーキ、保安ブレーキを有する。
パンタグラフはシングルアーム式パンタを採用した。
台車はボルスタレス台車で6050系最終増備車で採用されたものと同等のものを
使用している。
平成14年製造車からは床の高さを抑えた関係で台車中央部分の凹みが大きいものに
変更している。
運転台は左手操作式のワンハンドルマスコンで、平成21年現在、西武鉄道の
車両として唯一の採用である(ワンハンドルマスコン自体は8500系「レオライナー」や
6000系副都心線対応車、30000系「スマイルトレイン」で採用されているが、
いずれもT字型である)。
高機能乗務員支援装置「ATI」のモニター端末を装備しており、運転席から機器の
監視や設定などの対応を可能としている。

入線は平成11年の10月だったが、新方式の運転台を採用した関係で訓練運転が
必要であり、営業開始は翌平成12年の2月からであった。
当初は新宿線のみの配置であったが、平成14年度より池袋線でも運用される
ようになった。
8両固定の50番台は主に各駅停車を中心に、10両編成の0番台は準急以上
快速急行までの優等列車で使用されている。
本形式には2・4・6両編成がないので多摩湖線、国分寺線、西武園線、飯能以北の
池袋線と西武秩父線での運用はない。
ただし、西武秩父方面へは臨時列車などで乗り入れることがある。

平成18年度以降は副都心線開業の影響で新宿線の6000系が池袋線に転出した関係で
現在(平成21年)は新宿線で運用されている車両の方が多い。
編成ごとの所属先については車両の需給調整で変更されるのでどの編成が、
どちらに所属しているかは、数ヶ月に一度は変わるので把握が難しい。


初期型の車内。7人席にスタンションポールが無く、袖仕切りもパイプと
小さな板だけである。

後期型(最終増備車)の車内。スタンションポールは2本。
袖仕切りは大きな板に変わった。

最終増備車の折畳みシート部分。

運転席。右のモニターが「ATI」。窓が1枚なのと仕切りの窓が大きいので
展望は良い。その代わり、夜間は全ての窓にブラインドが下ろされる。

10両固定編成の0番台車。写真は池袋線所属の第8編成。
池袋線には概ね0番台、50番台共に2本ずつが在籍している。

8両固定編成の50番台車。こちらは新宿線所属の第6編成。
0番台とはモハ20500形+サハ20600形のユニットを連結していないのと
それに伴うサービス電源装置の容量の差。

大阪市交通局 80系電車

2009-11-22 23:12:12 | 電車図鑑・地下鉄
大阪市営地下鉄今里筋線(井高野~今里間)開業に伴い、導入された車両である。
平成17年に試作編成(第1編成)が、翌18年より量産車が登場し、
現在は4両編成×17本=68両が在籍している。
大阪市では長堀鶴見緑地線に続いて2例目のリニアモーター駆動方式の
ミニ地下鉄である

車体はアルミ製で塗装はアイボリーにラインカラーであるオレンジのラインが
屋根と窓下に配されている。
正面にはリニアモーター式電車を表す「LIM」のロゴと形式の「8」をアレンジした
ロゴマークが入る。
先頭形状は長堀鶴見緑地線の70系電車に準じており、
進行方向右側に運転台、左側に貫通扉がある。
先頭形状が似ているので70系とほとんど同じに見えるが、本形式は窓の部分で
内側に車体が傾斜している点が異なり(70系は窓の上で内側に傾斜する)、
色味もあってややふっくらとした印象に仕上がっている。

車内はオールロングシートである。ドアの上にはLEDスクロール式の
旅客案内装置と路線図を左右交互のに配している。旅客案内装置には
通常の停車駅案内や乗り換え案内のほか、階段の位置やエレベーターの位置も
表示される。また、ドアの開閉に連動して開閉案内も流れる。
車椅子スペースは各車両に設けられている。
ドアは片側3箇所で全て両開きである。試作車の第1編成のみ電動式ドアを
採用しており、各ドアにドアコックが設けられている(量産車は1両あたり2箇所)。

主制御装置はVVVFインバータ制御でIGBT素子を採用し、従来よりも騒音を
低減させている。
起動加速度は2.5km/h/sと他都市の地下鉄車両と比較して低めである(参考:
東京都交通局大江戸線の12-000形は3.0km/h/s)が、大阪市営地下鉄の車両自体、
新車でも全体に低めに抑えられている。
ブレーキは回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキである。
台車は空気バネ台車で全ての台車にリニアモーターが設置されている。
運転台は右手操作式のワンハンドルマスコンである。
今里筋線はホームドア付きの路線であるが、ATO(自動列車運転装置)ではなく、
ATC(自動列車制御装置)とTASC(列車自動停止制御装置)を併用している。
行き先表示は昨今の鉄道車両としては珍しく正面、側面とも字幕式である。

試作車は開業前に長堀鶴見緑地線で試運転を行った。
量産車登場により全車が今里筋線用となり、開業後は完全に同線専用と
なっている。
駅施設は全て6両編成まで対応可能であるが、車両の番号は井高野側から順に
8100+8200+8400+8500と5両分しかない(百の位が号車番号。現在は3号車が
欠番)。


車内。座席は1人分ずつの区分が織り込まれたバケット式。
吊手はドア付近にも設置されている。

近畿日本鉄道 21000系電車 「アーバンライナーplus」

2009-11-20 21:55:40 | 電車図鑑・私鉄電車(関西)
一時、新幹線に利用客が大幅に流れ、運行続行不可能の危機に陥っていた
名阪甲(ノンストップ)特急であるが、昭和50年代初頭までの国鉄の相次ぐ値上げや
ストライキで徐々に利用客が戻ってきた。
これに対し、より攻めの姿勢で利用客を増やそうと計画されたのが本形式である。

昭和63年~平成2年までの間に6両編成×11本=66両、増結用の2両編成3本=6両の
72両が製造された。
最初の6両編成3本は真ん中の2両を運転室付きとして、これを引き抜いて4両編成
とすることも出来たが、利用客が大幅に増えたことにより、減車の必要が
なくなった。
このため、運転台の無い中間車2両を組み込んで6両貫通編成に変更された。
余った真ん中の2両(×3編成=6両)は増結用に活用されることになった。

車体は鋼鉄製で先頭車両は大胆かつ斬新な非貫通流線型となっている。
塗装は従来車とイメージを変え、クリスタルホワイトにオレンジの細帯が
入るものとした。
ドアは片側1~2箇所で全て折り戸、デッキ付となっている。

車内は私鉄では珍しい2クラス制を採用し、JRのグリーン車に相当する
「デラックスカー」と普通車に相当する「レギュラーカー」でそれぞれ異なる。

「デラックスカー」は1:2配置の回転リクライニングシートで、バックレストを
大きくして外観は異なるが、リクライニングすると座面がせり出す
近鉄独自の構造のものを踏襲している。
フットレストは2面回転式である。なお連結位置は名古屋側2両であった。
また、オーディオパネルを供え、音楽などを楽しむことが出来た。

「レギュラーカー」は2:2配置の回転リクライニングシートで、従来車並のもので
あったが、座席の前後間隔を広くとっている。
こちらにもフットレストが設けられている。

これらの内装は後に登場する車両のベースとなったほか、「スナックカー」や
「サニーカー」の車体更新車でも一部が採り入れられている。

主制御装置は抵抗制御で編成全体で出力を40%強化するため、全車が電動車と
なっている。
ブレーキは発電・抑速ブレーキ付き電磁直通ブレーキである。
台車は近鉄標準のシュリーレン式空気バネ台車を採用している。
運転台機器も足回りが従来とあまり変化が無いので、従来どおりの
ツーハンドルである。

登場以来、「アーバンライナー」として名阪ノンストップ特急に導入された。
利用客からは好評をもって迎えられ、一時は「アーバン現象」と呼ばれる程で、
その人気振りが伺える。
昭和63年にはグッドデザイン賞を受賞し、翌平成元年には鉄道友の会から
ブルーリボン賞を贈られている。
また、デラックスシートを有することから、平成に入ってからはお召し列車で
運行されることも多かった。

平成15年~17年にかけて内装の陳腐化が進んだことからリニューアル改造を
実施した。
主な内容はデラックスカーの1両化(名古屋側先頭車のみ)、座席の全面禁煙化、
喫煙ルームの設置、座席の交換、客室出入口上部への液晶モニター式
旅客案内装置設置、一部座席、及びトイレ、デッキの車椅子対応化と該当車両の
扉移設とプラグドア化、車内販売準備室廃止、塗装変更(クリスタルホワイト
+オレンジ帯に車体裾(床より下)をベージュ)などである。
性能面では特に変更は無いが、電気配線を見直され、パンタグラフを減らしている。
この際、交換された座席は後継の「アーバンライナーnext」で採用された
「ゆりかご」形と呼ばれるものでリクライニングすると腰部分と座面が沈んでいく
構造になっている。
シート配列はデラックス、レギュラーとも変化は無いが、デラックスシートの
ものは2人席でも肘掛の形状など、より独立性が高いものに変更された。
また読書灯がヘッドレストに設けられたほか、リクライニング機構は電動式と
なっている。
車両愛称も「アーバンライナーplus」に変更された。

現在も名阪ノンストップ特急の代表車種であるが、運用の都合上、京都線や
奈良線に乗り入れたり、賢島特急に使われることもある。
時刻表では「UL」のマークが入る。
デラックスシートは前後間隔こそ新幹線に劣るものの設備は同等以上で
低廉な料金もあり人気が高い。
特に2両あったデラックス車が1両だけになってからは、高い乗車率を誇っている。
原則、6両編成での運行であるが、混雑時は中間に2両つないで8両編成に
なることもある。

今日の一枚:このブログの今後の展開を考えてみた

2009-11-18 23:59:59 | 今日の1枚
ここまで色々記事を書いてきたり、車両を紹介してきたなぁと
ちょいと振り返ってみた。
この形態になって2年が経ち、来年には3年目突入。

来年当たり、ちょっと鉄道読み物的な企画を立ち上げてみたいなぁと
考えている。
あと鉄道の歴史とか。(鉄道に関わった歴史上の人物とか、車両のデザイン史、
技術史とかも)の紹介。
路線紹介も鉄道ネタに限らないで、紹介できるものがあれば紹介しようかと。

あ・・・鬼が笑ってる。笑え、笑え。笑う門には福来る。

名古屋鉄道 3700系/3730系/3770系電車

2009-11-17 21:51:11 | 電車図鑑・私鉄電車(中部)
老朽化の進んだ木造電車や初期に導入された半鋼製車の置き換えのため、
その機器を流用して車体のみを新造した車両として登場したものである。
昭和32年~41年までに3700系が2両編成×21本=42両、3730系と3770系が合わせて
77両(2両編成×38本+1両)の119両が製造された。

編成の組み方は豊橋側からモ3700+ク2700(モ3730+ク2730/モ3770+ク2770)が
基本である。

車体は全鋼製車体で名鉄と関係の深い鉄道車両メーカーの日本車輛が
昭和30年代に地方私鉄向けとして製造していた「日車標準車体」を初めて
採用している。
正面は貫通型で正面中央部に貫通扉がある。3700系では通常の高さに
運転席があるが、3730系から踏切事故対策で運転席を高くし、正面窓も
その分細くなった。
3700系でも事故からの復旧で同形態にされたものがある。

塗装は、登場時がクリームとマルーンのツートンカラー、後にライトパープル、
クリームに赤帯、スカーレットに白帯と変化していき、最終的にスカーレットに
統一されている。

ドアは片側2箇所で3700系が片引き戸、3730系と3770系が両引き戸である。
車内は3700系と3730系がロングシート、3770系が転換クロスシートであったが、
後に3700系と3730系の一部も転換クロスシートに改造された。
また、3770系でも一部でロングシートに改造されたものがある。
当初は扇風機すら装備されていなかったが、昭和53年ごろに取り付けた。
冷房は屋根が高いため、最後まで搭載されなかった。

主制御装置は抵抗制御で本形式では改造元となった電車(種車)が採用していた
HL(間接制御・手動進段・架線電源方式)制御方式を採用している。
この制御器は単位スイッチ制御器を運転士が徐々に進段させるもので、
その制御電源に架線からとった電流を抵抗器で低圧化して使ったものである。
ただし、本形式では制御電源を安定供給するため、車載の電動発電機で
賄っているので、厳密には「HB制御(間接制御・手動進段・独立電源)」である。
台車や駆動装置は旧式のイコライザー台車・釣り掛け駆動となっている。
搭載していたモーターは種車のものをそのまま流用していたので出力が
他の車両に劣り、平坦線での最高速度が85km/hであった。
上り勾配区間では、60km/hまでしか出せなかったという。
このモーターの出力の低さは製造時より、指摘されていたため、
3700系の最初の2両編成×2本は全車電動車になっていた。
しかし、更新の速度を上げるためと、コストダウンのため、2両編成で1両が
電動車という構成に直されている(最初の2本も後に同形態に)。
ク2700形・2730形・2770形では、木造・小型車の履いていた古い台車を
使用していたが、晩期には、やはり廃車になった別の電車のものを流用していた。

運用線区は本線系と瀬戸線で、瀬戸線では600V時代に3700系が昭和48年~53年まで
運行されたほか、1500V昇圧化後も昭和53年~平成2年まで3730系と3770系が
運用されていた。
この時、3770系の一部は混雑緩和のため、転換クロスからロングシートに
改造されている。
本線系統では主に区間列車や支線での運用が目立ったが、パノラマカーなどの
高性能車が入れない区間に乗り入れる特急列車などに使われたこともある。

しかし、元々の機器が古すぎる上、性能も大きく劣るため、早い時期から廃車が
開始され、昭和44年~48年までに3700系2連×8編成=16両が高松琴平電鉄に
譲渡された。
他の3700系も2両編成を組むものは平成3年までに全廃となった。
昭和62年に3700系のうちモ3716号は相棒のク2716号が廃車となった後、
自らもモーターを降ろして制御車となり、ク3716号として築港線専用の
増結車として残され、平成8年まで使用された。
3730系、3770系については昭和62年に3730系2連×1本=2両が豊橋鉄道渥美線に
譲渡されたほか、三河線での運用を最後に平成8年で全車廃車となった。

譲渡された分についても豊橋鉄道渥美線に譲渡されたものが平成9年に、
高松琴平電鉄のものが平成16年までに引退している。

余談であるが、本形式に機器を提供した車両のうち、初期に製造された
半鋼製車のモ3200形(旧愛知電気鉄道電7形。大正15年製造)の車体を使用した
ク2320形は3700系列が引退した後も1年ほどであるが現役で、車体更新車よりも
種車の車体の方が長生きするという珍しい現象が見られた。

今日の1枚:間もなく消滅!京王6000系

2009-11-15 19:00:00 | 今日の1枚
夏頃に都営新宿線直通運用が消えて、線内運用をわずかに残すのみになりました。
一つ前の5000系が優秀すぎたので目立たない車両ではありましたが、
ラッシュ時の混雑緩和と車両の大型化に貢献しました。

やっぱ、沢山走っているうちに記録しておかないといけないなぁと
思う管理人なのでした。