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水の丘交通公園

鉄道メインの乗り物図鑑です。
※禁無断転載!使用に際してはコメント欄にて
用途を申告してください。

小田急電鉄10000形電車 「Hi-SE」

2012-03-21 18:53:25 | 電車図鑑・私鉄電車(関東)
小田急電鉄開業60周年記念と21世紀に通じるロマンスカーとして登場した
車両である。
昭和62年~平成元年にかけて11体連接車×4=44両が製造された。
車両愛称の「Hi-SE」は「High-decker/High-grade/High-level Super Express」の
略称である。
編成の組み方は以下の通り。

デハ10000形+デハ10000形+サハ10000形+デハ10000形+デハ10000形+デハ10000形+※
※+デハ10000形+デハ10000形+サハ10000形+デハ10000形+デハ10000形

車番の附け方は新宿側から順に10001、10002…11となり、第2編成は10021~10031、
第3編成は10041~10051、第4編成は10061~10071である。
主制御装置は末尾1・5・7・11号車、エアコンプレッサーは末尾2・6・10号車、
補助電源装置(静止型インバータ)はサハ10000形(末尾3・9号車)と末尾6号車、
集電装置は末尾2・5・7・10号車である。
営業上の号車番号は箱根湯本側から1~11号車の順になる。

車体は鋼鉄製で、先頭部分はこれまで通り、運転席を2階に上げた展望室構造を
採用している。デザイン面ではこれまでよりも先頭部分の傾斜を強くして、
運転席までラインを繋げ、全体にシャープなイメージを醸し出している。
塗装はホワイトに窓周りや側面にワインレッドの帯が入るもので、後に箱根登山鉄道の電車や
大山ケーブルなどの系列会社の電車や7000形「LSE」のリニューアルの際にも採用された。
行き先表示は無く、愛称表示が先頭部側面上部に字幕式のものが設置されている。

車内は、登場当時としても珍しくなったリクライニング機能のない回転クロスシートである。
ただし、背もたれの傾斜角やピッチ、掛け心地を十分に研究して、新宿~箱根湯本間
1時間25分の旅を快適に過ごせるレベルのものとなっている。
テーブルは壁面折りたたみ式のもののみであったが、第2編成から座席背面にも
小型のテーブルが設けられた。座席のモケットの色はブルーとレッドで、
これらがバラバラに配されているものと車内でどちらかに統一されているものの
2種類ある。
1・11号車の展望席と一般席の間の仕切りには折畳みシートが設置されている。
展望席は最前部から後ろの方に向けて徐々に高くなるシアター構造で後方からの
展望にも配慮している。
その他の客室は床を高くしたハイデッカー構造となり、眺望性を向上させている。
ドアは各車両1箇所ずつで全て2枚内折り戸である。なお、先述のとおり、
ハイデッカー構造なので展望席のある1・11号車以外のドア部分にはステップが
設けられる。
電話室は4号車、売店は3号車と9号車、トイレは4・8号車に設置されている。
売店は当時行われていた「走る喫茶室」サービス(※1)に対応して、オーダーエントリーシステム(※2)を
初めて採用した。

主制御装置は抵抗制御で7000形「LSE」車と同等の高速域よりも中低速域での加速性を
重視した設定となっている。
ブレーキは抑速ブレーキ機能付き発電ブレーキ併用電気指令式ブレーキである。
台車は軸箱支持をアルストム式としたダイレクトマウント式空気バネ台車で
基本的な機器類は7000形電車と同等のものをと採用している。
運転台は片手操作式ワンハンドルマスコンである。

登場以来、ごく僅かな期間を除いて、50000形「VSE」登場まで小田急ロマンスカーの
イメージリーダーとして広告などに広く登場した。
また、先述のとおり、自社の特急車のみならず系列各社へも少なからず影響を
与え、昭和63年には鉄道友の会よりブルーリボン賞を贈られている。

平成11年に車体改良工事が行われ、トイレの汚物処理方法が循環式から真空式に
変更になったほか、空気洗浄機を車内に取り付けた。
平成13年にはトイレにベビーベッドを設置した。
運用面では座席配置や性能が、ほぼ同じLSEと共通であり、時刻表や特急券には「L/H」と
表記が入った。
平成11年から約1年ほど「イタリアンエクスプレス」と称して第3編成にイタリア国旗の
レッド、ホワイト、グリーンのストライブを入れた特殊カラーとなった。

平成12年に施行されたバリアフリー法の影響で、ハイデッカー構造の本形式は
対応改造が難しいため、新車で置き換えることになり、平成17年に50000形VSE車が
営業を開始すると3本が運用から離脱した。
このうち1本は予備車両として残されたが、2本は廃車となり、長野電鉄に無償譲渡された。
長野電鉄では11体連接を4体連接に短縮され、1000系電車「ゆけむり」として同社のA特急列車で
運行されている。
小田急に残った2本は、1本が長期休車となったが、保安装置更新に伴う予備車確保のため、
程なく営業運転に復帰している。
その後、時勢の変化でロマンスカーの運用見直し及び後継の60000形「MSE」の増備が行われ、
平成24年3月16日をもって全車が営業運転から撤退した。


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2006年6月長野電鉄須坂駅構内にて、営業に向けての改造を待つ10000形。
格納型連結器を表に出した珍しい形態。
下写真は左から8500系(元東急)、本形式、3500系(元営団)、2000系A編成。

「ゆけむり」の愛称で営業を開始した編成。塗装の赤の部分が明るい赤に変わっている。
なお、長野電鉄での形式は1000系である。

(※1)「走る喫茶室」
小田急で初めての特急専用車1910形電車のデビューした昭和24年にスタートした
車内販売サービス。
ロマンスカーの車内で喫茶店と同様にウェイトレスが座席まで注文をとりに来て、
その注文されたものを直接座席まで持ってきてくれるものである。
提供は「日東紅茶」と「森永エンゼル」で、後者は昭和38年より加わっている。
ロマンスカーの車内サービスとして好評を博し、長く親しまれたが、
時代の移り変わりと共にロマンスカーにも通勤客や買い物客などの
乗車時間の短いお客が増え、注文をとってから提供まで時間のかかる、
このサービスの提供が難しくなってしまった。
このため、平成5年に「日東紅茶」が平成7年に「森永エンゼル」が撤退し、
「走る喫茶室」の営業は終了した。
このサービスの終了後は小田急レストランシステムがワゴンと売店での
車内販売業務を実施している。
平成17年にデビューした50000形VSE車では「シートサービス」として「走る喫茶室」同様の
サービスを受けられる(他の形式は売店orワゴン販売)。

(※2)オーダーエントリーシステム
ウェイターの持つ情報端末から直接キッチンに送信して伝える
システムのこと。主にファミリーレストランなどで使われている。

東京急行電鉄 2000系電車

2012-02-12 15:46:07 | 電車図鑑・私鉄電車(関東)
田園都市線の輸送力増量のため、平成4年~平成5年にかけて製造された車両である。
製造したメーカーは東急車輛で10両編成×3本=30両が製造された。
編成の組み方は中央林間側から以下の通り。
クハ2100形+デハ2400形+デハ2450形+サハ2800形+デハ2300形+デハ2350形+※
※+サハ2700形+デハ2200形+デハ2250形+クハ2000形

電動車はカタカナ記号「デハ」の車両でデハ2200形、デハ2300形、デハ2400形に主制御装置、
デハ2250形、デハ2350形、デハ2450形に静止型インバータとエアコンプレッサーを搭載する
ユニット方式を採用している。
エアコンプレッサーは付随車のサハ2800形にも搭載されている。

車体は登場時に東横線で運用されていた9000系電車とほぼ同じオールステンレス製のものを採用した。
正面デザインについても9000系のものを継承し、貫通扉を左に寄せた切り妻型となっている。
行先表示、種別表示は正面と側面に、列車番号表示は正面にあり、2101編成と2102編成の
2本は字幕式、2103編成はLED式(3色)を採用していた。
帯は正面と側面に入れられており、いずれも赤色である。

車内はオールロングシートとなった以外、基本的に9000系のものを踏襲している。
シートモケットもブラウンとオレンジの2色で着席定員をそれとなく示し、7人席では
3:4で仕切る形で中仕切が設置されたものであるが、2101・2102編成のデハ2400形と
デハ2200形では「快適な空間作り」を目指した新規のものを試用し、2103編成で全面的に
これを採用した。
主な内容としてはシートモケットの色柄変更(淡い赤と黄色で花柄、もしくはストライプ柄を採用)、
7人席中仕切へのスタンションポール設置、渋谷側車端部への車いすスペース設置、
ロールブラインドへの沿線名所のイラスト刺しゅう入り化、新デザインの車内貫通扉の採用
(窓を大きな三角形を組み合わせたものとした)などである。
これらのうちの一部は同時期に開始された7600系電車や8000系電車の車体更新改造にも
生かされている。
ドアは片側4か所両引き戸である。導入の時点で旅客案内装置等の設置は行っていない。

主制御装置はGTO素子のVVVF制御で、メーカーと製造時期が同じということもあり、
西武鉄道の6000系電車と走行音がよく似ている。
ブレーキは回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキを採用している。
台車はボルスタレス台車で、9000系のものを改良したものとなっている。
屋根上の冷房装置はカバーが一体化された集約分散型となり、外観で9000系と本形式を
見分ける上で最大のポイントとなっている。

導入後の主な改造は平成15年~平成16年にかけて各ドアへのドアチャイム設置と左右交互配置で
LED式旅客案内装置の設置、平成17年に正面下部へのスカート設置、同年~平成18年にかけて
行先表示や種別表示などのフルカラーLED化などを実施している。

登場以来、田園都市線で運行されているが、第3編成だけは落成直後、8連で東横線で運行された
ことがある。
これは8000系の更新改造工事により所定の車両数が不足したためである。
平成15年より直通相手となる営団地下鉄(当時)半蔵門線が水天宮前から押上まで延伸し、
東武伊勢崎線久喜までと東武日光線南栗橋までの直通運転を開始したが、8500系や5000系と比較して
本形式は保有本数の少なさから東武鉄道への直通対応改造は実施を見送っている。
この改造見送りにより、「K」マークが正面貫通扉に貼りつけられた。
元より本数が少ない上、東武鉄道方面への直通運用に就けないため、本形式と遭遇できる確率は
極めて低いものとなっている。


○車内。貫通扉の窓配置が独特なものとなっている。

東武鉄道 100系電車

2011-11-19 23:05:35 | 電車図鑑・私鉄電車(関東)
名車として知られ、長く親しまれた1720系特急用電車「DRC(デラックスロマンスカー)」
の老朽化に伴う置き換えのために登場した車両である。
平成2年~平成3年にかけて6両編成×9本=54両が製造された。
製造を担当したメーカーはアルナ工機と東急車輛である。
車両愛称として「SPACIA(スペーシア)」と命名された。
編成の組み方は浅草側から順に以下の通り。

100-1形+100-2形+100-3形+100-4形+100-5形+100-6形

旅客案内での号車番号は逆方向の100-6形から順に付けられる。
車番の見方は十と一の位が編成番号、ハイフン以下が連結位置番号となる。
全車が電動車で-2、-4、-5に集電装置と主制御装置、-1と-6に補助電源装置、
-1、-3、-6に空気圧縮機などを搭載している。
平成2年にグッドデザイン賞、平成3年に鉄道友の会「ブルーリボン」賞を受賞した。

車体は東武鉄道の車両で初めてのアルミ合金製で軽量化と低重心化が図られた。
また客室への騒音対策のため、床板をDRCよりも厚くしている。
先頭部分は非貫通の流線型となっており、現在の目で見てもシンプルながら
流麗なスタイルとなっている。
塗装はジャスミンホワイトにサニーコーラルオレンジとパールルビーオレンジの
オレンジの帯、窓周りはブラックである。
行き先表示及び列車名表示は車体側面にあり、字幕式となっている。

客室は銀座東武ホテルの内装デザインを手がけたロバート・マーチャント氏により
デザインされ、6号車(100-1形)が4人用の個室、他が一般客室となる構成である。
4人用個室は6号車に4人用のものが6部屋設置され、この車両だけ通路が海側(浅草方面
列車で進行方向左側)にある。
個室内は4人向き合わせのソファと天然大理石を用いた大型テーブルが設けられて
いる。
ソファの肘掛は背もたれにしまうことも可能である。
通路側壁面には空調や照明の強弱を自由に操作できるパネルも設置されている。
この他にビュッフェへの直通呼び出しボタンがあったが、こちらはシートサービス
終了と共に撤去された。
また、窓の日除けとして電動ブラインドに厚手のカーテンとレースのカーテンを
設置していたが、こちらも通常の横引きカーテンだけになった。
一般客室は左右2列配置の回転式リクライニングシートで前後間隔が1100mm、
2面回転式フットレスト付きでJRのグリーン車に匹敵する設備を有する。
テーブルは肘掛内蔵で座席を向き合わせにしても使えるように配慮されているほか、
窓枠の框も幅広であり、飲み物のなどの小物を置くのには不自由しない。
荷棚の各座席上部にはスポット空調と読書灯が備わるほか、客室で入口上部には
LEDスクロール式の旅客案内装置を備える。
運行当初はオーディオサービス用のスピーカーを座席ヘッドレスト部分に埋め込み、
イヤホン無しでもBGMやラジオ放送を楽しめたが、現在は撤去されている。
3号車(100-4形)浅草側にはビュッフェがあり、飲み物や弁当、軽食の販売が
行われている。
登場時~平成7年まではオーダーエントリーシステムを用いたシートデリバリーも
実施していたが、現在はワゴン販売になった。
このため、ビュッフェは実質的に車内販売基地となったが、暖かい軽食の販売は
今も行われているため、機能はしている(該当のメニューを購入する場合は
乗客がビュッフェカウンターに赴く必要がある)。
このビュッフェに隣接して飲み物の自動販売機、電話室(カード式公衆電話を設置)
の他、サービスカウンターがあり、平成15年まではスチュワーデス(女性客室乗務員。
一般に航空会社の女性客室乗務員を指すが東武鉄道でもこの呼称を使用していた)
による観光案内などが行われていた。
なお、床面は全車がカーペット敷きとなっており、全体に高級ホテルを意識した
意匠をとり入れている。
トイレと洗面所は1・4・6号車(100-1形、100-3形、100-6形)でトイレは洋式と和式、
その向かいに洗面所という構成である。
洗面所には姿見を、一部のトイレには和式・洋式ともベビーベット(おむつ交換用)を
備える。
ドアは4号車以外(100-3形)の各車両1箇所ずつで扉は車体に段差を作らないように
するため、プラグドアを採用した。

主制御装置はGTO素子を用いたVVVFインバータ制御で日本の私鉄特急車で初めての
採用となった。
ブレーキ抑速ブレーキ付きの発電・回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキである。
台車は軸箱支持をSUミンデン式としたボルスタレス台車でモーターの駆動方式は
TDカルダン(中実軸平行カルダン)駆動方式である。
当初は横揺れ防止のヨーダンパーを備えていなかったが、平成3年に投入された
編成から装備され、それ以前の編成も装備するようになった。
全車両電動車で60km/h以上での定速度運転機能のほか、設計最高速度130km/h、
営業運転でも120km/hの高速運転が可能である。
併せて定加速領域が100km/h近くまでとかなり広くとられ、速度制御もジャーク制御を
用いることで起動加速時やノッチオフの時の電流量を徐々に調整することが可能であり、
加速・減速時の前後衝動がほとんど発生しないのも特徴である。
運転台は10000系電車などに準じたツーハンドル式のものを採用している。
なお、これらの豪華な内装と製造後20年を経て今なお通用する高性能な機能から
製造コストは1編成あたり13億4600万円と1両あたりの製造コストで新幹線N700系
並みとなっている。

運用は「きぬ」及び「けごん」で車内放送では車両愛称を含めて「スペーシア~」と
案内されるほか、日光・鬼怒川特急を併せて案内するときはそのまま「スペーシア」と
案内され、最早、東武日光・鬼怒川特急の代名詞となっている。
平成18年からは特急「スペーシアきぬがわ」としてJR東日本宇都宮線・湘南新宿ライン
経由で新宿までの乗り入れを開始した。
この乗り入れに伴い、106~108編成にJR用の各種保安装置及び切替スイッチ取り付け、
座席番号表記をJR方式のものを追記、6号車へのグリーン車マーク貼付け(4人用
個室はJRではグリーン個室として扱われる)、自動放送装置、旅客案内装置の更新と
方向幕交換などの改造を受けている。
これらのうち、特にJRが使用している信号炎管用の煙突は外観上、目立たないように
屋根の頂上部を凹ませて設置している。
既に登場から20年以上が経過しているが、置き換えの計画は無い。
ただし、平成23年度の事業計画でリニューアルが発表されている。


○ビュッフェを備える100-3形。ビュッフェなどがある部分の側面に「SPACIA」の
 ロゴが入る。


○6号車の個室。これは東武博物館に展示されているモックアップ。


○JR湘南新宿ラインを行く「スペーシアきぬがわ」。奥の跨線橋は西武池袋線。
 ちょっと離れているが東武日光線の車両と東武東上線の車両が池袋で顔を
 合わせる事になった。



○ヘッドマーク2種類。昨今はこのようなヘッドマークを付けて運行される機会が
 多い。
 前者は外国向けの日本観光キャンペーン時のもの、後者は東日本大震災後の
 応援メッセージである。
 東武鉄道では震災後、福島県などからの避難者を逸早く積極的に採用した。

東京急行電鉄 8500系電車

2011-10-09 22:44:20 | 電車図鑑・私鉄電車(関東)
新玉川線(現在の田園都市線の渋谷~二子玉川間)開通及び営団地下鉄(東京メトロ)
半蔵門線との直通開始のために登場した車両である。
昭和50年~平成3年にかけて10両編成×38本=380両と5両編成×4本=20両の合計
42編成400両が製造された。
製造を担当したメーカーは東急車輛である。
編成の組み方は中央林間・溝の口側から以下の通り。

10連:デハ8500形+デハ8800形+サハ8900形+デハ8700形+デハ8800形+デハ8700形+※
※デハ8800形+サハ8900形+デハ8700形+デハ8600形

5連:デハ8500形+デハ8800形+サハ8900形+デハ8700形+デハ8600形

10連は田園都市線、5連は大井町線での運用となる。
主制御装置と集電装置は百の位が奇数の電動車形式(デハ8500形、デハ8700形)、
エアコンプレッサーは同じく偶数の電動車形式(デハ8600形、デハ8800形)に
搭載されている。
電動車同士はいわゆるユニット構造であるが、運用の都合で電動車が奇数となる
場合は主制御装置つきのデハ8500形、デハ8700形が単独で連結されたこともある。
サハ8900形は補助電源装置と半蔵門線で使用する誘導無線アンテナを搭載する。
なお、デハ8700形とデハ8800形は99両を越えたため、越えた分は0700番台、
0800番台とした。
これはそのままだとデハ8700形はデハ8800形とデハ8800形はサハ8900形と
車番が被るのと、東急の車両番号管理システムが4桁対応で5桁ではシステムに
負荷がかかるためである。

車体は8000系をベースにしたオールステンレス製で製造時期によって、若干構造が
異なる。
正面は中央部に貫通扉のある貫通型で運転台を高運転台として窓が小さくなったが、
窓上に行き先表示を中央に配置し、向かって左に種別表示、右に列車番号
表示を設け、窓下に識別表示として赤帯を入れたため、無表情になりやすかった
当時のステンレスカーとしては珍しく表情が付いた。
行き先表示と種別表示は正面の他、側面にもあり両方とも字幕式である。

車内はオールロングシートで当初はワインレッド一色のモケットであったが、
後にオレンジとブラウンの2色のものに交換されている。
化粧板は8536編成までベージュ系、8537編成からホワイト系となり、8537編成から
9000系の設計を取り入れ、座席への中仕切り設置や袖仕切りの形状変更、
天井見付けの変更などが行われた。

主制御装置は界磁チョッパ制御で8542編成の中間車4両(デハ8799+デハ0802/
デハ0718+デハ0818)がGTO素子のVVVFインバータ制御である。
VVVFインバータ制御装置は前者ユニットが試作型、後者ユニットが量産型となる。
ブレーキは回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキである。
台車はペデスタル式のダイレクトマウント式空気バネ台車で
モーターの駆動方式は中空軸平行カルダン駆動である。
運転台はT字型ワンハンドル式マスコンで速度計はATC対応となっている。
ATCを搭載した関係で乗務員室後方の仕切りの窓は未設置となったが、
後年、機器を交換して客室から向かって右側に窓が付けられた。

登場時は4両編成で田園都市線(当時は大井町~すずかけ台間)に投入された。
昭和53年の新玉川線開業と前後して導入したての新車を有効活用するため、
東横線でも暫定使用されている。
東横線では当初は6連、後に8連と変更された。
なお新玉川線開業の時点では増備が追いつかず、一部の編成では8000系の冷房準備車を
中間車に組み込んで運用された。
これは当初、新玉川線は渋谷~二子玉川園間の折り返し運転であり、
二子玉川園駅付近を除いて地上区間がなかったためである。
昭和54年より営団半蔵門線、新玉川線、田園都市線の運転系統一本化が行われ、
原則的に大井町線となった大井町~二子玉川園間への乗り入れはなくなった。
昭和61年に8538編成~8541編成が5連で製造され、大井町線と田園都市線の
共通予備車とされた。
この編成は大井町線のほか、多客時にこどもの国線で運用された。
東横線で運用されていた編成は随時交替しながら田園都市線へ移籍していき、
9000系の増備と8590系の導入と8090系の大井町線転属が落ち着いた平成2年を
最後に全車が田園都市線所属となった。

平成9年~平成13年にかけて車体更新改造を実施した。
主な内容は内装や座席の張り替え、スタンションポール設置、車椅子スペース設置、
行き先表示のLED化(後に東武鉄道直通対応車全車に施工)、
自動放送装置設置(一部)、LEDスクロール式旅客案内装置設置(一部)などである。
この改造は編成単位ではなく、初期に製造された車両単位で実施された。
これ以降も東武鉄道との直通対応改造と共にこれを行う予定であったが、
5000系との置き換えが発表されたため、実施されていない。
平成15年より半蔵門線の全通(水天宮前~押上間開業)に伴う東武伊勢崎線との
直通運転開始に伴い、一部編成への東武鉄道対応の保安装置設置改造と
前面下部にスカートが付けられた。
この改造の対象外とされた車両は「マルK」マークを正面貫通扉に貼り付けて
区別された(廃車対象となった初期車とVVVF車組み込みの8542編成)。
また、5両編成の8538編成~8541編成は大井町線へ転属となり、正面の帯色の変更、
誤乗車防止のためのステッカー貼り付けなどが行われている。
同年より初期投入車の5000系との置き換えも開始され、平成20年までに14編成が
廃車されている(但し、経年の若い中間車の一部は別の編成に転用)。

廃車された車両の一部は長野電鉄、秩父鉄道に譲渡されたほか中間車が伊豆急行に
譲渡されている。
また平成18年~平成20年にかけてインドネシアに譲渡され、ジャカルタ近郊の
通勤列車に使用されている。


○車内。中央林間側から3両目のサハ8900形のもので車内貫通路が狭いものと
 なっている。


○車内。最後に製造されたグループのもの。9000系の設計を取り入れたものと
 なっている。


○TOQ-BOX号。赤帯・音楽編成。


○「TOQ-BOX」青帯・シャボン玉編成。現在は赤帯車、青帯車とも装飾が外されている。


○「伊豆の夏」号。伊豆急行に譲渡された8000系に準じた塗装にされた。
 東武伊勢崎線沿線が舞台となったテレビアニメ「らき☆すた」ではヒロインが
 通学に使う路線の車両として何度か出演している。


○大井町線所属編成。誤乗車防止の為帯色と「大井町線」のステッカーが貼られた。
 行き先表示はフルカラーLEDに交換されている。


○デハ8800形のインフレナンバー車。大半は大井町線に所属している。


○唯一、原型に近い状態の8506編成(平成23年現在)。
 貫通扉の窓の右上にあるのが「マルK」マーク。


○東急新玉川線開業30周年・玉電開業100周年記念のステッカーマーク貼り付け車。

東武鉄道 9000系電車/9050系電車

2011-10-03 21:51:28 | 電車図鑑・私鉄電車(関東)
東武東上線の営団(→東京メトロ)有楽町線との直通運転開始に伴い登場した
車両である。
9000系は昭和56年~平成3年にかけて10両編成×8本=80両、9050系は平成6年に10両編成
×2本=20両の合わせて10両編成×10本=100両が製造された。
製造を担当したメーカーは東急車輛、アルナ工機(→アルナ車両)、富士重工である。
編成の組み方は東上線池袋・有楽町線・副都心線方面側から以下の通り。

・9000系:クハ9100形+モハ9200形+モハ9300形+サハ9400形+モハ9500形+※
※+モハ9600形+サハ9700形+モハ9800形+モハ9900形+クハ9000形

・9050系:クハ9150形+モハ9250形+モハ9350形+サハ9450形+モハ9550形+※
※+モハ9650形+サハ9750形+モハ9850形+モハ9950形+クハ9050形

東武鉄道で初めての10両固定編成となった。
集電装置と主制御装置は9000系がモハ9200形、モハ9500形、モハ9800形、9050系が
モハ9250形、モハ9550形、モハ9850形に搭載されている。
エアコンプレッサーは9000系がモハ9300形、モハ9600形、モハ9900形、9050系が
モハ9350形、モハ9650形、モハ9950形で9000系9101~9107編成はモハ9600形に2基
搭載した。
補助電源装置はエアコンプレッサーと同じ車両に搭載しているが、9000系9101~
9107編成はモハ9600形への搭載がなくコアレスブラシ式のMG(電動発電機)、
9108編成は素子をGTO方式の静止型インバータ、9050系はIGBT式の静止型インバータを
それぞれ搭載している。

車体はオールステンレス製で東武鉄道で初めての採用となり、8000系以来18年ぶりの
新形式となった。
当時最新技術の軽量構造のものとなっているが、当時はメーカーの東急車輛が
ステンレスカーの製造特許を独占していたためと他の2社は初めてのステンレスカーで
あった関係で工作のしやすさを優先し、同時期に製造された東急8090系と比べると
コルゲートの多い、やや古いスタイルとなっている。
正面はFRP製の飾り枠を設け、縦に「く」の字に折れた2つ折となっており、貫通扉を
左側に寄せている。
帯色はマルーンで、以後登場した東武鉄道のステンレスカーでも標準採用されている。
行き先表示と種別表示は字幕式で正面と側面にあり、正面のものは種別と行き先が
別個となっている。
また、試作車である9101編成は車端部、9102編成以降は車体側面中央部と設置されて
いる位置も異なる。
9050系の行き先表示は設置位置は9000系9102編成以降と同じだが、当初よりLED式
(但し3色式)となった。

車内はオールロングシートで試作車の9101編成は8000系ベースの定員割としたのに
対し、9102編成以降と9050系はドアの位置や座席の一人当たりの占有幅の見直し、
営団7000系と揃えられた関係で変更されている。
車椅子スペースは9050系から設置され、9250形と9950形にある。
ドアは片側4箇所、全て両引き戸で9101編成と9102編成以降で位置が異なる。
ドアの開閉チャイムや旅客案内装置は9000系では採用されなかったが、
9050系ではドアチャイムの他、通勤形電車としては日本で初めて液晶モニター式の
旅客案内装置を採用した。
この案内装置は車掌をモチーフにしたキャラクターによるアニメーションも
流れるなど好評であったが、バックライトの劣化により表示が見づらくなったことから
平成11年に撤去され、以降は広告枠となった。

主制御装置は9000系がAFE(自動界磁励磁)チョッパ制御、9050系がGTO式のVVVF
インバータ制御方式である。
ブレーキは9000系、9050系とも回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキである。
台車は9000系、9050系とも軸バネ方式をSUミンデン式とし、9000系はダイレクト
マウント式空気バネ台車、9050系はボルスタレス台車となっている。
モーターの駆動方式は中空軸平行カルダン駆動方式である。
運転台は他の車両と同じツーハンドル方式とされた。
この他に9050系では100系「スペーシア」や日比谷線直通用の20050系と
同じ自動放送装置を搭載している。

昭和62年に計画されていた営団地下鉄有楽町線への直通を控え、乗務員の教習や
直通開始時にスムーズな運転が出来るように試作車である9101編成が昭和56年に
登場した。
登場後、東上線での各種試運転の後、同年年末より営業運転を開始している。
9101編成は東急車輛、アルナ工機、富士重工の3社合作で車体の作りなどに若干の
差が見られる。
昭和62年の営団有楽町線和光市乗り入れにより相互直通運転が開始され、それに合わせ、
9102編成~9107編成が登場し、平成3年の有楽町線新木場延長に合わせて車体を10030系
と同等とした9108編成が投入されている。
平成6年には現在の東京メトロ副都心線に当たる有楽町新線小竹向原~新線池袋間の
開業に合わせて9050系が登場し、全編成が出揃った。

平成9年に9101編成のチョッパ制御器を9102編成以降と同じものに更新する改造が
行われた。
以降は平成15年ごろに7人席にスタンションポールを追加した程度で大きな改造は
なかったが、平成18年~平成20年にかけて東京メトロ副都心線開業に伴い、
9000系9102編成~9108編成と9050系を対象に同線対応の改造とリニューアルが
施された。
主な内容は運転台のワンハンドル化、ATO対応ワンマン運転用機器及びホームドア
対応機器の設置、タッチパネル式車両モニタ装置の設置、乗務員室仕切り戸への
電気錠設置、ワン・ツーマン切替え装置設置、ワイパーの電動化、日除けの変更、
座席の張り替え及びバケット化、座席肘掛の大型仕切り板化、車内貫通路扉交換
及びドアクローザー設置、車椅子スペース設置(9000系のみ。9050系は既設)、
対話型非常通報装置設置(9000系のみ。9050系は既設)、内装張り替え、
客用ドア交換、ドアチャイム設置(9050系は既設。但し、開放中もサイン音が鳴動する
タイプへ変更)、LEDスクロール式旅客案内装置設置(千鳥配置)、自動放送装置設置
(9050系は更新。50000系と同じもの)、ドア手すり・床面の黄色塗装化、ヘッドライトの
HID化、行き先・種別表示のフルカラーLED化、正面下部へのスカート設置などである。
9101編成についてはドアの位置が異なるため、これらの改造は見送られ、しばらくは
有楽町線専用直通車を示す「Y」マークを正面向かって左側の窓に掲示していたが、
小竹向原駅にホームドアが設置されて以降は原則的に乗り入れておらず、東京メトロ
有楽町線地下鉄成増~氷川台間のホームドア設置工事が開始された平成21年の
年末には「Y」マークも外され、正式に東上線専用となっている。
それ以外の9000系、9050系は有楽町線、副都心線直通列車を中心に運行されている。


○有楽町線直通運用に就いていた頃の9101編成。
 下の9105編成と比べるとクーラーの形状や側面の行き先表示器の位置、
 車体の裾周りの処理の仕方などが異なる。


○副都心線との直通運転開始に伴い有楽町線直通車を示す「Y」マークを
 掲示していた頃。


○9101編成の現在の姿。「Y」マークは外されたが、地下鉄への直通は無くなった。


○9101編成車内。副都心線対応改造前の他の編成は床が茶色くなったのと
 天井にラインデリアが設置された以外、ほぼ同じ(9050系は白系の化粧板に
 ブラウン系のモケットの座席であった)。


○副都心線直通対応前の9105編成。字幕時代の有楽町線直通列車の行き先表示は
 黄色地に青文字だった。


○副都心線直通対応後の9103編成。正面にスカートが付いたのと行き先が
 フルカラーLED式になったのが目立つ。


○クハ9103号拡大。


○第8編成。見づらくて申し訳ないが、側面のコルゲートがビードプレスとなった。


○副都心線直通改造後の9108編成。


○副都心線直通対応前の9050系。当初から行き先表示がLED式であった。


○副都心線直通改造後の9152編成。地下鉄直通車でも一部はこのように東上線の
 地上運用に入る事もある。


○9000系。副都心線直通改造後の車内。50070系を意識した車内となった。






○9000系側面見付けやクーラー配置の違い。上からクハ9101、モハ9803、
 モハ9808、モハ9852。


○思い出の一コマ。池袋駅に停車する副都心線直通対応前の9102編成。
 森林公園のプールの宣伝車になっていた。

小田急電鉄 2000形電車

2011-09-08 21:17:57 | 電車図鑑・私鉄電車(関東)
各駅停車用に運行していた2600形電車の老朽化に伴う置き換えのために登場した
車両である。
平成7年~平成13年にかけて8両編成×9本=72両が製造された。
製造を担当したメーカーは日本車輛、川崎重工、東急車輛である。
編成の組み方は新宿側から順に以下の通り。

クハ2050形+デハ2000形+デハ2100形+サハ2150形+サハ2350形+デハ2300形+※
※+デハ2400形+クハ2450形

車体はオールステンレス製で設計コストを削減するため、1000形電車で採用したものを
ベースにしている。
このため、正面デザインからは1000形と判別することが難しい。
同形式と本形式の見分け方は電気連結器の有無とそれに伴うスカートの形状の違い、
行き先表示機が字幕式かLED式か、通過標識灯の有無などである。
塗装は1000形と同じく青帯のみで他は無塗装ながら全体に光沢を抑えた
ダルフィニッシュ(梨地仕上げ)加工としている。
行き先表示機は既述の通りLED式で正面と側面に設置されている。

車内はオールロングシートでシートモケットは赤系、化粧板もややピンクがかった
ものとされた。
ドアは片側4箇所の両引き戸で運転室後方の1箇所を除いて1600㎜(運転室後方のものは
通常のサイズの1300㎜)のワイドサイズとされ、乗降時間の短縮を図った。
側面窓は1段下降式で車端部の窓は戸袋窓だけという配置になっている。
また、2052編成でUVカットガラスを試行した後、2054編成から本格的に採用され、
ロールブラインドが廃止されている。
各ドアの上部には旅客案内装置が設置され、LEDスクロール式のものと
マップ式のものが左右交互に設置されたが、マップ式のものは2053編成から廃止され、
これを搭載していた2051編成と2052編成からも撤去された後、広告スペースに
なっている。
車椅子スペースは先頭車にあり、2053編成までは車端部側、2054編成からは運転室
後方ドアのすぐ横側に設置された。

主制御装置はIGBT式のVVVFインバータ制御、ブレーキは回生ブレーキ併用電気指令式
ブレーキである。
台車は小田急の電車で初めて軸箱支持をモノリンク式とした空気バネ式ボルスタレス
台車となった。
モーターの駆動方式はWN駆動方式である。
なお、2054編成で使われている主制御装置とモーター類は2600形2666編成で
試行されていたものを流用したもとなっている。
8両固定編成を組み、他の編成と連結を行わないため、先頭車の電気連結器を
省略している。

登場後より各駅停車が中心で、ごく一部の急行や準急に用いられていたが、
平成16年以降は区間準急と各駅停車がメインとなっている。
平成21年より車体更新が行われており、一部の編成では行き先表示のLEDを
フルカラーのものに交換したほか、車内座席の仕切りの大型化、スタンション
ポール設置などが実施されている。


○デザインベースとなった1000形電車。


○通過標識灯が無くなった2059編成。この編成が最終増備車で警笛の音色が
 他の編成と異なるのが特徴。



○側面から見た1000形(上)と2000形(下)の違い。ドア幅、連結側の窓配置などが
 異なるのが分かる。


○中間車。1600㎜幅のワイドドアが並ぶ。


○行き先表示がフルカラー化された2052編成。
 この編成は通過標識灯が残る。

東武鉄道 20000系電車/20050系電車/20070系電車

2011-08-29 23:19:21 | 電車図鑑・私鉄電車(関東)
伊勢崎線と営団地下鉄(→東京メトロ)日比谷線との直通運転用に運行されていた
車両の老朽化と日比谷線直通列車の冷房化のために登場した車両である。
20000系が昭和63年~平成4年までに8両編成×13本=104両、20050系が平成4年~
平成6年までに8両編成×8本=64両、20070系が平成8年~平成9年にかけて8両編成
×3本=24両の全車合計で8両編成×24本=192両が製造された。
製造を担当したメーカーはアルナ工機と東急車輛である。
編成の組み方は中目黒側から順に以下の通り。

・20000系
:クハ21800形+モハ22800形+モハ23800形+モハ24800形+モハ25800形+※
※+モハ26800形+モハ27800形+クハ28800形

・20050系
:クハ21850形+モハ22850形+モハ23850形+モハ24850形+モハ25850形+※
※+モハ26850形+モハ27850形+クハ28850形
・20070系
:クハ21870形+モハ22870形+モハ23870形+モハ24870形+モハ25870形+※
※+モハ26870形+モハ27870形+クハ28870形

形式番号の見方は万の位が形式、千の位が号車番号、百の位は何両編成か、
十と一の位が編成番号である。
主制御装置は千の位が偶数の中間電動車、その他のエアコンプレッサー、補助電源装置
などは千の位が奇数の中間電動車に搭載している。
なお、本形式の補助電源装置は静止型インバータで東武鉄道の電車で初めての
採用である。

車体はオールステンレス製で当時製造中だった10030系電車とほぼ同等のものである。
正面は非常用の貫通扉を向かって左に寄せ、運転席の窓を一段窪ませて傾斜を付けた
独自のスタイルとなった。
行き先表示機は正面と側面にあり、20000系が字幕式、20050系と20070系がLED式と
なる。
20070系の登場と前後して側面の行き先表示の周りに「日比谷線直通」のステッカーが
貼られるようになった。
帯色はブラウンで正面から先頭車運転台側側面のみ2段帯となっている。

車内はオールロングシートでシートモケットの色は20000系が1人ずつの着席位置を
それとなく示したグリーン系、20050系と20070系は同じくブラウン系になった。
ドアは全て両引き戸で20000系と20070系の全車と20050系の上記編成表で色付でない
数字の車両が3箇所、20050系の上記編成表で緑文字のものが5箇所となっている。
旅客案内装置は20000系には設置されていなかったが、20050系が液晶画面式のものを
他社に先駆けて、20070系は30000系に準じたLEDスクロール式のものを採用し、
ドア上部に設置している。
なお20050系の液晶画面は劣化のため、平成11年に撤去され、長らく広告スペースに
されていたが、平成23年になってLEDスクロール式のもの(左右交互配置)が
改めて設置されている。
車椅子スペースは20050系と20070系の2・7号車にそれぞれ設置されている。
側面窓はドア間に2連式の一段下降窓が2つならぶ独自のもので本形式の外観上の
特徴ともなっている。

主制御装置は20000系がAVFチョッパ制御方式、20050系と20070系がVVVFインバータ
制御方式をそれぞれ採用している。
ブレーキは回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキを採用した。
台車は軸箱支持をSUミンデン式とした空気バネ式ボルスタレス台車を採用した。
モーターの駆動方式は20000系が中空軸平行カルダン方式、20050系と20070系が
中実軸平行カルダン(TDカルダン)方式を採用している。

形式による運行の分け隔てはなく東武伊勢崎線各駅停車~東京メトロ日比谷線直通
列車のうち運行番号に「T」と付く運用に就いている。
なお、日比谷線内で完結する運用もあるが、東急東横線への乗り入れは行っていない。
平成12年3月8日に中目黒駅構内で発生した列車脱線衝突事故で20050系21852編成の
モハ23852号とモハ24852号が大きく損傷したが、その後同じ車体を新造して
復帰している。
平成22年より自動放送装置のある20050系と20070系の放送装置を50000系列と
同等品に交換した。


○20000系。これが基本形態。


○車内。20000系のもの、20050系以降はブラウン系のモケットになった。
 スタンションポールは平成15年以降に設置された。


○20050系。


○20050系クハ21852号車。正面貫通扉に「5door」のロゴ、行き先表示が
 側面中央から車端部になる、車外放送用スピーカーが設置されるなどの
 設計変更が見られる。
 冷房装置も5ドアのため20000系よりも増強されている。


○20070系。20050系を普通の構造に戻した編成。


○20070系中間電動車。集電装置がシングルアームパンタになったことと
 冷房装置の配置が一体型から分割型に変更されていることなど
 20000系とも20050系とも異なる。

西武鉄道 新101系・301系電車

2011-08-21 14:07:28 | 電車図鑑・私鉄電車(関東)
冷房車の増備を進めるため、昭和44年~48年にかけて製造された101系電車のモデルチェンジ版
として登場した車両である。
昭和54年~昭和58年にかけて2両編成×13本=26両、4両編成×23本=72両、
8両編成×13本=104両が製造された。
製造を担当したメーカーは西武所沢工場と東急車輛で、戦後ほぼ一貫して通勤車両の
製造を担当していた西武所沢工場以外のメーカーで作られたことと、西武グループと
因縁深い東急グループのメーカーが製造を担当したことで話題となった。
編成の組み方は以下の通り。

4連:クハ1101形(奇数)+モハ101形(奇)+モハ101形(偶数)+クハ1101形(偶)

2連:クモハ101形(奇)+クモハ101形(偶)

8連:クハ1301形(奇)+モハ301形(奇)+モハ301形(偶)+サハ1301-1形+サハ1301-2形+※
 ※+モハ301-1形+モハ301-2形+クハ1301形

主制御装置と集電装置はモハorクモハの奇数号車、電動発電機(補助電源装置)と
エアコンプレッサーはモハorクモハの偶数号車にそれぞれ搭載している。
車番は旧101系からの通しであるため、4両編成のトップナンバーがクハ1227から
スタートしている。このため、8両編成は300番台からのスタートとなっており、
同じ性能で同じ車体でありながら301系と形式が分けられている。

車体は普通鋼鉄製で正面は半流線型・正面2枚窓の湘南スタイルを引き継いだ。
しかし、踏切事故対策で高運転台とされた他、当時の鉄道車両で流行した
額縁デザインを採り入れた独自のものとしている。
塗装はオリジナルのものに準じたイエローをベースに窓周りをベージュと
したものである。
当初、正面窓周りもベージュであったが、後にかなり濃い目のブラウンに
変更されている。
方向幕は正面のみで向かって右が方向表示、左が種別となっており、
双方とも現在となっては珍しい手巻き式である。

車内はオールロングシートである。乗務員室を拡大したため、そのすぐ後ろの座席が
2人掛けになった(旧101系は3人掛け)。
天井は平天井で送風機としてラインデリアが設置されている。
ドアは3ドア・両引き戸で側面窓は2段式で上段下降・下段上昇式となっている。

主制御装置は抵抗制御で、ブレーキは勾配抑速ブレーキ付き発電ブレーキ併用
電磁直通空気ブレーキと旧101系を踏襲している。
台車についても旧101系と同じものを使用して部品の共通化を図っている。
ブレーキや台車の空気バネに空気を送るエアーコンプレッサーは4連車と
301系には新型の大容量ものが搭載された。
2連のものも同じものが搭載されたが、後にコンプレッサーに除湿機を取り付けた際、
場所がなくなったので、当時の西武の標準品である旧式のものが搭載された。
これについては近年、小型で低騒音のものが開発されたのでそれに交換されている。

配置は当初、池袋線のみであったが、昭和56年より新宿線系統への配置が
開始されている。
新宿線では発電ブレーキを持たない701系、801系とも連結できるように抑速・発電
ブレーキを使用停止にして、他の101系と間違って連結しないように電気連結器の
カバーを黄色に塗って判別していた。
昭和63年より秩父鉄道への直通運転が開始されたため、4連8本にパンタグラフの
交換、号車番号の明記、秩父鉄道用の保安装置設置、横瀬駅での分割運転に備えた
電気連結器の設置、一部編成の吊革の茶色化などの改造を行った。
8連時に中間に入る先頭車の連結器カバーは白色に塗られていた。
なお、701系・801系の引退後は抑速・発電ブレーキの機能を復活させている。
また、全車両を対象に側面窓周りのベージュ塗装を平成9年以降廃止してイエロー
一色となっている。

平成10年より多摩湖線の国分寺~萩山間でのワンマン運転実施に伴い、
4連3本が更新改修を含めて改造されている。
主な内容は種別窓の廃止、側面への字幕設置及び、方向表示幕の自動化、
座席のバケット化、化粧板・モケットの張替え、車椅子スペース設置、
正面へのスカート設置、ドアチャイムの設置とLED式旅客案内装置、
ドア開閉表示機の設置、パンタグラフのシングルアーム化、側面車番表示の
プレート化などである。
平成19年には全車電動車の4連が同線に登場した。客室などの改修については
上記の多摩湖線用ワンマンカーに準ずるが、牽引車としても使用できるように
全車電動車編成となった。
この編成はクモハ279+クモハ280に1255編成の中間電動車であるモハ255+モハ256を
組み込んだもので車番はクモハ263+モハ264+モハ265+クモハ266に改めている。
この編成だけの改修内容として増粘着剤散布装置取り付け、ブレーキ信号読み替え機
取り付け、バランスウェイト設置などが行われている。
平成22年からは武蔵境駅の高架工事完成に伴い、多摩湖線の旧101系を置き換える
ため、こちらにもワンマン改造と車体更新を行った新101系×4本を転属させている。
改造内容に関しては263編成以外の編成と同じだが、車体塗装が白一色となった点が
異なる。
各編成には沿線の小学生が描いた季節のイラストがラッピングされている。
これ以外の編成でも正面へのスカートの設置(一部のみ)と方向幕と種別幕の交換を
平成20年夏頃までに実施している。

新車の20000系、30000系「スマイルトレイン」の増備に伴い、既に廃車が
開始されている。
一部の車両は、上信電鉄、秩父鉄道、伊豆箱根鉄道、三岐鉄道、近江鉄道に
譲渡されている。


○2色塗り時代の姿。窓周りがベージュ色に塗られている。
 写真の編成が最後の現役2色車であった。この石神井公園駅も既に高架化された。


○新101系4連×2による準急列車。


○新101系2連車。2丁パンタが特徴である。狭山線等の支線ではこれを2本繋いだ
 4連がみられた。

○301系×8連による各駅停車(表記は普通)池袋行き。
 写真の301系はスカート設置と方向幕交換済み。


○車内。ブラウン系の落ち着いた雰囲気。


○多摩湖線用ワンマン改造車。種別窓が無くなった。


○車内。ホワイトにブルー系の精悍な内装になった。


○牽引車兼用となった263編成。




○多摩川線向け新101系ワンマン車を回送する前の様子。連結器が機関車対応の
 自動連結器に交換されている他、ブレーキ管が追加されている。
 写真の編成は多摩川線に搬送後、秋編成ラッピングがされた。



○多摩川線で運行を開始した新101系。同線用101系を全て置き換えた。
 多摩川線と多摩湖線では予備車を共有しており、場合によっては多摩湖線で
 「白編成」といわれる多摩川線編成が、またはその逆が走ることを見ることが
 可能である。



○登場時の塗装に復元された編成。字幕などは復元せずに
 そのまま新規のものである。

京成電鉄 3050形電車

2011-07-31 20:25:09 | 電車図鑑・私鉄電車(関東)
京成スカイアクセス線開業に伴い、羽田空港~成田空港間で運行される「アクセス特急」
向けに登場した車両である。
平成21年~平成22年にかけて8両編成×6本=48両が製造された。
製造を担当したメーカーは日本車輛である。
編成の組み方は成田空港側から以下の通り。

3050-1+3050-2+3050-3+3050-4+3050-5+3050-6+3050-7+3050-8

電動車はハイフン(-)以下1、2、4、5、7、8の6両で残りの2両(-3、-6)は
付随車である。
主要機器は両端の3両ずつに分散して配置しており、中央の2両(-4、-5)を抜いた
6連を組むことも可能である。
分類上は3000形の7次車なので「3000形50番台」となるが別形式として紹介される
ことが多い。
当ブログもこれに準拠し、別形式として紹介する。
なお、京成で3050形を名乗る車両は2代目である(初代は昭和34年に登場。
京成創立50周年の記念形式にして京成初の標準軌間車でクリームにオレンジの
いわゆる「赤電」カラーを採用した初の車両。後年は冷房化されたり、今は亡き、
千葉急行電鉄(→京成千原線)に貸し出されるなどしたが、平成8年に全車が
廃車された)。

車体は3000形に準じたオールステンレス製のものを採用した。
「アクセス特急」車であることを分かりやすくするため、外観デザインについては
一新された。
特に大きく変化したのはカラーリングで正面窓下と側面窓周りを青空をイメージした
ブルーのグラデーションとし、正面には赤、側面には色身を変えて航空機を
イメージしたイラストが入れられている。
偶然ではあるが、京成スカイアクセス線と線路を共用している北総鉄道が以前
所有していた「ゲンコツ電車」こと7000形電車と似たイメージとなった。
行き先表示は正面と側面にあり、いずれもフルカラー式LEDとなっている。
行き先表示については乗り間違い防止の為、行き先と経由路線を交互に表示している。

車内はオールロングシートで、-1、-8号車運転室側ドア後方に車椅子スペースを
備える。
座席のモケットについても本形式専用のブルーのものに航空機のイラストを
縫いこんだものとなった(優先席は赤系)。
ドアは両引き戸で片側3箇所配置である。
各ドア上部には京成の通勤型車両で初めての液晶画面式の旅客案内装置が設置された。

主制御装置はIGBT素子を使用したVVVFインバータ制御で従来の3000形から大きな
変更は無い。
ブレーキは回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキで抑圧(耐雪)ブレーキと
保安ブレーキのほか、スカイアクセス線及び京急線での120km/h走行に対応するため、
増圧ブレーキを有している。
台車は軸箱支持をモノリンク式としたダイレクトマウント式空気バネ台車である。
モーターの駆動方式は3000形では3001編成と偶数編成がWN駆動方式、3003編成以降の
奇数編成がTDカルダン駆動方式となっていたが、本形式では全編成がWN駆動方式
である。
エアコンプレッサーは同時期に製造されたAE形と同じ新型のものとなったほか、
走行性能に余裕を持たせるため、設計最高速度を120km/hから130km/hに
向上させている。
運転台はT字型ワンハンドルマスコンでスカイアクセス線、アクセス特急用の
英語放送機能付き自動放送装置が追加された以外は基本的に3000形と同じある。

京成スカイアクセス線開業と共に営業運転を開始し、全6本のうち4本が
アクセス特急運用に就いている。
ほぼ同列車専従であるが、3700形の一部を改造してアクセス特急対応としたことから、
京成本線系統の列車に使用されることも少なくない。
京急側では羽田空港方面への運用が主であるが、臨時ダイヤで神奈川新町まで
乗り入れたほか、東日本大震災翌日には同線側に取り残された編成が1往復だけだが、
品川~三崎口間で特急に使用された事もある(京急本線品川~泉岳寺間が運休した
ため)。


○車内。旅客案内装置は1画面だけ。



○航空機のイラストが入れられた車体側面と座席モケット。
 「この車両が来ればスカイアクセス線経由」というのを示すものだが、
 京成本線経由の運用も無いわけではない。

小田急電鉄 20000形電車 「RSE」

2011-07-30 21:01:15 | 電車図鑑・私鉄電車(関東)
JR御殿場線との連絡急行「あさぎり」で使用していた初代3000形SSE車の老朽化に伴い、
その置き換えと同列車の特急格上げのため登場した車両である。
車両の愛称は「RSE(Rezort Super Express)」で、
平成2年~3年にかけて7両編成2本=14両が製造された。
製造を担当したメーカーは日本車輛と川崎重工である。
編成の組み方は沼津側から順に以下の通りである。なお形式表記は公式の
形式ではなく、車体に書かれたものを表記する。

デハ20300形+デハ20200形+サハ20250形+サハ20150形+デハ20100形+※
※+サハ20050形+デハ20000形

基本的な設計コンセプトは相互乗り入れとなるJR東海との協定に沿って
進められたため、ロマンスカーの伝統である展望席、連接車体、走る喫茶室は
本形式で一旦打ち切られた(50000形VSEで復活)。

車体は鋼鉄製で、スーパーシートの3・4号車以外は、10000形電車「Hi-SE」に準じた
ハイデッカー(高床)構造となっている。
3・4号車(サハ20150形&サハ20250形)は上をスーパーシート、下を普通客室及び
個室としたダブルデッカーとしている。
車体の長さは20mで編成での長さは140mとなる。これは本形式が箱根方面の特急に
入ることを予定してのことで、箱根登山鉄道小田原~箱根湯本間のホームの長さに
合わせてある。
先頭部分はHi-SE車を踏襲した流線型ながら、超大型三次曲面ガラスの採用で
曲線的な優雅さとシャープさを兼ね揃えたデザインとなっている。
展望席はないが、運転席越しの前面展望は可能である。
塗装はホワイトに窓周りと車体下部が淡いオーシャンブルー、これにアクセントとして
ピンクのラインが入る。
列車名表示は先頭部中央にあり、小田急で初めてLED式のものを採用している。
また、側面のドア上に設置された列車名・行き先表示も同様にLED式のものとしている。

車内は普通車とスーパーシート、セミコンパートメントで、座席の配置の違いを
含めると2階級4種類ある。
まず、普通車は2:2配置の回転リクライニングシートで、座席の前後間隔を従来より
拡大したほか、中肘掛やフットレストも設置している。テーブルは前座席の背面と
窓側壁面に折りたたみ式のものが設置されている。
床にはカーペットが敷かれ、箱根・沼津側2両が海を意識した青い波模様のもの、
新宿側が都会を意識した幾何学模様のものとなっている。

2階建て・3号車の階下の普通席は2階のスーパーシートと同じシート間隔に
普通車用の座席を1:2で配置したものとなっており、車窓からの景色では
一歩劣るものの乗り得な席として沿線のヘビーユーザーや鉄道ファンに
よく知られており、指名買いも多い人気席である。

2階建て・3・4号車の階上はJRのグリーン車に相当するスーパーシートとなっており、
普通車よりも座席間隔が100㎜ほど広い。
座席は回転リクライニングシートで普通車同様背面にテーブルがあるほか、
肘掛にもテーブルがあり、座席を向かい合わせにしたときでも物を置けるスペースを
確保している。
1列席側に1階席からの非常脱出通路が一部張り出しており、この部分はマガジンラックと
なっている。
以前はオーディオサービスや肘掛に内蔵された液晶テレビで衛星放送が見られたが、
現在はテレビは撤去され、オーディオ機構も機能していない。
この他、3・4号車にある売店へのコールボタンが設置されているが、
現在はスーパーシート専属の係員がおらず、ワゴン販売のため、売店が無人のことが
多いため、あまり機能していない。

2階建て・4号車階下はセミコンパートメントとなっており、4人用が3室ある。
個室内は4人向かい合わせの大型ボックスシートで大型のテーブルが設置されており、
グループ客を意識した作りとなっている。

トイレと洗面所は2号車と6号車で2号車が洋式と男子小用、6号車が和式と
男子小用である。
3・4号車デッキには車内販売コーナーがあり、うち3号車にはカード式公衆電話と
AED(体外徐細動機)を設置している。
ただし、ハイデッカー構造であるため、車椅子対応設備は設けていない。
ドアはステップ付きの内折れ式で各車両1箇所ずつ設置されている。なお、現在の
指定席管理システムができるまで、乗車時の指定席特急券の確認のため、新宿駅等で
乗車口を限定していた関係で各ドアに業務用の半自動用操作スイッチを設置している。

主制御装置は抵抗制御で、従来の車両のシステムを基本的に踏襲している。
なお、御殿場線内での連続勾配に対応するため、抵抗器の冷却方式を自然通風から
強制送風にしている。
ブレーキは発電ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキで、やはり勾配対応のための
抑速ブレーキ、勾配起動ブレーキ、緊急用増圧ブレーキを有している。
台車は小田急で標準的に使用されている車軸支持がアルストムリンク式の
ダイレクトマウント式空気バネ台車で、モーターの駆動方式はTDカルダン方式である。
運転台は左手操作式ワンハンドルマスコンである。

基本的に新宿から御殿場線経由で沼津に向かう特急「あさぎり」に用いられ、
定期列車では、1号、4号、5号、8号を担当している。
なお、乗り入れ相手のJR東海側の「あさぎり」専用車371系は予備車がないため、
この場合は本形式が「あさぎり」全列車で代走することになる。
本形式充当の列車は市販の時刻表でも判別可能である。これは371系の列車には
「ワイドビュー車両で運転」と書かれるからで、何もかかれてなければ本形式が
充当される。
また、休日には予備の1本を箱根特急に投入しているが、本形式がJR371系の代走を
行ったり、検査中の場合はこの列車には投入されない。。
この他、夕方の自社線内の特急「ホームウェイ」や他のロマンスカーの代走に
用いられることもある。