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JR四国 8000系電車

2011-01-08 20:54:15 | 電車図鑑・JR新系列特急用車両
予讃線電化に伴い、岡山~松山・新居浜間の特急「しおかぜ」、高松~松山・新居浜間の
特急「いしづち」の電車化のため登場したJR四国で初めての特急型電車である。
平成4年に試作車が平成5年に量産車が登場し、最終的に5両編成(L編成)×6本=30両と
3両編成(S編成)×6本=18本の計48両が製造された。
製造を担当したメーカーは日本車輛と日立製作所である。
編成の組み方は多度津駅を基準に岡山・高松側から以下の通りである。

・L編成:8000形-8100形-8150形-8300形-8400形
・S1編成:8201-8101-8501
・S2~6編成:8200形-8300形-8500形

試作車は当初、8001-8101-8201の3連であったが、8001号車はそのままL1編成に
組み込まれ、8201-8101は向きを変え、量産車の8500形と組んでS1編成になっている。

形式別の概要は以下の通り。

8000形:流線型の先頭部を持つグリーン・普通車指定席合造の制御車。便所・洗面所付。
 L編成の岡山・高松側先頭車。
8100形:L編成の2両目に連結される普通車指定席の中間電動車。
 試作車の8101号車のみS1編成組み込み。
8150形:L編成の3両目に連結される普通車指定席の中間電動車。便所・洗面所付。
8300形:L編成の4両目及びS2~6編成の2両目に連結される普通車自由席の中間付随車。
8400形:L編成の5両目に連結される普通車自由席の制御車。貫通型の先頭部を持つ。
 便所・洗面所付。運転席は松山側。
8200形:S編成の1両目に連結される普通車自由席の制御電動車。
 貫通型の先頭部を持つ。便所・洗面所付。運転席は岡山・高松側。
8500形:S編成の3両目に連結される普通車指定席の制御車。便所・洗面所付。
 運転席は松山側。

車体は先に開発された2000系気動車のものをベースとしたオールステンレス製である。
カーブの内側に車体を傾けて遠心力を減衰して曲線部の高速通過を可能とした制御
振り子機能を搭載しているため、車体の断面は小さい。
先頭部分は2種類あり、8000形と8500形が流線型、8200形と8400形が切り妻の
貫通型である。
行き先・列車愛称表示は車体側面ドア横にあり、いずれもLED式である。
帯色は登場時がドア部分がオレンジ、他がブルーであったが、内装のリニューアルを
実施した際、グリーン車を赤、普通車指定席がオレンジ、普通車自由席がブルーの
グラデーションをドア付近に着色している。

車内はグリーン車が1:2、普通車が2:2配置の回転式リクライニングシートである。
グリーン車・普通車とも跳ね上げ式のフットレストを備える(グリーン車車端部は
2面式)。
テーブルはグリーン車、普通車とも座席背面設置である。
客室で入口上部にLEDスクロール式の旅客案内装置を設置している。
ドアは全車片側2箇所設置で軽量化と車体強度保持のため、片開きの
プラグドアである。
このドアは万が一、開きっぱなしのまま発車しても5km/h以上になると
自動的に閉める事が可能である。

主制御装置はGTO式のVVVFインバータ制御を採用した。
ブレーキは抑速ブレーキ・発電ブレーキ付きの電気指令式空気ブレーキである。
既述の通り、制御振り子機能を装備しており、試作車はベアリングガイド、
量産車はコロ軸式となっている。
パンタグラフは通常型で車体傾斜時の離線を防止するため、パンタの台座から
車体側部を経由して台車をワイヤーで結んでパンタが上方を向くようにしている。
設計最高速度は160km/hで湖西線や予讃線での高速試験で実際に158.9km/hまで
達したことがある。
また高速運転時の急ブレーキに対応するため、レール圧着ブレーキも搭載していたが、
こちらは試験終了後、撤去されている。

平成4年の8月より臨時の「しおかぜ」、「いしづち」で営業を開始した。
平成5年より量産車が登場し、当初は5両編成×5本、4両編成×1本(L2編成)、
3両編成×5本という陣容で5両、7両、8両とバリエーション豊富な編成を
組んでいた。
しかし、平成9年秋のダイヤ改正で多度津駅(後に宇多津駅に変更)で
本形式を使う「しおかぜ」・「いしづち」全列車が分割・併合を行うことになり、
扱いを統一するため、4両編成だったL2編成に組み込む8300形1両とS編成1本を
追加で投入している。
また、平成10年には岡山側に向かう所要時間を短縮するため、宇多津駅のデルタ線を
使用して編成の向きを変えている。

平成16年~18年にかけて車両内外の大幅なリニューアルを行い、現在の姿になった。
グリーン車と普通車指定席については難燃木材を用いた高級感のあるものになり、
テーブルもパソコン対応の大型のものになった。
車端部側にはモバイルコンセントを設置した。
自由席についてはシートの張り替えに留まっている。
S編成2両目については全車禁煙車となったため、喫煙所を車内に設置した。
この設置改造で喫煙所すぐ近くの座席が固定化されている。
平成17年にはリニューアル車がグッドデザイン賞を受賞した。

平成22年現在、特急「しおかぜ」と「いしづち」の他、「ミッドナイトEXP松山」で
運用に就いている。
所有6本に対し、運用が5本使用なので予備車が1本しかなく、運用が乱れ、
故障や点検で予備車が使えない場合は運休か車種変更がなされる。
特急「しおかぜ」と「いしづち」は宇多津で併合・分割され、8両フルで走るのは
宇多津~松山間である。
平成22年春のダイヤ改正で「いしづち」の1両減車が発表されている。


○試運転中のL編成。幌付きの貫通型。



○S編成。


○パンタグラフと台車の位置関係。ドアの真下のフックからワイヤーが延びる。


○L1編成の8001号の連結器カバー。試作車はここを開けて中から連結器を
 出すことが出来た。これはその名残。



○8000形とグリーン車客席。外観からは前半分の大きな側窓が特徴。
 ドアカラーは赤。後半分は普通車指定席。



○8150形と普通車指定席。オレンジ色のシートと木製のバックレストカバーが特徴。
 ドアカラーもオレンジ。



○8200形と普通車自由席。ここはオリジナルの姿を残す。
 車内はS編成2号車(8300形)のもので手前右に喫煙所がある。




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