平成20年に開通した副都心線用の車両で東京メトロとしては初めての
新形式電車となった。
初登場は平成18年で、線路と車両を共有する有楽町線で営業運転を開始した。
車体はアルミ製で、平成16年以降、東西線の新05系や東葉高速鉄道の2000系電車などで
採用されたものと同等のものとなっている(日立製作所「A-Train」シリーズ)が、
更なる軽量化が図られている。
正面部分は大きく曲面を描いたものとなっており、外観上の大きな特徴と
なっている。
非常脱出用の貫通扉はプラグ式で、昭和39年登場の東西線5000系電車以来、
久々に正面中央部分への配置となった。
ただし、後述するが、ワンマン運転を行う関係上、運転台の機器が多く、
中央部分からはみ出しているため、通路として使う際は斜めに通ることになる。
ヘッドライトは鍵穴状のケースに収められている。これはかつての丸ノ内線電車を
モチーフにしたものである。
各車両の連結部分は、過去の事故の教訓から、衝突時の車体へのダメージ緩和や
外板が剥離しないように角の部分が面取りされている。
ラインカラーは副都心線のブラウン、有楽町線のゴールドにアクセントとして
ホワイトを配したものとなっている。
ブラウンの帯は側面窓下のほか、正面から天井方向にまわりこんで側面窓上にも
配されている。
最初の4本は正面にもゴールドの帯を入れていたが、5本目以降は省略された。
正面向かって左側の窓と車体側面上部に社紋である「ハートM」マークが
付けられているが、第15編成以降、正面のものは省略されている。
運転台はT字形のワンハンドルマスコンで、有楽町線で運行される電車としては
初採用となる。
有楽町線用のATCのほか、副都心線でのワンマン運転を考慮し、運転台周りに
ホームドア対応のドアスイッチやATO発進ボタンなども搭載している。
ワンマンとツーマンの切り換えはスイッチ一つで行える。
ドアスイッチは西武線などで車内保温のために行われる、一部ドア締め切りにも
対応できる。
行き先表示は正面、側面共にLED式である。
車内はオレンジに近いブラウンとグレーでまとめられたものとなっている。
座席や内装には火災時に有毒ガスを発生させないものを採用している。
特に内装材はアルミを多用することでリサイクルの難しいFRP製の部品を排した。
連結部の貫通扉は全面ガラス張りとなり、車内の見通しが良くなった。
扉があることの目印として、縦縞模様が真ん中の部分に引かれている。
また、ドアの左右もガラス張りとなっている。
天井は平坦なものではなく、中央の部分が高くなった凸状になった。
車内照明はこの出っ張り部分に設置されている。
その関係で、ラインデリアは線路方向ではなく、各ドア付近の枕木方向に配置されている。
座席はロングシートで、7人掛けの席には3:4になる位置にスタンションポールが
設置されている。
ドアとの境界部分は大きな金属板で仕切られる。
ドアは両開き片側4箇所で車内鴨居部分に、東京地下鉄では初のLCD式旅客案内装置を
2つ装備しており、向かって左側がCMやお知らせ、右側が停車駅や行き先案内などを
表示する。
初期投入車は左側を準備工事としていたが、平成20年初頭までに取り付けを
完了している。
車内放送は自動放送が可能で、東武線、西武線ではそれぞれにあわせたものが
流れる。
主制御装置はIGBT式のVVVF制御で、純電気ブレーキが可能である。
台車は保守と安全性の観点から、ダイレクトマウント式の空気バネ台車となった。
パンタグラフはシングルアーム式である。
編成は基本10連で、車番は新木場側から順に10100、10200・・・10000である。
番号の見方は百の位が号車番号、十と一の位が編成番号である。
中間4箇所に工場内での移動などに使う簡易運転台があり、第1~5編成は
10400+10500の2両を抜いて8連とすることも可能である。
副都心線開業時には、7000系の8連化改造が間に合わなかった関係で、
実際に第1編成~第4編成が8連で営業運転に就いている。
運用範囲は自社線が東京メトロ有楽町線と副都心線で、有楽町線は10連車のみの
運用である。
乗り入れ範囲は10連車が西武池袋線飯能までと、東武東上線川越市、
又は森林公園までで、8連は西武池袋線が清瀬、又は小手指、
東武東上線が志木までとなる。
なお、西武鉄道へ直通する列車の一部は野球開催時やイベントなどで
狭山線の西武球場前まで乗り入れることもある。
西武池袋線では当初、誘導障害が発生したため、乗り入れを中止していたが、
平成19年の春以降、開始している。
なお、同年にはグッドデザイン賞を受賞し、その記念ステッカーを付けて
運行されている。
当初の計画では10連20本を平成19年までに投入する予定であったが、
在来車の7000系の置き換えや改造計画の絡みなどから、さらに11本増の
31本が導入される予定である。
なお、8連化された車両であるが、7000系電車の改修が進んだことから、
順次、10連に戻され、平成20年12月現在で第3編成のみが残っている。
車内。
8連化された金帯付きの第2編成。正面右の窓に「8cars」のマークが入る。
なお、この編成は現在、10連に戻されている。
導入されたての頃の一コマ。07系との並び。この写真を撮ってしばらくして、
小竹向原駅にホームドアが設置され、07系が有楽町線を去っている。
東武東上線川越市駅に入る副都心線直通、普通渋谷行きの第19編成。
正面の「ハートM」マークがない。