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JR四国 2000系気動車

2012-04-08 22:23:06 | 電車図鑑・JR新系列特急用車両
高速バスへの対抗と、四国島内及び本四連絡特急の速度向上のために登場した車両である。
平成元年に試作車「TSE(Trans Shikoku Experiment=四国横断実験)」編成(2001+2201+2101)が
製造され、平成2年より量産車が61両製造されている。
製造を担当したメーカーは富士重工である。
構成形式は以下の通り。

2000形試作車(2001号)
:先頭部分を流線形とし、下り側に運転室を設けた車両。全座席普通席。連結側にトイレと
洗面所を備える。
登場時は運転台側連結器に大型カバーを設け、密着自動連結器を備えたが、量産化改造の際に
密着連結器に交換された。
制御振り子装置を搭載している。
この車両だけ全席普通車なのと正面にヘッドマークを持たない。
2000形量産車(2002-2011・2030号)
:先頭部分を流線形とし、下り側に運転室を設けた車両。客室のうち2/3がグリーン席、
残りが普通席となる。
連結側にトイレ、洗面所、車内販売準備室を備える。
当初、グリーン席の網棚をハットラック式としていたが、蓋が落ちる事故があったため、
通常の開放型とされた。
制御振り子装置を搭載している。
車内販売準備室はJR四国での車内販売廃止後、飲み物の自動販売機が設置された。
2008号車は宿毛事故で大破し、廃車となった。
2030号車は土佐くろしお鉄道在籍。
2100形試作車(2101号)
:先頭部分を貫通型とし、上り側に運転室を設けた車両。全座席普通席で連結側の客室に
ソファを置いたサロンスペースを設けていた。
連結側にトイレと洗面所を備える。
正面の貫通扉はプラグドアのカバーを開けて幌をせり出す方式であった。
量産車では完全にフラットな形状だが、こちらはやや丸い形状となっている。
後年、貫通扉の埋め込みが行われ、非貫通となったほか、ソファ部分も通常の座席に
置き換えられている。
2100形量産車(2102号-2123号・2130号)
先頭部分を貫通型とし、上り側に運転室を設けた車両。全席普通席。
連結側にトイレと洗面所を備える。
試作車とは異なり、フラットな先頭形状とされ、貫通扉も従来のものと同じである。
一部車両では洗面所を撤去して喫煙ルームを設けた車両もある。
2130号車は土佐くろしお鉄道所属。
2150形(2151-2157号)
先頭部分を貫通型とし、下り側に運転室を設けた車両。全席普通席。
連結側にトイレと洗面所を備える。
車体は2100形と同じだが、機構的には2000形のものと同じで制御振り子装置を備える。
グリーン車非連結運用に使われる。
2200形試作車(2201号)
中間車で全席普通席。車内販売準備室、カード式公衆電話が使える電話室、業務用室、車掌室を
設置している。カード式公衆電話は現在撤去。
2200形量産車(2202-2219・2230・2231号)
中間車で全席普通席。試作車にあった車掌室などの業務用スペースや電話室を無くしたため、
定員が増えている。
2230号車と2231号車は土佐くろしお鉄道所属。
宿毛事故で2218号車が廃車になった。

本形式は気動車として制御振り子装置を日本で初めて採用した車両であり、以降に登場した
智頭急行のHOT7000系「スーパーはくと」などのベースになった。
なお、今回は増備型であるN2000系気動車についての記述は行わず、別の機会に紹介する。

車体はオールステンレス製でカーブで車体を傾斜させる振り子装置を使うため、
強い絞込みのある断面となっているのが特徴である。
上記の通り、先頭形状は流線型・非貫通タイプと切妻・貫通タイプの2種類が存在し、
それらを組み合わせることで最短2両での営業運転が可能となっている。
ヘッドマークは字幕式で2001・2101号車以外の先頭車正面中央部分に行先表示は側面にLED式で
設置されている。
塗装は正面から側面にかけてJR四国のコーポレートカラーであるブルーの帯がまかれているほか、
正面ライト周りが警戒色として黄色く塗られている。
この他、アンパンマンのラッピングを施して「アンパンマン列車」に対応している車両もある。

車内のグレードはグリーン席と普通席の2種類ある。
グリーン席は1:2配置の回転式リクライニングシートでフットレストと肘掛内臓のテーブルがある。
JR他社でも1:2配置の座席配置は存在するが通常1人席がA席となるところを本形式はC席となる。
普通席は2:2配置の回転式リクライニングシートで背面テーブルと跳ね上げ式の簡易フットレストが
設置されている。
トイレと洗面所は各先頭車にあり、和式が基本となっているが一部の車両で車体更新が始まり、
洋式化されたものも存在する。
試作車である「TSE」編成は登場時、座席を窓の方に向けて固定する機能や車端部にソファを並べた
サロン、前面展望を流すテレビなどを設けていたが、量産車の導入と共にこれらを撤去して
通常の座席を配置している。
これは本形式が万が一、量産不能となった場合にイベントカーとして転用する予定が
あったためである。
ドアは片側2か所で片引き式のプラグドアを採用している。なお、このドアには開けっ放しで
走行し始めても5km/h以上になると自動的に閉まる機能がある。
なお、ドアは近年交換工事が実施され、窓が小さいものになっている。

機関はコマツ製SA6D125H形直噴式ディーゼルエンジン2基で変速方式は液体変速式である。
ブレーキは機関ブレーキ及び排気ブレーキ併用電気指令ブレーキで高速域からの制動距離の
短縮化を図っている。
旧来、気動車での振り子装置の採用はエンジンと台車の動力伝達の反作用から導入不可能と
いわれていたが、本形式は2基のエンジンを用いてこの反作用を相殺してこれを可能とした。
台車は振り子装置付きのダイレクトマウント式空気ばね台車を採用している。
制御振り子装置は事前に路線の状況をコンピューターにインプットさせ、これに応じて最適な
車体傾斜を行うもので、本形式では四国島内の主要各線のデータは入っているが瀬戸大橋線から
先のJR西日本区間や通常走行を行わない路線などのデータはないため、ここでは振り子制御を
行わない。

試運転では振り子装置が機能しなくてもキハ185系気動車を遥かに凌ぐ走行性能を示し、
国鉄時代からのキハ181系気動車を全車引退させ、キハ185系気動車についても一部をJR九州へ
移籍させた。
配置は松山、高知、高松の各運転所で運用列車は「うずしお」、「しおかぜ」、「いしづち」、
「南風」、「あしずり」、「宇和海」、「しまんと」などである。
一部車両はアンパンマンのラッピングがなされ、「アンパンマン列車」として運用されている。
登場後20年が経過し、内装の老朽化が進んできたことから、平成23年度以降、座席の張り替えや
便所の洋式化など順次リニューアルを実施していく予定である。


○普通車車内。手前の青い枕カバーのところは指定席。


○グリーン車車内。ハイバックの座席が並ぶ。1人席は先頭車になると運転席の真後ろとなるので
 あまり展望がよくない。


○貫通型先頭車。本数の少ない高知~宿毛間の特急「あしずり」。


○台車。


○松山運転所に留置中の「TSE」編成。写真は元貫通型車の方から。
 特急「宇和海」で運用されているが点検時は他の車両で代走となるので注意。



○「アンパンマン列車」各種。2枚目の2130号車は土佐くろしお鉄道所属車。


○「アンパンマン列車」車内。ビジネスで利用するにはちょっと厳しく、撮影した
 この「宇和海」でもここの席を指定された40~50歳くらいの男性客が肩身狭そうにしていた。


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