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水の丘交通公園

鉄道メインの乗り物図鑑です。
※禁無断転載!使用に際してはコメント欄にて
用途を申告してください。

JR北海道 721系電車

2012-08-12 09:42:15 | 電車図鑑・JR新系列一般用車両
札幌近郊の輸送改善及び客車列車の置き換えなどのために導入された車両である。
昭和63年~平成15年にかけて135両が製造された。
製造を担当したのは東急車輛、川崎重工、日立製作所で一部はJR北海道苗穂工場で
ノックダウン生産されている。
編成の組み方は様々であるが、基本が3両、快速「エアポート」用が6両となっている。
構成形式と区分番台は以下の通り。

クモハ721形:札幌・小樽側に運転席がある制御電動車。モハ721形とユニットを組む。
 VVVF制御車には設定なし。
モハ721形:中間電動車でクモハ721形とユニットを組むが、
 VVVF車はユニットを組まない。
クハ721形:江別・新千歳空港側の制御車。連結側にトイレがある。
モハ720形:6両編成に連結される中間電動車。
サハ721形:6両編成に連結される中間付随車。Uシート車には車掌室とトイレを設置。
 モハ721形からの改造車及び制御装置がVVVF車のサハ721-3103及び4100・5100番台は
 それらの設備がない中間付随車となる。

0番台:F1~F22編成を構成していた車両。現在は組み換えが行われており、
 F1~F6及びF8~F14が在籍。全て3両編成。

クモハ721-0+モハ721-0+クハ721-0

100・200番台:新造時より6両編成を組んでいたF101~F103編成を構成。
 編成の新千歳空港側が100番台、小樽側が200番台となる。
 組み換えと改造で区分が消失している。
 なお同時期に製造され、F22編成を6両化するために導入された中間車3両は
 0番台に組み入れられている。

クモハ721-200+モハ721-200+サハ721-200+モハ721-100+モハ720-100+クハ721-100

1000・2000番台:主制御装置をVVVF制御としたグループで3連のもの。F1001~1009を
 構成していたが組み換えでF1009を残すのみとなっている。

クハ721-2000+モハ721-1000+クハ721-1000

2100・2200番台:0番台車の機器更新車。旧F-7編成に施工済。

クハ721-2200+モハ721-2100+クハ721-2100

3000番台:3連車のうちのF15編成以降を130km/h化対応改造したもの。
 車番は現番号+3000。

クモハ721-3000+モハ721-3000+クハ721-3000

3100・3200番台:F101~F103編成を130km/h対応に改造したもの。このうちF3103編成は
 機器の更新を行い、編成を構成する車種が異なる。

通常形:クモハ721-3200+モハ721-3200+サハ721-3200+モハ721-3100+※
※+モハ720-3100+クハ721-3100

機器更新車:クハ721-3200+モハ721-3200+サハ721-3200+サハ721-3100+※
※+モハ720-3100+クハ721-3100

4100・4200番台:1000番台車を6両編成に組み替えたものでF4101~F4104を構成する。
 新造されたのは中間のサハ2両のみでモハ2両については特に改造を行っていない。

クハ721-4200+モハ721-4200+サハ721-4200+サハ721-4100+※
※+モハ720-4100+クハ721-4100

5000番台:上記の組み換えで余った先頭車に新造の中間車を連結した3両編成。
 F5001の1本のみ。

クハ721-5000+モハ721-5000+クハ721-5000

5100・5200番台:同じく組み換えで余った先頭車に中間車4両を新造して登場した
 6両編成。ブレーキ系統が4100・4200番台のものと異なるため別区分となった。
 F5101~F5103の3本を構成。

クハ721-5200+モハ721-5200+サハ721-5200+サハ721-5100+※
※+モハ720-5100+クハ721-5100

上記のように多種多様な編成を構成している。

車体はオールステンレス製で正面はキハ183系500番台のもののデザインを
ベースとしている。
北海道の普通列車向けの車両としては初めて冷房装置を搭載した。
種別・行先表示は正面と側面にあり、いずれも字幕式である。
現在は快速「エアポート」、区間快速「いしかりライナー」などは字幕表示であるが、
以前はヘッドマークを正面貫通扉に装着していた。
カラーリングはJR北海道のコーポレートカラーである萌黄色のラインで、
Uシート車は外観から指定席車であることを分かりやすくするため、ブルーとレッドの
ラインである。

ドアは片側3ドア・ステップ付の片引き戸で其々のドアに客室との仕切り扉と
デッキを設けた構造となっている。
客室のグレードは全て普通車であるが、一般用とUシートで異なる。
一般用は出入り口付近を1:1配置、他を2:2配置としたオール転換クロスシートで
初期に登場したものは赤系のモケット、それ以外は茶色系のモケットを採用している。
5100・5200番台や4100・4200番台に組み込まれた新造の中間車は出入り口の仕切りを
簡易パーテーションとし、扉付近の1人席を2人用のロングシートとしている。
Uシートは一部が1列、他は左右2列配置の回転式リクライニングシートである。
Uシート車客室出入口上部にはLEDスクロール式の旅客案内装置を備える。
当初、Uシートは単なる指定席で他の車両と同じ座席を採用していたが、
指定席券を持たない利用客の不正乗車が目立ったため、平成12年~平成15年にかけて
外部帯色の変更、座席や車内設備を特急用車両の普通車と同等程度とすることで
差別化を図っている。

主制御装置は当初がサイリスタ位相制御、1000番台、4000番台、4100・4200番台、
5000番台、5100・5200番台がVVVFインバータ制御を其々採用している。
ブレーキはサイリスタ位相制御車が抑速ブレーキ付発電ブレーキ併用
電気指令ブレーキ、VVVF車は抑速ブレーキ付回生ブレーキ併用電気指令
ブレーキである。
台車は軸箱支持を円筒積層ゴム式とした空気ばね式ボルスタレス台車で
高速走行中の蛇行動を抑止するためのヨーダンパーを装備している。
モーターの駆動方式は中空軸平行カルダン方式である。
運転台はJR北海道の車両で初めての片手操作式ワンハンドルマスコンで
プラズマディスプレイによる車両モニター装置を設置している。

当初は3両編成しかなく、札幌近郊のローカル輸送が主体であったが、
新千歳空港が開港すると快速「エアポート」に投入され、以後、札幌近郊輸送の
主力車両となっている。
導入後、既述の通り、数回にわたる編成の組み換えと改良を繰り返している。
平成12年より製造後20年ほどを経過したため車体更新が3両編成のF-7編成を
皮切りに開始されている。
座席のモケット色が異なっていた初期車も更新改造とは別に他の車両と
同等のモケットへの交換が図られている。
この他、130km/h走行対策で窓のポリカーボネート化、半自動ドアスイッチ取り付け、
床下カバー装着などの改造が実施されている。

運用されている列車は小樽・札幌~新千歳空港間の快速「エアポート」、区間快速
「いしかりライナー」の他、函館本線小樽~滝川間、千歳線・室蘭本線の
札幌~苫小牧間でこれに平成24年より学園都市線札幌~北海道医療大学前間が
加わっている。


○3100・3200番台。旧100・200番台からの改造車。


○4100・4200番台車の快速「エアポート」。


○5100・5200番台車の快速「エアポート」。


○最後の1000番台車F-1009編成。この編成では731系用のVVVF制御装置の試験を
 行っており、機器を換装している。


○5000番台。こちらも3連1本のみの存在。


○1000番台と5000番台は併結して使われる機会が多い。
 1000番台のクハ721-1009はUシートに改造されている。
 なお、Uシートは快速「エアポート」以外の列車で乗車する場合、自由席扱いに
 なるので乗り得車となる。


○車内。酷寒地である北海道らしく車内保温のため、このような構造となっている。


○初期車のデッキの化粧版。初期車は全体に客室の色遣いが濃いのが特徴。


○Uシート車。後期に増備されたもので落ち着いた雰囲気となっている。
 当初改造されたものは赤と青のモケットという派手な装いとなっている。


○4100・4200・5100・5200番台が6連化の際にいれた中間車の車内。
 731系の意匠を取り入れ、クールな雰囲気に変わっている。
 また本形式の特徴だった中仕切りも簡素なものになっている。


○平成20年北海道・洞爺湖サミットの際に運行されたラッピング車。

JR東日本 E531系電車

2012-07-21 18:59:07 | 電車図鑑・JR新系列一般用車両
常磐線中距離電車(上野~取手以北土浦、水戸、勝田方面へ向かう列車)で運用されていた
403系・415系電車(鋼製車)の老朽化による置き換え及びつくばエクスプレス線開業に伴う、
運転速度向上のために登場したものである。
平成17年~平成22年にかけて10両基本編成×22本=220両と5両付属編成×18本=90両が
製造された。
製造を担当したのは東急車輛(→総合車両製作所)、川崎重工、新津車両製作所である。

編成の組み方と構成形式、番台区分は以下の通り。
基本編成:クハE531-0+サハE531-0or-2000+モハE531-2000+モハE530-2000+サハE530-2000+※
※+サロE531-0+サロE530-0+モハE531-1000+モハE530-0+クハE530-0
付属編成:クハE531-1000+サハE531-0+モハE531-0+モハE530-1000+クハE530-2000
○運行開始当初の基本編成の組み方
クハE531-0+サハE531-0or-2000+モハE531-2000+モハE530-2000+サハE530-2000+※
※+サハE531-2000+サハE531-2000+モハE531-1000+モハE530-0+クハE530-0

○各形式・番台
・クハE531形:いわき側に運転台を持つ制御車。
-0番台:基本編成に連結。車内設備はセミクロス・便所付。
-1000番台:付属編成に連結。車内設備はセミクロス・便所付。
・クハE530形:上野側に運転台を持つ制御車。エアコンプレッサー搭載。
-0番台:基本編成に連結される制御車。車内設備はセミクロス・便所付。
-2000番台:付属編成に連結される制御車。車内設備はロング・便所付。
・モハE531形:パンタ・主変圧・変換装置搭載の中間電動車。モハE530形とユニットを組む。
-0番台:車内設備はセミクロス。付属編成に連結。
-1000番台:車内設備はロングシート。基本編成に連結。
-2000番台:車内設備はロングシート。基本編成に連結。
・モハE530形:主変換装置とSIVを搭載する中間電動車。モハE531形とユニットを組む。
-0番台:車内設備はセミクロス。基本編成に連結。
-1000番台:車内設備はロングシート。付属編成に連結。
-2000番台:車内設備はロングシート。基本編成に連結。
・サハE531形:中間付随車。
-0番台:車内設備はセミクロス。補機類搭載無。
-2000番台:車内設備はロングシート。エアコンプレッサー搭載。
・サロ531形:2階建てグリーン車。トイレ・洗面所付。
・サロ530形:2階建てグリーン車。車掌室・業務室付。

号車番号は上野側から順で附番され、基本編成は1~10号車、付属編成は11号車~15号車を構成する。
付属編成は単独で運用される機会もあるが号車番号はそのままである。
基本編成の9号車に連結されるサハE531形はK401~411がセミクロスの0番台、K412~422がロングシートの
2000番台となっている。

車体はオールステンレス製で近郊型電車と同じ裾絞りのある幅広の車体を採用している。
先頭部分はE231系近郊仕様車と同じく踏切事故に対応するため、衝撃吸収構造としており、運転室は広く取られ、
運転席も床面より高い構造となっている。
行先表示機は正面中央上部及び側面部に幅広のLED式ののものを搭載している。
ヘッドライトとテールライトも同じ枠に収められており、後に登場するE233系電車のベースとなった。
塗装は先頭部が白で着色されている以外は無塗装で側面下部と上部にはラインカラーの青帯が入る。

車内のグレードはグリーン車と普通車の2階級制、普通車は2種類の設備がある。
まずグリーン車は片側2か所、片引き戸のドアを有しており、ドアとドアの間が2階建ての構造となる
E231系の2階建てグリーン車と同じ構造のものとなっている。
客室設備も同じく各客室とも左右2列配置の回転式リクライニングシートを配置している。
各客室出入口付近の壁面や出入口上部にLEDスクロール式の旅客案内装置を設置しているほか、JR東日本の
普通列車用グリーン車で採用されているSuicaグリーン券対応のカードリーダーが天井部(両端の平屋
客室は網棚下部)に設けられている。
グリーン車は5号車には洋式トイレと洗面所が設けられているが、各車内設備とも身障者対応とはなっていない。
普通車は中長距離の利用客に対応するため、ドア付近と車端部をロングシート、それ以外を4人向き合わせの
ボックスシートとしたセミクロスシート方式のものと全座席をロングシートとしたものがある。
トイレは基本編成の両先頭車(1・10号車)及び付属編成の上野側先頭車(11号車)に車いす対応の洋式トイレを
設置している。
この3両ではトイレスペース確保の関係で付近のドア配置がわずかながらずれている。
普通車のドアは片側4か所、両引き戸で旅客案内装置はLEDスクロール式で各ドア上部に設置された。
本形式では色弱者対策として戸当たり部分やドア周辺の鴨居、床への黄色いテープの貼り付けを
初めて実施し、同社の後継の一般形式では標準装備となった。
窓は変形一段下降式で一部は固定式である。

主制御装置はIGBT式のVVVFインバータ制御であるが、電源が直流1500Vと交流50kHzの2種類となるため、
そのための変圧器を搭載している。
電源の切り替えは常磐線ではATSの信号にて自動的に行うが、水戸線での運用時は手動での切り替えが必要となるため、
そのためのスイッチも搭載している。
台車は軸箱支持をモノリンク式とした空気ばね式ボルスタレス台車で高速運転に対応するため、すべての台車に
ヨーダンパーが装備されている。
モーターの駆動方式は中空軸平行カルダン駆動方式である。
本形式ではこれらの機器をE653系とほぼ同等の走行機器を採用しており、最高速度130km/hでの走行が可能である。
集電装置はシングルアーム式パンタグラフである。
運転台は従来通りの右手操作式ワンハンドルマスコンを採用しているが計器類を液晶画面としたグラスコクピットを
採用して、アナログな計器類を極力排除している。
乗務員支線装置としてはTIMSとVISを搭載している。

全車が勝田車両センター所属となっており、常磐線中距離電車(上野~高萩間)及び水戸線(水戸~小山間)で運用されている。
特に常磐線の上野を発着する中距離電車は全列車本形式での運用となっている。
導入当初は上野~土浦間及び大津港間、水戸線での運用であったが、車両の増備に合わせて運用範囲を広げている。
また、投入された時点では全車が普通車でグリーン車の連結の予定はなかったが、常磐線でも連結されることになり、
在来車の編成中のサハE531形と新造グリーン車を差し替える形で順次組み替えられた。
組み換え後、平成19年1月より運用を開始したが、他の編成の組み換えが終わるまで普通車扱いで追加料金なしで
利用することができた。
平成23年3月11日の東日本大震災での被災車両は無く、全車が健在である。

JR東日本 E231系電車800番台

2011-07-26 23:04:06 | 電車図鑑・JR新系列一般用車両
営団地下鉄(→東京メトロ)東西線直通列車で運用していた301系電車と
103系電車1200番台の老朽化に伴う置き換えのために登場した。
平成15年に10両編成×7本=70両が製造された。
製造を担当したメーカーは東急車輛と川崎重工でJR東日本新津車両製作所製の
車両は無い。
このうち川崎重工製の本形式通勤型仕様は本区分が唯一である。
編成の組み方は西船橋側から順に以下の通り。

クハE231-800+モハE231-800+モハE230-800+サハE231-800+モハE231-800+※
※+モハE230-800+サハE231-800+モハE231-800+モハE230-800+クハE230-800

クハE231-800:西船橋側に運転台を持つ制御車。
モハE231-800:中間電動車。モハE230-800とユニットを組む。集電装置・主制御装置付。
モハE230-800:中間電動車。モハE231-800とユニットを組む。3・9号車のものは
 補助電源装置(SIV)とエアコンプレッサ付。6号車のはSIVのみ。
サハE231-800:中間付随車。
クハE230-800:中野側に運転台を持つ制御車。

車体はオールステンレス製で他の区分とは異なり、裾絞りのある幅広タイプではなく、
209系準拠の通常の箱型である。
正面は向かって左側に貫通扉を設置したスタイルで常磐線各駅停車に投入された
千代田線直通用の209系1000番台とほぼ同じスタイルとなっている。
正面下部にはスカートが設置され、平成20年ごろより強化型のV字型のものに
変更されている。
塗装は正面窓周りがブラック、正面と側面に東西線直通電車を表すブルーの濃淡の
帯が入る。
行き先表示は正面と側面にあり、どちらもLED式である。
表示は種別&行き先と走行路線であるが、東西線のみ若しくは東西線を抜けて
中央・総武線各駅停車を走行する場合でも「東西線直通」が表示される。

車内はオールロングシートで化粧板の色は白、モケットの色はブルーとして通常区分の
E231系と同等のものとなっている。
車椅子スペースは東京メトロ側の車両とサービスを合わせるため、2号車と9号車の
連結側に設置された。
また、連結部の貫通扉は下部にレールを持たない吊り下げ・傾斜式となり、
本区分以降に製造された他の区分にも波及している。
ドアは片側4箇所・両引き戸で側窓は一部固定・変則一段下降窓となっている。
旅客案内装置はLEDスクロール式で各ドア上部に設置されている。
この他、車外スピーカー、乗降促進ブザーなどが新造時より搭載されている。

主制御装置はIGBT式のVVVFインバータ制御で改良型のものを採用した。
ブレーキは回生ブレーキ併用電気指令ブレーキで制御装置の改良により、
停車直前まで回生ブレーキが使用可能な純電気ブレーキを採用している。
電動車の比率は地下鉄東西線内での加速性能維持のため、10両編成中6両と高めに
設定されている。
運転台は左手操作式ワンハンドルマスコンでJRと東京メトロ双方の保安装置を
搭載している。
自動放送装置はJR、東京メトロ双方に対応しており、各路線の仕様で放送することが
可能である。
このほか、マスコンハンドルに地下鉄線専用のデッドマン装置、東京メトロ用の
誘導無線通話機、東京メトロ・JR切替スイッチなどが設置されている。
集電装置はシングルアーム式である。

配置は全車三鷹車両センターで運用区間は中央・総武線各駅停車の三鷹~中野間及び
西船橋~津田沼間と東京メトロ東西線中野~西船橋間となる。
東葉高速鉄道線(西船橋~東葉勝田台間)への直通運用には就かない。
また、走行距離を調整する関係で東西線内折り返し列車の運用にも就く。


○車内。他のE231系とあまり差はない。


○導入初期の頃の姿。現在とスカートの形状が異なるのがわかる。


○通常型・通勤仕様のE231系(中央・総武線各駅停車仕様)との並び。
 これでも同じ形式の電車である。

JR北海道 キハ201系気動車

2011-06-15 22:34:52 | 電車図鑑・JR新系列一般用車両
函館本線の最混雑区間である小樽~札幌間を走る列車のうち、2ドア・デッキ付の
気動車で運行されていた小樽以西のいわゆる「山線」区間から札幌方面への直通列車の
輸送力改善のために登場した車両である。
平成9年に3両編成×4本=12両が製造された。
製造を担当したメーカーは富士重工である。
編成の組み方と構成形式は以下の通り。札幌駅基準で左側が室蘭・旭川方面、
右側が小樽・倶知安・あいの里教育大方面となる。

キハ201-100+キハ201-200+キハ201-300

キハ201形100番台:札幌駅基準で旭川方面に運転台を持つ先頭車。エンジン2基搭載。
キハ201形200番台:中間車。エンジン2基と便所、車椅子スペース設置。
キハ201形300番台:札幌駅基準で小樽方面に運転台を持つ先頭車。エンジン2基搭載。

車体は同時に開発された731系電車と同じステンレス製で上方が台形状にすぼまる
独自のものを採用した。
正面は踏切事故などを考慮して高運転台構造とし、衝突時のダメージを極力抑え、
乗務員や旅客の安全を第一に考えた強化構造としている。
また、分割・併合運用に備えて貫通扉を正面中央に設置している。
行き先表示は側面に、種別表示は正面中央貫通扉上部にそれぞれ字幕式のものを
設置した。
帯色はJR北海道のコーポレートカラーであるライトグリーンにブルーの帯が側面と
正面に入れられている。

車内は通勤輸送を主眼にしてオールロングシートとなっている。
また、各ドア寄りの座席の一部を跳ね上げ式とし、ラッシュ時の立席スペースの拡大と
閑散時の座席確保を両立した。
ドアは片側3箇所、全て片引き戸で札幌近郊でも多く残る低床ホームに対応して
ドアステップが設けられているほか、乗降しやすいようデッキ構造を廃している。
防寒対策としては各ドアにエアカーテンを設置、遠赤外線暖房装置の採用、
乗客用ドアスイッチの設置などの他、座席とドアの仕切りを大型化のものとしている。
側面窓は全て固定式で降雪時の破損を考慮してガラスではなくポリカーボネート製と
なっている。

機関はN-DMF13HZE型ディーゼルエンジン(450PS)を各車両2基搭載している。
変速方式は液体式で変速1段直結4段パワーオン機能付きとなっている。
ブレーキは機関ブレーキ・排気ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキである。
台車は空気バネ式ボルスタレス台車で左右の空気バネの圧力を調整することで
車体を傾斜させてカーブでの速度向上を図った車体傾斜装置を装備した。
また、同じ車体を持つ731系電車との動力協調運転が可能であり、走行性能も
同等に揃えられている。
この高性能ゆえに製造コストが高く、最初の4本だけで製造が打ち切られている。
しかし、車体傾斜装置などは後に特急「スーパー宗谷」用のキハ261系気動車を
製造するにあたり、本形式の運用データが参考にされている。

配置は苗穂運転所で当初の目的である函館本線での運用は小樽より西でワンマン運転を
行っている関係で多くは無い。
本形式が同区間で運用される際にはワンマン機器を搭載していない関係で
車掌が乗務する。
それ以外では札幌での近郊輸送が主体で学園都市線(札沼線)や電化区間ながら函館本線
手稲~江別間で運用される。
また、本数は寡少ながら731系電車との併結運用もある。
この電車と気動車の動力協調運転は、平成23年現在、本形式と731系のみで
行われている。


○731系と併結運転するキハ201系。奥の3両が731系、手前3両がキハ201系で
 手前が札幌駅、奥が苗穂方面である。

JR東日本 209系(500番台)電車

2011-06-10 21:59:53 | 電車図鑑・JR新系列一般用車両
国鉄時代より運用していた103系電車の老朽化の進行による故障多発を受けて、
既に開発が進行中だったE231系の量産が始まる前に、前倒しで新車の導入を
するために登場した車両である。
平成10年~11年にかけて10両編成×17本=170両が製造された。
製造を担当したメーカーは、JR東日本新津車両製作所である。
編成の組み方と構成形式は以下の通り。

・10両編成:クハ209-500+サハ209-500+モハ209-500+モハ208-500+サハ209-500+※
 ※+サハ209-500+サハ209-500+モハ209-500+モハ208-500+クハ208-500

・8両編成:クハ209-500+モハ209-500+モハ208-500+サハ209-500+※
 ※+サハ209-500+モハ209-500+モハ208-500+クハ208-500

10両編成は左側が総武・中央線各駅停車で千葉、京葉線で蘇我、京浜東北線で大宮、
8両編成は左側が武蔵野線で東京・海浜幕張側となる。

クハ209-500:制御車。東海道線東京駅基準で大宮側に運転台がある。
モハ209-500:中間電動車。集電装置、主制御装置装備。モハ208-500と
 ユニットを組む。
モハ208-500:中間電動車。エアコンプレッサー、SIV(補助電源)装備。
 モハ209-500とユニットを組む。
サハ209-500:中間付随車。
クハ208-500:制御車。東京駅基準で大船側に運転台がある。

車体は横須賀線・総武線快速のE217系のものをベースにした幅の広いステンレス製の
ものを採用した。
先頭部分は209系のものをベースにした非貫通で白色に着色されたFRP製の
カバーを装着している。
正面下部には機器保護のためのスカートを設置した。
これらは同時期に製造された次世代型車両の試作車である209系950番台
(→E231系900番台)も同様の車体で登場し、E231系へフィードバックされた。
行き先表示は正面と側面にあり、どちらもLED式である。
帯色は配置線区で異なり、総武・中央線各駅停車が黄色、京浜東北線がスカイブルー、
京葉線がワインレッド、武蔵野線がオレンジ(側面はブラウンと白の細帯付き)である。

車内はロングシートでオリジナルの209系同様ドア付近に大型の仕切り板を持つ
片持ち式のバケットシートである。
このシートはリサイクル性を高めるため、ポリエステル製となっており、
かなり硬めの掛け心地となっている。
ドアは片側4箇所・両引き戸で車体寸法の関係でクハ209-500とクハ208-500の
運転台側ドアとそこから2番目のドアの間の間隔が短くなっている。
座席もここだけ6人掛け(他のドア間は7人掛け)である。
側面窓は一部が一段下降式で固定されている窓が多かったが、後に改造されて、
上段下降・下段固定の変型2段窓になった窓もある。
旅客案内装置は1段式のLEDスクロール式で各ドア上部にドアチャイムと共に
設置されている。

主制御装置はGTO式のVVVFインバータ制御で基本番台と同じものを使用している。
ブレーキは回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキである。
台車は軸箱支持をモノリンク式とした空気バネ式ボルスタレス台車で、高速運転を
行わないため、ヨーダンパーを装備していない。
モーターの駆動方式はTDカルダン駆動方式である。
運転台は片手操作式ワンハンドルマスコンで乗務員支援モニターを備える。
集電装置はこれまで通りのパンタグラフであるが、E231系登場後、
シングルアーム式に換装したものも存在する。

当初は103系の置き換えが喫緊の課題となっていた総武線・中央線各駅停車へ
集中して投入され、同形式を置き換えた。
平成12年には京浜東北線へのデジタルATC投入に伴い、改造までの予備車とその後の
輸送力増強用に製造されたばかりの第16、17編成を浦和電車区へ転属させた。
京浜東北線へは209系900番台の置き換えなどで数回に亘り、車両のやり取りを
繰り返している。
平成20年から京浜東北線へのE233系1000番台導入で当時、浦和に在籍していた
5本のうち4本が京葉車両センターへ転属して京葉線に投入され、同区の
201系電車のうち分割運用が出来ない編成を置き換えた。
残った1本は三鷹車両センターに戻された。
平成22年から京葉線でもE233系5000番台の導入が開始され、本形式はサハ2両を
抜き取って武蔵野線へ転属し、快速「むさしの」号で営業を開始した。
この間に行われた改造は自動放送設備の設置、車両情報装置の更新による車内旅客
案内装置の内容の充実化(停車駅案内のみならず、他線の遅延情報なども流せる
ようになった)、正面スカートの強化、ホーム検知器取り付けなどである。
今後は足回りの機器類の更新が予定され、運用を継続する予定である。


○京浜東北線で運用されてた頃の姿。正面下部左右の逆L字型のパーツが
 ホーム検知器。


○武蔵野線に転じた編成。快速「むさしの」以外の列車でも運用される。

JR東日本 701系電車

2011-06-07 21:01:10 | 電車図鑑・JR新系列一般用車両
東北地区に多く存在していた客車列車や老朽化の進んでいた元特急用電車改造の
715系、急行形車両の455系などの置き換えのために登場した車両である。
平成5年~平成12年にかけて263両が製造された。
製造を担当したメーカーは川崎重工とJR東日本土崎工場である。
編成の組み方、形式、番台区分は以下の通り。

2連:クモハ701+クハ700 3連:クモハ701+サハ701+クハ700
4連:クモハ701+サハ700+モハ701+クハ700

・形式区分
クモハ701形:制御電動車。普通車。基本、100、1000、1500、5000、5500番台。
クハ700形:制御車。普通車。便所付き。基本、100、1000、1500、5000、5500番台。
サハ701形:中間付随車。普通車。基本、100番台。
サハ700形:中間付随車。普通車。蓄電池装備。1000番台のみ。

・番台区分
基本番台:最初に登場したグループ。2連×24本と3連×13本の87両が製造された。
 配置は秋田で奥羽本線、羽越本線、津軽線で運用されている。
100番台:基本番台の改良型で2連×5本と3連×1本の13両が製造された。
 蓄電池を鉛電池からアルカリ電池に、補助電源装置の電動発電機をSIVに
 変更した他、尾灯の位置などが変更されている。
 配置は秋田と仙台だが、現在は大半が秋田に配置。
1000番台:盛岡・仙台地区で運用されていた715系電車置き換えのために登場。
 2連×38本と4連×4本の92両が製造された。一部はIGRいわて銀河鉄道や
 青い森鉄道に譲渡されている。
1500番台:1000番台の改良型。回生ブレーキの有効範囲の拡大と屋根上に設置された
 ブレーキ用抵抗器がなくなった点が異なる。また、クモハ701-1509+クハ700-1509
 以降は便所が身障者対応のものに変更された。2連×18本=36両製造。
5000番台:秋田新幹線開通に伴う田沢湖線の標準軌間区間専用車として登場した
 グループ。テールランプの位置が変更された他、車内も進行方向の片方を
 互い違いにボックスシート配置にしたセミクロスシートとなり大幅に変更された。
 2連×10本=20両在籍。
5500番台:山形新幹線山形~新庄間延伸に伴い導入されたグループ。
 2連×9本=18両が製造された。外観は5000番台の帯色違い、車内の仕様等は
 1500番台の1509以降に順ずる。

車体はステンレス製で京浜東北線で導入が始まっていた209系電車の製法を採り入れた
ものを採用した。
正面はFRPの飾りがついた切妻型で分割・併合に対応するため、正面中央部に
貫通扉を設けている。
正面下部にはスカートが設置されたが、後に強化型のものへ交換されている。
行き先・種別表示は正面と側面にあり、基本的に字幕式であるが、一部はLED化
されているものも存在する。
帯色は配置されている線区によって異なり、秋田がマゼンダの濃淡、
仙台がグリーンに赤白の細帯、盛岡がパープルの濃淡、山形がグリーンにベニバナ色と
白の細帯である。

車内はオールロングシートで、登場時から物議を醸し出した。
これは本形式を基本的に長距離より、せいぜい近郊区間程度の中距離で使うことと
通勤通学時間帯の乗降時間短縮に主眼を置いたためである。
これにより、混雑時の定時運転の確保に大きく貢献したものの編成の短縮化と
座席の減少というサービス低下も招いたことから批判の対象となった。
その後の本形式の使用環境の変化で長距離運用も増えたことから、一部の車両で
進行方向の片方だけをボックスシートにしたセミクロスシートとしたものも
登場している(5000番台のみ登場時よりこれを採用)。
なお、肘掛の形状が209系と同じ大型の板状となっていることで誤解を生みやすいが、
座席の構造そのものは従来のものと同等で柔らかく掛け心地も悪くないものを
採用している。
ドアは片側3箇所・両引き戸で新在直通区間で運用される5000・5500番台以外は
低いホームに対応するためのドアステップが設けられている。
また、地域柄、冬季の防寒対策としてドアを半自動扱いとすることが可能で
ドア横のスイッチで開閉することが可能である。
側面窓は一部固定でドア間4つあるうち真ん中の2つが上段下降・下段固定の
2段窓である。
投入されている線区によってはワンマン運転機器を搭載している。
クハ700形に便所を設置しており、基本的に和式のものを採用しているが、後期に
製造されたものから車椅子対応の洋式のものへ変更され、設置位置も車端部から
運転席側ドア間へ移動している。

主制御装置は主変換装置にパワートランジスタ素子を使用したVVVFインバータ制御で
初期車はGTO方式、1500番台後期型、5500番台はIGBT方式ある。
ブレーキは抑速・発電ブレーキ併用、若しくは回生ブレーキ併用の電気指令式
空気ブレーキである。
発電ブレーキ付きの車両は天井部にブレーキ抵抗装置が装備されているが、
回生ブレーキ車ではそれが廃止されている。
台車は軸箱支持をモノリンク式とした空気バネ式ボルスタレス台車でモーターの
駆動方式は中空軸平行カルダン駆動である。
運転台はデスク型ツーハンドル方式で簡易も似た装置による各機器の監視が
可能となっている。
また、電動車の不調時には不調なモーターへの送電をカットすることが出来る
スイッチを設置している。
運転室は片隅式でワンマン運転時の進行方向後方や連結時は運転台を締め切って
車掌台側を客室スペースとすることが可能である。

登場以来、客室設備についての非難を浴びながらも数を増やしていき、ラッシュ時の
輸送力改善や列車遅延の拡大防止、輸送効率の向上に貢献した。
平成14年の東北新幹線八戸延伸時に東北本線の盛岡~八戸間が並行在来線として
第三セクター化されたのを機にそれらを引き継いだIGRいわて銀河鉄道と
青い森鉄道に譲渡車が発生している。
これらについては、いずれ機会を見て(というか撮影できたら)紹介しようと思う。
登場後の主な改造としては行き先表示のLED化、スカートの強化、パンタグラフの
シングルアーム化、主変換機・主制御装置の更新、発電ブレーキの撤去と
回生ブレーキ化、ワンマン運転用ディスプレイの液晶化などがある。
今後、各車両にこれらの改造が行われていくものと思われる。
なお、先の東日本大震災において本形式の被害状況についてだが、少なくとも
平成23年5月現在で廃車は発生していない模様である。


○秋田カラー。


○サハ701形。写真は基本番台。


○仙台カラー。東北本線では一ノ関~黒磯間で見られる。


○運転台。201系や205系など国鉄末期の新車を思い出させる構成。



○車内。上が秋田車。下が盛岡車。座席の色などが異なる。

JR西日本 521系電車

2011-04-29 21:23:11 | 電車図鑑・JR新系列一般用車両
北陸本線長浜~敦賀間及び湖西線の長原~近江塩津間の直流電化化と、
北陸本線で運用されている国鉄型車両の置き換えのために導入された車両である。
平成18年から製造が始められ、平成23年現在も増備が続けられている。
製造を担当しているメーカーは近畿車輛と川崎重工である。
直江津側からの編成の組み方と固有形式は以下の通り。

クモハ521+クハ520

クモハ521形・直江津側に運転台を持つ制御電動車。制御装置、補助電源装置、
 エアコンプレッサーを搭載する。
クハ520形・米原側に運転台を持つ制御車。パンタグラフ、交流区間用の変圧器、
 整流器を有する。連結部に車椅子対応の便所を備える。

車体はオールステンレス製でJR西日本が東海道線の新快速で導入を進めていた
223系電車5000番台をベースにしたものとなっている。
正面は貫通型で貫通扉は正面中央部に設置され、その上に種別表示、向かって右が
行き先表示、左が編成番号表示となる。
下部は連結器や配管など最低限の開口部を残してスカートで覆い、さらに曲面を設けて
走行中の着雪防止を図っている。
帯色は北陸本線のトレードカラーであるブルーに白の細いラインが入るもので
他は無塗装である。
正面の行き先表示はLED式、種別表示は字幕式で、側面についても同じである。

車内はドア間が転換クロスシート(ドア付近は固定)、車端部がロングシートと
なっている。
この他にドア付近で仕切りを兼ねる座席の背面には折りたたみ式の補助席が
設けられている。
これについては運賃箱や整理券発券機と干渉する部分への設置はされていない。
トイレは車椅子対応のもの(便器は洋式)で汚物処理方式は真空式である。
車椅子スペースはトイレの前で手すりとヒータを設置している。
ドアは片側3ドアで全て両引き戸で、ドア横には半自動ドア対応のドアスイッチを
設けている。
旅客案内装置はLEDスクロール式で客室ドア上に千鳥状に配置される。
この他に乗務員室仕切り上に液晶式の運賃表、最も連結側のドアには整理券
発券機を設け、ワンマン運転にも対応している。
平成22年以降に製造されたものは手すりやドア付近の床周りを黄色く着色した他、
トイレの外壁を弧を描いたものに変更するなど、バリアフリー対策を
強化している。

主制御装置はVVVFインバータ制御(IGBT式)で直流から交流に切り替えるための
PWMコンバータも有する。
ブレーキは回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキで勾配抑速ブレーキ、
耐雪ブレーキも装備している。
台車は軸箱支持をモノリンク式としたボルスタレス台車で蛇行動防止のための
ヨーダンパーを装備し、乗り心地の向上を図った。
モーターの駆動方式はWN駆動方式である。
床下の各機器は着雪防止のためのカバーを取り付けた他、電動車には一般的な
直流型電車並みの機器一式を制御車には交流区間用の変圧器や整流器、特高電圧
対応の碍子をもった集電装置(シングルアーム式パンタ)を分けて搭載することで
メンテナンス性の向上を図った。
運転台は横軸式2ハンドル式で基本的なレイアウトは223系電車や「サンダーバード」用の
683系電車に準ずる。

初期に登場した編成は滋賀県、福井県より補助金を受けて製造されたため、
原則的に滋賀県内と福井県内の路線に限って使用を開始した。
その後のダイヤ改正で小浜線に乗り入れるようになり、京都府へも乗り入れる
ようになった他、平成22年以降にJR西日本が独自に製造した分に関しては
石川県でも運用される。
なお、小浜線での運用は平成22年春のダイヤ改正で撤退し、現在は湖西線の
近江塩津~近江今津間、北陸本線の米原~津幡間で運用されている。
2両編成での運行が基本であるが、混雑時は4連で運行されることもある。


○福井駅で発車を待つ敦賀行き普通列車4連。


○平成23年1月31日の大雪で福井駅でカンヅメにされた編成。
 正面や屋根周りの雪がここまでの雪の凄さを物語る。
 奥には475系1本、隣りには大阪行き特急「サンダーバード」44号も同様の状態で
 あった。
 結局、当日の復旧は出来ず、翌未明にようやく運行を再開した。

JR東日本 215系電車

2011-04-26 23:21:56 | 電車図鑑・JR新系列一般用車両
利用客の伸びが著しかった着席定員制列車「湘南ライナー」の輸送力の増強を図るために
登場した車両である。
平成4年~平成5年にかけて10両編成×4本=40両が製造された。
製造を担当したメーカーは日本車輛と日立製作所である。
編成の組み方(左が熱海側)と形式は以下の通り。

クモハ215+モハ214+サハ215(サハ215-100)+サハ214+サハ214+サロ215+
※+サロ214+サハ215(サハ215-200)++モハ214-100+クモハ215-100

・クモハ215形:制御電動車。東京・熱海側の先頭に連結されモハ214とユニットを組む。
 制御器やパンタグラフ、発電機などを集中して搭載するため、この車両だけ
 ハイデッカー構造である。100番台は東京側に連結される車両という意味で
 仕様差はない(後述のモハ214形も同じ)。
・モハ214形:中間電動車。2階建て車。クモハ215形とユニットを組む。
・サハ215形:中間付随車。2階建て車。トイレ付き。クモハ215形・モハ214形と同じく
 第2編成以降は連結位置で熱海側(3号車)が100番台、東京側(8号車)が200番台
 と車番が分けられる。
・サハ214形:中間付随車。2階建て車。
・サロ215形:中間付随車。2階建て・グリーン車。トイレ付き。
・サロ214形:中間付随車。2階建て・グリーン車。乗務員室付き。

車体は常磐線中電で試作されたクハ415-1901をベースにしたオールステンレス製で
先頭部分のみ普通鋼鉄製となっている。
クモハ215形以外、全車両2階建てとなっているほか、クモハ215形も機器を集中して
搭載している関係でドア間の客室は2階部分相当の高さにあるハイデッカー構造と
なっている。
正面は貫通型でヘッドライトは貫通扉上に配置された。
貫通扉は非常用である為、観音開き式となり、窓が設けられていない。
塗装は先頭部分が白で貫通扉と客用扉がパープルとなっている。
列車種別表示と行き先表示は字幕式で正面は列車種別表示のみである。

車内は2階建て(1・10号車はハイデッカー)でグリーン車と普通車の2種類がある。
グリーン車は2-2配置の回転リクライニングシートで基本的に211系の
2階建てグリーン車を踏襲したものとなっている。
各座席上部にスポット照明とスポット空調が設置されているが、荷棚は両端の
平屋席にしかない。
普通車は4人向き合わせ(一部は車椅子対応のため3人向き合わせ)の固定クロスシート
(いわゆるボックスシート)で統一されている。
この座席には253系電車「成田エクスプレス」の普通車で採用された片持ち式の
バケットシートを採用し、足元に荷物置場を置けるようにした他、座席上にも
枕木方向に荷棚を設置した。
トイレは3号車、5号車、8号車にあり、いずれも洋式で洗面所とトイレが独立した
特急用電車並の設備を有する。
また、2号車、4号車、9号車のデッキにカード式公衆電話を設置していたが、
携帯電話の普及により4号車のものが撤去された。
ドアは片側2ドア・片引き戸のデッキ付きで窓は全て固定式である。
客室とデッキの仕切りはグリーン車を除き、背の低いパーテーションでの
仕切りとなる。
各客席端部にLEDスクロール式の旅客案内装置を設置しているが、列車によっては
使用されない場合がある。

主制御装置は界磁添加励磁制御でブレーキは抑速ブレーキ付き回生ブレーキ併用
電気指令ブレーキである。
台車は軸箱支持を円層ゴム式とした空気バネ式ボルスタレス台車で
最高速度120km/hでの走行に対応するため、蛇行動防止のためのヨーダンパーを
装備している。
モーターの駆動方式は中空軸平行カルダン駆動方式である。
これらの機器類は211系電車や253系電車のものと同等であるが、車両重量の増加と
性能の維持を両立させるため、制御器の限流値を引き上げ、弱め界磁率を
高めるなどの対策が施されている。
集電装置はパンタグラフで中央線の狭小トンネル対応のものを採用している。
運転台は253系準拠のデスク型ツーハンドルマスコンである。

平成4年より第1編成が東海道線の「湘南ライナー」で運行を開始し、日中の快速列車
「アクティー」にも使用されるようになった。
平成5年には第2~4編成が増備され、「湘南ライナー」の他に「湘南新宿ライナー」にも
使用されるようになったほか、日中の快速「アクティー」で本格的に運用された。
また、中央本線に乗り入れられる設備を生かして臨時快速「ホリデー快速・ビュー
やまなし」にも投入され、他の臨時列車でも運用されるようになった。
「アクティー」での運用は好評であったが、2ドアで乗降時間と10両編成という
短い編成で輸送力の問題が顕在化したため、平成13年をもって撤退し、
同時に運行が開始された湘南新宿ラインの横須賀線~新宿系統の快速を中心に
運用されるようになった。
この列車も好評であったが、平成16年に湘南新宿ラインのE231系統一化が
実施されたため、一般利用できる定期列車の運用からは外され、
再び、「湘南ライナー」、「ホームライナー小田原」、「おはようライナー新宿」といった
着席定員制のライナー列車と中央本線のホリデー快速中心の運用となっている。
なお、本形式ではSuicaグリーン券システムの設置は見送られている。

JR東日本 E233系電車(中央線快速・青梅線・五日市線仕様)

2011-01-20 21:10:13 | 電車図鑑・JR新系列一般用車両
老朽化した国鉄世代の車両の置き換えのために登場した車両である。
平成23年現在で中央線快速、青梅線、五日市線、京浜東北線、京葉線、東海道線、
常磐線各駅停車に導入されているが、今回は中央線と青梅線、五日市線に
投入されたものについて紹介する。
平成18年~平成20年にかけて、10両貫通編成(T編成)×42本、
6+4分割編成(H編成)×15本、青梅・五日市線用の4両編成×10本と6両編成×13本の
計688両が製造され、豊田車両センターに配属された。
なお、平成20年に青梅・五日市線仕様車の4連と6連1本ずつを中央快速線向けに
転用したため、総数は変わらないもののT編成×42本、H編成×16本、青梅・五日市線
仕様車が4連×9本、6連×12本となっている。
製造を担当したメーカーは、東急車輛、川崎重工、自社新津車両工場である。
編成の組み方は東京側から以下の通りである。

10連車:クハE233-0+モハE233-0+モハE232-0+モハE233-200+モハE232-200+※
 ※+サハE233-500+サハE233-0+モハE233-400+モハE233-400+クハE232-0
6連車:クハE233-0+モハE233-0+モハE232-0+モハE233-200+クハ232-500
4連車:クハE233-500+モハE233-600+モハE232-600+クハ232-0

モハE232形0番台、400番台、600番台に補助電源装置、6連車のクハE232-500と
4連車のクハ233-500の運転台側には自動分割・併合装置、クハ232形全車、E233-500には
空気圧縮機を搭載している。

車体はオールステンレス製でE231系のものをベースとしているが、外板の肉厚を増し、
構体の強化構造とすることで車体の強度を増している。
先頭部分は非貫通でE217系やE231系近郊仕様で採用された衝突吸収構造をJR東日本の
通勤形電車で採用した。
これはわざと壊れることで衝撃を和らげるクラッシャブルゾーンと逆に強固な構造で
前部を保護するサバイバルゾーンを組み合わせたもので、事故発生時の乗務員や乗客の
安全性を高めている。
行き先表示はフルカラーLEDで正面と側面に設置されている。側面のものは列車の
種別や行き先の他、次の停車駅も表示される。
塗装は正面部が白、それ以外はステンレス無塗装、もしくはガンメタリックで
帯色はオレンジである。

車内はロングシートで209系以来の片持ち式のバケットシートだが、
スタンションポールを弓なりにし、掴みやすくした他、座面にクッションを入れて
座り心地の向上を図っている。
また、優先席付近は座席のモケットの色の他、床の色や吊手の色を変えることで
利用客のマナー向上を促している。
ドアは片側4箇所、両引き戸で結露を防止するため、窓を角ばった形状のものとした。
E231系では車体構造の簡易化のため、一部を除いて省略されていた連結部への
貫通扉の設置を車両火災発生時の安全性向上のため全車で行った。
これらの扉の客室側は化粧板仕上げとしている。
各ドア上にはE231系500番台から採用された液晶パネル式の旅客案内装置を設置し、
片方で広告やニュース、もう片方で停車駅や行き先案内、運行情報などの
表示を行う。
中央線・青梅線・五日市線モデルでは寒冷地(中央線高尾以西や青梅線の青梅以北)での
運用を考慮して、ドアの半自動扱いが可能で各ドアの横に開閉スイッチを
設置している。

主制御装置はIGBT式のVVVFインバータ制御で1C4M×2群として冗長性を図った。
ブレーキは回生ブレーキ併用電気指令ブレーキで、勾配抑速ブレーキ、
耐雪ブレーキにも対応している。
10両編成での電動車の数を4両から6両に増やすことで走行性能に余裕を持たせた他、
同一機器を複数搭載したり、回路の二重化を図ることで故障時の対応を
迅速に行えるようになった。
台車はダイレクトマウント・空気バネ式のボルスタレス台車で軸箱支持は
モノリンク式で、モーターの駆動方式はTDカルダン方式である。
運転台は片手操作式のワンハンドルマスコンで、E231系以来のTIMS(列車情報管理
装置)も引き続き搭載しているが、回路の容量を大幅に上げることで処理速度を
向上させた。
既述の通り、衝撃吸収構造で安全性を高めているが、運転席後方の仕切りにも
救助口を設けている。

平成18年の9月に最初の編成(H43編成)が東急車輛で落成し、試運転を兼ね、逗子から
豊田電車区(→現・豊田車両センター)に自力で回送された。
その後、各種性能試験やイベント、試乗会を経て同年年末に営業運転を開始した。
平成19年の9月からは青梅線や五日市線への導入が開始され、平成20年までに同線で
運行していた201系を全て置き換えた。
平成19年の秋には鉄道友の会からローレル賞を受賞している。
青661編成は平成20年の8月に青梅線青梅~東青梅間で踏切事故に遭い、
6両中5両を損傷してしまったため、損傷しなかったクハE233-519号と
事故車の無事な部品を流用して新たに車体を作り直したものを組み合わせて
復帰した。
中央線では平成19年3月より分割運用にも就くようになった他、大月から
富士急行線への直通も開始された。
201系の置き換えも順次進められ、平成22年10月までに中央快速線の車両は
本形式に統一されている。
10連貫通編成のT編成は中央快速線での運用で固定されているが、分割可能なH編成は
その機動力を遺憾なく発揮しており、早朝・深夜の八高線直通やホリデー快速奥多摩・
五日市号、富士急行直通などの運用の他、上諏訪で開催される諏訪湖の花火大会時には
観客輸送の中心に用いられる。
本形式は現地の主力車である115系6両分の定員を短い4両で運べるとあって
以前使用されていた201系以上に重宝されている。


○雪の中を走るT編成。


○車内。黒い二等辺三角形の吊り手がよく目立つ。


○優先席付近。床面の他、壁もクリーム色となっており、携帯電話の電源オフ区域を
 明確にしている。


○ドア横の開閉スイッチ(車内側)。青梅線青梅~奥多摩間や中央線高尾~大月間などで
 使用される。最近は車内保温のため、夏季でも長時間停車する場合に用いられる。


○青梅線専用編成。五日市線に入る車両も編成記号は『青』。編成番号400代が4連。
 600代が6連。これらを組み合わせた10連運用もある(立川~青梅間)。

JR西日本 221系電車

2010-11-09 20:57:24 | 電車図鑑・JR新系列一般用車両
他の私鉄との競合の激しい京阪神地区で運行されている「新快速」向けに登場した
車両である。
JR西日本が独自に設計した最初の新系列車両でもある。
平成元年~平成3年にかけて474両が製造された。
配置は網干総合車両所、京都総合車両所、奈良電車区である。
製造メーカーは近畿車輛、川崎重工、日立製作所、JR西日本鷹取工場と
後藤工場である。
編成の組み方と構成形式は以下の通り。

8連(←大垣方面/神戸・播州赤穂方面→)
・クモハ221+モハ221+サハ221+モハ220+サハ220+モハ220+サハ220+クハ221

6連(←大垣・JR難波方面/神戸・播州赤穂・京都・和歌山・加茂方面→)
・クモハ221+モハ221+サハ221+モハ220+サハ220+クハ221

4連(←大垣・近江今津方面/神戸・播州赤穂・園部方面→・・・網干・京都所属車)
・クモハ221+モハ221+サハ221+クハ221

4連(←京都・和歌山方面/天王寺・JR難波方面→・・・奈良所属車)
・クモハ220+サハ220+モハ220+クハ220

2連(←京都・和歌山方面/天王寺・JR難波方面→)
・クモハ220+クハ220

・構成形式
クモハ221形:モハ221形とユニットを組む制御電動車。パンタと主制御器搭載。

モハ221形:クモハ221形とユニットを組む中間電動車。空気圧縮機と冷房などの
 サービス電源を供給する静止型インバータ(SIV)を搭載。

サハ221形:中間付随車。機器の搭載はないが常にモハ221形の下り側に連結される。

クハ221形:制御車。車端部にトイレがある。

クモハ220形:クハ220形、もしくはサハ220形とペアを組む制御電動車。パンタ、
 主制御器、SIVを搭載。

サハ220形:クモハ220形、もしくはモハ220形とペアを組む付随車。空気圧縮機搭載。

モハ220形:クハ220形、もしくはサハ220形とペアを組む中間電動車。搭載機器は
 クモハ220形に準ずる。

クハ220形:クモハ220形、もしくはモハ220形とペアを組む制御車。
 トイレと空気圧縮機を搭載する。

車体は普通鋼鉄製で正面、側面共に普通列車用としては大きな窓を採用した
特徴的なものとなっている。
正面は貫通型で正面中央に貫通扉があるが非常用である。デザインでは上半分が
傾斜した流線型となっており、大型の曲面窓の採用もあって前方の視野を
大きく広げている。
塗装はホワイトに関西急電色のベージュとブラウン、コーポレートカラーのブルーの
帯が入るものである。
行き先表示は側面のみ、種別表示は正面と側面にあり、行き先表示はLED、
種別表示は字幕式である。

車内はオールクロスシートでドア付近と車端部が固定式、他が転換式クロスシート
である。
当初、ドア付近にしか吊革がなかったが、後にクロスシート部分にも設置される
ようになった。
トイレはクハ220形、クハ221形にあり、便器は和式、汚物処理は循環式である。
ドアは乗客の増加に合わせて3ドアで全て両引き戸である。
この3ドア・クロスシートという車内構成は近畿日本鉄道の5200系電車が最初に
導入したもので、本形式の設計の際、近畿車輛から提案を受け、
これを参考にしている。
旅客案内装置はLEDスクロール式のものが各車車端部壁面に設置されている。
この案内装置は停車駅案内のほか、時計、号車表示も表示できるものである。

主制御装置は界磁添加励磁制御でブレーキは抑速ブレーキ付き回生ブレーキ併用
電気指令ブレーキで走行する区間の関係上、耐雪ブレーキの機能も有する。
台車は軸箱支持を円錐積層ゴム式とした空気バネ式ボルスタレス台車で高速走行時の
安定性を強化するため、ヨーダンパーを装備した。
モーターの駆動方式は中空軸平行カルダン方式でJR西日本の電車としては
最初にして最後の採用となった。
本形式では電動車同士でユニットを組むものと電動車と付随車でユニットを組むものの
2種類あるが、どちらでも走行性能は同じように設定されている。
なお、これらの機器は国鉄末期に製造された205系や213系に準ずるものである。
運転台は横軸式ツインレバー型でJR西日本の電車で初採用となった。

登場時は網干総合車両所と奈良電車区に配置され、前者は長浜・米原~網干・播州赤穂
方面への新快速と快速に、後者は大和路快速に投入された。
これらの最初のグループは足回りを改造の上で湖西線で160km/h走行試験に用いられ、
681系「サンダーバード」の開発に際し、貴重なデータを提供した。
3年という短期間に集中して増備され、JR西日本を代表する車両の一つとなった。
また、本形式の投入による新快速の速度向上(110km/h→120km/h)化や停車駅の見直し
などで並行私鉄の特急も大都市間ノンストップのダイヤ構成から、主要駅に停車する
ようになるなど、周囲への影響も少なくなかった。
平成9年より223系が投入され始めると次第に新快速から快速運用にシフトするように
なったほか、一部が奈良に移籍して阪和線やきのくに線、和歌山線にも
入るようになった。
平成12年のダイヤ改正で新快速を最高速度130km/hに向上し、223系で統一されたため、
本形式の運用は無くなり、快速が主運用となる。
平成20年には網干から京都に移籍して山陰本線や湖西線でも運用されるように
なっている。