戦前・戦後の旧型車が未だに残る末端の電化区間の車両の体質改善のために登場した
車両である。
昭和56年~昭和62年にかけて125両が製造、若しくは改造された。
構成形式と区分は以下の通りである。
○新造車グループ
クモハ105形
:制御電動車。主制御器、電動発電機、エアコンプレッサー、パンタグラフなど
運行に必要な機器をそろえている。0番台は新造車。
クハ104形
:制御車。0番台は新造車。
モハ105形
:中間電動車。クモハ105形から運転台を取り除いた構造を有する。
運転台を取り付けてクモハ105形に編入され既に消滅。
サハ105形
:中間付随車。クハ104から運転台を除いた構造を有する。クハ104形に改造され消滅。
○改造派生車
クモハ105-550
:制御電動車。203系に置き換えられた千代田線直通用の103系1000番台の中間車の
モハ103・モハ102-1000番台に運転台を設けて制御電動車化したものである。
クハ105-0
:制御車。上記の550番台と同じく千代田線直通用の103系1000番台のうち、
制御車のクハ103-1000番台を改造したものである。既設の運転台を生かしているが、
正面貫通扉を常時使用するため、幌枠の設置などの改装を受けている。
運転台の向きは全て偶数向きに揃えられた。
クハ105-100
:制御車。103系のクハ103-0番台を改造したものである。既設の運転台を
そのまま生かしたので103系そのままの非貫通正面であった。既に消滅。
クハ104-500
:制御車。モハ102-1000から改造したものである。電装を解除した他、台車を
101系の付随台車を流用している。運転台は新造した。
車体側面に電動機冷却のための通風口は残されたまま。
クハ104-550
:制御車。踏切事故で車体側面に大きく損傷を負ったクハ105-7の廃車代替車として
明石電車区のモハ102-385を改造したもの。運転台は上記のクハ105-7から
切り接いだ。
クハ104-600
:制御車。103系サハ103形を改造したもの。
クモハ105-100
:制御電動車。103系クモハ103-0から改造された。既設運転台そのままで見た目は
103系と変わらない。消滅。
クハ105-100
:制御車。クハ103-500から改造された。やはり既設運転台はそのまま生かされている。
105系化のため、クモハ105-100が冷房用の発電機を失ってしまったため、本形式に
搭載した。消滅。
クモハ105-600
:制御電動車。モハ102形から改造され、100番台相当の運転台と機器を取り付けた。
消滅。
クハ105-600
:制御車。サハ103形から改造された。これにも冷房用の発電機を搭載している。
消滅。
車体は普通鋼鉄製で新造車と改造車でドアの位置などが大きく異なる。
正面は貫通型で運転台の窓周りはブラック処理がなされている。
この正面デザインは飯田線向けの119系や筑肥線103系1500番台に引き継がれた。
行き先表示機は正面と側面にあり、いずれも字幕式である。
塗装は配置された線区によって異なる。
国鉄の分割民営化後はクモハ105-100、クハ105-100、クモハ105-600、クハ105-600が
JR東日本、それ以外は全てJR西日本が引き継いだ。
車内はロングシートであるが、新造車では長時間の乗車でも疲れにくいように
座面をゆったりと深くしたものとした。
内装のカラースキームは当時新鋭の201系のものをベースとしている。
ドアは新造車が3ドア、改造車が4ドアで全て両引き戸である。
一部の車両では半自動ドア扱いとすることも可能である。
冷房装置については、当初搭載されていなかった。
主制御装置は抵抗制御で従来の国鉄新性能電車で基本となっていた電動車ユニット
構造を廃し、単独走行可能なものを新規に開発した。
これ以外については経済性と汎用性を重視して、既存の機器を取り付けている。
ブレーキは発電ブレーキ併用電磁直通式ブレーキである。
台車は軸箱支持をウイングバネ式とした金属バネ台車で103系のものをそのまま
使用している。
駆動装置は中空軸平行カルダンである。
これらの機器は非常時に冗長性を持たせる構造となっているほか、勾配抑速ブレーキや
耐雪・耐寒構造を簡単に取り入れられるように拡張性も備える。
最初に新造車グループが福塩線、宇部線、小野田線に投入され、同線に残っていた
旧型車を置き換えた。
その後は国鉄の財政上、新造車を導入するのが難しくなってしまったため、
和歌山や奈良、仙台に配置されたものは全て103系からの改造車となった。
平成10年にJR東日本に引き継がれた仙台のクモハ105-100、クハ105-100、
クモハ105-600、クハ105-600が廃車され、訓練用機材となり、新秋津と八王子にある
研修センターで使用されたが、平成20年に京浜東北線から引退した209系電車改造の
訓練機材に置き換えられて解体された。
JR西日本のものは平成元年までにワンマン化、平成4年までに冷房化改造を
ほぼ全車で実施している。
また新造車を中心に腐食しやすい窓周りや屋根周りのステンレス化、窓の交換、
内装張り替えなどのリニューアル改造とクハ車へのトイレ設置を追加設置している。
なお、紀勢本線向けのものは沿線自治体から改造に当たって補助金が出たため、
車椅子対応のものとされたが、岡山・広島地区のものはJR独自の改造のため、
車椅子対応とならなかった。
JR西日本では平成17年まで廃車が発生しなかったが、現在は103系改造のグループで
状態の悪いものから順に廃車が始まっている。
○クハ105-0番台。103系1000番台そのままの表情を残す。
オリジナルの103系1000番台が引退した今となっては貴重な存在。
○車内。103系からの改造車のもの。オリジナルの面影を残す。
○広島地区で運用される新造車。ドアが3ドアであることが特徴。
JR西日本では地域別の塗装単色化を行っており、岡山・広島地区では黄色一色に
塗装される。本形式でも既に黄色一色となった車両が存在する。