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阪急電鉄 2200系電車(現:6000系6050号車ほか)

2011-03-03 20:26:47 | 電車図鑑・私鉄電車(関西)
次世代型の通勤形電車の長期試験車両として開発された車両である。
昭和50年に8両編成×1本、昭和60年に中間車2両、平成7年に震災で廃車された車両の
代替車1両の計11両が製造された。
製造を担当したメーカーはアルナ工機である。本形式中間車の2751号車は
アルナ工機が製造した阪急向けの電車で1000両目の車両で、それを記念した
プレートが車内に設置されている。
登場時の編成の組み方は梅田側から順に以下の通り。

2250+2700+2701+2750+2751+2710+2711+2751

阪急電鉄の電車で初めての8両貫通固定編成である。
このうち、2250と2251が制御車で2250が梅田側、2251が三宮側である。
2700、2701、2710、2711は中間電動車で、昭和60年に追加発注された2両も
中間電動車(2720+2721)のユニットである。
2750と2751は中間付随車である。2720+2721が製造された後、編成から抜かれて
6000系に組み込まれている。

車体は普通鋼鉄製で2000系・2300系からのデザインを汲みながら、窓の拡大、
正面や側面への行き先表示・種別表示機の設置、標識灯の移設、
正面へのスカート設置など、6000系以降の新車や更新車で標準となるものを
初めて採用した。
行き先表示と種別表示は字幕式で、本形式より電動式のものを採用している。
塗装は阪急伝統のマルーン一色である。

車内はロングシートで淡い木目調の化粧板とオリーブグリーンのシートモケットは
これまで通りのものを引き継いでいる。
2720+2721のユニットでは7000系の製造データを反映して肘掛や空調などを
改良した。
ドアは片側3箇所、両引き戸で側面窓は一段下降式である。
どちらも窓の大きさが従来の車両よりも拡大された。
また、初回生産分の8両には運転室からのスイッチ操作で空気圧で窓を自動的に閉める
装置を取り付けていたが、2720+2721から廃止され、以降は使用していない。
本形式から乗務員室を拡大した関係で、すぐ後の扉との間の座席が進行方向片側で
1人分減らされた他、窓も戸袋との兼ね合いで廃止された。
この部分の外側には阪急のイニシャルである「H」をアレンジしたマークを
設置している。

主制御装置は電機子チョッパ制御(2700+2701、2710+2711)とVVVFインバータ制御
(2720+2721)で、ブレーキは回生ブレーキ併用電気指令ブレーキである。
チョッパ制御装置は京都線5300系の5863号車で試験的に搭載されていたものである。
台車は軸箱支持をSUミンデン式としたダイレクトマウント式空気バネ台車で、
モーターの駆動方式はWN駆動方式である。
運転台は関西の私鉄で初めてT字型ワンハンドルマスコンを採用した。
この運転台の採用に際し、実車完成までの間、運転士や車両担当が東急で
研修を受けている。
また、チョッパ制御、VVVFインバータ制御は共に阪急では初めての採用であった。

初期配置は神戸線で編成長の関係から当時行われていた山陽電鉄須磨浦公園までの
直通は行われていない(西宮北口で別の6連に乗り換える方法で「須磨浦公園」の
行き先を表示することはあった)。
車番が2000番台まで戻ったのは、元々試験車両で大量生産の予定が無かったためで、
当時、回生ブレーキ車を示す車番だった2000番台の空き番号を利用したためである。
この回生ブレーキは110km/hから使用可能なもので登場時は話題となった。
昭和60年にVVVFインバータ制御の試作車として2720+2721が落成すると、
中間付随車の2750と2751は編成から離脱し、6000系に組み込まれている。
本形式で長期間の試験を行った電機子チョッパ制御は神戸線のような駅と駅の
間隔が長い路線では加速と減速をあまり繰り返さないので回生ブレーキの省エネ
効果が少ないこと、装置自体が高価であること、より廉価で回生ブレーキを
有効に使える界磁チョッパ制御が開発されたこと(阪急では6330系、7000系、7300系で
採用)、更に技術革新でメンテナンスとコストの削減が可能なVVVFインバータ制御が
実用化されたことなどから、存在意義を失い、平成4年に試験を終了した。
終了後は2700+2701、2710+2711は電装を解かれ、付随車となり、2760、2770、
2761、2771に改番され、やはり6000系に組み込まれて宝塚線へ転じていった。

残った4両は2250+2720+2721+2251にまとめられ、6000系2連車の6025編成と編成を
組んで今津北線を中心に運用された。
しかし、平成7年1月17日の阪神・淡路大震災発生時に今津北線宝塚南口駅付近の
カーブを走行中に脱線してしまい、床下の機器が修復不能になった。
この脱線で特に被害が大きかった電動車の2721号車が廃車されたため、
試験車としての任を解かれることになり、全車が6000系に編入された。
なお、2721号車の代替車として2721号車の再利用可能な部品を流用して
2772号車が製造され、相棒の2721号車も電装解除で2762号車となったが、
どちらも営業開始前に6762号と6772号に改番されている。
現存車の状況は平成22年現在、以下の通りとなっている。

2250号→6050号(神戸線所属。梅田側先頭車で中間車は7000系のもので構成)
2251号→6150号(神戸線所属。上記編成の三宮側先頭車)
2700号→2760号→6760号(宝塚線6000系6114編成の宝塚側2両目に連結)
2701号→2770号→6770号(宝塚線6000系6107編成の宝塚側2両目に連結)
2710号→2761号→6761号(宝塚線6000系6111編成の梅田側3両目に連結)
2711号→2771号→6771号(宝塚線6000系6111編成の宝塚側3両目に連結)
2750号→6750号(宝塚線6000系6112編成の宝塚側4両目に連結)
2751号→6751号(宝塚線6000系6112編成の宝塚側3両目に連結)
2720号→(2762号※)→6762号(宝塚線6000系6115編成梅田側3両目に連結)
2721号→廃車(リサイクル可能な部品を6772号車へ)
(2772号※)→6772号(宝塚線6000系6115編成宝塚側3両目に連結)

※:実際に使用されなかった車番。


6000系編入後は各配属先で終日運用されている。
宝塚線で運用中の車両の中には大規模修繕を平成13年と14年に受けた車両もあり、
今後も運用される。


○車内。車体デザインは一新されたものの内装は伝統を引き継いでいる。


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