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JR東海 373系電車

2011-07-22 21:04:32 | 電車図鑑・JR新系列特急用車両
165系急行形電車の老朽化に伴い、その置き換えのため、特急列車から普通列車まで
幅広く使える汎用車として開発されたものである。。
平成7年~平成8年にかけて3両編成×14本=42両が製造された。
製造を担当したメーカーは日本車輛と日立製作所である。
編成の組み方と固有形式は東京側から順に以下の通り。

クモハ373形+サハ373形+クハ372形

クモハ373形:東京側に運転台を持つ制御電動車。主制御装置と集電装置、
 補助電源装置を搭載。
サハ373形:中間付随車。発電ブレーキ用の抵抗器を搭載。
クハ372形:米原方面側に運転台を持つ制御車。エアコンプレッサー搭載。
 車端部に洗面所と便所を有する。

車体はオールステンレス製で先頭部分だけ普通鋼鉄製となっている。
正面は製造当時、臨時列車用に在籍していたキハ82系特急用気動車の設計を参考にした
パノラミックウィンドウを採用し、運転席からの視野拡大と夜間やトンネルなどでの
運転席の窓への客室電灯の映り込みを防止を図った他、半埋め込み形の幌を採用して
外観の見栄えも向上させている。
種別・列車愛称表示は正面貫通扉窓下、行き先表示は側面にいずれも字幕式で
設置している。
塗装は窓周りがブラウン、正面部分がホワイトでコーポレートカラーの
オレンジ色の帯が入る。

車内はドア間が左右2列ずつ配置の回転リクライニングシートを採用した。
この座席には肘掛内蔵のテーブルと跳ね上げ式の簡易フットレストが装備されている。
枕部分のシートカバーは特急列車と前後のライナー列車に限り設置される。
クモハ373形の連結側とサハ373形の両端部の座席は4人向き合わせのボックスシートを
配したセミコンパートメントとなっている。
この部分には大型の固定テーブルが配置されている。
クハ372形の連結側にはカード式公衆電話(平成19年以降撤去)、男子小便所、
車椅子対応便所、洗面所が配置される。
ドアは片側2箇所で特急にも使われる車両であるが、両引き戸を採用し、デッキに
ついても仕切り戸は無く、パーテーションで仕切られているだけである。
各ドアには長時間停車時の車内保温のため、半自動ドア開閉スイッチが
設置された他、後年の改造でドアチャイムが設置されている。
旅客案内装置は客室仕切り上部にあり、LEDスクロール式となっている。

主制御装置はVVVFインバータ制御でGTO素子を使ったものとしてはJR東海の車両として
最後の採用となった。
ブレーキは抑速ブレーキ・発電ブレーキ付き回生ブレーキ併用電気指令ブレーキで
回生ブレーキが有効に作用しない列車の少ない区間などでは自動で発電ブレーキに
切り替わる機能を有する。
台車は211系以来の軸箱支持を円層ゴム式とした空気バネ式ボルスタレス台車である。
各台車には蛇行動防止のためのヨーダンパー、電動車の台車には空転防止のための
砂箱を装備する。
集電装置はシングルアーム式で低断面トンネル対応のものを採用した。
運転台は片手操作式ワンハンドルマスコンであるが、メーターや運行表差しなどの
配置にキハ82系の運転台の面影を垣間見ることができる。

配置は全車静岡電車区で平成7年に急行「富士川」を格上げした特急「ふじかわ」で
運行を開始した。
翌年の春の改正から特急「東海」、「伊那路」と東京~大垣間を結んでいた普通夜行列車
375M/372Mこと「大垣夜行」を一部区間全車指定とした「ムーンライトながら」と
それ以外の普通列車(東京~静岡間など)でも運行を開始している。
これにより、各列車で運行されていたJR東海の165系電車は全車引退となった。
このほか、列車の送り込みを兼ねて「ホームライナー」でも運行されている。
臨時列車としてはJR東海管内で開催される「さわやかウォーキング」に対応する列車や
予想外の好評で車両不足になった中央本線の全車指定席の快速「セントラルライナー」の
応援などにも用いられた。
平成19年に「東海」、平成21年に「ムーンライトながら」が廃止、もしくは臨時列車化で
撤退したが、東京へは早朝深夜に運行される東京~静岡間の普通列車で乗り入れる。
この普通列車は時刻表で東京発着の列車ながらグリーン車マークが無いことで
判別可能である。


○車内。枕カバーが付くのは原則的に特急運用時のみ。


○特急「ふじかわ」。静岡から身延線経由で甲府まで運行。


○飯田線119系電車と並ぶ特急「伊那路」。豊橋~飯田間で運行。


○特急「東海」。東京から東海道本線経由で静岡までを結んだ同線の名門列車。
 平成19年3月17日のダイヤ改正で廃止になった。


○本形式の開発ベースとなったキハ82系気動車先頭部分。
 何となく窓周りなどに面影が残る。


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