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水の丘交通公園

鉄道メインの乗り物図鑑です。
※禁無断転載!使用に際してはコメント欄にて
用途を申告してください。

JR西日本 183系電車700・800番台/200番台

2012-06-12 23:59:09 | 電車図鑑・国鉄型特急用車両
福知山線宝塚~城崎間の電化で新設された特急「北近畿」に使用されていた485系から交流電化
区間用の機器を降ろして直流区間専用車としたものである。
平成2年~3年と平成8年、平成16年、平成21年に改造が実施されている。
この他に交流機器を降ろさず使用停止に留めた200番台があり、今回はこれも含めて紹介する。
構成形式と番台区分は以下の通り。

■モハ183形
・モハ182形とユニットを組む中間電動車で客室は普通車。主制御装置搭載。
番台区分は以下の通り。
モハ183形800番台(モハ183-801~モハ183-821)
:モハ485形を種車とした車両のうち箱型分散クーラー搭載車を指す。
モハ183形850番台(モハ183-851~モハ183-854)
:モハ485系を種車とした車両のうちきのこ型クーラー搭載車を指す。
種車となったモハ485形の中でも古い部類の車両であったため、平成9年までに全車廃車。
モハ183形1800番台(モハ183-1801~モハ183-1806)
:モハ485形1000番台を種車としたグループ。

■クモハ183形
旧特急「スーパー雷鳥」編成で特急「しらさぎ」での運用後、遊休化していたクモハ485形200番台を
転用したものである。運転台の構造は485系オリジナルのものとは異なる中間車の構体に
平妻の貫通型運転台を設けたもの。
番台区分は以下の通り。
クモハ183形200番台(クモハ183-201~クモハ183-206)
:クモハ485形200番台を種車とした制御電動車。-以下同番号のモハ182形とユニットを組む。

■モハ182形
モハ183形とユニットを組む中間電動車で客室は普通車。電動発電機、空気圧縮機などを搭載。
モハ484形だった時は主変圧器などを積んでいたがこれらは撤去ないし機能停止としている。
モハ183形とは異なり、番台区分は改造元となった車両によって異なっている。
番台区分は以下の通り。
モハ182形700番台(モハ182-701~モハ182-713)
:モハ484形200番台を種車とするグループ。
モハ182形800番台(モハ182-801~モハ182-804)
:モハ484形600番台を種車とするグループ。
モハ182形850番台(モハ182-851~モハ182-854)
:モハ484形0番台を種車とするグループ。
モハ182-1800番台(モハ182-1801~モハ182-1805)
:モハ484形1000番台を種車とするグループ。
モハ182-200番台(モハ182-201~モハ182-209)
:モハ484形200番台を種車とし、交流機器を撤去せず使用停止に留めたグループ。
モハ182-300番台(モハ182-301・モハ182-302)
:モハ484形600番台を種車とするグループで交流機器を撤去せず使用停止にしたもの。
モハ182形1300番台(モハ182-1301)
:モハ484形1000番台を種車とし交流機器を撤去せず使用停止にしたもの。現状1両のみ。

■クロ183形
制御車で客室はグリーン車。種車は様々だが元々はクハ481形をグリーン車化したものである。
改造の内容や種車によって以下のように区分される。
クロ183形2700番台(クロ183-2701~クロ183-2709)
:クハ481形300番台を種車とするグループ。-以下2701~2706は改造と同時にグリーン車化
されたもの。-以下2707~2709は特急「雷鳥」から離脱したクロ481-2300番台からの編入車である。
尤もクロ481-2300番台も元を糺せばクハ481-300番台からの改造車である。
クロ183形2750番台(クロ183-2751)
クハ489形700番台を種車とするもの。現状1両のみ。

■クロハ183形
制御車で客室は運転台側1/3がグリーン車、残りが普通車である。種車はクロハ481形200番台、
ないしは300番台である。
番台区分は以下の通り。
クロハ183-700番台(クロハ183-701)
クロハ481形300番台を種車とするもの。1両のみ。
クロハ183-800番台(クロハ183-801~クロハ183-806)
クロハ481-200番台を種車とするグループ。

■クハ183形
制御車で客室は普通車。やはり種車の違いで以下のように車番区分がされている。
クハ183形600番台(クハ183-601)
:クハ489形600番台を種車とするもの。1両のみ。
クハ183形700番台(クハ183-701~クハ183-712)
:クハ481形300を種車とするもの。
クハ183形750番台(クハ183-751・クハ183-752)
:クハ481形750番台を種車とするもの。
クハ183形800番台(クハ183-801)
:クハ481形800番台を種車とするもの。
クハ183形850番台(クハ183-851)
:クハ481形850番台を種車とするもの。
クハ183形200番台(クハ183-201~クハ183-207)
:クハ481形200番台を種車とするもの。交直切り替えスイッチの回路を切っただけのもの。

車体は普通鋼鉄製で種車となった485系のものをほぼ手を加えずそのまま使用している。
種車によって先頭車は高運転台・貫通型、非貫通型、高運転台・簡易貫通型、低運転台・貫通型の
3種類が存在する。
オリジナルの183系では運転席上部のヘッドライトは設置されていないが、本形式は485系時代のまま
撤去されずに残されている(国鉄時代、特急車の運転台上部のヘッドライトの有無が直流専用車と
交直両用車・交流専用車を見た目で判別する基準の一つだった。但し、「こだま」形こと直流専用の
151系は181系化前後まで運転台上のヘッドライトを付けていた)。
塗装は485系と判別しやすいように、クリームにエンジの国鉄特急色に窓下にエンジの細帯を
追加している。
また、「しらさぎ」からの転用車が入る前後に一部の編成で塗装が変更され、ホワイトにグレーと
ブルーのラインが入った新塗装にされたものも存在する。
ヘッドマーク、行先表示は変更なく字幕式である。

車内はグリーン車、普通車とも回転式リクライニングシートである。
グリーン車はクロは1:2配置で281系特急「はるか」と同じものを採用しており、テーブルは
肘掛収納で跳ね上げ式のフットレスト付、クロハのものは2:2配置で583系急行「きたぐに」
などで採用されたものと同等のもので同じくテーブルは肘掛に内蔵、跳ね上げ式の
フットレスト付となっている。
クロハのグリーン客室と普通客室の仕切りとグリーン客室と運転席後方の仕切りの間には
小荷物が置けるスペースが設置されている。
普通車は左右2:2配置でテーブルは背もたれ裏に折り畳みテーブルを設けたものである。
ドアは各車両片側1か所・片引き戸でオリジナルの183系と大きく異なる部分の一つとなっている。
車いすスペースなどのバリアフリー設備は構造上設けていない。
なお、485系では設けられているドアステップは近年、ホームの高床化が進み、段差が減って
来たことから、本形式では埋められている。
トイレは各車両に設置され、クロ、クロハは洋式、普通車は和式である。
編成中偶数号車となる車両には飲み物の自動販売機を設置している。

主制御装置は抵抗制御でブレーキは抑速ブレーキ機能付き発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキで
基本的に変更はない。
台車は軸箱支持をウイングバネとしたインダイレクト式空気ばね台車でモーターの駆動方式は
中空軸平行カルダン駆動方式である。
485系時代に搭載していた交流電化区間対応の機器については取り外されるか、使用停止措置が
取られている。
なお、取り外された交流電化対応機器は七尾線電化に伴い113系近郊形電車を改造した
415系800番台に流用された。

投入は既述の通り平成2年で特急「北近畿」及び「ほくせつライナー」で運用を開始した。
平成8年に山陰本線の京都~城崎間が電化されると特急「北近畿」のほか、
特急「文殊」、「きのさき」、「はしだて」、「まいづる」でも運用を開始している。
その後、北陸本線などから捻出される485系から必要に応じて改造が行われ、
形式内でも老朽化の激しかったモハ183形850番台などの置き換えも実施されている。
長く北近畿ビッグXネットワークの顔として活躍したが、平成23年3月のダイヤ改正より
287系電車が投入され、本格的な置き換えが開始されている。
これにより200番台車は全車が定期運用を離脱しており、現在はクロハ、ないしはクロを先頭とした
6両編成×6本=36両と4両編成×1本=4両が運用に就いている。
平成23年3月ダイヤ改正時点での運用列車は以下の通りである。
特急「こうのとり」1・3・6・7・12・14・15・17・18・21・22・25・26号
特急「きのさき」2・3・6・10・11・16・17号
特急「はしだて」1・6・7・10号


○グリーン車。写真はクロハの半室グリーン。


○普通車。JR西日本の国鉄形標準ともいえる車内。一部はリニューアル改造を受けたものもある。


○中間車。ドアが片側にない、窓下に細帯が1本追加されているなどの違いがよくわかる。


○ドアステップ。埋められている。


○新塗装車。写真は200番台車で既に引退している。

JR東日本 485系電車 東武鉄道直通特急「日光」・「きぬがわ」用編成

2011-11-02 12:15:07 | 電車図鑑・国鉄型特急用車両
平成17年7月1日~9月30日にかけて福島県会津若松市を中心に開催された「あいづディス
ティネーションキャンペーン」に合わせて新宿~会津若松間で特急「あいづ」を運行する
ため、また、平成18年3月18日より開始された東武鉄道日光線・鬼怒川線への直通特急
「日光」・「きぬがわ」の専用車両として登場したものである。
元は仙台運転所に所属し、磐越西線の快速「あいづライナー」で運用されていた
485系交直流両用特急型電車A2編成(←青森運転所・特急「はつかり」用A7編成)を
2回に分けて改造したものである。
編成は下り方向(東武日光・鬼怒川温泉側)から順に以下の通り。

クハ481-1017+モハ485-1058+モハ484-1058+モハ485-1055+モハ484-1055+クハ485-334

号車番号は特急「あいづ」時代はクハ485-334号側が1号車であったが
特急「日光」・「きぬがわ」になって以降はクハ485-1017号が1号車となった。
モハ485形には主制御装置、モハ484形には交流区間対応の変圧器、整流器と
集電装置を2基備える(但し、「日光」・「きぬがわ」では直流電化区間のみの走行となる)。
改造前はクハ481-1017号はグリーン車付きのクロハ481-1014号車であったが、
グリーン客室を撤去して全て普通席に復元された(クロハ481-1014号は昭和62年に
クハ481-1017号の運転台側の客室にグリーン席を設置した改造車)。
改造を実施した工場は郡山総合車両センター(仙台支社)である。
各車両の製造年と初期配置は以下の通り。なお、モハ485形とモハ484形はお互いに
ユニットを組み、同じ製造番号なので2両で1行にまとめた。

クハ485-1017号:昭和54年・青森
モハ485&モハ484-1058:昭和53年・青森
モハ485&モハ484-1055:昭和54年・青森
クハ481-334:昭和51年・青森

車体は普通鋼鉄製で485系シリーズでは後期に製造された分類に属する。
先頭部分はショートノーズ・非貫通型で、運転席窓下にあったシンボルマークを
撤去し、半月状の凹みを設けてテールランプを設置した。
また、運転席屋根上のヘッドライトを撤去、通常のヘッドライトをHIDに置き換え、
形状を変更している。
「あいづ」で運用された時はヘッドマークが残され、運転席の窓もそのままと
されたが、東武鉄道直通特急への転用の際に運転席窓を曲面1枚窓とし、
ヘッドマークが撤去され、独自のスタイルとなった。
塗装は東武鉄道の特急用車両である100系電車「スペーシア」に合わせて
上半分がホワイト、下半分がオレンジ、間に赤帯と窓周りがブラックという
塗り分けになった。
これは特急「あいづ」の時点で東武鉄道直通特急への転用が決まっていたので、
この塗装とされている。
行き先表示と列車名表示は側面にあり、全て字幕式である。

車内は左右2列配置の回転式リクライニングシートで3号車(「あいづ」時代は4号車)に
車椅子対応の1人席を設けている。
この座席は特急「つがる」や特急「北越」で運用中の485系3000番台車に準じた仕様の
もので座面スライド機能と背もたれ裏にテーブルを設置している。
座席間隔はゆとりを持たせるため、また直通相手の「スペーシア」に合わせるため、
オリジナルの910mmから1100mmへと大幅に拡大された。
但し、側面窓は原型のままであるため、一部の座席では窓と窓の間の柱に阻まれ、
外が殆ど見えない「ハズレ」席と逆にほぼ窓1枚を占領できる「アタリ」席ができて
しまった。
中間車の一部では座席間隔の拡大に伴い、半端に余ったスペースに大型荷物置場を
設けた。
客室全体はブルーを基調に仕切り扉や網棚などに木目やゴールドを用いて高級感を
出した。
また、天井部分は空調の張り出しを吊天井の内側に納めて平面状とし、
フラットな形状に変更している。
客室とデッキの仕切り扉は木目調のものとなり、自動化されている。
洗面所とトイレは2・4・6号車(※・東武鉄道直通時は1・3・5号車)にあり、男女共用の
個室は全て洋式となった。
ドアは片側1ドア・片引き戸で変更は無いが、ステップは新宿駅での乗降に配慮し、
埋め込まれている。
東武鉄道直通に備えて更に3号車(※「あいづ」は4号車)に車掌室を改造してオムツ
交換台を設置した多目的室を設けている。

主制御装置は抵抗制御、ブレーキは発電・抑速ブレーキ併用電磁直通ブレーキで
変更は無い。
台車は軸箱支持をウイングバネ式としたインダイレクトマウント式空気バネ台車で
モーターの駆動方式は中空軸平行カルダンである。
運転台についても基本的に変更は無いが、東武鉄道との直通開始に伴う本改造時に
同社対応の保安装置や列車無線取り付けとそれらを操作するための
JR/東武切替え装置が運転席後方に設けられた。
また、車内放送に自動放送装置を設置している。

運用は既述の通り、平成17年7月~9月末までのキャンペーン中に土曜・休日に新宿~
会津若松間の特急「あいづ」1往復に平日は郡山~会津若松間の特急「アクセスあいづ」に
用いられた。
同運用終了後、東武鉄道直通運転用に再改造を郡山総合車両センターで実施し、
平成18年3月18日より新宿~東武日光・鬼怒川温泉間の特急「日光」・「きぬがわ」で
営業運転を開始した。
この運用の開始に伴い、所属も仙台車両センターから小山車両センター(大宮支社)に
転属となり、編成番号はG55・G58編成となった。
本編成は1編成しかないため、検査などで運行ができなくなった場合、東武鉄道100系
電車「スペーシア」が代走となり、列車名に「スペーシア~」を冠して運用に就いた他、
波動輸送用に本編成と同じ塗装に塗り替えられ、東武鉄道対応機器を搭載した
189系電車「彩野」編成(クハ189-2+モハ189-45+モハ188-45+モハ189-43+モハ189-43+※
※+クハ189-511)もこれに加わった。

一見して(知らなければ)国鉄型車両のイメージは薄らいでいるが、車体や機器の
老朽化は如何ともしがたく、故障運休や「彩野」の代走が目立ってきたため、
特急「成田エクスプレス」で運用されE259系の導入で役目を終えた253系のうち、
最後に導入された200番台車(6両編成×2本)を改造して本編成と「彩野」を置き換える
ことになった。
平成23年4月16日より、これを実施する予定であったが、同年3月11日に発生した
東日本大震災により、列車そのものが運休。
その後約1ヵ月後の4月29日より、列車の運行が再開されたが引き続き本編成が
運用に就き、平成23年6月3日まで運行された。
引退後は郡山総合車両センターに回送されて留置されている。


○特急「あいづ」時代と国鉄時代のオリジナルの姿。
 ついでに189系「彩野」編成も加えて描いてみました。
 今回はコピックが無かったので無色彩です。相変わらずヘタクソですみません!

国鉄 485系電車

2011-09-12 20:36:15 | 電車図鑑・国鉄型特急用車両
電化区間の拡大に伴い、地上設備が低廉な交流電化が推進された結果、旧来の直流電化
区間とのデッドセクションが全国に生じた。
このデッドセクションを通過可能な特急用電車として開発されたのが本形式の
グループである。
直流1500V/60Hz専用の481系、直流1500V/50Hz専用の483系、直流1500V/50Hz/60Hz
全電源対応の485系、485系に碓氷峠でEF63形電気機関車との協調運転機能を付加した
489系があり、走行システムや車体などが共通するこれらをまとめて485系と称する。
昭和39年~昭和54年までに1453両が製造された。
製造を担当したメーカーは川崎車輛、汽車会社、川崎重工、日本車輛、東急車輛、
近畿車輛、日立製作所である。

本形式グループの全形式・全バリエーションを紹介しようとすると、あまりにも
膨大なバリエーションがあり、私個人の力では追いつけないため、
本文中必要な範囲で紹介するにとどめさせていただくことをあらかじめ御容赦
願いたい。

車体は普通鋼鉄製で特急「こだま」で運用されていた151系電車(→181系電車)の流れを
汲んだものとなった。
初期の先頭車(クハ481形0番台・100番台、クハ489形0番台・500番台など)はボンネット
スタイルで登場し、屋根上のクーラーもキノコ型となった。
比較的温暖で平坦な路線を走行していた151系電車と比べ、寒冷地や勾配のきつい
路線への投入も想定し、耐雪・耐寒構造を強化した他、床下機器の寸法の関係で
床の高さと車体の断面が大きくなっている。
昭和47年以降に製造されたグループからショートノーズの貫通型(クハ481形200番台)が
登場し、昭和49年以降はこれをベースにした非貫通型(クハ481形300番台)が
登場している。
塗装はクリームに窓周り、雨樋、車体裾部分がエンジ色のいわゆる国鉄特急色である。
民営化後は地域色や用途による塗装変更が行われた。

客室設備は普通車(登場時は2等車)、グリーン車(登場時は1等車)、食堂車の
3種類がある。
グリーン車は左右2列配置の回転式リクライニングシートでフットレストと肘掛に
小型のテーブルを備える。
普通車は左右2列配置の回転式クロスシートで、リクライニング機能は
当初なかったが、後期の車両では183系で採用された簡易式リクライニングシートを
採用した。
食堂車は「こだま」用151系のものを踏襲しているが、座席が当初よりFRP製のもので
あったことや車両現在地表示装置が無かった事が異なる。
食堂車は編成中間に位置することが多かったことから、簡易運転台とライトが
車端部に設置されている。
ドアは食堂車を除き、片側1箇所ずつで片引き戸で床が高くなったため、ステップ付き
となっている。
トイレは普通車が和式、グリーン車が洋式で車端部デッキにあり、対面には洗面所を
備える。

主制御装置は抵抗制御で交流電化区間では変圧器を用いて交流を直流に変えて
速度制御を行う。
これは401系・421系近郊形電車で採用されたもので、敢えて既に確立された技術を
投入し、機器の信頼性の向上を図っている。
ブレーキは勾配抑速ブレーキ付き発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキで、電動車と
付随車が1:1でも20‰程度の勾配を走破できる性能を有する。
台車は軸箱支持がウイングバネ式のインダイレクトマウント式空気バネ台車で
モーターの駆動方式は中空軸平行カルダン駆動である。
電動車は2両ユニット式でモハ481形、モハ483形、モハ485形、モハ489形に
主制御装置と電動発電機、モハ480形、モハ482形、モハ484形、モハ488形に
主変圧器と集電装置を搭載する。
集電装置は直流電化区間での離線対策でパンタグラフ2基を搭載しているが、
後年の改造で1基を撤去したものが存在する。

本形式のデビューは北陸本線の特急「雷鳥」、「しらさぎ」で以降、日本海縦貫特急
「白鳥」、東北本線の特急「やまびこ」、「ひばり」、常磐線の「ひたち」、九州方面への
特急「かもめ」、「はと」、「つばめ」、「みどり」、「にちりん」、北海道で初めての
電車特急「いしかり」など幅広く活躍した。
また、特急列車の短編成化やグリーン車の格下げ、食堂車の廃止など昭和50年代
中頃より、バリエーションが増え始め、民営化後は塗装の変更、車内外の大幅な
リニューアルなどで更に細分化されていった。
客室のリニューアルについては随時行われており、現存する車両では普通車は
2列配置のフリーストップ式回転リクライニングシートが主流で回転式
簡易リクライニングシートを残している車両は少数派となっている。
グリーン車もJR東日本では一部を除いて左右2列配置ばかりだが、JR西日本や
JR九州では1:2列配置に換装しているものが多い。
食堂車については国鉄末期に連結が中止されたり、営業休止となっており、何かしらの
形で転用されたもの(「北斗星」、「トワイライトエクスプレス」用食堂車など)を
除いて廃車されている。
民営化後も多くの特急列車で運用されたが、老朽化が進んだことから後継車種への
置き換えが進められ、平成23年の春の改正を持ってJR西日本とJR九州での定期列車での
営業運転が終了した。
現在も特急列車で定期運用を持っているのはJR東日本の特急「白鳥」、「かもしか」、
「いなほ」、「つがる」、「北越」だけである。
退役した車両の一部は団体・臨時用に残されている他、ジョイフルトレインに
改造されたものもある。
また、廃車となった車両も解体を免れて博物館などに展示されたものもある。


○非貫通・ショートノーズの300番台。1000番台も同じ顔。


○貫通型の200番台。特急「雷鳥」では、481系のデビュー以降、北陸の地を
 走り続けたが、平成23年の春の改正で「サンダーバード」にバトンを渡して引退した。


○特急「かもしか」用の485系1000番台。クモハ485-1000番台はモハ485-1000に
 運転台を取り付けたもの。


○特急「つがる」用の485系3000番台。大幅なリニューアルが行われた。
 これについては別途詳しく紹介する予定。


○特急「きぬがわ」・「日光」用改造車。車番の変更は無しで2段階にわたるリニューアルを
 受けた。通称「ニセーシア」。これも別途紹介予定。


○特急「雷鳥」用のパノラマグリーン車。「スーパー雷鳥」→「しらさぎ」→「雷鳥」と
 流転を繰り返した。中間車に運転台を付ける形で生まれたものだが、出生が
 各車両で異なっており、側面の窓配置にその面影がくっきり残っていた。


○JR九州の485系。民営化後にこの真っ赤な出で立ちとなり、当時のファンを驚愕
 させた。この真っ赤な485系も九州新幹線鹿児島ルート全通に伴う特急網再編で
 「リレーつばめ」で運用されていた787系に置き換えられることになり、全廃と
 なった。

国鉄 キハ185系気動車

2011-07-07 21:15:56 | 電車図鑑・国鉄型特急用車両
国鉄が分割・民営化を控え、経営基盤の脆弱な四国向けにキハ58系やキハ65系で
運行されていた急行列車を特急列車に格上げすることで、経営の安定化を図る目的で
導入された車両である。
昭和61年~昭和63年にかけて52両が製造された。
製造を担当したメーカーは日本車輛、新潟鉄工所、富士重工である。
構成形式は以下の通り。

キハ185形0番台:片運転台付きの普通車。連結側に便所と洗面所を持つ。
キハ185形1000番台:片運転台付の普通車。トイレ等無し。
キロハ186形:中間車でグリーン・普通合造車。車体中央付近に仕切りがある。
 トイレ・洗面所の設備無し。
キハ186形:JR九州が譲り受けたキロハ186形をモノクラス化したもの。
 車内中央の仕切りはそのまま残され、旧グリーン席の座席もそのまま残されている。
キロ186形:キロハ186形を改造した「アイランドエクスプレス四国2世」。
キハ185形3000番台:キハ185形0番台から改造された普通列車仕様格下げ車。
 洗・便所付き。既に全車0番台へ復帰して消滅。
キハ185形3100番台:キハ185形1000番台から改造された普通車仕様格下げ車。
 トイレなど無し。

基本形式は2形式だけで、従来のような長編成で長距離の運用よりも短編成で
短い距離での運用を主眼に設計されている。
従来の特急用では電源装置の都合などで短編成を組みづらかったが本形式では
2両以上は1両単位で増減可能となった。

車体はオールステンレス製(先頭部分は普通鋼鉄製)で国鉄の特急用車両としては
最初で最後の採用となった。
正面は貫通型とし、増・解結に対応した他、進行方向右側の窓を拡大し、
デッキの仕切り窓越しながら、前面展望を確保している。
塗装は正面部分が白、他はステンレス無地にグリーンの帯で側面窓周りを
黒に近いブラウンで処理している。
愛称表示は正面貫通扉にあり札差式、側面には列車愛称と行き先表示を字幕式で
表示する。

車内はグリーン席と普通席があり、どちらも左右2列配置の回転式リクライニング
シート、キロハ186形の普通席は転換クロスシートである。
グリーン車の座席には背面テーブル、フットレスト、中肘掛、インアームテーブルが
備えられ、座席の間隔は1160mmである。
普通車の座席には背面テーブルが備えられ、座席の間隔は940mmである。
ただし、キロハ186形の普通席は0系新幹線の廃車発生品を利用した転換クロスシートで
前後間隔1020mm、グループ客に配慮して壁面に折りたたみ式の大型テーブルを
設置した。
ドアはステップ付きの折り戸で国鉄の特急用気動車で初めて2ドアとなった。
これは本形式の普通列車での運用が当初より考えられており、乗降時間を
短縮するためである。
冷房装置にはバスなどで用いられる汎用品が使用され、各席網棚下にバス同様の
スポットクーラーの吹き出し口が設けられている。
便所と洗面所はキハ185形0番台の連結側にあり、便所は和式のものである。

機関はDMF-13HS型直噴式ディーゼルエンジンをキハ185形に2基、キロハ186形に
1基搭載している。
変速方式は液体変速機で廃車となった車両のものを整備して再利用した。
大出力機関を搭載する関係で1台車2軸駆動とすると機構が複雑となるため、
通常の2機関車とおなじ、エンジン側のみを駆動するものとした。
総出力はキロハ186形を組み込むと当時の四国の特急用気動車の主力だった
キハ181系に総出力で劣るが軽量化された車体の効果で同程度の性能を
確保している。
サービス電源はキハ185形ではエンジン直結、キハ186形では自車用に発電用
エンジンを1基搭載した。
ブレーキは電磁空気自動ブレーキを採用している。
台車は205系電車で採用された軸箱支持を積層円筒ゴム式とした空気バネ式
ボルスタレス台車である。
運転台は従来どおりのツーハンドル式で踏切事故を考慮して高運転台構造としている。
また、片隅構造となっており、乗務員室の進行方向右半分は簡単な仕切りだけで
仕切られているだけとなっている。

国鉄末期~民営化初期の四国の特急用車両のフラグシップ的存在となり、
特急「しおかぜ」や「南風」などで活躍した。
民営化後は帯色をグリーンからコーポレートカラーの水色に変更している。
平成に入ってからは高速バスに対向するため、2000形振り子式気動車の開発と
その量産により、徐々に活躍の場を狭めていった。
平成4年には余剰となった20両が同じくJR九州でキハ58系やキハ65系で運行されていた
気動車急行「あそ」・「ゆふ」の特急格上げのため、売却されている。
JR九州では上半分をレッド、下半分をガンメタ(側面はステンレス無地を生かす)とし、
座席のモケットの張り替え等を行った他、一部車両への車内販売準備室と電話室設置、
キロハ186形は普通席部分を転換クロス席時代の広い座席間隔はそのままに回転式
リクライニングシート化、グリーン席についてもモケットの張り替えだけで普通席化、
足回りでは駆動エンジンを2基化してキハ186形へ改造されている。
JR九州に売却された車両は以下の通りである。

キハ185形0番台:1~8・10・15・16
キハ185形1000番台:1001・1004・1008・1011・1012
キロハ186形:3・5~7→車番を変えず、全車キハ186形に改造。

JR九州では平成16年に九州新幹線開業に伴うダイヤ改正にあわせて、
再度リニューアルを行い、特急「九州横断特急」用になった車両については
床のフローリング化、車掌台仕切りの展望カウンター化、フォグランプ設置、
ワンマン化(客室乗務員は乗る)、塗装変更(全体をほぼ赤1色、ロゴステッカー
貼り付け)、座席の張り替え、肘掛、テーブルの木材化、便所の洋式化などが
行われている。

JR四国残存車については平成8年に新設された徳島線特急「剣山」用に一部が塗装変更を
実施した他、トロッコ列車牽引用に2両が国鉄時代を想起させるグリーンの帯に
変更された(トロッコ用車両がダークグリーンなのでそれに合わせた)。
平成11年に松山地区で運行されていたキハ58系、キハ65系の普通列車を置き換えるため、
1000番台から8両、0番台から2両が普通列車仕様の3100番台・3000番台に改造され、
座席のリクライニング機構廃止、テーブル撤去、ヘッドマークへ部分への行き先
表示設置変更、帯色の変更(ブルーの帯に赤の細帯)、ブレーキの一般型と同等品への
改造などが行われた。
その後、特急「むろと」増発のため、3000番台2両が特急用に復元されて
同番台が消失している。
なお、この2両が復帰する際、座席を8000系のリニューアルで余剰となったものを
流用している。
キロハ186形については-1と-2が2両が残存するが、-2は「ゆうゆうアンパンマンカー」に
改造されている。
-4と-8はキロ186形「アイランドエクスプレス四国2世」に改造されており、-1のみが
オリジナルで残るが定期運用は既に無く、近年全く動いてない。

平成22年現在、JR四国では高徳線特急「うずしお」、徳島線特急「剣山」、牟岐線特急
「むろと」、「ホームエクスプレス阿南」と牟岐線と予讃線の一部の普通列車で
「ゆうゆうアンパンマンカー」は特急「剣山」の休日運用に組み込まれる。
このほか、トロッコ列車の控え車や「アイランドエクスプレス2世」などにも
用いられる。
JR九州では久大本線特急「ゆふ」と豊肥本線・肥薩線特急「九州横断特急」、
特急「くまがわ」で運用されている。


○普通車客室。手前の青い枕カバーのところは指定席。


○台車。ヨーダンパーは設置準備に留まる。


○特急「剣山」色の「うずしお」。最近は色に関係なく運用されている。



○「アイランドエクスプレス」2世。キハ185-11、キハ185-12が専属先頭車だが、
 他の車両が務める時もある。


○グリーンの帯に変更され国鉄時代に近い姿になったキハ185-20。


○JR九州に譲渡されたキハ185系。「ゆふ」編成。


○キロハ186形から改造されたキハ186形。半室は元グリーン車。
 元普通車の座席の間隔も先頭車よりも広い。


○特急「九州横断特急」編成。追加のフォグランプが特徴。
 ワンマン運転だが、ドア操作などの運転業務を運転業務を運転士が行うだけで
 車内検札や車内販売を行う客室乗務員はきちんと乗務する。


○普通列車用に改造された3100番台。予讃線松山~宇和島間で運用される。
 平成23年3月改正以降は1日3往復(松山~宇和島間2往復・松山~伊予大洲間1往復)で
 運用される。
 ちなみに運用される時間帯はラッシュ時間帯である。


○特急「ホームエクスプレス阿南」。徳島~阿南間のショート特急。

国鉄 781系特急型電車

2010-11-18 22:51:16 | 電車図鑑・国鉄型特急用車両
函館本線特急「いしかり」用に初めての北海道用の特急型電車として開発されたものである。
昭和53年に試作車(900番台)が6連×1本=6両、昭和55年に量産車が6両編成×7本=42両の
6両編成×8本=48両が製造された。
後に一部中間車への運転台設置と共に4両編成×12本=48両に組みかえられている。
編成の組み方と構成形式・番台区分は札幌側から以下の通りである。

・6連:クモハ781形+サハ780形+モハ781形+サハ780形+モハ781形+クハ780形

・4連:クモハ781形+サハ780形+モハ781形+クハ780形

クモハ781形:札幌側に運転台を持つ制御電動車。サハ780形とユニットを組む。
 主制御器・電動発電機・エアコンプレッサ搭載。900番台が試作車。
 100番台がモハ781形に運転台を設置して編入されたもの。

サハ780形:中間付随車。モハ781形かクモハ780形とユニットを組む。
 洗面所と便所がある。パンタグラフ・変圧器・整流器を搭載。900番台は試作車。
 4両が運転台を設置してクハ780形100番台に編入。

モハ781形:中間電動車。クハ780形、若しくはサハ780形とユニットを組む。
 運転台が無い以外、クモハ781形と搭載機器は同じ。900番台は試作車。
 4両が運転台を設置してクモハ781形100番台に編入。

クハ780形:旭川側に運転台のある制御車。モハ780形とユニットを組む。
 サハ780形と同じく洗面所・便所付きでパンタグラフ・変圧器・整流器を搭載。
 900番台は試作車。100番台はサハ780形に運転台を設置して編入したもの。

車体は普通鋼鉄製で雪の付着を防ぐため、全体に丸みを帯びたスタイルとなっている。
正面は非貫通・高運転台構造で中央にヘッドマーク、左右と運転席上部にヘッドライト、
左右下部にテールランプを設置している。
これらは雪の付着による照度低下を防ぐため、露出型となっており、電球の交換も
外側から交換できるようにした。
塗装はクリームに赤のいわゆる「国鉄特急色」であるが、遠方からの視認性向上のため、
赤帯を正面ヘッドマーク周りまで塗りつぶしたものにしている。
ヘッドマークと側面の行き先表示は字幕式である。

車内のグレードは普通車のみで座席は回転式リクライニングシートを採用している。
トイレと洗面所はクハ780形とサハ780形のデッキに設置した。
ドアは片側1箇所、デッキ・ステップ付の片引き戸である。
ドアレールには凍結防止のためのヒーターを設置している。
側面窓は900番台で空調機の故障時のため、開放可能な内折れ窓を一部採用していたが、
量産車では廃止され、全て固定式になった。

主制御装置はサイリスタ位相制御で、ブレーキは発電ブレーキ併用電磁直通式
空気ブレーキを採用している。
基本的な機器構成は先に営業運転を開始していた711系電車を基本としているが、
本形式は特急用電車であり、車体の重量が増加すること、耐雪構造とする上で
床下機器を極力増やさないことを目標に再設計されている。
このため、機器を分散した結果、国鉄の特急用電車で初めて電動車と付随車で
ユニットを構成する方式となった。
電動車ではモーターを冷却するための通風器を車体側に設置しているが、これを
雪切り構造として、外気を取り込む際に、雪を分離することが可能である。
また、モーター自体も準密閉構造となり、雪の巻き込みによる故障を大きく減らした他、
車内保温のための2重床構造なども相俟って、走行音もかなり抑えられている。
駆動方式は中空軸平行カルダン方式で台車は軸箱支持を円筒案内式とした
インダイレクトマウント式空気バネ台車である。
軸バネには雪の付着によるバネの効果の低下を防ぐため、カバーが巻かれている。

導入時はL特急「いしかり」に投入され、その後すぐに列車名が「ライラック」に
されている。
昭和56年に試作車の900番台の量産化改造、昭和60年に運転台屋根への着雪防止のための
小風防設置などの小改造の他、「ライラック」増発と、「ホワイトアロー」設定による
運用数増加に伴い、4連化と一部中間車への運転台増設の改造を行っている。
このとき、先頭車になった車両は100番台が付与されている。

民営化後は全車がJR北海道に引き継がれた。
平成4年に新千歳空港開港に伴い、「ライラック」を延長する形で快速「エアポート」にも
就いたが、ドアが片側1箇所と快速運転時の乗降に難があり、平成5年にドアの増設を
行った。
機器の関係で当初はクハ780・サハ780だけに実施されたが、後にモハ781形にも
施工された。
モハ781形では機器配置の関係で車端部にドアを設置できず、窓1枚分車体中央よりに
設置された。
このため、2列×4席=8人分の客室が半個室状態で孤立することになった。
この他の客室ではデッキ側の座席の2列+2列配置から1列+1列配置として通路幅の確保を
図った。
なお、クモハ781形では機器配置の関係で2扉化は施工されず、特急「すずらん」用に
なった編成においてもこれを実施していない。
同時期に塗装の変更もあわせて実施され、グレーにラベンダー色の帯、窓周りを
濃いグレーでその境にコーポレートカラーのライトグリーンの細帯としている。

平成10年に津軽海峡線で781系による走行試験を行い特急「スーパー白鳥」用789系への
貴重なデータを残した。

平成12年には快速「エアポート」、「ライラック」への指定席「Uシート」設定に伴い、
「ライラック」用のクモハ781形6両を対象に座席の交換とシートピッチ拡大、
客室仕切り扉上部へのLED式旅客案内装置の設置、外部塗装の変更を実施した。
同時期に運行速度120km/h以上の車両を対象にした側面窓保護対策のため、側面窓への
ポリカーボネート設置を行っている。

平成15年より同線で特急「ドラえもん海底列車」に使用された。車両は高速試験に
用いられた編成と、もう1本他の編成の中間車を組み合わせた6両編成を組んだ。
この列車では外部にドラえもんのラッピングを施した他、4号車をフリースペースの
「ドラえもんカー」を設定。
車内自動放送も「ドラえもん」の声(大山のぶ代ver.)で行われるというもので好評を
博した。

平成18年に北海道新幹線工事のため、吉岡海底駅が休止になると特急「ドラえもん
海底列車」も廃止となり、該当編成が廃車となったほか、
「ライラック」、「すずらん」に用いられていた編成でも老朽化が進んだことから
789系1000番台に置き換えられ、平成19年10月のダイヤ改正で営業運転から撤退し、
同年11月のさよなら運転を最後に全車引退した。
北海道初の特急用電車であり、現在の789系1000番台「スーパーカムイ」につながる
JR北海道の特急用電車の基礎となった車両であるが、JR北海道での保存車は存在せず、
クモハ781-901号車のナンバープレートと特急シンボルマークが苗穂工場
北海道鉄道技術館に展示されるのみである。
民間譲渡のものとしては何両かが道内の施設で利用されている。

国鉄 キハ181系特急用気動車

2010-10-25 23:10:09 | 電車図鑑・国鉄型特急用車両
非電化区間への特急列車の運用拡大のため、既に運用中だったキハ80系特急用気動車を
ベースに、その出力増強型として登場したものである。
昭和43年~昭和47年までに158両が製造された。
製造メーカーは日本車輛、新潟鉄工所、富士重工である。
編成は列車によって異なるため、構成形式と簡単な解説を以下に挙げる。

・キハ181形
本形式の先頭車で普通車。客室と乗務員室の間に電源室がある。エンジンは1基。
・キハ181形100番台
列車の短編成化に伴う先頭車不足のため、中間車のキハ180形に181形相当の
運転台と電源室を設けたもの。電源室すぐ後の客室の小さい窓がないのが特徴。
普通車でデッキにトイレと洗面所がある。平成16年消滅。
エンジンは1基。後年、6両が同じ理由で乗務員室付に改造されている(現存せず)。
・キハ180形
本形式の中間車で普通車。デッキにトイレと洗面所を有する。エンジンは1基。
・キロ180形
本形式の中間車でグリーン車。デッキに乗務員室、トイレは車両両端に和洋2つ、
洗面所も同じく2つ有する。エンジンは1基。乗務員室にはラジオ受信機があった。
・キロ180形100番台
キロ180形のデッキ側のトイレと洗面所を車内販売準備室にしたもの。
・キロ180形150番台
キロ180形のデッキ側のトイレと洗面所を改造して車内販売準備室を設けたもの。
・キロ180形200番台
乗務員室付きのキハ180形からグリーン車に改造されたもの。側面窓など外観は
全く変化が無い。
・キロハ180形
キロ180形100番台、150番台、200番台の全車を半室グリーン車に改造されたもの。
JR四国オリジナルの改造。平成5年に消滅。
・キサシ180形
本形式の食堂車。大容量の水タンクを積む必要があったため、機関は装備していない。
食堂設備の他、待合室、車内販売準備室、業務用トイレがある。
民営化を待たず、昭和57年に特急「やくも」を最後に営業休止。昭和60年全廃。

車体はキハ80系のものを踏襲した普通鋼鉄製であるが、流麗なスタイルを誇る
キハ80系と比べ、中間車屋根上の放熱器やライトケースが四角くなった
正面スタイルなど全体にパワータイプとわかるような力強いものとなった。
先頭部分はキハ82形と、ほぼ同じ貫通型スタイルであるが整備性を考慮して
上部・下部とも角型のケースを採用している。
ヘッドマークと特急シンボルマークは貫通扉に設置された。
行き先表示は側面に方向幕を装備している。
塗装はクリームにエンジ色の国鉄特急色で正面のエンジの羽飾り塗装に
独自の意匠を有していた。
民営化後も長く国鉄色を維持していたが、JR四国所属車はアイボリーに
水色の帯、JR西日本所属車は上半分がグレー、下半分がクリームにブルーの
帯が入るものに変更されている。

車内はグリーン車が回転リクライニングシートでフットレスト付きである。
肘掛にはテーブルが付く。
普通車は回転クロスシートで座席背面に小さなテーブルが付いている。
なお、後年の改造で普通車についても回転リクライニングシートに改造されたものも
存在する。
食堂車は同時期に製造されていた581系寝台特急用電車のサシ581形と同等のもので
テーブルは固定式、座席はFRP製のものを設置した。
側面窓は食堂車厨房部分を除いて固定式でカーテンはベネシアンブラインドを
採用している。
ドアは片側1箇所で内折り戸を採用している。
食堂車には客用ドアは無く、業務用の外吊り戸を設置している。
この他に緊急脱出用の外開き扉を客室内に1箇所設置している。

機関はDML-30HSC型水平対向12気筒・予燃焼室式水冷4ストロークディーゼルエンジン・
ターボチャージャー付き(連続定格出力500PS/1600rpm、最大590PS/2000rpm)で
キサシ180形以外の各車両に1基搭載している。
変速機は1段3要素形液体変速機で大出力エンジンによる空転を防ぐため、
1台車2軸駆動とされた。
冷却装置は中間車は屋根上に装備した放熱器による自然通風方式を採用したが、
熱効率の最も悪い低速度域での冷却能力不足とエンジン自体が熱効率の悪い
予燃焼室式であったため、オーバーヒートを頻発させた。
先頭のキハ181形は走行用エンジンの他に発電エンジンを乗務員室と客室の
間に装備したため、構造とコストは簡単なものの重量の嵩む自然通風式を
採用できず、屋根上に設置した換気ファンによる強制冷却式を採用した。
こちらは大きなトラブルは発生しなかった。
なお、中間車についてはオーバーヒート対策として換気ファンを取り付ける
改造を実施している。
台車は軸箱支持をウイングバネ+延長リンク複合式とした仮想心皿式空気バネ台車を
採用した。
この台車は片側2軸駆動のために開発された台車で、トランサム中央を推進軸が
貫いている。
このため、ボルスタ(揺れ枕)を無くして推進軸との干渉を避け、荷重は左右側枠にある
タイヤフラム式空気バネで受け止め、首振りと牽引力の伝達についてはZ式リンクと
空気バネの横剛性によるもので代替している。
なお、台車軸箱と台車枠を結ぶ延長リンクが原因の不具合が発生したため、後に
軸バネはコイルバネに統一されている。
ブレーキは機関ブレーキ付き電磁式空気自動ブレーキを採用した。
運転台は前後動作式のデスク型ツーハンドルマスコンである。

当初は中央西線の特急「しなの」(名古屋・大阪~長野)に投入された。
最高速度は急行列車と同じながら大出力エンジンによる加速性の向上などで
急行時代よりも所要時間の短縮を図った。
しかし、未成熟な技術を用いたのと、夏の暑さでオーバーヒートによる故障が
相次いだ。
その後、特急「つばさ」(上野~奥羽線経由~秋田間)にも投入されたが、効率優先の
ダイヤ構成による酷使に勾配区間での冷却不足という悪循環で、予備車さえ
出せず、列車そのものの運行すら維持するのに手一杯という状況に陥った。
この特急「つばさ」では奥羽本線の板谷峠でEF71形電気機関車の後押し不要という
ふれ込みで本形式が導入されたが、これらが原因で連結されるようになった。
逆に平坦線では出力を生かした高速性能を遺憾なく発揮していた。

昭和50年代には伯備線特急「やくも」に投入された他は電化の進展に伴い、
山陰・四国地方に転属していった。
四国では「しおかぜ」と「南風」で使用された。
特に特急「やくも」はキサシ180形最後の営業列車となり、昭和57年の伯備線電化まで
活躍を続けた。
伯備線の電化後は老朽化の進んでいた山陰線特急「おき」、「はまかぜ」などの
キハ80系の置き換えに転用されている。
この頃になると、同等のエンジンを積んだキハ65系やキハ66・67系の整備の経験が
生かされ、定格以上の出力を出さないように整備が進められるようになり、
機関の故障は、ほぼなくなった。

民営化後はJR西日本とJR四国に引き継がれた。
JR四国では「しおかぜ」、「南風」など主力特急に用いられ、本四備讃連絡橋(瀬戸大橋)
開通後も新車のキハ185系を伍して運用された。
しかし、後継の振り子式特急用気動車2000形の投入に伴い、廃車が開始され、
平成5年に全車廃車となった。

JR西日本では「はまかぜ」、「おき」、「あさしお」のほか、智頭急行線経由の
特急「はくと」や「いなば」にも用いられ、山陰地方を中心に幅広く運用された。
しかし、運転系統の整理や後継車両への置き換えが進み、特急「はまかぜ」が
最後の定期運用列車となっている。
これについても平成22年の秋を最後に後継車両への置き換えが決定しており、
定期運用からは全て撤退することになる。

廃車は昭和55年より不要になった食堂車から開始され、民営化後も後継車両の登場や
列車の統廃合で進められた。
この他に昭和50年9月4日に奥羽本線秋田~四ツ小屋間で猛暑による線路狂いが
原因で発生した脱線事故で損傷の著しかった3両が廃車となっている。
平成14年の時点で32両が残るが、これらの活躍も既述の通り、あとわずかである。
廃車となったもののうち、キハ181-1とキハ180-1はJR四国での廃車後、古巣である
JR東海が引き取り、キハ181-1は国鉄色に塗りなおされ、佐久間レールパークにて
展示された。
レールパーク閉園後はJR東海が金城埠頭にて建設中の鉄道・リニア館にて引き続き
展示される予定である。


○普通車車内。後年の改造で回転リクライニングシートに改造されている。


○運転台。独自のものを採用している。


○旧餘部鉄橋を渡る特急「はまかぜ」。中間車の屋根に乗ってる黒いのが放熱器。
 この風景も過去のものになった。


○大阪駅で寝台特急「日本海」と並ぶ「はまかぜ」。
 この頃、「日本海」は2往復体制だった。


○大阪駅旧11番線に到着した「はまかぜ」。見ての通り、他の乗客が去った後、
 ホームに残り列車を見送ったのは私一人だった。
 

国鉄 581・583系特急型電車

2010-03-24 01:02:25 | 電車図鑑・国鉄型特急用車両
高度経済成長期の旺盛な輸送力の増大に昼夜を問わず列車の増発や高速化を続けていた
国鉄が、より効率的な車両運用が組めるように昼夜兼行の特急用電車として開発した
もので日本最初の本格的な寝台特急用電車である。
昭和42年~昭和47年にかけて直流1500V/60kHz用の581系と直流1500V/50/60kHz用の
583系の2系列を合わせて434両が製造された。

登場の背景には運用車両の増大による車両基地の容量が不足してきたこと、
昼行列車の電車・気動車化による高速化が進展する中、夜行列車(特に寝台車)が
静粛性確保のため、機関車牽引の客車列車で残されたことにより高速化の限界に
達していたこと、車両の新造費用を可能な限り抑制することなどの日本の鉄道ならではの
事情があった。

構成形式と区分は以下の通り(民営化後に登場したものも含む)。

クハネ581:B寝台(電車3段寝台)の先頭車。運転室ドアと客用ドアの間に
 発電機室があるのが特徴。

モハネ581:B寝台の中間電動車。モハネ580とユニットを組む。補機搭載。

モハネ580:B寝台の中間電動車。モハネ581とユニットを組む。パンタ付き。

サハネ581:B寝台の中間付随車。

サシ581:食堂車。
クハネ583:B寝台の先頭車。発電機が大容量化により床下に移動し、逆に床下にあった
 コンプレッサーが運転室助手席下に配された。厳密にはクハネ581の改良型であり、
 583系のクハ形式というわけではない。

モハネ583:B寝台の中間電動車。交流50kHz対応になった以外はモハネ581と同じ。

モハネ582:同上。

サロ581:1等座席車→グリーン車。

サロネ581:A寝台(電車2段寝台)。急行「きたぐに」用にサハネ581の一部を改造したもの。

サロ581-100:グリーン車。JR西日本がスキー列車の「シュプール」号用に改造したもの。
 現在は急行「きたぐに」で運用中。

車体は普通鋼鉄製で寝台スペースを確保するため、車両限界いっぱいまで断面を
広げており、車高が高いのが特徴である。
先頭部分は、分割・併合に対応するため、これまでの国鉄の特急用電車の特徴であった
「ボンネット型」を廃し、貫通型となった。
貫通扉は左右にスライドして開くカバーを展開した中に貫通扉と幌がしまわれているもので
機能性と外観の良さを兼ね揃えたものとなった。
これは後の特急形電車にも影響を与えた。
なお、登場した当時は長大編成で運行されることが多く、ほとんど使用されなかったため、
晩期には隙間風対策のため、埋められてしまった車両が多い。
塗装は塗り分けはこれまでの特急用電車に順ずるが、クリームに窓周りなどを濃い目の
ブルーという本形式特有のものにした。

車内は形式記号に「ハネ」と付くものが「プルマン形」と呼ばれる中央通路式の寝台で
昼間はボックスシート、夜間は3段寝台へと変化できるものである。
本形式を設計した当時、この方式は開放型A寝台の設備であったが、3段寝台とすることで
B寝台相当とした。

座席から寝台への転換方式を大雑把に書くと以下の通りになる。

ボックスシートを背もたれと座面を引き出し、くっつける→網棚を展開し、壁面にある
中段寝台を引き倒す→網棚を元に戻してその上に上段寝台を引き倒す→カーテンや仕切り、
落下防止の柵、ハシゴ、リネンを置いて完成。

下段は昼間は4人掛けになる広さを独占できるため、好評であったが、中段と上段は
ひじょうに窮屈であった。
しかし、モハネ580/582のパンタグラフ下にある2区画は構造上、上段が設けられず、
2段寝台となっており、中段でも上空間が広い。

昼間使用時の座席状態は構造上、ボックスシートとなるが、人間工学に基づいた深い
背ずりと当時の一般用1等客車(通称:並ロ→グリーン車)に匹敵する広さを誇り、同時期の
特急用電車の回転クロスシートに引けをとるものではなかった。

グリーン車(当初は1等車)はこれまで通りの2列-2列配置のインアームテーブル・
フットレスト付回転リクライニングシートである。
A寝台→グリーン車という「電車A寝台」も企画されたが、スケジュールの都合で断念された。
急行「きたぐに」のサロネ581はA寝台だが、これは3段寝台を2段寝台化したものである。

ドアはサシ581以外の車両に各1箇所ずつで2枚折り戸、ステップ付である。

食堂車もこれまで通りであるがFRP製の座席や折畳み可能なテーブルが初めて採用され、
後の食堂車に影響を与えている。
なお、これらの座席車も車体断面は同じとされたため、天井がとても高く、
開放的であった。
窓は騒音防止のため固定式の2重窓で日除けのカーテンは寝台展開時に邪魔になるので
窓と窓の間に内蔵したブラインドを仕込む方式を採用した。
この他、寝台部分に小窓を設置している。
トイレと洗面所は食堂車以外の各形式に設置され、トイレを2基、洗面所を3基備える。

主制御装置は抵抗制御でブレーキは抑速ブレーキ付き発電ブレーキ併用電磁直通式
空気ブレーキである。
台車はインダイレクトマウント式空気バネ台車である。
これらの走行機器は在来線特急用で全国に投入された485系と同じで、同形式との
連結も可能であり、実際に連結されたこともある。

最初に運用された列車は新大阪と博多を結ぶ特急「月光」、新大阪と大分を結ぶ
特急「みどり」で配置は南福岡電車区であった。
このことから「月光」形の愛称で呼ばれる事もある。
「ヨン・サン・トオ」こと昭和43年10月1日のダイヤ改正では東北本線の電化完成により、
特急「はつかり」、「はくつる」、「ゆうづる」にも投入され、北は青森から南は九州まで
幅広く活躍し、国鉄の特急ネットワーク形成に大きな足跡を遺した。

しかし、長距離・高速走行による車両の老朽化の進行が早く、寝台から座席に転換する
作業要員の確保、寝台の窮屈さ、回転リクライニングシートの普及による内装の劣化などが
問題となり、新幹線の延伸による在来線特急の衰退と共に徐々に勢力を減らしていった。
昭和60年から食堂車のサシ581から廃車が始まり、国鉄分割民営化までに同形式は
全て引退している。
また、遊休化した車両の一部は普通列車に転用されることになり、北陸本線の419系、
東北・九州地区用の715系に改造されている。

分割・民営化後はJR北海道、東日本、西日本に継承された。
JR北海道のものはサハネばかり7両が国鉄末期に青森から転じたが、全く使われること無く
平成2年までに廃車となり、一部の台車がリゾート特急気動車に流用された。

JR東日本のものは「はくつる」、「ゆうづる」、「はつかり」に継続して使用されたほか、
急行「津軽」でも使用された。
平成5年のダイヤ改正で「はつかり」、「ゆうづる」の定期運用から撤退し、平成6年には
本形式最後の定期特急列車となった「はくつる」が客車化され、定期運用からは
完全に撤退した。
その後は臨時列車などに使用されている。

JR西日本のものは主に急行「きたぐに」で使用され、現在、本形式が使用される
最後の定期列車となっている。
平成3年に延命改造を受けて水色に紺と水色の帯という塗装になったが、平成9年ごろから
現行のホワイトにグレーとブルーのものに変更された。
「きたぐに」は寝台の快適性を望む客が多く、北陸新幹線金沢開業との兼ね合いから新車を
導入できないため、今なお、本形式を使わざるを得ない状況が続いている。

引退した車両のうち、715系クハ715-1となっていたクハネ581-8は平成10年の廃車後、
しばらく保管された後、平成15年に登場時の塗装に復元され、九州鉄道記念館に
展示されている。
この他にもサシ581やサロ581を中心に民間に払い下げられたものが存在するが、
既に大半が解体されており、現存するものも状態はかなり悪い。

JR東日本 185系電車

2009-09-22 21:51:05 | 電車図鑑・国鉄型特急用車両
老朽化の進んだ153系急行形電車の置き換えと、急行列車の特急格上げのため
登場した車両である。
昭和56年~57年にかけて10両編成×5本=50両、5両編成×7本=35両、
7両編成×16本=112両の227両が製造された。
10両編成と5両編成が0番台、7両編成が200番台である。

車体は普通鋼製で、これまでの「特急車は特急専用」という概念を捨て、
急行列車や普通列車での使用も視野に入れて設計されている。
また、ポリエチレン樹脂による塗り屋根やドアや車体側面窓下にステンレス鋼を
使用しているなど腐食対策を施している。
正面は非貫通で中央部に字幕式の愛称・種別表示を設置し、側面にも同じく
字幕式の行き先表示を設置している。

登場時の0番台、及び田町車両区に配属された200番台車はアイボリー一色に
車体側面中央にグリーンの大きなストライブが入るという、これまでの
鉄道車両にはない大胆な塗り分けとなった。
新前橋車両区に配属され「新幹線リレー」号や「あかぎ」、「草津」、「谷川」、「なすの」などの
新特急に用いられたものはアイボリーにグリーンの細帯という凡庸な塗り分けと
なった。

ドアは片引き戸で片側2箇所のデッキ付きであるが、これまでの特急型よりも
幅広なドアを採用し、混雑に配慮している。

車内の階級は普通車とグリーン車があり、グリーン車は10両編成に2両、
7両編成に1両が組み込まれている。なお、0番台のグリーン車が3・4号車、
7両編成のグリーン車は田町車両センターのものが4号車、大宮総合車両センターの
ものが6号車に連結される。

普通車は登場時、オール転換クロスシートであった。登場時の国鉄の特急車ですら
回転式簡易リクライニングシートを採用していた中、急行や普通で用いられていた
時期もあったとはいえ、特急車としての設備としては少々劣るものだった。
グリーン車はこれまでの特急用電車に準拠したフットレスト付回転式リクライニング
シートである。
側面窓は普通車が戸袋部分を除いて2連ユニット式、グリーン車は同じく座席ごとの
1枚窓で、いずれも1段上昇式となっており開放可能である。
なお、グリーン車の窓枠はゴールドに塗られ、外観上のアクセントとなっている。

主制御装置は抵抗制御で機器類は当時の急行形電車に揃えられており、
営業最高速度も110km/hである。
ブレーキは抑速ブレーキ付き発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキで
勾配区間での走行に配慮している。
台車はインダイレクトマウント式空気バネ台車である。
200番台車については、耐雪・耐寒構造を強化しているほか、かつて存在した
信越本線横川~軽井沢間を通過できるように車体構造の強化が図られているほか、
同区間での機関車の後押しが容易に出来るように軽井沢側を軽く、上野側を
重くしている。グリーン車の連結位置が田町車と異なるのはこのためである。

平成7年~8年にかけて大宮総合車両センター所属車が、平成11年~14年にかけて
田町車両センター所属車が、それぞれリニューアル改造を受けた。
主な変更点は普通車の座席の回転リクライニングシート化、グリーン車座席の
リニューアル、内装の張り替え、一部トイレの洋式化、客室仕切り戸の自動ドアを
フットスイッチからセンサー式に変更、洗面所の冷水器撤去、自販機設置、
塗装の変更(大宮車=アイボリーに赤・グレー・黄色のブロックパターン、
田町車=アイボリーにオレンジとグリーンのブロックパターン)などである。
細かいリニューアルの内容は時期や所属区の事情によって、若干異なる。

運用は0番台車が登場以来、特急「踊り子」に用いられているほか、
朝夕のホームライナー「湘南ライナー」でも運行されている。
登場後しばらくは「踊り子」の前身の急行「伊豆」、「あまぎ」にも使用されていた
こともある。

200番台車は当初、新前橋電車区に全車が配置された。運行当初は急行列車で
使用されたが、東北・上越新幹線の大宮暫定開業に伴い、上野~大宮間で運行された
特急「新幹線リレー」号で本格的に特急運用に就くようになった。
東北新幹線の上野に延伸で「新幹線リレー」号が廃止になると、4編成が田町車両区に
移籍して、「踊り子」の一部で使用されていた183系を置き換えた。
その後、昭和63年と平成2年に合計3編成が田町車両区に移籍している。
残った9編成は新特急「草津」、「あかぎ」、「谷川」、「なすの」に用いられた。
平成6年~7年にはシュプール号用に塗装をぬりかえたこともある。
その後、「谷川」が「水上」に「なすの」は「おはようとちぎ・ホームタウンとちぎ」に
改称され、平成18年に全車大宮総合車両センターに移管された。

田町に移籍した編成ではグリーン車の連結位置を6号車から4号車に変更したほか、
塗装も0番台に合わせて変更している。
また、リニューアル工事の際に波動輸送対策でパンタグラフを小断面対応のものに
交換したほか、3編成に対して「はまかいじ」用にATC取り付け改造を実施している。

現状では置き換えの計画も無く、今後も使用される予定である。


上野駅で発車を待つ200番台大宮車。グレートーンの塗装が特徴。

松本駅を発車する200番台田町車の臨時特急「はまかいじ」。こちらはグリーン系。

JR東日本 183系電車

2009-09-19 22:48:01 | 電車図鑑・国鉄型特急用車両
国鉄が房総地区の急行列車の特急化、181系電車(※)の老朽化に伴う
置き換えのために導入された車両である。
昭和47年~昭和57年にかけて、房総特急向けの0番台車99両と寒冷地対応などの
改良を行った1000番台181両の合計280両が製造された。
この他に改造などで編入されたものが存在するほか、485系などのほかの形式に
編入されたものが存在する。なお、編入組のJR西日本で特急「北近畿」などで
使用されている183系700番台などについては、機を改めて紹介する。

車体は鋼鉄製で先頭部分は485系後期型や583系に準じたショートノーズを
採用している。房総地区向けに製造された0番台車は総武快速線の地下区間に
乗り入れるため正面貫通型であり、外扉を左右に開いて中の鉄扉とヘッドマークを
開ける事で貫通路が形成できる。1000番台車は寒冷地対策のため、非貫通である。
塗装はクリームにエンジのいわゆる国鉄特急色で先頭部側面にJNRマークが付く。
非貫通先頭車の正面両脇の羽根型の塗り分けがツリ目風になっている。

ドアは片側2ドアでデッキ付きである。車内は普通車が回転式簡易リクライニング
シート、グリーン車が回転リクライニングシートである。
普通車の座席はリクライニングと共に座面がせり出すものであるが、リクライニング
角度は1段だけで調整できない。また、ストッパーがなく、姿勢を少し変えただけで
元に戻るという極めて簡素なものである。テーブルは無く、背もたれ裏面には
ネット状の物入れがある。
グリーン車のものは当時の国鉄グリーン車の標準品でフットレストと
肘掛に小さなテーブルが付いている。
なお、これらは後年の改造でリクライニングシートのフリーストップ化、
グリーン車の1:2配置化などのグレードアップ改造を受けたものがある。
なお、国鉄の特急用電車としては初めて食堂車の設定がない。

主制御装置は抵抗制御でブレーキは抑速ブレーキ機能付き発電ブレーキ併用
電磁直通ブレーキである。
台車はダイヤフラム式空気バネ台車で駆動装置、モーターなどはこれまでの
国鉄型特急車を踏襲している。

0番台は前述のとおり、登場時は幕張電車区に配置され、房総特急の「さざなみ」、
「わかしお」に投入された。その後、「あやめ」、「しおさい」、「すいごう」が
ラインナップに加わった。
1000番台は新潟上沼垂運転所に配置され、上野~新潟間を結んでいた
上越線特急「とき」に投入され、181系を順次置き換えていった。
更に長野にも配置され、中央東線特急「あずさ」の181系も置き換えたほか、
田町に配属された車両は急行「あまぎ」を特急化した「踊り子」でも運行された。
後に「あずさ」用の車両は松本運転所に一括で異動したほか、上越新幹線開業で
廃止になった特急「とき」用の編成や185系による置き換えが完了した「踊り子」用の
編成が松本に異動して「あずさ」や「かいじ」の増発に用いられた。
これらの過程で余剰となったグリーン車などの中間車や先頭車などは
485系や113系に編入されたり、横川~軽井沢間通過対策を施して189系に
編入されたものもある。逆にこれらから本形式に改造・編入されたものもある。

JR化後は「あずさ」用にグレードアップ改造車を投入し、塗装もホワイトに
グリーンとレッドの帯というこれまでの塗装に囚われないものに変更された。
その後、松本車は全車が塗装変更を行い、グレーに窓周りを水色、その下の縁取りを
パープルという独自の塗装になっていた。

長くJR東日本を代表する特急電車で運行されたが、寄る年波には勝てず、
後継車両の登場で廃車が進めら、平成17年12月10日のダイヤ改正で全ての
定期の特急運用から引退した。
その後は波動輸送用となっており、夜行快速「ムーンライトながら」などの
臨時列車やライナー列車で主に使用されている。
なお、廃車された車両の一部は鉄道博物館や長野県の某民宿などで保存されている。


廃車となり、長野車両センターで解体を待つ0番台。
なお、0番台は既に区分が消滅している。

俗に「松本色」と呼ばれる塗装の車両。この時は何かのキャンペーンか、
キャラクターのステッカーが貼られていた。