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水の丘交通公園

鉄道メインの乗り物図鑑です。
※禁無断転載!使用に際してはコメント欄にて
用途を申告してください。

万葉線 デ7000形電車

2013-06-28 13:33:05 | 電車図鑑・路面電車
万葉線の前身である加越能鉄道が高岡軌道線向けに導入した車両である。
デ7000形、デ7060形、デ7070形の3種類がデ7000形に総括されており、デ7000形が昭和36年に3両、
デ7060形が昭和40年に2両、デ7070形が昭和42年に6両製造された。
製造を担当したメーカーは日本車輛である。
なお、デ7000形は富山地方鉄道市内線で運用されている同社のデ7000形と車番が重複しないように
7051~7053号を附番されている。

車体は都電8000形電車をベースとした軽量構造の普通鋼鉄製で既述の通り富山地方鉄道市内線の
デ7000形の設計を流用してドアの位置を変更したものとなっている。
正面は中央部をやや広くとった浅い3つ折れ構造でヘッドライトは正面中央窓下に設置されている。
左右の窓上部には通風口が設けられていたが、雨水などの影響で腐食することから後の車体修理の際に
埋められている。
塗装は登場時がアイボリーにグリーンのツートンカラーで正面は金太郎塗りであったが、
当時直通運転を行っていた富山地方鉄道射水線の車両との判別を付けやすくするため、
すぐにオレンジとアイボリーのツートンに変更されている。
万葉線引継ぎ後はイエローにホワイトとブルーのパッチワーク調の塗り分けに変更された。

車内はロングシートで7000形と7060形は7070形と比べると設計の関係で座席が若干短くなっている。
ドア配置は前後式で扉は片引き戸である。
側面窓は上段をHゴム固定、下段を上昇としたバス窓であるが、デ7000形とデ7060形は富山地方鉄道
デ7000形の設計を色濃く残し、車体中央付近に長方形の下降窓(富山地方鉄道デ7000形では
車掌台のある部分)がになっているが、デ7070形では側面の窓配置の適正化と座席の延長を行ったため、
全てバス窓となった整った外観となった。
なお冷房装置についてはデ7070形の7071号車及び7073号車にのみ搭載されているが他は非冷房のままである。

主制御装置は抵抗制御で間接非自動制御方式を採用し、ブレーキは発電ブレーキと
空気自動ブレーキである。
このうちデ7060形では射水線への直通運転のため、総括制御機能と連結器を有していたが、
富山新港建設に伴う射水線の短縮に伴い、直通運転が廃止されたためそれらの機器類は
撤去されている。
台車は軸守式のコイルばね台車でモーターの駆動方式は吊り掛け駆動である。
運転台はツーハンドル式でワンマン運転の方式は後ろ乗り前降りの整理券式である。

昭和46年にデ7070形が増備されて間もなく全車がワンマン化され、高岡市内線及び新湊線で運用される
車両の全てが本形式で統一された。
平成14年に加越能鉄道から富山県や沿線自治体が出資する第三セクターの万葉線に引き継ぎ後も
主力の座を守っていたが平成15年に36年振りの新型車両となるMLRV1000形の投入が開始され、
平成20年までに7000形及び7060形は全車が廃車、7070形も冷房装置の無い7072号車が平成24年に
廃車されている。
廃車となった車両のうち7052号は千葉県のぽっぽの丘、7061号車は二塚かっぱ村、7062号車は石川県内の
ぶどう園にそれぞれ保存されている。
7072号車はアニマル電車(正面に猫が大きく描かれてたことから「猫電車」と呼ばれる)になっており、
人気が高いことから現在のところ米島口車庫で保管されている。
なおアニマル電車の塗装は7073号車に引き継がれた。
現存する7070形については土日は基本的に運用に就かず、平日ラッシュ時のみの運用となっている。


〇デザイン電車となっていた頃のデ7052号。現在は塗装を加越能鉄道時代のものに復元したうえで
 千葉県のポッポの丘で保存。


〇イオンの広告電車となっていたデ7062号。石川県内のぶどう園に保存。


〇現存する7070形電車。右が2代目「アニマル電車」の7073号車。

阪堺電気軌道 モ351形電車

2013-01-26 16:45:40 | 電車図鑑・路面電車
老朽化の進んだ大型木造車のモ101形電車の置き換えの為に登場した車両である。
昭和37年~昭和38年にかけて351号~355号の5両が製造された。
製造を担当した会社は帝国車輛である。
阪堺電車が南海電鉄時代だったころに作った車両としては最後の新車となった。

車体は高性能電車のモ501形と同等の全鋼製車体を採用した。
外観だけではほぼ区別はつかないが、モ353~モ355の3両は中ドアの横の
車掌用窓を引き違い窓としていた点が異なる。
行先表示は正面にあり、以前は向かって左に系統番号表示の小窓、右に行先表示の
長窓を配置していたが、字幕を在来車と共通化するため、現在の中央小窓配置とされている。
塗装は上半分がクリーム、下半分はダークグリーンで登場したが、今は全車広告塗装である。

車内はモ501形と同じくオールロングシートである。
本形式では乗り降りを容易にするため、運転席横のドア付近の座席を1人分削って
6人掛けになった。
ドア配置は前中式2ドアでいずれも片引き戸、窓は一段下降式である。

主制御装置は抵抗制御で新造品の油圧カム軸式多段自動加速制御器を採用した。
ブレーキは直通管付の空気自動ブレーキを採用していたが後に直通管を廃止して
通常の空気自動ブレーキに改造されている。
モーターはモ101形のものを流用し、駆動方式も吊り掛け駆動であるが、
台車はモ501形電車のベローズ式空気ばねを枕ばねとしたエコノミー台車を採用し、
乗り心地の向上化を図っている。

モ501形に続く新型車両として利用客には好評を博したが、モーター以外の全ての機器類を
新造しているため、コスト面で難があり、355号車の増備後は大阪市電から旧形電車の
車体を購入してモ101形の機器を取り付けたモ121形電車へとシフトしている。
昭和51年にワンマン化改造を実施し、昭和61年に冷房化改造を実施してほぼ現在の姿になった。
この冷房化改造により車体重量が増したため、ブレーキ性能が低下した。
平成13年にはモ161形と機器を共通化するため、モ301形電車が廃車になった際、
そのモーターを流用している。
平成24年度現在、全車両が健在で運用に就いている。


〇台車。モ501形に比べてやや簡素な雰囲気。


〇シャボン塗装になっていた頃のモ351号車。後に広告が付いたため、塗装が変更された。

岡山電気軌道 7900形電車

2012-08-27 18:10:29 | 電車図鑑・路面電車
老朽化した3000形電車(元東武日光軌道線100形)の置き換えの促進と
車両の冷房化促進のために導入された車両である。
平成元年~平成7年にかけて5両が製造された。
製造を担当したメーカーはアルナ工機(→アルナ車両)である。
なお、岡山電気軌道独自の車番の附け方(7000形以降1910年の会社創業から何年目
であるかを上2ケタで表記する)のため、製造順に以下の通りの附番となっている。
なお、/以下は入れ替わりで廃車になった3000形の車号である。

7901:平成元年製/3003号 8101:平成3年製/3002号 8201:平成4年製/3004号 
8301:平成5年製/3008号 8501:平成7年製/3006号

車体は7600形電車のものをベースにした普通鋼鉄製車体である。
違いは先頭部分の窓周りで夜間の客室照明の映り込みを抑えるため、
傾斜角をきつめにとっている。
行先表示は字幕式で正面にのみ設置されている。
車体塗装はクリームに赤帯であったが、現在は全車両広告塗装となっているため
見ることができない。

車内はオールロングシートで戸袋窓の部分以外の窓の部分一杯が
座席となっている。
側面窓は上段内折れ式の2段窓で日よけには横引きのカーテンが設置されている。
ドアは2段ステップ付き片側2か所の片引き戸で前後式配置となっている。

主制御装置は種車である3000形と同じ直接制御方式の抵抗制御となっている。
ブレーキも同様に発電ブレーキと空気自動ブレーキである。
台車については乗り心地向上のため、新造された軸箱支持を軸守式とした
下揺れ枕式コイルばね台車を採用した。
モーターは種車のものを流用しており、駆動方式も吊り掛け駆動方式と
なっている。
当初、主抵抗器やマスコンなども種車からの流用品で賄っていたが、
主抵抗器については元のグリッド式抵抗器から軽量なリボン式抵抗器へ
交換され、マスコンも8201号車から旧西鉄600形電車が使用していた
より操作のしやすいものへ変更され、7901号車及び8101号車も交換を実施している。
冷房装置は集中式のものを1基搭載しているが、8501号車では平成6年の酷暑で
在来車の冷房能力の不足したことから、強化型の冷房装置を搭載している。

導入後、東山線と清輝橋線の全線で終日運用されている。
本形式の導入でラッシュ時も含めた冷房化率100%を達成した。
なお、新車の増備は超低床車9200形「MoMo」シリーズへ移行したため、
8501号車以降の本形式の増備は行われていない。


○ラストナンバーの8501号車。附番法則のためとはいえ、ここまで車番が飛ぶのも
 珍しい。
 冷房装置の形状がタイトル写真の8301号車と異なるのが分かる。 

阪堺電気軌道 モ501形電車

2012-06-22 20:24:11 | 電車図鑑・路面電車
老朽化の進んだ大型木造ボギー車のモ101形電車の一部置き換えのため、登場した車両である。
昭和32年に501号~505号の5両が製造された。
製造を担当したメーカーは帝国車輛(→東急車輛→総合車両製作所)である。
以前は連結運転も可能であったが、基本的に単行運転用であるため決まった編成は組まない。

車体は全鋼製で製造当時、大阪市電で導入が進められていた3001形電車や2600形電車などと
同等のスタイルのものとした。
正面は中央の窓を大きくとり、左右の窓を細長くした独自のものとなった。
行先表示は正面にあり、登場時は大型のもので左の小窓に系統番号、右の大窓に行先を
表示する字幕式のものであったが、現在は在来のモ161形などと同じ小型の字幕に改修されている。
塗装はオリジナルがクリームにグリーンのツートンで正面は「金太郎」風の塗り分けであったが、
現在は広告塗装などがあり、特に定まっていない。

車内はオールロングシートで進行方向右側は運転席のすぐ後ろまで座席が伸ばされている。
側面窓はすべて1段下降式(バランサー無の落とし窓)で、当時の南海本線で運用されていた
11001系電車(リンク先参照)とよく似ており、バス窓となっている大阪市電の3001形などと大きく
異なる部分であった。
ドアは前中式で全て片引き戸となっている。

主制御装置は抵抗制御で路面電車では珍しい総括制御が可能な多段式制御器を採用した。
ブレーキはセルラップ式の発電ブレーキ併用空気自動ブレーキを採用している。
台車には日本の路面電車で初めてのタイヤフラム式空気ばね台車(軸箱支持はエコノミー)を
採用し、駆動方式には遊び歯車付2段減速式平行カルダンを阪堺電車で初めて採用している。
これらの装備は現代でも通用するものであり、当時としても路面電車らしからぬ高スペックを
誇っている。
この他に正面下部に連結器を有していたが、連結運転が廃止されたため、撤去されている。

登場以来、阪堺電車のエース的存在の車両であり、全線で運用されている。
昭和51年に列車のワンマン化が実施され、本形式も改造された。
その際に既述の正面字幕の改修が行われている。
ブレーキは発電ブレーキの扱いの難しさから間もなく使用が中止され、南海電鉄から分社された
昭和55年に通常の空気自動ブレーキに改造された。
その後、昭和60年~61年にかけて実施された冷房化の際に発電ブレーキそのものが
撤去されている。
この冷房化と発電ブレーキの撤去に伴い、ブレーキの利きがほかの形式に比べて劣るようになって
しまった。
しかし、昭和20年代後半~30年代前半にかけて登場した高性能路面電車の貴重な生き残りで
所有者を一度も変えず、全車健在というのは本形式が最後である。
塗装は平成24年現在、501号車が「雲塗装・オレンジ」、502号車が「都電カラー(イエローに赤帯)」、
503号が沿線のパチンコ屋の広告塗装、504号車が登場時の復刻塗装、
505号が「キン肉マンプロジェクト」となっている。


○本形式の空気ばね台車。同年代の路面電車で同様の台車を採用したものがあったが、
 現役のものはごく少数である。


○都電カラーをまとったモ502号車。

豊橋鉄道 モ800形電車

2012-05-20 11:28:29 | 電車図鑑・路面電車
老朽化したモ3100形の置き換えのため、モ780形電車と共に名古屋鉄道より譲り受けたものである。
平成17年に801号の1両が入線した。
詳細な仕様はこちらを参照にしていただきたい。

車体や車内についてはほとんど手を加えられず、塗装についても名鉄時代そのままで
社章などの表記や無線機、ワンマン機器を豊橋鉄道仕様に交換した程度である。
3か所あるドアのうち、基本的に進行方向左側の中ドアと前ドアしか使われておらず、
進行方向左側で後ろ側は競輪開催時に競輪場前電停で使われる。

車体構造上台車の移設等が困難であるため、井原~運動公園前間のカーブを曲がることができず、
駅前~赤岩口間限定で運用に就いている。
同じく低床車であるT1000形電車「ほっトラム」就役後は同車が点検に入る木曜日を中心に
運用され他の日は休んでいることが多い。

万葉線 デ5010形電車(車籍無・機械扱)

2012-04-28 18:16:03 | 電車図鑑・路面電車
射水線、笹津線と高岡市内線、富山市内線への直通列車運行に伴い導入した車両である。
昭和25年~26年にかけて5011~5040号の30両が製造された。
製造を担当したメーカーは日本車輛、汽車会社、日立製作所、愛知富士産業である。
単行運転用なので連結運行時も決まった編成は組まない。

車体は半鋼製で正面部分はやや緩やかな局面を描いた3枚窓となっている。
ヘッドライトは正面中央上部にあり、当時の軌道線を走る電車としては
珍しいスタイルとなっている。
正面下部には自動連結器と鋼管を組んだ排障器が設けられ、一部の車両では冬季の
豪雪に対応すべく、ラッセルヘッド用のジョイントが設けられた。
塗装は当初がクリームにブラウンのツートンで晩期はクリームにグリーンの
ツートンとなった。
一部はピンク一色の試験塗装となったがすぐに後者の塗装に塗り替えられている。
行先表示は正面中央下部に札を掲出するものである。

車内はロングシートで床や側壁は木造のニス塗となっており、当時の電車の
標準仕様となっている。
ドアは車体前後に2か所あり、市内線などの低床ホームを考慮した2段ステップ付の
手動式の2枚引き戸となっている。
なお扉は後の改造でドアエンジン付きの1枚引き戸へ交換された。
窓枠についても当初は木製だったが、これもアルミサッシに交換されている。

主制御装置は抵抗制御で当初は直接制御方式であったが、笹津線や射水線での続行運転が
増えたことから、連結して運転できるように総括制御付間接非自動制御に改修された。
ブレーキは発電ブレーキと空気自動ブレーキでお互いに連動しない。
台車は枕ばねを板バネとした釣り合いばね台車でモーターの駆動方式は吊り掛け式である。
集電装置はオリジナルはパンタグラフであるが、後にZパンタに載せ替えられたものも
存在する。

登場時から笹津線と射水線に投入され、両線の主力車両として運行された。
どちらの線も全車が本形式だった時期がある程で地方の私鉄向け車両、増して路面電車タイプの
車両としては異例の30両が製造されている。
富山新港の新設に伴い、射水線が分断されるのに伴い、昭和41年に11両が加越能鉄道に
高岡市内線共々譲渡された。
その後、伏木港線(米島口~伏木港)の廃止やデ7050形、7060形、7070形の増備で状態のいい車両が
富山地方鉄道に返還されたほか、それ以外の車両も昭和42年の時点で除雪車に改造されていた
5022号車以外、全車廃車となった。
富山地方鉄道に残った車両については昭和50年頃より廃車が始まり、昭和55年の射水線廃線で
全車が廃車となった。
廃車後、加越能鉄道の5022号車が車籍を有していたが、平成4年に除籍され、無番号の除雪車という
扱いになった。
除籍後も終電の後などに除雪車として運用されたが、車体や機器の老朽化が大幅に進んだため、
平成24年3月に新型の除雪車が入ったのを機に引退した。
引退後、万葉線では静態保存を検討している。


○廃車後、車体だけ置かれていた5026号車。5022号車の部品取りとして残されていたもの。
 平成20年ごろ撤去。

富山地方鉄道 デ8000形電車

2012-02-25 22:22:16 | 電車図鑑・路面電車
デ7000形のうち冷房がなく、台車も初期型の乗り心地の悪い台車を履いていた
7007号~7011号を置き換えるために登場した。
平成5年にデ8001号~デ8005号が製造された。
製造を担当したメーカーは日本車輛である。
単行運転用のボギー車で特に編成を組むことはない。

車体は普通鋼鉄製で昭和60年代から平成初期の路面電車の流れをくんだスタイルで
まとめられている。
正面部分は左右に絞りのある形状で窓は大型の1枚ガラスとなっている。
行先表示は正面上部と側面中ドアから進行方向後ろ側にあり、いずれも字幕式である。
塗装はアイボリーに窓下に赤のライン、床より下の部分がグリーン、その境目と
窓周りがブラックとなっている。
この塗装は後に富山地鉄市内電車の標準塗装となり、広告の入ってないデ7000形でも同じ塗装と
している(デ7018号車を除く)。

車内はロングシートで中ドア横のスペースにカードの自販機や方向幕を設置した関係で
運転席右後方部分は少し短くなっている分、左側の座席が長めに取られている。
ドアは前中式で前ドアは2枚折り戸、中ドアは4枚折り戸である。
中ドアの外から向って左側すぐ横まで座席がある関係で手を出さないように
注意書きがされている。
なお、カードの自販機はICカード「えこまいか」の導入に伴い撤去され、跡は立ち席スペースに
なっている。

主制御装置はVVVFインバータ制御でブレーキは回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキを採用した。
運転台は1軸両手操作式ワンハンドルマスコンで集電装置にはシングルアームパンタを採用し、
足回りも含めて富山地鉄としては初めての採用となった。
台車は軸箱支持を円錐積層ゴムとしたエリゴバネ式ダイレクトマウント台車でモーターの駆動方式は
平行カルダン方式である。

登場後、ブレーキ力の強化のため、ブレーキシリンダーを増強する改造を行ったほかは
大きな改造もなく全車が健在で終日市内線で運用に就いている。
デ7000形で実施されている全面広告についても本形式については実施していない(側面のみは
実施しているが塗装を全面的に塗り替えるような広告は実施してない)。


○車内。大きな窓で明るい。乗り心地はいいが座席が少し硬い。


○運転台。両手操作式のワンハンドルマスコン。


○台車。左右に横向きで付いてるのは増強されたブレーキシリンダー。

土佐電気鉄道 100形電車

2011-11-08 21:15:50 | 電車図鑑・路面電車
老朽化が進んだ500形電車(昭和29年に投入された元・高性能電車の試作車。
後に200形と性能を揃えられる)の置き換えのために導入された車両である。
平成14年に3体連接車1本が導入された。
製造を担当したメーカーはアルナ工機(→アルナ車両)で同社の開発した次世代型
路面電車「リトルダンサー」シリーズのLタイプ(ロングボディ型)である。
編成の組み方は以下の通り。

101A-101C-101B

低床化のため、主要機器は全て屋根上に載せられた他、動力付きの台車を極力編成の
両端に寄せて配置している。
台車は1車体1個で3箇所に設置されている。
購入に際しては国、高知県と沿線自治体からの補助金が投入された。

車体は普通鋼鉄製で正面は大きな1枚窓の流線型となっている。
塗装は台車より上がホワイト、それより下はエメラルドグリーンである。
行き先表示は正面と側面にあり、いずれも字幕式で「ごめん」、「いの」などの
区間制運賃区間直通列車で伝統的に掲示される土電独自のひし形の系統板は
本形式では使用しない。

車内はA号車とB号車が固定式クロスシート(高床部分の一部)とロングシート(低床
部分と運転席直後)、C号車は2人向き合わせの固定式クロスシートである。
ドアはA号車とB号車に1箇所ずつ、片側2箇所で全て片引き戸でC号車に扉は無い。
ドア付近はノンステップであるが、A号車とB号車には台車上にも座席があり、
C号車も座席と床面に段差があるほか、C号車とA・B号車の連接部分にも段差がある。
なお、B号車には車椅子スペースを設置している。
側面窓は引違い式、若しくは上段引違い式である。

主制御装置はVVVFインバータ制御方式(IGBT式)でブレーキは発電・回生ブレーキ併用
電気指令式ブレーキである。
運転台は右手操作式ワンハンドルマスコンとなっている。
台車は動力台車が軸箱支持を積層ゴムとしたインダイレクトマウント式金属バネ
台車で駆動方式はTDカルダン方式、C号車の台車はボルスタレス式台車を
使用している。
集電装置はシングルアーム式でC号車に搭載されている。
これらは土佐電気鉄道のみならず、高知県の鉄道車両として初めてである。

試運転やお披露目運転後、一般の営業運転に投入された。
沿線などから車両愛称を募り、「ハートラム」と命名されている。
登場以来、土佐電気鉄道の看板車両であり、一日乗車券や自社発行のパンフレットの
表紙を飾った他、桟橋車庫構内や改築前の後免駅などに本形式を模した飲み物の
自動販売機を設置したほどの意気込みであった。
ダイヤについては1編成しかないため、決められており、各電停及び土佐電気鉄道
ホームページに掲載されている。
基本的に5日に1回、点検のため運休することになっており、その場合は通常型の
電車が投入される(大規模な点検や修理が入る場合は前もって告知が別途案内される)。
本形式の導入に伴い、一部の安全地帯の嵩上げが行われ、本形式出入口との段差を
少なくしたが、対応工事を行っていない電停では在来車よりは乗りやすいものの
多少の段差は生じており、それに対応するため、可搬式の昇降スロープを
搭載している。
電停の構造上、長く高知駅前電停への乗り入れができなかったが、高知駅の改築に
伴う同電停の改修で乗り入れが可能となった。
但し、平成23年現在も定期列車で高知駅前に乗り入れることは無く、基本的に
市内線の運賃均一区間を往復していることが多い。
平成19年ごろよりある病院の広告電車となっており、平成22年ごろまでは赤色に
ハートをあしらったものであったが、現在は上半分がライトブルー、下がホワイトで
C号車にホワイトのストライブラインが入るものに変化している。

函館市企業局交通部 3000形電車

2011-10-27 21:09:09 | 電車図鑑・路面電車
函館市市制70周年を記念して函館市交通局(→函館市企業局交通部。以下、函館市電or
市電)で27年ぶりの新型車両として登場した車両である。
平成5年~平成8年にかけて3001号~3004号の4両が製造された。
製造を担当したメーカーはアルナ工機(→アルナ車両)である。

車体は普通鋼鉄製で同時期に登場した2000形とほぼ同じスタイルのものであるが、
側面窓が大き目の一段下降窓となり、当初から冷房車である点などが異なる。
冷房の搭載は本形式が函館市電で最初である。
塗装は紺色に白線を入れたものとして「マリンブルー」号の車両愛称が付けられた。
行き先表示は正面と側面中央下部に字幕式のものを設置しており、正面のものは
系統番号と行き先、側面のものは運行経路が表示される。

車内はオールロングシートで2000形や800形の車体更新車である8000形などと同じく
ホワイト系の化粧板にオレンジ色のシートモケットという、暖色系のものを採用した。
側面窓は一段下降式であるが、冷房車となったため一部の窓は固定式である。
側面ドアは前中式で前ドアが2枚折り戸、中ドアが片引き戸である。

主制御装置はVVVFインバータ制御装置を2000形と共に初めて採用した。
ブレーキは回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキで、回生ブレーキも函館市電で
最初の採用である。
台車は軸箱支持を積層ゴム式としたインダイレクトマウント式コイルバネ台車で
モーターの駆動方式は平行カルダン方式である。
運転台はツーハンドル式で従来車との変わりはない。
集電装置はシングルアーム式で2000形と共に日本の路面電車で始めての採用となった。

登場後、しばらくは「マリンブルー」号の愛称を付けてオリジナルカラーと
なっていたが、現在は全車両広告塗装となっている。
函館市電では今なお数少ない冷房車であるため、夏場は他の車両に伍して
運用される。
運用については特に他の車両と差別されること無く、終日全線で運用されている。


○3001号。最後まで「マリンブルー」号であったが、現在は広告カラーとなっている。


○3002号。初期とイメージは変わったが登場間もなく「布目」号になった。


○3004号。JRA「はこだて競馬場」の広告車。平成18年ごろ(タイトル写真)と
 現在でイラストの内容が異なる。
 3003号は車庫で点検中で記録できず・・・。

広島電鉄 350形電車

2011-10-24 23:34:40 | 電車図鑑・路面電車
路面電車線の広島市内線から鉄道線の宮島線への直通運転用に登場した車両である。
昭和33年に850形電車として3両が製造された。
製造を担当したメーカーはナニワ工機である。
1両で運転されるため、編成は組まず、広島電鉄では「単車」のカテゴリーに属する。

車体は全鋼製(普通鋼鉄製)で本形式のベースとなった550形電車を基本としながらも
全体に洗練されたスタイルとなった。
正面は3枚窓でヘッドライトは正面中央上部にあり、半埋め込み式となっている。
車体側面下部には電照式の広告看板スペース(片側2箇所)を広電の電車で
初めて設けた。
塗装は上半分がクリーム、下半分がダークグリーンの市内線標準色である。
行き先表示は字幕式のものが正面向かって右側に設けられた。

車内はオールロングシートで化粧板はベージュ色、座席のモケットはグリーンで
近代化されつつも当時の他の車両と違和感が無いように仕上げられている。
ドアは片側2箇所、前中式で全て片引き戸となっている。
導入の段階ではツーマン仕様、非冷房であった。

主制御装置は間接非自動加速制御方式とした抵抗制御でブレーキは空気自動ブレーキ
である。
台車は軸箱支持を軸守式とした下揺れ枕式コイルバネ台車でモーターの駆動方式は
吊り掛け駆動式である。
本形式では宮島線での走行性能を確保するため、モーター出力を50kw×2基として
従来の車両(概ね35kw~37kw×2)よりも向上させている。
また集電装置は製造当初よりパンタグラフを採用している。

新製後、市内線カラーで落成したが、貸切運用で宮島線との直通運用に投入された。
その後、昭和37年より市内線と宮島線との直通運転が本格的に開始されると
車体塗装をピンクにエンジ色の細帯という「宮島線直通色」に塗り替えられ、
後輩の2000形電車や2500形電車(→現在の3100形)と共に運用された。
その後、宮島線直通列車の利用客が増えたことから、連結車の2000形、連接車の
2500形が増備されたため、塗装を元に戻して市内線用となった。

昭和46年に形式を850形から現在の350形に改めた。
これは神戸市交通局より1100形電車及び1150形電車を譲り受けた際に当時は
鉄道線電車に割り振っていた1000番台を使わず、850形として登場させる
計画があったためとされている(結果的に神戸市の車両は旧番号のまま運用され
ている)。

昭和50年にワンマン化改造が行われ、同時に行き先表示を正面中央上部設置して、
今までの行き先表示部分はワンマン表示窓とした。
昭和59年には冷房装置が搭載され、正面の行き先表示を大型の電動幕に改造して、
ほぼ現在の形態となった。

後継の新型車両が続々と登場した中、元宮島線直通車であったため、モータの出力の
高さから加速が良く、今なお全車両が健在で所属車庫である。
千田車庫担当の1・3・5系統のいずれかで終日運用されているほか、市内線電車唯一の
間接非自動加速制御車であることから、運転士の教習にも用いられる。
また、宮島線直通運用から離れて久しいが、本形式の直通許可自体は取り消されて
おらず、同区間で使用しているATSを搭載すれば再び乗り入れることも可能である。


○紙屋町ですれ違う351号と353号。


○広島港(宇品)に入る352号。